健康で元気に体力があるから贅沢もできる
先月3月はちょいと天候がぐずついて、桜も遅れました。それでも月末のある日突然春がやってくるのですね。4月はコロナ治療も一般の病気扱い、そしてなにもかもが値上げとか。こちら引退身分には賃上げも無縁な話しだし、経営の苦しい中小企業や非正規社員も同様でしょう。困ったものです。
先月は予定通り高千穂・博多の旅に散財して美味いもんを喰ってきました。年中なにかしらのアレルギーに苦しんで、春が接近すればいっそう鼻詰まり痰の絡みは悪化するけれど、基本体調がよろしいから贅沢もできるもの。事前準備にノーミソを駆使して、道中思わぬ小さなトラブルをなんとかするのも旅の醍醐味でしょう。お仕事現役時代幾度も通ったはずの高千穂も25年ぶり?福岡はたしか2前年に寄って一泊したはず。日常生活とは違う街の雰囲気にたっぷりと刺激を受けましたよ。
キシダさんの呼びかけに応じて北陸支援に出掛けようと思ったら「ナントカ割り」はあっという間に売り切れ、幾度も通ったところだし、たった今新幹線が伸びて大宣伝中、ブームに混んでいることでしょう。ちょっと様子を見て、またの機会としましょう。沖縄にも久々に訪問したいし、お嫁さんの実家である天草にも行ってみたい。東北方面は比較的縁遠くて、お仕事現役中仙台には何度も訪問したけれど、それ以外の県にはあまり縁がありません。慣れている九州とは違った経験ができるはず。
4月は現役サラリーマンにとってお仕事のお正月。息子のお嫁さんも二人出産を経、お仕事本日より復帰です。女房殿はその応援に出掛けます。自分は一年前の「近況」を眺めても無為無策代わり映えせぬ生活を嘆いていたけれど、初めてムスカリという花を覚えて、それはご近所同じ場所にまた咲きました。ことしは名所に花見に出掛けるつもり。きっと外国人もたくさん押し寄せることでしょう。ここ最近なぜか?たった壱日で1-2kg体重乱高下が続いて、結果的に増傾向は残念。途中覚醒などはあっても体調は基本良好、途中旅行があっても市立体育館トレーニングには15回皆勤賞、YouTubeエアロビクスも欠かさなかったのに一ヶ月で+2.1kg最悪の結末。昨年はGW突入とともに体調を崩したので、ことしはなんとか元気に過ごしたいもの。
● いつもの前月分拝聴音楽の振り返り。
■Beethoven 交響曲第3番 変ホ長調「英雄」(1987年)/交響曲第8番ヘ長調(1989年)〜フランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ・・・待望の旧録音拝聴の機会を久々に得ました。いつの記憶かもわからぬほど、音質にいまいち鮮明さを欠いて、アンサンブルも現役の古楽器団体に比べやや粗い?力強い印象。もう30年以上前一世代回ってますから。「英雄」は浪漫派の幕開けを告げる傑作。第1楽章「Allegro con brio」は中庸のテンポに一生懸命に粗野なアツい勢いは充分、軽快軽妙な古楽器系演奏とは一線を画す骨太さを感じさせるもの。もちろん提示部繰り返し。第2楽章「Marcia funebre: Adagio assai」は心持ち速めのテンポ、リズムにスウィングを感じさせる葬送行進曲。管楽器の素朴な音色の競演も魅力的でした。第3楽章「Scherzo: Allegro vivace」も快速。しかし軽妙に非ず、爆発的な勢いに充ちてその推進力は尋常に非ず、まるで叩きつけるよう。終楽章「Allegro molto」の変奏曲も力強く粗野な響きに厳しいリズム、フルートが痺れるほど美しく味わい深く響きました。(18:22-13:12-5:36-12:02)
革新的な衣装を纏ったヘ長調交響曲も元気いっぱい。弾むようなリズム感にちょいと粗野な第1楽章「Allegro vivace e con brio」の始まり。パワフルな金管楽器のやり取りはすごい緊張感とテンション。第2楽章「Allegretto scherzando」はBeeやんの革新的な試み〜そう信じていたらWikiにはHaydn 交響曲第101番ニ長調「時計」第2楽章「Andante」との関係に言及されておりました。なるほど。ここもシンプルなリズムの刻みがヴィヴィッド。きっぱりとした終結も潔いもの。第3楽章「Tempo di Menuetto」スケルツォも浮き立つようにゴリゴリとしたリズム感。トリオの牧歌的な風情も名曲です。ホルンとクラリネットの味が濃い。第4楽章「Allegro vivace」は快速テンポ。叩きつけるような爆発的迫力、勢いに乗って一気呵成にアツく全曲を締め括りました。これはヴェリ・ベスト。(8:39-3:54-4:25-6:56)■Beethoven 交響曲第5番ハ短調(1959年)/第7番イ長調(1961年)/エグモント序曲(1959年)〜ピエール・モントゥー/ロンドン交響楽団・・・さすが英DECCA録音、84-6歳老巨匠の矍鑠たるヴィヴィッドな演奏を充分に捉えて鮮明な音質でした。ロンドン交響楽団がほんまの上手いオーケストラに育ったのはアンドレ・プレヴィン(1968ー1979年在任)以降と伺ったけれど、この録音を聴く限り素晴らしく瑞々しいアンサンブルに驚かされます。ハ短調交響曲は第1楽章「Allerero con brio」から鳴り切って充実、速めのテンポが若々しい緊張感を湛えて爽快に重くならない。提示部繰り返し有。テンポの動かし方も決まっております。第2楽章「Andate con moto」はさらりと抑制が効いて小粋、ここにもリズムを感じさせます。第3楽章「Allegro」不気味な低弦の始まりは神秘に抑制され、主題を刻むホルンは朗々とみごとな技量、像のダンスはリズミカルに賑々しいもの。第4楽章「Allegro」は響きあくまで明るく、爽快。ここもホルンが上手いなぁ。自然な盛り上げ、熱の加えかたは名人芸でしょう。ここは繰り返しなし。(7:08-9:11-5:01-8:51)
第7番イ長調は第1楽章「Poco sostenuto-Vivace」から晴れやかな推進力と噛み締めるようなリズム感、清潔なフレージング、バランス感覚抜群にアツいノリを感じさせるもの。提示部繰り返しはなし。第2楽章「Allegretto」はこどもの頃大好きだった感銘深い変奏曲。久々にその感慨が蘇りました。第3楽章「Presto」スケルツォは朗々たるスケールに歌って、大仰に古臭くならない。第4楽章「Allegro con brio」はご高齢とは思えぬやや速めのテンポに、驚くべき躍動が待っておりました。ラストはモウレツなアッチェレランドに圧倒されます。(12:01-8:41-8:08-6:30)両曲とも最近聴いたBeeやん中のヴェリ・ベスト。エグモント序曲は深刻な序奏から、やがて疾走する若々しい躍動が素晴らしい。(8:34)■ KodaL'y 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」/ガランタ舞曲/マロシュセーク舞曲〜ヤーノシュ・フェレンチーク/ブダペスト・フィル(1964年)・・・LP時代からの馴染であり、これが作品との出会いと記憶します。音質極めて優秀。「ハーリ・ヤーノシュ」はもともとオペラからの組曲、内容は「ほらふき男爵の冒険」風とか。三管編成に多種多様な打楽器仕様、さらにツィンバロンの妖しい響きが華を添えております。「前奏曲、おとぎ話は始まる」「ウィーンの音楽時計」「歌」「戦争とナポレオンの敗北」「間奏曲」「皇帝と廷臣たちの入場」(22:41)Bartokと並び称される洪牙利の作曲家だけど、こちら民族的な衣装を纏ってどの曲もユーモラスに平易、Janos Ferencsik(1907-1984洪牙利)は思いっきりヴィヴィッドに明るく、オーケストラも作品への共感に充ちて抜群に上手い。「戦争とナポレオンの敗北」辺り、なかなか劇的な盛り上がりを見せております。「ガランタ舞曲」は哀愁の旋律がやがてテンポを上げて熱狂疾走する名曲!粗野な金管炸裂大爆発ノリノリ。(15:33)姉妹作である「マロシュセーク舞曲」はゆったり悠然とした始まり、やがてユーモラスな風情を漂わせつつ、これも明るい表情のままテンポアップ。これもリズム生命!(13:00)
