Mahler 交響曲第9番ニ長調
(ノイマン/ゲヴァントハウス管弦楽団(ライプツィヒ))


ベルリンクラシックス 0021872BC Mahler

交響曲第9番ニ長調

ノイマン/ゲヴァントハウス管弦楽団(ライプツィヒ)

ベルリンクラシックス 0021872BC 1967年録音 800円で購入

 油断するとマーラーとかBrucknerみたいな大曲ばかりにハマって、ピアノ小曲なんか聴かないようになってしまう。だから、滅多にこの類のCDは取り出さないし、存在そのものを忘れてしまうものさえタマに有。この曲の厭世的、かつ幻想的な世界に足を踏み入れると、なかなか抜け出せません。

 棚をひっくり返しているウチに出てきたのがこれで、データベースの記録によると前回聴いたのが2年半前。
 ノイマンはチェコ・フィルとの二度目の全集を完成せずに亡くなったけれど、1960年代マズアの前任としてゲヴァントハウスの指揮者を務めていたことなんて、もう誰も知らないかも。何曲かマーラーの録音もありました。(おそらく旧東ドイツで数人が分担して全集を目指していたと推測。ノイマン、ケーゲル、スウィトナー、ザンデルリンク、レーグナー、マズア、セバスチャンで8番を除く全曲が揃うはず)ある日、この第9番をレコード屋さんでみつけてびっくり。(この価格、中古じゃないですよ)

 録音が素晴らしい。ワタシの好みは、自然な奥行きが感じられるもの。ゲヴァントハウスの録音はいくつか聴いているけど、このオケの渋い音色が素直に捉えられているのは、初めてような気がしますね。(こんなCDばかりなら嬉しいが。ワタシの安コンポでの印象ですから、あてにはならない)

 コンヴィチュニー時代には、アンサンブルに集中力を欠くこともありました(あくまで録音での印象)が、ずいぶんしっかりとした、静かで整った響き。ノイマンって、時としてソフトに過ぎることがあるじゃないですか。逆にゲヴァントハウスの地味で重い音色には、ピッタリの相性だったと思うんです。

 一つひとつの旋律はていねいに歌われるけれど、サッパリとして粘らない。むしろ淡々として、ありがちな情念的な演奏とは一線を画しますね。激情より、旋律の美しさが際だつ第1楽章。優雅なワルツと、暴力的な要素が絡み合う第2楽章も上品です。けっして声高に叫んだりしない冷静さ。

 テンポは常に中庸で、エキセントリックの欠片もありません。(シェルヘンとは対極的?)オケは弦の響きを主体として、木管はよく練り上げられ、金管の(いかにも金管らしい)印象はほとんどない。
 いくらでも大暴れできる第3楽章も、かなり明快に旋律を刻んでいて、勢い余って細部を曖昧することもなし。(ちょっと元気ないか)個々の楽器は魅力的-いぶし銀-な音色が満喫できます。

 最終楽章。ゲヴァントハウスの、墨色の弦の魅力が爆発します。虚飾のない誠実さが、やがて聴き手の胸を打ちます。中音域の豊かな響きがが聴きもの。渓谷を流れる大河に遊ぶ舟が、水墨画に描かれるよう。
 そして「生への賛歌」にココロが洗われます。

 ちょっとスッキリ・サッパリしすぎで、物足りないかも。でも情念バリバリの演奏が胃に重いときは、地味で渋い演奏も悪くない。こんな味わいの演奏も、最近そうそう見かけるもんじゃありません。

 ワタシは後任のマズアは全く評価してないのです。その後、このオケがMahler をやった話しは聞きませんね。(あ、マズアの7番があったか)ブロムシュテットはきっと取り上げるでしょう。伝統の響きは生き残っているでしょうか。


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written by wabisuke hayashi