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吉例【♪ KechiKechi Classics ♪】2011年勝手に各自アカデミー賞

ワタシ自身も未だなにも考えられない状態でして、まずBritchovさんが投稿いただいたので、掲載しておきましょう。東日本大震災/福島原発事故って今年でしたもんね。どなたか奇特な方がいらっしゃったら(いつでも)追加投稿可。

■2010年 ■2009年 ■2008年 ■2007年 ■2006年 ■2005年 ■2004年 ■2003年


■kanetaさんより

●CD部門 順不同

エイヴナー・ドーマン:協奏曲集Naxos

NHKでドーマンの打楽器協奏曲(N響定期)を観て(聴いて)面白かったものですから、CDはないかと探してみたところNaxosからこのCDがでておりました。打楽器協奏曲はありませんが、なかなか面白いものです。ドーマンは1975年生まれですから、2012年で37歳の若い作曲家です。バロック音楽が現代に生まれ変わった作風とでもいいましょうか、今後が楽しみな才能と感じました。

ドホナーニ:ヴァイオリン協奏曲Hungaroton

ドホナーニはバルトークと仲が良かったそうですが、作風はまるで違います。バルトークが時代の前を見ていた人とすれば、ドホナーニは過ぎた時代を見ていた人と言えそうです。彼のヴァイオリン協奏曲の第1番Op.27には録音がありましたが、第2番Op.43はこれが初めての録音とのこと。ヴィルモーシュ・サバディの演奏は世界初録音にふさわしいもの。

ツァイスル:歌曲集cpo

R.シュトラウスの歌曲が好きなら、気に入るはずとの雑誌の評価で買ってみたものですが、シュトラウスというよりはコルンゴルトに近いような印象です。歌っているのは名手ホルツメア、ピアノはコルト・ガーベンですので磐石といってよい演奏です。

Capricho Latino Cedille

レイチェル バートン-パインは前から気にはなっていたヴァイオリニストでしたが、これが初めて聴いた録音です。アルバムのタイトルからはお気楽なものを想像しちたのですが、案に相違して結構シリアスな内容です。なかなかうまいヴァイオリンで感服いたしました。他の録音も聴いてみなければいけませんね。

Eliesha Nelson Plays Russian Viola Sonatas Sono Luminus

イライシャ・ネルソンはクリーブランド管弦楽団のヴィオラ奏者。ピアノのグレン・イナンガもともにアフリカ系アメリカ人のようです。19世紀の末から20世紀前半にかけての、あまり知られていないロシア人作曲家のヴィオラの曲を収録したもの。ガイゲローヴァ、ウィンクラー、ユオンと私には初めて聴く作曲家ですが、イディオムとしては後期ロマン派のもので、私は好きですこういう音楽。

●書籍部門

中村健之介 ドストエフスキー人物事典 講談社学術文庫

今までドストエフスキーには縁のない人生でしたがこの本を読んで、読んでみようと思っています。勝手に思い込んでいたドストエフスキー像が壊れ、まさに等身大の作家が眼前に現れたように感じました。これはすごい本です。

山口昌男 内田魯庵山脈 岩波現代文庫

内田魯庵を軸に明治の変なおぢさんたちの大事典ともいうべき快著の文庫化。まあ、どうでも良いようなことに一生をかけた明治人たちの人間群像です。坂の上の雲だけが明治ではないのです。

コリン・ジョイス 「アメリカ社会」入門 「イギリス社会」入門 「ニッポン社会」入門 NHK出版新書、生活人新書

イギリス人ジャーナリストによる比較文化論。著者のジョイスは名前からもわかるようにアイルランド系のイギリス人です。滞日、対米経験もあり、それぞれの文化に対し一歩ひいた立場から論じる冷静さが面白さを生んでいると思います。

渡辺京二 女子学生 渡辺京二に会いに行く 亜紀書房

津田塾の三砂ゼミの学生達が熊本に在野の歴史家渡辺京二を尋ねた記録。孫たちと話をするおじいちゃんといった感じの渡辺だけれど、それだけに飾らない本音が出ているように思えます。

