Mahler 交響曲全集(BRILLIANT 様々な演奏家による)
ワタシは(自覚としては)小学校低学年からの音楽ファンであり、Mozart も、P.P.M.も、プロコルハルムも、フォーク・クルセイダースも同様に楽しんでおりました。いえいえ、演歌の大御所も、園まりだって、みんな好きでした。こどもって飽きもせず、同じ曲ばかり聴いて、すぐ覚えるじゃないですか。 Mahler やBrucknerは、作品が長大だし、従ってレコード枚数が多くて高価だったし、全曲聴いたのは(記憶力集中力減退しつつあった)オトナになってからなんです。でも、いつしか(時間は掛かったが)「ソラで旋律が歌える」ほど馴染みになりましたね。音楽が「わかった」というのは、「ソラで旋律が歌える」ことじゃないのかな。やがて幾星霜・・・21世紀を迎えてCD価格相場の下落は、ほんまにありがたいことです。大切に聴きましょう。 旧仕様で、いかにもジャケットが安物っぽいBRILLIANT(寄せ集め)全集には、得難い魅力があると思いますよ。ちょっとだけ、まとめて振り返っておきましょう。
●第2番「復活」 ハンス・フォンク/ハーグ・レジデンティ管弦楽団/オラン(s)ファン・ネス(con)(1986年) ●第3番 ヤッシャ・ホーレンシュタイン/ロンドン交響楽団/プロクター(con)/アンブロジアン・シンガーズ/ワンズワース学校少年合唱団(2枚組)(1970年) ●第4番(+「花の章」) ハルトムート・ヘンヒェン/オランダ・フィルハーモニー/コーク(s)(1991年) ●第5番 ヴァーツラフ・ノイマン/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1966年) ●第6番 ハルトムート・ヘンヒェン/オランダ・フィルハーモニー(2枚組)(1989年) ●第7番 クルト・マズア/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1982年) ●第8番 ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ響/エーテボリ歌劇場管弦楽団/合唱団/王立ストックホルム・フィルハーモニー合唱団ほか(1994年) ●第9番 ヴァーツラフノイマン/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1967年) BRILLIANT 99549 11枚組4,290円で(1999年頃)購入 「99803」としてスリムケース仕様も好ましく現役です。21世紀を目前にした衝撃の(おそらくは初の)廉価盤全集であったが、現在ではこの価格水準はゴロゴロしているし、タバコフ/ソフィア・フィル全集は、”かつてのCD一枚分”で入手できるようになりました。見た目、いかにも怪しげ安物っぽいが、内容充実、興味ある音源満載です。かつて購入直後にコメントしたが、時に棚卸しをして(つまりちゃんと聴いて)、感慨を新たにすることも大切な(自分なりの)儀式であります。知名度低くても、まず作品をちゃんと聴く、といった正しい趣旨の存在だと思います。
●交響曲第1番ニ長調〜ユーリ・シモノフ(1941年〜)/ロイヤル・フィルハーモニー(1994年) 「現代の駅売り盤」(海賊盤に非ず)TRING原盤。あちこち音源貸し出しも盛んみたい(QUADROMANIAなど)で、しっかりとしたディジタル録音であり、演奏も個性的な存在感を誇ります。 「これはオーケストラも絶好調で、細部まで磨き込んで、繊細なる味付けのクールかつスリムな演奏であります。ロイヤル・フィルの金管は期待通りの輝きに充ちて、あと足りないのは「にじみ出るような暖かさ」(これはワルターで馴染んだ先入観だな)のみか。録音極上」(「音楽日誌」より)
●交響曲第2番ハ短調「復活」 ハンス・フォンク(1941年〜2004年)/ハーグ・レジデンティ管弦楽団/オランダ劇場合唱団/オラン(s)/ファン・ネス(con)(1986年) VANGUARD原盤。既にかなり以前にサイトにコメント掲載(う〜む)いたしました。やや牧歌的でスケールが小さいようだけれど、誠実一生懸命で悪くないと思います。79分一枚に収録もありがたい。この組み合わせではMahler の他の作品も残っているようだから、ぜひ聴いてみたい。それにしてもフォンクの晩年は不幸な病気で活躍できませんでした。亡くなったときにも追悼盤が出た記憶もない。(出てましたか?)残念。
●交響曲第3番ニ短調〜ホーレンシュタイン/ロンドン交響楽団/プロクター(con)/アンブロジアン・シンガーズ/ワンズワース学校少年合唱団(2枚組)(1970年) Unicorn-Kanchana原盤。これもサイト掲載済み。LP時代より評価の高い音源だったし、たしか、オリジナルCDは(2枚だけで)この全集より高かったはず。ま、そんなことはどーでもエエが、静謐清涼な味わい溢れて、けっして派手なパーフォマンスではないけれど、立派な演奏でしたね。正直、あまりに評判がよいので(このボックス中では)敬遠していた録音だけれど、じっくり聴いて宗旨替え〜この全集中の白眉と言って良いでしょう。録音も秀逸。
