淡々とした引退隠居生活に精神的にはやや行き詰まって、遊んでばかリ
先月はとても寒い2023年の始まり、それは継続中。相次ぐ値上げ物価高、大寒波、そして物騒な組織的強盗連続、騒然とした世相が続きます。熊本の息子一家はコロナ罹患全滅状態、支援物資をいろいろ送って幸い、一週間ほどで小さな孫二人も快癒したみたいでほっといたしました。
ちゃんと野崎観音へ元朝参り、そして相変わらずの贅沢生活、梅田の激安居酒屋には計4-5回(週一回の計算)ワンパターンにちょっぴり飽きてきました。年末も散々通ったし。映画は「イチケイのカラス」を堪能。届いた年賀状を眺めて、賀状仕舞いも兼ねて印刷送付、そのために筆王2003(2023に非ず、ネットで中古ソフトを探した20年前のもの)プリンターも揃えて(前機は故障廃棄済)安いものとは云えこれから先の使用用途が見えません。人生のケジメにも手間暇が掛かります。
婆さんは無事93歳の誕生日を迎えて、女房殿の介護の成果もあって足腰は改善傾向(二種ほど小さな室内運動器具導入)。加湿器、計量器、スマートウォッチに続いて、女房殿の曰く付きスマホ(Redmi 9T)はわずか一年半ほどで逝ってしまって、別キャリアに乗り換え手続きに思わぬ大苦戦、大失敗は自業自得、結局もう一月使用量を持ち越して手続き継続中です。人生なかなかカンタンに上手く運ばぬもの。
料理は一年間日々、なんとか辛くも継続して、正直なところ精神的にマンネリ気味→居酒屋通いが増える要因となりました。洗濯も自分の担当です。市立体育館トレーニングルームにて隔日鍛錬は手抜きなし、なのに体重増傾向はあながち新・体重計のせいにできぬと自覚しております。この時期洟水痰の絡みはいっそう悪化するのは毎年恒例、睡眠不如意継続中、でも体調はさほど悪くありません。風邪もひいいていない。なんとかこの寒い時期を乗り切って、物価高にもいっそうの節約生活の工夫を考えましょう。
健康元気でこそのシアワセな引退生活ですよ。当たり前のことだけど。
● 前月恒例ヴェリ・ベスト。
■Hindemith 交響曲「画家マティス」/弦楽と金管のための演奏会用(協奏)音楽〜ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団(1952-53年)・・・旧モノラル録音、こちらも解像度鮮度高い驚異的な音質。彼の十八番「画家マティス」は再録音やらライヴ音源も存在します。かつてHindemithの旋律はどーも辛気臭いと感じて、やがて聴き込んで馴染んだら、なんとも味のあるクールな旋律リズムが魅惑と受け止めるようになりました。交響曲はオペラからの再編成、第1楽章「天使の合奏(Engelskonzert)」(7:43)第2楽章「埋葬(Grablegung)」(4:10)第3楽章「聖アントニウスの誘惑(Versuchung des heiligen Antonius)」(12:58)からなる荘厳な旋律にモノクロのような作品。初演はフルトヴェングラー(1943年)、これがオーマンディの手に掛かるとわかりやすくも平易に明快に響き渡ります。「弦楽と金管のための・・・」はボストン交響楽団のために作曲されたそう。第1−第2ヴァイオリンの区別がないとか、木管を含まない珍しい編成。これはフィラデルフィアの金管の名人芸炸裂!輝かしく爽快なサウンドにもちろん弦もそれに負けておりません。まるで耳の贅沢みたい。 4:33-4:04-2:03-2:53-2:02-0:54。
■Mozart ヴァイオリン・ソナタト長調K.301/変ホ長調K.302/ハ長調K.303/ホ短調K.304/イ長調K.305〜キアラ・バンキーニ(v)/タメヌシュカ・ヴェッセリノーヴァ(fp)(1993年?)・・・少し前にシュナイダーハン/ゼーマンによる優雅な演奏に感銘を受けて、こちら熟達した古楽器による闊達に清潔、元気のよろしい演奏、一概にどちらがよいとか、自分の嗜好も含めてなんとも判断できぬところ。こちらのほうが音質残響豊かに瑞々しく上々、溌剌リズムのノリはなんとも気持ちのよろしい。LP時代セルジュ・ルカの古楽器演奏を初めて聴いた時には、その素っ気ないヴァイオリン(ノン・ヴィヴラート)にガッカリした記憶もあるけれど(←現在の耳ではいかがでしょうか)こちらは表情豊かに陰影も彫も深いもの、一連の作品の実質上の主役であるフォルテピアノもしっかりと芯のある響きにリズミカル、美しい作品の旋律際立って魅了されました。ホ短調K.304ソナタの暗い激性最高。8:09-5:11。7:57-6:27。5:20-4:07。6:54-5:02。5:04-9:54。
■Mahler 交響曲第3番ニ長調(ヒルデガード・ルトガース(ms)1973年ライヴ)/組曲「ルル」(マリー・リンゼイ(s)1971年ライヴ)〜ジャン・マルティノン/フランス国立放送管弦楽団/合唱団・・・音質極上のライヴ。1967年シカゴ交響楽団との演奏に比べて、オーケストラとの息の合い方、肩の力が抜けて表情は柔和、余裕の表現に金管はマイルドなサウンド、出色の完成度に感じます。長大だけれどその長さを感じさせぬ美しく滔々とした流れに陶酔できる名曲中の名曲。第1楽章 「Kraftig. Entschieden.(力強く、決然と)」から悠々とした風情にスケールは大きい。第2楽章「Tempo di Menuetto. Sehr masig. Ja nicht eilen!(きわめて穏やかに)」第3楽章「Comodo. Scherzando. Ohne Hast.(急がずに)」第4楽章「Sehr langsam. Misterioso. Durchaus ppp.(きわめてゆるやかに、神秘的に 一貫してppp(ピアニッシシモ)で)」 第5楽章「Lustig im Tempo und keck im Ausdruck.(快活なテンポで、大胆な表出で)」第6楽章「Langsam. Ruhevoll. Empfunden.(ゆるやかに、安らぎに満ちて、感情を込めて)」どの楽章もムリムリな表現皆無。ヒルデガード・ルトガースの深く落ち着いた声も最高。34:31-10:03-16:28-8:40-4:21-22:13(熱狂的な拍手込み)
Bergも音質良好。妖しくも静謐甘美、荒々しく暴力的に官能的な4つの場面に心奪われます。マリー・リンゼイの声質は前曲とはずいぶん異なって緊迫感有。ラストの叫びも衝撃的。 15:08-3:27-2:40-4:04-8:51(ざわつきと拍手有)■R.Strauss 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」/交響詩「ドン・フアン」/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」〜チャールズ・マッケラス/ロイヤル・フィル(1995年)・・・一時ホームセンターのカゴにもよく並んでいたRPO自主制作優秀録音シリーズ。ロイヤル・フィルはテミルカーノフ時代、こういったデーハーな作品にぴったり(ちょいとメタリックに喧しいほど)輝かしい金管の豪快なる鳴りっぷり乱舞最高、ホルンによるドン・ファンのテーマの高揚、Charles Mackerras(1925-2010濠太剌利)によるのびのびとした熟達の統率、彼の演奏録音に失望したことは一度もありません。煽ったり走ったりムリムリ恣意的な表現皆無、颯爽としてスケール大きな流れを感じさせる演奏でした。1:51-3:24-1:51-1:57-2:35-4:25-5:09-7:40-4:46。16:39。14:34。
■R.Strauss 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(1959年)/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」/楽劇サロメより「7つのヴェールの踊り」/交響詩「ドン・ファン」(1960年)〜ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィル/ヴィリー・ボスコフスキー(v)・・・誰でも知っている鉄板演奏、そして優秀録音。30年ほど前駅売海賊盤に出会って、おそらくはLP板起こし劣悪CD化は音揺れしていた記憶も懐かしい。現役盤は高品質音源になっているそうです。近代オーケストラのカッコ良い精華作品揃えて、収録も盛りだくさん、ウィーン・フィル圧巻の厚みとパワー、艶(とくにホルンが印象的)当時カラヤンは51−2歳、スタリッシュに流線形。オーケストラを存分に煽って、そんな表現が若い頃にはハナに付いたもの、久々の拝聴に有無を云わせぬ感銘をいただきました。これはひとつのリファレンス(参照の基準)でしょう。文句なし。(ツァラ)1:45-3:35-1:56-1:55-2:24-4:19-5:07-7:43-4:44(ティル)15:04(7つのヴェール)9:15(ドン・ファン)17:04。
■Mozart ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503/第26番ニ長調K.537(1955年)/ピアノ・ソナタ第18番ニ長調K.576(1948年)〜フリードリヒ・グルダ(p)/アンソニー・コリンズ/ロンドン新交響楽団・・・モノラルだけどほとんど信じられぬほどの音質鮮度。New Symphony Orchestra of Londonはたしか録音用の団体?Anthony Collins(1893ー1963英国)はSibeliusの交響曲全曲録音などで知られておりました。グルダ25歳の録音は粒の揃った、しっかり芯を感じさせる音色、デリケートに瑞々しい演奏を繰り広げて夢見るように美しい演奏でした。カデンツァは自作なんだそう。晴れやかな表情にスケールの大きなハ長調協奏曲K.503(14:17-7:59-8:50)ずんずんとリズムを刻んでシンプルに始まるニ長調協奏曲K.537(13:49-5:41-9:50)作品の魅力横溢する演奏でっせ。少々前の録音であるピアノ・ソナタも音質は上々、第1楽章「Allegro」はリズミカルな旋律、「角笛」とのニックネームもあるんだそう。第2楽章「Adagio」は無垢に静謐透明、絶品の緩徐楽章。例の暗転にそっと涙するような絶品の風情。第3楽章「Allegretto」は淡々とした微笑みを湛えた躍動が愉しげでした。作品の可憐な佇まいを堪能させてくださいました。(4:58-4:54-3:54)
■Mozart ミサ曲ハ長調K.317「戴冠式」/ヴェスプレ(証聖者の荘厳晩課) K.339〜ヤッシャ・ホーレンシュタイン/ウィーン・プロムジカ管弦楽団/ウィーン・オラトリオ合唱団/ウィルマ・リップ(s)/クリスタ・ルートヴィヒ(a)/マレイ・ディッキー(t)/ワルター・ベリー(bb)(1956年)・・・LP復刻この時期にして鮮明なるステレオ録音、残響豊かにちょっと左右分離が強調され過ぎ。ミサ曲ハ長調K.317はキリエ/グローリア/クレド/サンクトゥス/ベネディクトゥス/アニュス・デイからなる短いミサ曲。全曲生命の喜びと熱気漲(みなぎ)ったテンション高い風情が感銘を呼ぶ名曲中の美しい名曲、声楽ソロに名手を揃えて、おそらくはウィーン交響楽団も合唱団も絶好調でしょう。60年をはるかに過ぎる前の録音は現役です。26:47。ヴェスプレ(証聖者の荘厳晩課) K.339の明朗な賑々しい魅力も負けてはおりません。とくに第5曲「Laudate Dominum(主をほめたたえよ)」に於けるソプラノ独唱、無垢な敬虔さが胸を打つもの。30:57。
(2023年2月1日)
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