「ウィンナ・ワルツ覚え書き」〜変遷(第13集)
<"ウィンナ・ワルツ覚え書き"シリーズ既出>
一番最初のウィンナ・ワルツ覚え書きは2003年10月3日、もう10年以上前となりました。一番最近の戯言更新が2013年6月9日だからもう一年半前のこと。ウィンナ・ワルツはずっと好きですよ、本場でも非・本場でも・・・と、言いつつ現状ノーミソ中のヴェリ・ベスト(じつは数年聴いていない)は世評鉄板のクレメンス・クラウス(もちろんウィーン・フィル)。かなり音質良好だった記憶あるけど、ちゃんとしたステレオ録音だったらヤッシャ・ホーレンシュタイン辺りか、表情豊かに濃密な演奏はやはりウィーン国立歌劇場管弦楽団、本場モンと言ってよいでしょう。ちょっと安易に、保守的嗜好になっているかも。 きりりとテンション高く、入念な仕上げのフリッツ・ライナーも大好きですよ。微妙にユルく、ツボを押さえたロベルト・シュトルツも。バルビローリ/ハレ管弦楽団(1956年?)は粘着質な表現が残念、作品にフィットしていないと感じました。ま、好き好きなんだけど。 すっかりCD入手から縁遠い生活になったけれど久々、10枚組「From Paris to Vienna」/「Unforgettable Melodies From The Golden Age of Light Music」入手いたしました(amazonマケプレ▲クーポン使用激安)。ま、種々「軽音楽」(おそらくLight Musicの直訳)満載、そうかウィンナ・ワルツって軽音楽だったのか、自分のMusicLifeには「軽重大小」って関係ないですから。わかりやすい甘美な旋律、揺れるようなリズムに陶然といたします。なんか、自分好みの作品ごっそり詰め込んでいそうなボックスを見つけた、といった手応え有。聴いたことのない作品、演奏家もけっこうありました。 ここ一ヶ月で3枚聴いたので「音楽日誌」より抜粋してまとめておきましょう。 <CD1>Offenbach 喜歌劇「パリの生活」序曲(ヘルベルト・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団)/Suppe 喜歌劇「ウィーンの朝昼晩」序曲(ジョージ・ショルティ/ウィーン・フィル1958年)/Josef Strauss 円舞曲「わが人生は愛と喜び」(ウィリー・ボスコフスキー/ウィーン・フィル)/Suppe 喜歌劇「怪盗団」序曲(クルト・クレーメル/ケルン放送管弦楽団/ルネ・コロ(t))/Waldteufel 円舞曲「黄金の雨」(フランツ・バウアー・チューセル/ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団)/J.Strauss ポルカ「電光と雷鳴」(ロベルト・シュトルツ/ウィーン交響楽団)/円舞曲「春の声」(クレメンス・クラウス/ウィーン・フィル)/Offenbach 喜歌劇「山賊」序曲(ピンカス・スタインバーグ/ケルン放送管弦楽団)/J.Strauss 円舞曲「美しく青きドナウ」(ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィル)・・・作品の愉しさはどれも折り紙つきだけど、録音時期も音質もバラバラ、個性も種々多様、正直言って少々聴き続けるは少々ツラいもの。ケルン放送管弦楽団(!?)の2曲が比較的新しいと類推されるけど、聴き易い音とは限らないので要注意でっせ。(「怪盗団」にはちょっぴり音の揺れ有)冒頭の2曲(1950年代録音)は少々デリカシーに欠けます。賑々しい迫力、躍動、メリハリは充分、たっぷり。 OffenbachとかSuppe辺り、ふだん真剣に聴かんからな。軽音楽って、もう死語かも。久々虚心に、ほぼ馴染みの旋律しっかり味わいましたよ。「わが人生は愛と喜び」題名に相応しい涙モンの名曲名旋律〜ボスコフスキーにはヤワ?な先入観があってあまり聴いていないけど、それなり手慣れて悪くないですね。ルネ・コロの甘い声も聴けました。Waldteufelの作品は初耳、いつもの優雅な風情満喫できるのは演奏も良いからでしょう。フォルクスオーパーのオーケストラが一番マイルドに耳馴染みます(音質バランスもよろしい)。シュトルツの「電光と雷鳴」ノリノリ元気一杯最高!(二度聴きました)カラヤンの「美しく青きドナウ」は1940年代のEMI録音かな?音質はずいぶんと改善され、粋な雰囲気でした。 (コメント追加)Suppe 喜歌劇「ウィーンの朝昼晩」序曲(ジョージ・ショルティ/ウィーン・フィル)これってヤケクソ的テンションの高さ、アツさ。円舞曲「春の声」(クレメンス・クラウス/ウィーン・フィル)はちょっと決まり過ぎに”巧い”演奏也。 <CD2>Offenbach 喜歌劇「地獄のオルフェ」〜「カン・カン」(ロベルト・シュトルツ/管弦楽団)/Auber 歌劇「フラ・ディアボロ」序曲(エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団)/J.STRUSS 円舞曲「ウィーンの森の物語」(ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィル)/Waldteufel円舞曲「スケートをする人々」作品183(フランツ・バウアー・チューセル/ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団)/Ziehrer 行進曲「軍服の魅力」(ロベルト・シュトルツ/管弦楽団)/Suppe 喜歌劇「ボッカチオ」序曲(ウィルヘルム・シュヒター/北ドイツ放送交響楽団)/Lanner 円舞曲「シェーンブルンの人々」(ジョン・プリッチャード/ロンドン・フィル)/ J.& Josef Strauss ピチカート・ポルカ(ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィル)/J.Strauss 円舞曲「南国の薔薇」(フェレンツ・フリッチャイ/RIAS交響楽団)/Bizet ファランドール(ヘルベルト・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団)・・・音質まずまず。シュトルツはツボを押さえて馬鹿騒ぎ愉しさ満載、「天国と地獄」なんて数十年ぶりの拝聴じゃないか。(要らぬ薀蓄Saint-Sae"ns「動物の謝肉祭」〜第4曲「亀」はこの旋律を静かに、ゆっくり演奏したもの)、Auberの作品は初耳、ここでアンセルメ登場とは!粋な小品に小味な色気有。1940年代のカラヤンはウィーン訛りのリズム+細部入念な仕上げ+色気はお見事!但し、後半のツィター・ソロが略されてガッカリ。 チューセル(トイスル?)はWaldteufel担当だったのか、馴染みの懐かしい旋律(大昔カルピスのCM音楽)はまずまずの出来。シュトルツのZiehrerのノリに文句なし、「ボッカチオ」序曲は初耳、懐かしいシュヒター登場、やや四角四面におカタい表現であります。J.P.は往年の穏健派英国指揮者だけど、ウィーン交響楽団との録音もけっこうあるから、この辺りは得意だったのでしょう。音質も良好、雰囲気も上々。カラヤンの語り口の上手さは先に言った通り、フリッチャイのモノラル録音はリズムを強調して、硬派でした。 <CD3>J.Strauss 円舞曲「ウィーン気質」(ウィリー・ボスコフスキー/ウィーン・フィル)/Heuberger(ホイベルガー1850-1914)喜歌劇「オペラ舞踏会」序曲(フランツ・マルスツァレク1900-1975/ケルン放送交響楽団Kolner Rundfunk-Sinfonieorchester) /Chabrier 交響詩「スペイン」(アタウルフォ・アルヘンタ/ロンドン交響楽団1957年)/ Lehar 円舞曲「金と銀」(ロベルト・シュトルツ/ウィーン交響楽団)/J.Strauss 喜歌劇「ジプシー男爵」序曲(クレンメンス・クラウス/ウィーン・フィル1951年)/Ziehrer 円舞曲「ウィーン娘」(ジョン・プリッチャード/ロンドン・フィル)/Suppe 喜歌劇「タンタロスの苦悩」序曲(ヘンリー・クリップス/フィルハーモニア・プロムナード管弦楽団)/喜歌劇「ファティニッツァ」〜 行進曲(ロベルト・シュトルツ/管弦楽団)/J.Strauss 常動曲(ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィル1949年)・・・音質、オーケストラの音色のバラ付きが気になるけど、数度拝聴すると慣れます。昔馴染みの数曲+初耳作品(Heuberger/Suppe/Ziehrer辺り)どれも人懐こい旋律連続・横溢、間違いなくシアワセな時間を保証してくださる一枚也。クリップス弟は知っていた(「ドナウ川のさざ波」涙が出るほど!)けれど、Franz Marszalekは初耳、往年のオペレッタ指揮者らしい。ボスコフスキー、クレメンス・クラウス辺りはあまりに著名な音源、自信に溢れた歩み、シュトルツはいつも通りツボを押さえて雰囲気たっぷりに巧い語り口。このボックスでは渋どころを担当しているJ.P.は音質もよろしく、溌剌メリハリ有、カラヤンは颯爽としてカッコ良い。 (コメント追加)Chabrier 交響詩「スペイン」(アタウルフォ・アルヘンタ/ロンドン交響楽団1957年)への言及を忘れました。これって”シャンパンの泡”〜愉しさ、華やかさ最高!往年の英DECCA録音は少々草臥れたけど、早逝の天才の躍動をちゃんと堪能させてくださって文句ありません。 残り7枚もちゃんと、まじめに聴きましょう。 (2014年11月22日)
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