●交響曲第4番ト長調(+「花の章」)〜ハルトムート・ヘンヒェン/オランダ・フィルハーモニー/コーク(s)(1991年) Capriccio原盤。ずいぶんと素っ気ないコメントを載せていて、ま、あんまりムリせず素直に演って下さったらそれでエエですよ、的手抜きコメントでした。その後、セルとか、クーベリックの素敵な演奏を経験すると、さすがに少々印象薄いか、オーケストラが弱いか、とも思うが、やはり素直で飾らない・・・そして丁寧な仕上げは存在価値がちゃんと有。「花の章」は交響曲第1番の初稿にあった楽章だけれど、静謐で美しくも貴重な録音でした。意外とCDはないもんなんです。
●交響曲第5番 嬰ハ短調〜ヴァーツラフ・ノイマン/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1966年) Edel(BerlinClassics)原盤。彼の穏健派Mahler はお気に入りです。ワタシは(なんでもそうだけれど)ギラギラ濃厚脂ぎった演奏は苦手だけれど、この演奏はずいぶんとジミですね。最近、ショルティ/シカゴ交響楽団を聴いたあと(好き嫌いは別として)では、いっそう、その感を強めました。それでもじわじわ、徐々に(最初から聴いて第2楽章くらいから)ココロの奥底に熱いものを呼び覚ますような感興が込み上げます。耳慣れてくると、艶消しのオーケストラの響きがまったく好ましい。木の質感か。金属やらコンクリートではない。鋭さとか、耳をつんざく威圧金管とは縁がない、じわじわ味わい系(いやぁ、ほのかに震えるホルンの深いこと!)の説得力。「アダージエット」の滋味深さ。物力的威圧ではなく、いつしか納得させられる渋い世界よ。 ●交響曲第6番イ短調「悲劇的」〜ハルトムート・ヘンヒェン/オランダ・フィルハーモニー(1989年) Capriccio原盤。2枚組だけれど、2枚目収録が29分弱・・・というのはなぁ・・・おそらくは全集中、もっとも強力なオーケストラが必要となる作品だろうが、予想外にのびのびとスケールもあって清涼素直な完成度でしたね。”悲痛なる爆発”迄到達しないが、全82分作品の魅力を汚すような水準のアンサンブルではない。ま、第3楽章「アンダンテ」の静謐部分での厚み、奥行きには少々不満はあるけれど、大きなキズではないでしょ。 ●交響曲第7番ホ短調〜マズア/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1982年) Edel(BerlinClassics)原盤。このサイトはなるべく楽しむことを主眼としていたけれど、この演奏はねぇ・・・しょうもないコメントしてますが。ま、整理整頓し過ぎちゃいけませんよ、Mahler は。マズアはMahler に向いていないのか?(ニューヨーク・フィルとの第1/9番は聴いていません)できればノイマン盤を収録して欲しかったところ。贅沢言わず、別途買いましょうか。 ●交響曲第8番 変ホ長調〜ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団/エーテボリ歌劇場管弦楽団/合唱団/王立ストックホルム・フィルハーモニー合唱団/エストニア少年合唱団/ブルンシボ少年合唱団/グスタフソン(s)ヘガンダー(s)サンドグレン(s)テンスタム(a)ギェファンム(a)ルーホウネン(t)パーソン(br)ティリ(b)(1994年ライヴ) BIS原盤。すっきり早めのテンポで、この少々大仰な作品を、親しみやすく表現してくださっております。既にサイトにコメント掲載したが、少々手抜きですなぁ。反省します。それにしても、こんなライセンス音源、よく見つけてきましたね。エラい。 ●交響曲第9番ニ長調〜ノイマン/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1967年) Edel(BerlinClassics)原盤。これも希有な個性ある演奏ですね。地味渋系です。この音源はもともと単独で所有しておりました。←再コメント必要だけれど、いずれゲヴァントハウスが(第5番同様)味わい深い音で鳴っておりますね。コンヴィチュニーとも、後任のマズアともサウンドが異なって、涼やかなブルー系の色合いとなります。76分の長大なる作品だけれど、ココロ安らかに一気に聴き通せる穏健派の魅力です。 こどもの頃、そしてLP時代、Mahler の作品は長大で、したがって高価で購入できなかった・・・もっぱらFMエア・チェックで乾きを癒したものです。CD時代を迎え、取り扱いやすく(収録の関係もある)なり、21世紀には安価でこの豪勢なる全集を楽しめるようになりました。この有り難みを噛み締めつつ、大切に聴いていこうと思い返したものです。 (2006年9月29日)
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