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吉例【♪ KechiKechi Classics ♪】
2013年勝手に各自アカデミー賞

年々衰退していく【♪ KechiKechi Classics ♪】勝手に各自アカデミー賞。昨年もやんぴ!と思っていたら数通届いたので更新。今年こそ、もう引退!消滅と思っていたら、不意打ちのように香港よりお便りが届きました。よって、素直に掲載させていただきます。あとは自由意志で。お便りあれば掲載しまっせ。

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■不肖 林 侘助。

近況に2013年分掲載いたしました。

■ぶりちょふさんより

ここに今年のアカデミーを投稿します。長文お許しください。

1.新しい住環境とコンサート
4月に長野市に転居し、名物ホールや憧れの音楽祭に行けるように。軽井沢大賀ホールはベルリンの室内楽ホールに似た造りで、ハーディング/テツラフ/マーラー室内o,による圧倒的なベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を堪能。山葵畑に隣接するあずみのコンサートホールは100名収容の可愛い会場。東京で私の伴奏をしてくださるピアニストが来場していたのを発見し再会しました。憧れの草津国際アカデミーではシュミードルがモーツァルトの協奏曲を吹き、受講生にどや顔をみせて貫禄を示しました。SKFでは小澤征爾が復活。近年のキャンセル続きが影響しヤフオクでのチケット相場が原価割れしたお陰で見ることが叶いました。地元長野市には飯森/東響が初来演。ブロムシュテット/N響も。東京への交通費は比較的安く日帰り可能。新潟・富山もほぼ等距離で、高崎はもっと近くて群響も聴けます。コンサート回数は小遣い減少により半減。

2.ヴェルディ・イヤー&ワグナー・イヤー
、、、の筈なんですが、今年はやたらブラームスのコンサートを聴きました。2番交響曲がトゥルコヴィッチ/群響、ブロムシュテット/N響、ウルバンスキ/東響、3番がブロムシュテット/N響、上岡/読響、4番がエッティンガー/東フィル、ブロムシュテット/N響、他にヴァイオキン協奏曲(ツィンマーマン)、ピアノ協奏曲2番(ラーンキ)も。ブラームスが大好きです。周年記念の二人についてはデヴィーア最後の出演と言われた「椿姫」、富山でのチョン・ミュンフン「トリスタン」いずれも好演。

3.スダーン/東響の10年
9年前に長岡に転勤して久々に東響に再会しその長足の進歩に瞠目して以来、監督であるスダーンのプチおっかけをしてきました。以前はピリオド・スタイルなんて絶対に受け付けなかったのに、彼を聴いて宗旨替え。息子がコンサートに行ってみたいという要望に応えて連れて行ったのもこのコンビのモーツァルトでした。契約の最終年となり、春に聴いたモツレクは心洗われるような名演。秋にはブル4で、こってり絞られたオーケストラから一部の隙もない厳しい構造。ここ数年の間、豊かな音楽生活を作ってくれたスダーンに感謝。

4.有名ピアニストの贅沢なリサイタル
長野市戸隠にあるペンションで聴いたサロンコンサート。30人の聴衆にアップライトのピアノ。イリーナ・メジューエワを聴きました。小さな楽器とは思えない迫力。どんな会場でも全力投球。MCを加えながらの楽しいコンサートでした。回を重ねて今回で12回目、ご本人が温泉と蕎麦好きという縁で続いているそうです。懇親会で「長年コンサートを聴いているけれどアップライトでリサイタルを聴くのは初めて」と話したら、「私も年に一回だけです」と笑っておられました。今年は新潟でもチャイコフスキーの協奏曲を聴いて、ストレートな表現に胸のすく思いでした。この前日には新潟の音楽ファンと懇親会で、旧交を温めることができました。

5.有名人との遭遇
まだ帯広にいた頃、行きつけのドイツワイン店で飲んでいたら、中○三千繪さんが正面でご談笑。名刺をいただきましたが相当セレブな方のようで(当日はどスッpンでした)。お笑いのハイキングWォーキングとトータルTンボス、それにロンドン五輪マラソンO崎好美さんは地元のイベントで。Pースの又吉さんはN響定期の帰路代々木体育館前の路上で、久M雅美さんは長野市内のスペインバルで打上げにご来店、取巻きが大勢だったのでそそくさと退散しました。例年になく有名人とお会いしました。

