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「ウィンナ・ワルツ覚え書き」〜また再会(第9集)


 本題に入る前に、違法コピーCDのカミング・アウト(「音楽日誌」既出だけれど)の件追加、

エドゥアルド・シュトラウス/(ヨハン・シュトラウス)管弦楽団の著名ウィンナ・ワルツCDRが棚中より出現!って、コレLP時代愛聴の演奏(のハズ)でして、(おそらく)未CD化、きっと「音楽日誌」を読んだ読者が数年前にプレゼントして下さったものでしょう。(AMADEO)「(ヨハン・シュトラウス)管弦楽団」とか「(のハズ)」というのは、ワタシがかつて所有していた「PHILIPS」3枚組LPでは「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」「シュトゥットガルト・フィルハーモニー」「インスブルック交響楽団」表記だったため。でもね、「ウィーンの森の物語」に於けるツィター大活躍、やや緩いアンサンブル、雰囲気タップリの演奏はまさに記憶通りのうっとり加減・・・なんとか全部CD復活せぬか、激安で。「芸術家の生活」「南国のバラ」が聴きたいよう。

 DECCA 425 990-2 @950J.Strauss 喜歌劇「こうもり」〜クレメンス・クラウス/ウィーン・フィル/ウィーン国立歌劇場合唱団/パツァーク(エイゼンシュテイン)、ギューデン(ロザリンデ)、ペール(ファルケ)、リップ(アデーレ)他(1950年)・・・ことし2007年1月に購入した2枚組(950円)であり、いかにもお正月らしいめでたい「こうもり」を堪能し、それにウィンナ・ワルツが9曲含まれておりました。”ウィーン・フィルの(いかにも)本場もんは聴かない”という(妙な)意地があって、おそらくはこれほど著名なる録音は初耳経験。

 ●ウィーンの森の物語/我が人生は愛と喜び/とんぼ/騎手/クラップェンの森で/ハンガリー万歳/ピツィカート・ポルカ/エジプト行進曲/観光列車(1950〜52年)・・・結論的に”世評をバカにしてはいかんよ”ということであって、その細かいニュアンスに充ちた優雅な演奏に感銘ひときわ深く受け止めました。一流のオーケストラであり、仕上げがていねいなんですよ。モノラルながら音質も極上。ロベルト・シュトルツの庶民的なスタイルも嫌いではないけれど、こちら(イメージ的に)ハイソで粋な世界を明快に堪能させて下さいます。痺れました。

 Archipel ARPCD 0225 2枚組950円ところがその一ヶ月後、2007年2月広島BOOK・OFFにて、●クレメンス・クラウス「The Complet New Year Concerts」(Archipel ARPCD 0225)入手。英DECCA原盤の海賊流用だろうか。これが1952/53/54年(?)となっていて、極上の音質(人工的な広がりが”自然に”付加されている)でこれはライヴではない。録音情報の混乱でしょうね。英DECCAのスタジオ録音が全部収録されております。(だから音源ダブり)

 演奏は恐るべき端正、背筋が伸びてメリハリたっぷりのスタイルに驚きます。基本、(素人がイメージするところの)ウィーン風の優雅なリズムから外れているワケでもないが、ヤワで軟弱な演奏じゃありません。気品があって筋が通ったもの。驚くべき感銘深い体験でありました。

 エールディスク GRN-547、つまりDGの駅売海賊盤/中古@250也●フェレンツ・フリッチャイ/ベルリン放送交響楽団(1961年)・・・「こうもり」序曲/アンネン・ポルカ/皇帝円舞曲/トリッチ・トラッチ・ポルカ/美しく青きドナウ/ハンガリー万歳/ウィーンの森の物語/ラデツキー行進曲・・・著名なるDG録音であり、待望の入手でした。(但し、購入したのはエールディスク GRN-547、つまり駅売海賊盤/中古@250也)十数年来、いつかは購入してやろう、と思い続けてきたもの。

 クレメンス・クラウスを”恐るべき端正、背筋が伸びてメリハリたっぷり”と評したが、こちらも負けてはおりません。オーケストラに甘い響きは期待できないが、溌剌と颯爽躍動してリズム感良く、ヤワさ皆無。選曲もエエですよね。冒頭「こうもり」からノリノリだし、「アンネン・ポルカ」の揺れには節度がある。「皇帝円舞曲」はテンポの対比が極端(ルバートが上手いですよ!)で効果的。元気一杯に賑々しい「トリッチ・トラッチ・ポルカ」の疾走、大爆発・・・

 もちろん、言うまでもなく雰囲気タップリで(これもかなりのルバート)ちょっと粗野で鄙風「美しく青きドナウ」・・・嗚呼、キリがない。音質は(きっとLP板起こしだから)ちょっとモヤ付いているが、ちゃんと音楽を楽しめる水準でしょう。「ハンガリー万歳」は指揮者の母国に敬意を表したものか。そして、ゆったりとしたテンポで開始され、軽快にテンポを上げていく「ウィーンの森の物語」の快い笑顔の歌。やや躓いたような特有のワルツのリズムも本格的でしょう。

 ちょっと最近小難しい音楽ばかり聴いていたかな?なんやら陶然といたしました。

(2007年11月2日)


<"ウィンナ・ワルツ覚え書き"シリーズ既出>

● ウィンナ・ワルツ覚え書き
● (続)ウィンナ・ワルツ覚え書き
● (続々)ウィンナ・ワルツ覚え書き
● (益々)「ウィンナ・ワルツ覚え書き」〜独逸編
● (とうとう)「ウィンナ・ワルツ覚え書き」〜亜米利加編(これにて完結)
● (忘れ物)「ウィンナ・ワルツ覚え書き」〜補遺
● 「ウィンナ・ワルツ覚え書き」〜再会(第7集)
● 「ウィンナ・ワルツ覚え書き」〜再々会(第8集)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi