無為無策、ネタのない(カネもない)平和な日々に
4月は山口、博多〜熊本と2回も旅行に出掛けたけれど、5月はず〜っと大東に引き隠ったまま(稀に梅田)隔日+αの頻度に市立体育館に鍛えたのみ。毎日の料理や時々の外食(居酒屋)日々必要な買い物くらい、まったく無為無策、ネタのない日々が続きます。体調は維持して元気だから文句ないですよ。地元と梅田に新たに絶品の魚の店をみつけて愉しみも増えました。烏克蘭国民には申し訳ないけど。
義弟(63歳)は、お隣の市にある介護施設の運転手に再就職決まったとのこと。45年も働いて家のローンも残っているけれど、働き者でっせ。自分は43年働いて、これ以上意地でも働きたくはない・・・けれど、できれば人さまの役に立つ存在でありたい。例えば前居住地では(お仕事現役中)女房殿のボランティア活動の絡みで”ノートパソコン不具合修復調整”のべ十数件、我流とカンだけどなんとかしたものです。そんな経験は自分のノーミソ鍛錬お勉強にもなって、感謝もされましたっけ。もちろん無料、土付きの小いもとか大根などいただいきました。
メインに使っているコンピューターHP Omni 220-1140jp(モニター一体型/メモリ8gb/2TB/Windows10)は中古入手5年な10年選手、これは日々それなりに稼働順調。残り女房殿用のも含め旧型ノートパソコンはムダに計3台、これを断舎離して2台処分出来、ヤフオクも久々。残り(重くて遅いけど堅牢な)Lenovo G575 (11年選手メモリ4gb/Zorin-OS 12.4 Core 64 bit)一台を自分用にカスタマイズ、更に女房殿用にSurface Go (Windows11/メモリ8gb中古)入手、これはステキに小さく軽いタブレットにも使える現役品。なんとか10年ほど愛用して欲しい。4月には無用となった旧式無線ルーターとかコンセントLAN(PLC)を廃棄、正直なところヤフオク出品の手続きがメンドーだったのが本音、内心忸怩たるものがあった反省です。せっかくのちゃんと稼働する資源、使える人には使って欲しかった!それは金額の多寡に非ず、キモチの問題ですよ。
「音楽日誌」は両親の葬式、転居によるネット環境の中断以外、年中休まず毎朝365日更新。現役引退少々前より生活のネタは尽きております。なんの変哲もない日々に”ネタ”を探すのはけっこうタイヘン。著名ユーチューバーみたいに膨大なる出費とか意欲、パフォーマンス能力もなし、几帳面なる知的理論的構築にも無縁な性格ですから。ご当地転居の理由は義母92歳の様子を見守るため(自分はなにもできないけど)幸いノーミソ明晰、耳が遠いのと足腰が弱っているくらい。女房殿は隔日に通って、そのくらいの距離感がよろしいのでしょう。自分は数日後にハローワークに出掛けて、いよいよ失業認定、失業手当が降りる予定、金額は少ないですが。
● いつも通り恒例の前月ヴェリ・ベスト振り返り。
■Bach トリオ・ソナタ第1番変ホ長調 BWV.525/カンタータ第106番「神の時は最上の時なり」BWV.106/モテット第5番「来たれ、イエス、来たれ」BWV.229/コラール「おお愛する魂よ、汝を飾れ」BWV.654/カンタータ第125番「平和と歓喜のうちにわれはゆかん」 BWV.125〜ペーター=ヤン・ベルダー(or)/ジェズアルド・コンソート・アムステルダム(声楽アンサンブル/ハリー・ファン・デル・カンプ)/ムジカ・アンフィオン(器楽アンサンブル)(2014年)・・・Etcetraが新しいBachの録音をいくつか出したようで、その担当がBrilliant廉価盤で古楽器録音を担当していたオランダのアンサンブル。山縣さゆりさんが参加されております。変ホ長調のトリオ・ソナタはオルガンによる馴染みの旋律、膨大な数に及ぶBachのカンタータ中、ほんまに細部旋律に馴染んでいるのはほんの数曲、どれも快く懐かしく、似たような愉悦にジミジミ浸っているのみ。声楽アンサンブルも古楽器アンサンブルも超絶技巧、豊かな残響に目眩がするほどの感銘と精神(こころ)の鎮静をいただきました。申し訳ないけれど、これほどの洗練サウンドを聴いてしまうと1960年代の録音、演奏スタイルは少々苦しく感じます。