6.家庭音楽はYou-Tubeで
今年買ったCDは演奏会場販売のスダーン/東響ブル6、Book−off650円だったムーティのシューベルト全集と高音質SP復刻盤、新潟で買ったカスリーン・パーロウの復刻盤、、、とこれで全部なんです。家ではYoutubeに嵌ってます。沢山投稿されているライヴ録音・録画には過去に自分が行ったコンサートも含まれていて本当に楽しい。入手困難なSP復刻が投稿されているのも嬉しい。ノートPCの内臓スピーカーでもニアフィールの良さを感じるものがあります。

7.北海道に名残惜しく
帯広で健康を支えてくれた洋食店ではご常連から送別会を、札幌で深酒をする訳ありワインbarではシャンパンを開けていただきました。元々北海道フリークだったので転勤は殊更淋しかったです。しかしLCCで格安に新千歳まで飛ぶことができ、エリシュカ/札響、PMFで準メルクル、そしてチャリティーコンサートには日帰りで出演。まだ帯広には帰還していませんがいつか行けることでしょう。

8.LCCと格安高速バス
昨年欧州旅行で乗りまくって以来、LCCを活用。金曜夜の新幹線(事前割引で5170円から)で東京に出て深夜バスで成田空港入り、6〜7時発の便に乗るのがパタ−ン。往復1万円以内なら「買い」です。格安高速バスは法改正で多くのツアー会社が廃業する中、当地の東京便は路線バスに転換し便利に活用してます。最安1420円。休憩地横川SAでは釜飯屋の玄米弁当が定番。名古屋帰省には従来型高速バス利用ですが、一日2往復に減便となり往路朝6時発がちと辛い。

9.飲み屋じゃないけど
転居のおかげで心の居酒屋wサイゼリヤに通えるようになりました。自宅近辺に食べ物屋がないと嘆いていたら、奥まったところにひっそり佇む昭和が香る「秋山食堂」が。常連のおじいちゃんが昼から酒を飲んでいるようなところ。飲み物はビール、日本酒、甲類焼酎だけですが、メニュー豊富で日替わりも複数用意されます。リクエストにも応じてくれるのがありがたい。最近のお気に入りは「おろし竹輪」。大根がめちゃ辛。

10.追悼2013
今年はサヴァリッシュが逝去されました。N響と繋がり深く、毎年のようにやってきてはドイツ音楽の真面目を聴かせてくれました。いつでも聴けると思っていたら引退してしまいました。実演では「フィガロの結婚」、ブラームス1番、シューマン3番が今でも印象深いです。もう一人、真のオペレッタ役者ペーター・ミニッヒです。二枚目・三枚目をバランス良くこなし、主役が歌って踊るオペレッタの粋を見せてくれました。私が近年のフォルクスオパーと距離を置くようになったのはこの歌と踊りの分業が進んだことが大きな要因ですが、ミニッヒ自身がオペレッタそのものでした。ご冥福をお祈りいたします。

ということで、名古屋ではまだ庵主殿とはお目にかかる機会を持てていませんが、新年は実現させたいですね。今年もありがとうございました。良い年をお迎えください。


■kanetaさんより(現在香港在住のシャチョーさん)

香港もようやく冬になりまして、冬物のスーツを着ても汗をかかない気温になりました。どうもこちらの人は25度を切ると寒いと感じるようです。20度前後になるとコートにマフラーといういでたちの人をちらほらみますからね。年末年始は日本で過ごします。ただ(マイレージ)で帰ろうとすると直行便はとれず、往きはグアム経由、帰りはシンガポール経由というとんでもないフライトですけどね。

