京都のギネス・バーにて

偉大なるワン・パターンな日々も秋へ


 悲惨な大水害の7月、殺人猛暑(←ジョーダンじゃない)の8月も過ぎて、ぼちぼち台風が心配な季節となりました。コロナは相変わらず頑張っているようです。女房殿は息子一家の小松→熊本転居引っ越し手伝いやら、大阪の婆さんのところに出掛けたけれど、自分は例の如し出勤したり在宅勤務だったり、5月連休の代休を断続的に消化して、どこにも出掛けておりません。ここ数か月一度も公共交通機関を使っていない。ま、コロナ禍に国民全体が自粛して、自分なんかけっこう馴染みの居酒屋に数回、冷たいビールやら美味い魚を喰ったりしておりました。贅沢なもんでっせ・・・

 ・・・とは一年前2020年9月の「近況」。まる一年経っても、ほとんど代わり映えしていない引き隠り半引退生活、日々更新する「音楽日誌」内容も偉大なるワン・パターン。せいぜいノートパソコンが不調になって、OSを入れ直したくらい。女房殿はワクチン接種2回を武器に熊本訪問して待望の孫の世話、自分も同様にワクチン接種を済ませてなんとか元気、コロナ感染が全国最悪に広がったのはオリンピックも一因なのか(ちがう!と政府与党関係者は強弁)まんぼう?緊急なんとか宣言に恒例の居酒屋贅沢もならず、美味い酒肴も夢物語、不味いノン・アルコールビールなんて、求めて呑みたくもありませんよ。こんな時期に最悪の雨模様に薄ら寒い気候も続きました。オリンピック、パラリンピック、アスリートの奮闘努力はテレビで愉しみましたよ。

 こんな生活もう限界!それでもコロナ感染症状は怖い。診断も入院もなかなかできない自助努力必須な医療状況ですから。取引先のご担当一家が感染して、いよいよ身近な人に広がっている恐怖をリアルに感じたものです。

 一ヶ月ほど前に発症した心房細動?!ならぬ上室性期外収縮は一ヶ月間経過(ワクチン接種の副反応か、エビデンスはない)服薬しつつ週6日おそるおそるスポーツクラブ+市立体育館控えめに鍛錬継続中、明日大学病院へ再々診となります。ドキドキしているだけ、不快感も体調不良もありません。膝の調子まずまず、某?アレルギーの鼻水痰症状も最悪状況ではありません。体重は残念な前年比+1〜1.5kg増傾向続いてだらだらと2021年は過ぎつつあります。残り4-5ヶ月≒完全引退までの執行猶予期間は迫ります。おそらくは自分が職場から去ったあとにも、コロナはしつこく社会に残るでしょう。好きに呑み歩けるようになるまで健康を維持して鍛えることにしましょう。

 

 恒例前月ヴェリ・ベスト。暑いと集中力を失いがちなのは前月同様です。

LPデザインStravinsky バレエ音楽「春の祭典」(1967年)/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版/1969年)〜ズービン・メータ/ロサンゼルス・フィル・・・ Zubin Mehta(1936ー印度)も85歳、これは30歳そこそこ若き日の鮮烈な記録。定位やら奥行き空間は少々不自然でも、英DECCAの音質は21世紀に現役です。オーケストラはパワフルな華やかさがあり、力量充分だけど、緻密なバランスに非ず、粗野なエネルギーに充ちて、それが作品のバーバリズムに相応しく似合って聴手をたっぷり興奮させます。若い逡巡のない勢いは。後年の幾度ある録音に失われてしまったものでしょう。ピエール・ブーレズの知性も素晴らしいけれど、”音楽を愉しむ”原点を思い出しました。

NIMBUS NI 5322Rachmaninov 交響曲第2番ホ短調/ヴォカリーズ〜尾高忠明/BBCウェールズ・ナショナル交響楽団(1991年)・・・15年ぶりの再聴。尾高 忠明さん(1947ー)は現在大阪フィルの音楽監督、このオーケストラには1987年に首席就任、一躍実力を上げました。鬱蒼として甘く、濃厚にカッコ良い作品はお気に入り、たいていどんな演奏だって感動間違いないけれど、これは頭抜けた魅力満載な表現、切々とした説得力はパワーやデーハーな技量がすべてではない!ことが理解できるもの。甘い素材に甘い表現を被せない、ウェット控えめな世界にたっぷり魅了されました。18:48-10:03-15:39-15:13。絶品「ヴォカリーズ」は5:52。