■Rossini 歌劇「タンクレディ」序曲(5:45/フィルハーモニア管弦楽団/1964年)/Beethoven 交響曲第7番ニ長調(40:25/シカゴ交響楽団/1971年)/Ravel マ・メール・ロワ(18:25/バイエルン放送交響楽団1979年ライヴ)/Bizet 小組曲「こどもの遊び」(12:20/フィルハーモニア管弦楽団/1956年)/Beethoven 「エグモント」序曲(8:45/トリノRAI交響楽団/1968年ライヴ)Schumann(Mahler版)交響曲第3番 変ホ長調「ライン」(33:15/フィルハーモニア管弦楽団/1958年)/Stravinsky バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)(21:30/シカゴ交響楽団1969年)/J.StraussU「皇帝円舞曲」(11:00/ウィーン交響楽団/1974年放送用音源)〜カルロ・マリア・ジュリーニ・・・配慮ある収録揃えたコンピレーション2枚組。一番古いBizetも含め音質良好、RavelとJ.StraussU、「エグモント」序曲は、ほかではなかなか聴けぬ珍しい音源でした。あわてず余裕を感じさせるRossiniの序曲はオペラの雰囲気を期待させて、Beeやんの著名人気交響曲はゆったり堂々たる風情(←テンポのことではない)硬派シカゴ交響楽団から思わぬ、まったりとした味わい深い響きを引き出しておりました。第2楽章「Allegretto」には中学生以来の遠い感銘が蘇ったもの。高潔な終楽章「Allegro con brio」も最後まで、落ち着きと余裕を失いません。(もちろん第1楽章提示部繰り返し有)しっとりとメルヘン溢れるRavelも極上の静謐さ。幾度聴いていた作品なのにジュリーニの精緻な表現に初めてBizet作品の愉しさ、魅力に目覚めたものです。
緊張感と余裕が両立する「エグモント」。My苦手作品の代表である「ライン」だってジュリーニのたっぷり歌う表現なら、心安らかに浪漫の旋律を堪能可能、フィルハーモニア管弦楽団の響きがとても清潔でした。但しMahler版の意義をド・シロウトは理解しておりません。彼は「春の祭典」を録音せず「ペトルーシュカ」は短縮版、この「火の鳥」も1919年版短いもの、いつものジュリーニ表現は変わらぬ落ち着いた(テンションがちょっぴり足りない?)味わい有。ラスト貴重な、めったに聴けぬ妙に神妙に立派な、確固たるウィンナ・ワルツで締めくくりました。
■Shostakovich 交響曲第11番ト短調「1905年」〜エリアフ・インバル/ウィーン交響楽団(1992年)・・・最近全曲が揃ったマーク・ウィッグルスワースもそうなんだけれど、ダイナミック・レンジの幅が広すぎて弱音の再生が難しい音源です。分厚いコンクリート壁の効果か?オーディオ環境は改善傾向、ボリューム微調整をしつつ拝聴すると、痺れるような残響奥行き自然な音質を堪能できました。
ネットの評判を伺うと評判イマイチなようだけど音楽は嗜好品。クールに整って劇的前のめりじゃないShostakovichもよろしいと思います。怪しく不安な静謐を湛えた第1楽章「Adagio 宮殿前広場」(15:04)劇的な戦闘描写、殺戮光景広がって迫力たっぷりな第2楽章「Allegro 1月9日」(18:56)犠牲者への哀悼の念極まる第3楽章「Adagio 永遠の記憶」(13:21)第4楽章「Allegro non troppo 警鐘」には「ワルシャワ労働歌」(←もう知っている人も少ないでしょう)は来るべきロシア革命への決意を表して力強い(14:49)・・・けど、常に醒めた感じの演奏。演奏者の冷静な風情が思い浮かぶほど。
■Brahms 交響曲第1番ハ短調/悲劇的序曲〜ヘルベルト・ブロムシュテット/ゲヴァントハウス管弦楽団(2019年)・・・Herbert Blomstedt(1927ー瑞典)は未だ現役!?いくつだよ。これは佳き演奏ですね、金管が目立たぬ地味渋な低い重心のサウンド、第1楽章「Un poco sostenuto - Allegro」提示部繰り返しは当たり前、しっとり落ち着いたオトナの風情に充ちておりました。鬱蒼と湿度の高い第2楽章「Andante sostenut」の鎮静した味わい、オーボエとヴァイオリン・ソロ、ホルンは絶品の美しさ、軽さ。第3楽章「Un poco allegrett grazios」は弦のさわさわとしたビロードのような質感、あわてず自然に盛り上がっていく風情は最高。終楽章「Adagio -Allegro non troppo, ma con brio」冒頭粛々とした弦のピチカートにテンポの揺れが決まって、ホルンとフルートの音色は地味に抑制され、タメてタメて「喜びの歌」旋律は喜ばしくも艶消しサウンド、ゆったりとした間を取ってデリケートに重くない。これはこの名曲のヴェリ・ベストかも。16:59-6:35-5:04-18:34。あまり好まなかった「悲劇的序曲」も絶品、12:36。