さて、ことしも恒例のアカデミー賞と行きましょう。

Brilliant Classics特賞:ベートヴェン ヴァイオリンソナタ クリストフ・バラティ、クララ・ヴュルツ

今年は夏から秋にかけてベートヴェンのVnソナタを集中して聴きました。きっかけはジョセフ・フックスの50年代の録音(Naxos Historical)を聴いたこと。フックスは89年に生を聴いたことがありますが、当時89歳でボウイングの衰えが目立っておりました。全盛時の演奏は一言で言うとクリーンな演奏。それに触発されてかねて気になっていたバラティ/ヴュルツの録音と、アリーナ・イブラジモーヴァ/セドリック・ティベルディアン(Wigmore Hall Live)のセットを購入。さて何回も聴いた結果、バラティ/ヴュルツが私のスタンダードとなりました。演奏は極めてスタンダードで貴を衒ったものではありませんが、それでいて新鮮さを感じさせるもの。この録音あまり注目されていないようですが、値段も安いので試してみる価値はあると思います。次はヴュルツがベートヴェンのPfソナタを録音しないかなと密かに期待している次第です。余談ですがイブラジモーヴァとティベルディアンのデュオは香港でリサイタルの予定だったのですが、残念ながら台風で中止となりました。残念なことでした。

Warner Classics次席:ストラスブール打楽器アンサンブル50周年記念エディション

かつて現代音楽というジャンルがあったことを思い出しました。かつてLP時代に聞いたブーレーズのル・マルトー・サン・メートルはたしかこの録音でしたね。久し振りの再会ですが、若いときよりもずっと面白く聴けました。15枚のCD全てがお気に入りというわけにはさすがに行かず、個人的には玉石混交かなと思いますが、この団体が20世紀の音楽に貢献した記録として貴重なものだと思います。オーディオ的にも結構面白い音源があると思いますので、そちらの方にもオススメします。

Albany佳作:ジェニファー・ヒグトン室内楽

ヒグドン(1962-)はヒラリー・ハーンが録音したヴァイオリン協奏曲(カプリングはチャイコフスキー)が最初の出会いでそれ以来気にかけておりましたが、今年はいくつかの録音(NaxosとTELARC)と遭遇しました。その中からこの録音をピック。トランペットとピアノのためのSongsは特にお気に入りとなりました。ワイオミングでの録音です。

 ALTEK佳作:バッハヴァイオリン協奏曲集 エルマー・オリヴェイラVn独奏&指揮 ARCO Ensemble

なんという落語だったか、そばっ喰いを自認する男がいまわの際に「一度でいいからそばをたっぷりつゆにつけて食ってみたかった」というのがありましたが、オリヴェイラのバッハはつゆをたっぷりつけたそばです。つゆもそばも極上。ロマンティックな解釈という人もいるかもしれません。それでよいではないですか。

 Avie佳作;ハンス・ガル チェロ協奏曲/エルガー チェロ協奏曲 アントニオ・メネセス他

ハンス・ガル(1890-1987)はオーストリアに生まれ、ナチを逃れイギリスへ渡ったユダヤ人の作曲家で、このところAvieから録音が相次いで出ています。末の息子が自殺したり、親族がホロコーストをさけて自殺したり、また大戦が始まるとイギリス政府から敵性外国人に指定されたりと波乱の人生だったようです。チェロ協奏曲は1944年に作曲されたもので、まさに彼の個人的な悲劇の時期ですが、曲そのものはそのようなことを感じさせない美しいものです。

番外。ジョン・エリオット・ガーディナーの古希を記念してDGから30枚組のセットが出ました。これアマゾンでみると5,998円です。1枚200円ですので、ブックレットもおざなりです。古希の記念ということであれば高くてももう少しまともなものにしても良かったのではと思いますね。オペラやオラトリオは原語と英語訳くらいはつけてほしかったですね。珍しい曲も多いですしね。もっともその場合はガーディナーのファンでない私は買っていなかったかもしれません。このセットには入っていませんが、ガーディナーのヴェルディ/ファルスタッフを最近聴きまして、これが意外と面白かったのですね。オーケストラの音色がなかなかよろしい。というわけで、文句はつけながらもこの値段ならまあ買ってみるかとガーディナーを聴いております。他にもありますが、こんなところでしょうか。

生ではチョン・キョンファのリサイタルに行きましたが、前半はエンジンがかからないという感じでした。ナポリのテアトロ・サンカルロのオーケストラとコーラス(指揮はロベルト・アッバード)はティンパニのお姉さんがよかったです。HKフィルもこのところ意欲的です。出張で行けませんでしたが、ブリテンの戦争レクイエムをマゼールが振りました。

では良いお年を。

(2013年12月3日)

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written by wabisuke hayashi