Dutch-Concert-Rostrum_1986Bruckner 交響曲第1番ハ短調〜セルジウ・コミッシオーナ/オランダ放送フィル(1986年ライヴ)・・・これは珍しいLP音源、音質も演奏も良好です。Brucknerは第1−3番(0番00番)+6番を苦手として拝聴機会は少ないもの、Sergiu Comissiona(1928ー2005羅馬尼亜→亜米利加)はこの時期、放送フィルの首席だったのですね。レパートリー的に縁が薄そうだけれど、ライヴとは思えぬ端正パワフルなアンサンブルはオーケストラ・ビルダーの面目躍如、Brucknerの個性発揮が未整理な印象の作品をしっかり、魅力的に聴かせてくださいました。作品そのものに開眼。12:47-13:40-9:08-14:12。

もう一発珍しいの。■ネットより入手Bruckner 交響曲第8番ハ短調(オリジナル版)〜マルティン・ジークハルト/北オランダ管弦楽団 (Noord Nederlands Orkest)(2019年ライヴ)・・・ネットより入手したライヴ音源は一本ファイル1:34:18楽章間拍手含む。音質はまずまず。オーケストラはその存在さえ初耳、やや散漫に軽いサウンド(音質?)だけど、立派なものですよ。壮大巨大な名曲中の名曲、オリジナル版は誰が聴いてもわかりやすい通常版との違い、あちこち旋律担当するパートが違ったり、第1楽章「Allegro moderato」ラストは「死の予告」に非ず、ハ長調デーハーに締め括ります。旋律やリズムの扱いがモダーンに洗練され、重厚長大に非ず、とても新鮮に堪能いたしました。

LPデザインMahler 交響曲第5番 嬰ハ短調〜ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団(1971年)・・・2020年7月に拝聴して曰く

ぴかぴかではない音質印象もあるのか、粗野で力強い、ザラリと粒が粗い(ローカル)サウンドも魅惑、この時期のバイエルン放送交響楽団って、後のスーパーオーケストラではなかったような?11:43-13:58-17:22-9:45-15:27は速めのテンポに咳いた印象はありません。ほとんど要らぬ飾りをつけぬストレートな、力強い表現、終楽章「Rondo-Finale. Allegro giocoso」デリケートな部分でそっと、躊躇いがちにテンポを落とすのも自然な風情、肩の力も抜けております。この作品一番人気第4楽章「Adagietto. Sehr langsam」甘さ控えめに歌って素敵でした。
これ以上、付け加えることはない、自分にとっての原点みたいなもの。

NAXOS 8503294R.Strauss 劇付随音楽「町人貴族」〜ジェラード・シュウォーツ/アキ・ショウコ(v)/アンドレー・エメリアノフ(vc)/ニューヨーク室内交響楽団/合唱団(1989年)・・・ Gerard Schwarz(1947ー亜米利加/シュワルツとは読まんと思うけど・・・)の音源を集めた30枚ボックスが出ました。これはふだん管弦楽組曲版ばかり聴いているけれど、Wikiで調べてみると全曲版(改訂版?)らしい珍しい音源はもちろん初耳。

「第1幕」1. 第1幕への序曲 - Ouverture zum I. Aufzug/2. ジュルダンの登場 - Auftritt des Jourdain/2a. ジュルダンのクプレ - Couplet des Jourdain/3. 音楽的会話 - Musikalisches Gesprach/4. メヌエット - Menuett/5. 剣術の先生の場 - Szene des Fechtmeisters/6. 仕立て屋の登場と踊り- Auftritt und Tanz der Schneider/7. 第1幕の終曲 - Schlus des I. Aufzuges「第2幕(前半)」8. 第2幕への前奏曲 - Vorspiel zum zweiten Aufzug/9. クレオントの登場 - Auftritt des Cleonte「第2幕(後半)」10. 間奏曲 - Intermezzo/11. 晩餐 - Das Diner/12. カノンの形式によるクーラント - Courante (in Canonform)/13. 第2幕の終曲 - Schlus des II. Aufzuges「第3幕」14. シチリアーナ風前奏曲 - Vorspiel (alla Siciliene)/15. メロドラマ - Melodram/16. トルコの儀式 - Die turkische Zeremonie/17. 第3幕の終曲 - Schlus des III. Aufzuges
二管編成を基本に弦の人数も少なく、打楽器は7種+ピアノ、ハープが加わるもともと歌劇「ナクソス島のアリアドネ」の劇中劇とか。元オペラも筋書きにも全然縁がなくて、短い組曲版ばかり断片的に旋律は馴染みでした。ド・シロウト感想だったら雰囲気的にはStravinskyの「プルチネルラ」かなぁ、またはde Falla「ペドロ親方の人形芝居」とか、親密にわかりやすいノンビリ風情連続に声楽も入る・・・音質良好、アンサンブルも上手いもんでっせ。

(2021年9月1日)

●歴代「近況」保存分●最新の「近況」
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written by wabisuke hayashi