■Bartok 管弦楽のための協奏曲(ニューヨーク・フィル/1972年)/弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽(BBC交響楽団/1967年)〜ピエール・ブーレーズ・・・1960年代かなりアンサンブルの荒れたニューヨーク・フィルにPierre Boulez(1925-2016仏蘭西)は必要な配置だったと思うけれど(1971-1977在任)一連の録音が出た当時には違和感を覚えたもの。クリーヴランドの緻密なアンサンブルとブーレーズのクールな統率は似合っていて、こちら骨太にぽってりとしたサウンドはなにか違う〜Stravinsky「火の鳥」(全曲/1975年)含めそんな感想を抱いて幾十年。久々「管弦楽のための協奏曲」拝聴印象は、ブーレーズ47歳は若い!骨太にぽってりとしたサウンドにけっこうな熱気と緻密さが同居して、走り出すオーケストラを抑制する指揮ぶりが眼前に見えるほど! 近現代管弦楽の精華である名曲はパワフルであり緊張感たっぷりに洗練され、音質もなかなかよろしい。たしか消えたSQ4チャンネルですよね、オーディオ専門筋の方には不評のようだけど、こちらのオーディオ環境にはさほどの不満も覚えません。リズムの正確さ、そして最終盤に向けての華やかな追い込みもみごとなもの。(9:59-6:44-7:28-4:21-8:44)
LP時代より愛聴している「弦チェレ」は未だブーレーズが尖っていた頃の録音。この作品との出会いはこれ。静謐にとても妖しい緊張感と狂気を湛えた第1楽章「Andante tranquillo」(7:58)第2楽章「Allegro」の疾走と色彩感、リズムの切迫感もおみごと。緻密だけど野蛮。(7:29)第3楽章「Adagio」の拍子木は日本の幕間を連想させ、不気味なテンションが続いて恐ろしく、この辺り打楽器とチェレスタ、ピアノの掛け合いのリアルなこと!最高。(7:46)第4楽章「Allegro molto」は野蛮な舞曲。打楽器の乱舞が続きました。(6:47)異様にテンションの高い演奏だけど、音質印象のせいかBBC交響楽団のサウンドはややヤワくジミな感じ、でもブーレーズはオーケストラを選ばない。これはこの作品ヴェリ・ベスト。■映画「老後の資金がありません」大東市民会館にて無料上映有。天海祐希主演、草笛光子助演、女房殿がチケットを入手してくれておりました。てっきり「90歳、何がめでたい」と信じて、じつは2021年旧作の上映でした。会場は八割ほど7-80歳くらいの女性の方ばかり、内容は抱腹絶倒、ちょろ出も含めてキャストも多彩。見栄を張った舅の豪華葬儀に弔問客は少なく、娘は怪しいパンクロッカーと結婚(妊娠)、旦那は会社が倒産して失業、姑を引き取ることになってその婆さんはたいへんな浪費家、挙げ句手の込んだオレオレ詐欺に引っかかって・・・ところが真の悪人は登場しなくて、ハラハラしながらなんとなく丸く治まってなかなか愉しく、感動的な結末。久々に映画を堪能いしました。葬式の坊さんの読経が葬儀代の赤字明細になっていて抱腹絶倒。
■Mozart カッサシオン 変ロ長調 K.99/ピアノ協奏曲第8番ハ長調 K.246(1990年)/ディヴェルティメント ニ長調 K.136(1989年)/交響曲第25番ト短調 K.183(1990年)〜シャーンドル・ヴェーグ/カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク/アンドラーシュ・シフ(p)・・・何曲かセッション録音されているものとは別のライヴ。MozartはBachと並んで一番のお気に入りだけど、あまりに膨大なる傑作揃い、すべての作品に馴染んでいるワケでもありません。カッサシオン 変ロ長調 K.99(63a)は14歳の作品。オーボエ2本、ホルン2本+弦の編成。行進曲/Allegro Molto/Andante/Menuetto/Andante/Menuetto/Allegro 当たり前に魅惑の旋律が続いてうっとり〜これは新鮮な発見でした。(1:54-2:40-4:01-1:45-2:52-1:45-5:50)ピアノ協奏曲全曲をセッション録音しているAndras Schiff(1953ー洪牙利→英国)も別ライヴ。いつもの親密なタッチに抑制されたピアノは変わらない。(7:36-7:46-8:13)天翔ける嬉遊曲は同じメソッドを学ぶ師弟が爽やかなアンサンブルを奏で(4:12-4:09-3:05)映画「アマデウス」に一躍有名になった小ト短調交響曲K.183は劇性を強調せず、引き締まった緊張感が支配いたしました。これも清々しいサウンド。(8:14-4:45-3:19-5:44盛大なる拍手込)
(2024月4月1日)
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