■Stravinsky 兵士の物語〜イーゴリ・マルケヴィチ/アンサンブル・ド・ソリスト ユリス・ドゥレクリュース(cl)/アンリ・エレルツ(fg)/モーリス・アンドレ(tp)/ローラン・シュノルク(tb)/シャルル・ペシエ(打楽器)/マヌーグ・パリキアン(v)/ヨアヒム・グート(cb)/ジャン・コクトー(語り手)/ピーター・ユスティノフ(悪魔)/ジャン・マリー=フェルテ(兵士)/アンヌ・トニエッテ(王女)(1962年)・・・作品詳細は勝手に別サイト引用。1918年の作品、第一次世界大戦真っ最中瑞西滞在時の作品は編成の少ないアンサンブル、著名な3大バレエとは別世界の切り詰められたもの。荒唐無稽な民話ですよ。起承転結メリハリのない、エピソード連続みたいな作品は大好き、作品との出会いはストコフスキー(1967年)でしたっけ。Manoug Parikian(1920-1987土耳古→英国)はたしかロンドン・フィルのコンマス、水際だった美音を誇るモーリス・アンドレほか名手揃えたアンサンブルは引き締まった集中力+表情豊かに美しい仏蘭西語を堪能できる演奏でした。おそらくは20年ぶり?くらいの拝聴、リアルな音質鮮度も驚異的、Igor Markevitch(1912ー1983)は現烏克蘭生れ、「春の祭典」のスペシャリストでした。
■Bruckner 交響曲第8番ハ短調(ハース版/1969年ライヴ)Wagner 楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲/ヴェーゼンドンク歌曲集(ジャネット・べーカー(s)1971年ライヴ)〜レジナルド・グッドール/BBC交響楽団・・・不遇だったReginald Goodall(1901ー1990英国)は粛々と力みもなく、慌てず淡々と遅いテンポがなかなかの説得力。意地でも走らん!力まないイン・テンポを頑なに維持してゆる〜く粛々と進む姿はチェリに似て、かなり違って素朴なテイスト。あちらはもっとカッコ良いというか、すごい集中力演奏ですよ。BBC交響楽団はかなり頑張って、ちょっぴり弱い感じはあっても、個性的な価値ある記録。終楽章「Finale. Feierlich, nicht schnell」に於けるティンパニの確信に充ちたリズムの刻み、渾身のタメは効果的でした。いつ終わるとも知れぬ悠久の時間を堪能いたしました。18:15-16:02-27:54-27:07。珍しく前奏曲だけの「トリスタン」は眠くなるような陶酔(演奏会用終結部付き)12:44。ジャネット・べーカーの立派な歌も堪能できました。3:56-4:14-5:57-2:46-6:08。
■Shostakovich 交響曲第8番ハ短調〜エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(1947年)・・・戦争で疲労していたであろうこの時期にしてこのオーケストラの迫力、テンションの高さは驚異的、音質は事前予想よりかなり良好でした。第1楽章「Adagio - Allegro non troppo - Allegro - Adagio」は延々と暗く蠢くように続くほぼ30分。ここの緊張感の維持が尋常ではない。第2楽章「Allegro」は大仰なスケルツォ、ここの硬質な重苦しさもスケールが大きいもの。第3楽章「Allegro non troppo」は乾いた狂気みたいな無情な繰り返しの暴力、自分はこの楽章が一番好き。後半は微妙にユーモラスな気配が広がってランペットが太い!第4楽章「Largo」は一転静謐、沈痛な面持ち漂う不気味なパッサカーリア。第5楽章は「Allegretto - Adagio - Allegretto」冒頭ファゴット・ソロの音色が美しい。悲痛な叫びのような曲想に至って盛大にオーケストラは爆発しても、わかりにくい心情風景ですよ。やがて力尽きて静かに全曲を閉じました。27:10-6:48-6:33-10:37-12:41。もっと音の状態よろしい1982年録音を聴けばよろしいとは思うけれど、あまりの凄さにニ度連続して聴いてしまいました。
(2022年6月1日)
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