Mahler 交響曲第8番(ヤルヴィ/エーテボリ響ほか)
Mahler
交響曲第8番 変ホ長調
ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団/エーテボリ歌劇場管弦楽団/合唱団/王立ストックホルム・フィルハーモニー合唱団/エストニア少年合唱団/ブルンシボ少年合唱団/グスタフソン(s)ヘガンダー(s)サンドグレン(s)テンスタム(a)ギェファンム(a)ルーホウネン(t)パーソン(br)ティリ(b)
BRILLIANT 99549ー10 1994年11月エーテボリ歌劇場ライヴ 11枚組4,290円で購入したウチの一枚
2000年に購入したBRILLIANT記念碑的寄せ集め廉価Mahler 全集。最近はコンパクトな紙パック仕様で出ているみたいです。かつて、ワタシもちょっとだけワタシのサイトで触れました。この第8番は「早めのテンポで、さらりと仕上げていて、いくらでも柄を大きく、絶叫させることが可能なこの曲を親密に仕上げてくれました。Mahler のなかでは一番苦手なこの曲を、抑制を利かせて知的に聴かせてくれます。」とあります。
そう、ワタシはこの第8番を、全集中もっとも苦手としております。おそらく最初に聴いたLPがミトロプーロス(かなり劣悪な音質のあきらかに海賊的な)〜歯が立ちませんでした。その後、FMでバーンスタイン/ロンドン響を、やがてCDでショルティへ。いずれ合唱の絶叫が混沌状態で、とてもだけれど楽しめない(と、当時のワタシは思い悩んだもの)。
ま、「どこが交響曲やねん?」風、大カンタータでしょ。歌詞は第1部が9世紀ラテン語の賛歌、第2部がゲーテの「ファウスト」でしょ。だから、ムリして訳を追わなくてよろしい、というか、どうせわからない。壮大なる旋律と文字通り合計千人にも及ぶ演奏者の熱演を楽しみたいと思います。
やがて、バブル絶頂期にシノーポリが日本でのライヴ(サントリーホールでしたっけ?)放送がFMで放送されたり、シャイーとかベルティーニなど、次々と聴く(エア・チェックする)機会があって、すっかりお馴染みになった気もします。ま、慣れですな。もちろん、演奏の質にもよりましょうが。
全曲CD一枚に治まらない場合もあるし、たったの二楽章でしょ?ヤルヴィ盤は72分で余裕で一枚〜やや早めでスッキリ演奏、ということですか。大曲であることに変わりはないが、全体の構成というか、構造がわかりやすい演奏が望ましいと思います。良好録音条件は必須で、ミトロプーロスはもちろん、バーンスタイン(旧)盤でも少々困難さを感じないでもない。
第1部は軽快に、爽やかに。ワタシ、ガーディナー辺りがピタリと整った合唱でやってくれないものか、と望んでおります。25分、余計なリキみも、かといって貧弱でも困っちゃう〜ようはするにバランス感覚でしょ。ヤルヴィには特別なるシンパシーは感じていないけれど、ライヴなのに、アンサンブルがとても精密、そして存分なる厚い響きに+抑制もちゃんとあります。
でもね、やっぱりヤマは第2部でっせ。ぐだぐだと行ったり来たり、最初から最後まで同じような旋律が続くけど、男声、女声、ソロ、コーラス、こども達の声の色合い・ニュアンスの変化をシミジミ楽しみましょうね。17のトラックに分かれていて、各々ずいぶんと静かで、語るような味わいも素敵です。だんだん、盛り上げていくところはMahler 流石上手、というかいつもの手法。
これはかなりの鮮明録音で、ホールの位置関係やら、歌い手の声の鮮度やら、しっかりクリアに聞こえます。表現も明快。ややクール方面で熱血入れ込み系とは対極ながら、ラスト、大団円の合唱に打楽器がど〜んと地響きでキメるところなんて、ゾクゾクしましたね。
これは熱狂バーンスタイン派、圧倒的物量系ショルティ派からは嫌われるかな?物足りない、と思われるかも。(2004年2月27日)