鈴木地蔵 文士の行藏 右文書院

世に地蔵本というそうです。勝本清一郎、久保田万太郎、古木鉄太郎などを論じたエッセイ集。今でははやらないだろうなと思えるテーマですが、私は好きです、ハイ

●書籍番外編 まだ翻訳されていない英米の小説

Karen Russel "St. Lucy's Home for Girls Raised by Wolves" Knopf

フロリダ州出身の新進作家カレン・ラッセルのデビュー短編集。ありえないシチュエーションの物語が妙にリアルなディテイルで語られる不思議な物語たち。森の中に狼人間の一族が住んでいて、そこへソーシャルワーカーが説得に出向いて、狼人間のこどもたちに人間の教育をするためにひきとることになり・・・ なんて変なお話がいろいろ。当時ラッセルは26歳。末恐ろしい才能です。

Sally Vickers "Mr. Golightly's Holiday" Harper Perennial

若いときに書いた小説があたりそれを元手にビジネスを始めいまでは大企業の社長になったゴライトリー氏は、かつて書いた小説をソープオペラ風に書き直したいと考え、長い休暇をとることに。田舎の一軒家を借り静かな環境で執筆活動に専念するつもりが、いろいろと邪魔がはいります。不登校の少年、なにかいわくありげな隣の未亡人、村のパブに集う変な村人たち。その村に近くの刑務所から囚人が脱獄したというニュースが・・・ それから展開するストーリーの面白さと哲学的と言ってもよい深みは傑作といってよいと思います。


■今野盤2011CD

おめでとうございます。
今年も簡単に。
新しく買ったものでは、やはりBoxもののオンパレード。

*ビーチャム/EMIのフランス物、古典派、ハイドン・モーツァルトーもう楽しい楽しい。

*旧盤ながら、DeccaとPhilipsの録音をまとめたSzellの録音―相変わらず凄すぎる!

*アイヒホルンのブルックナー(全集の中のもの)

*クーベリックのSony録音

*ルービンシュタインのショパンーようやくショパン/ピアノが身近になった感じがします。

*セルのハイドン録音集―これも完璧。

*カーゾン/カサドッシュのモーツァルトピアノ協奏曲―両者アプローチは違うが、感銘を受けました。

*プレヴィンのチャイコフスキー・バレエ曲―実に楽しい。

*珍しい所では、チェルニーの交響曲とステンハンマーのBox

*そして最後の止めは、時代もここまできたか、という感が拭えないものの、EMIのチェリビダッケの激安Boxでしょうか。

再聴盤は

*コープマンのC.Ph.E.バッハのボックス

*C.Davisのベルリオーズボックスー私の中でのベルリオーズ・ルネサンス開始

*マークのマリピエーロ/Naxos

*ヤルヴィのマルティヌー

*そして12月聞いたEMIのウォルトンですかね。

今年も一杯買いますよ、そして未知の曲を探し続けます。

よいお年を!


■にこらすさんより

大賞:名古屋マーラー音楽祭

ドイツ出張のため第1回のハンス・ロットだけは行けませんでしたが、1年に(第8番を除く)全ての交響曲を生で聴ける機会なんて、そうそうあるものではないし、自分に残された残りの年月を考えると、おそらくもう無いものと想像します。
毎回違ったアマオケによる演奏はみな全身全霊を打ち込んだひたむきな演奏ばかりであり、日本の音楽レベルの下層をささえる文化の高さを実感いたしました。
歴史に立ち会えた自分に感動。

■演奏会:マーラー交響曲第3番演奏会 大野和士指揮京都市交響楽団

この曲にナマで接して感動しないわけが無い。しかも指揮は大野さん、第2番のシンフォニーのCDはダテじゃなかったからね。
マーラーの世界観を歌った壮大なシンフォニーに感動の嵐であった。

CD1:

ブラームス: 交響曲第4番 C.エッシェンバッハ指揮 シュレスヴィヒ・ホルスタイン祝祭管

わがエッシェンバッハ氏の真骨頂、とても濃い内容の音源であった。悩んだ挙句、購入したCDでのベストワンはコレとなった。
本年はかのVPOを引きつれてのアジアツアー…、名実ともに当代屈指のマエストロとなられた。

CD2:

ブルックナー: 交響曲第9番 J/バルビローリ指揮 ハレ管

録音状態は悪いが素晴らしいバルビ節、強烈な金管…、このスケルツォにはのめり込まずにいられない。

CD3:

マーラー: 交響曲第9番 L.セーゲルスタム指揮マルモエ管

ライブ音源。この人は当代随一のマーラー指揮者であり、前回の録音からもう15年以上経過している。再録音を切望する。

CD4:

ドヴォルザーク: 交響曲第9番 A.フィドラー指揮 ボストン響

ボストン・ポップスではなく正規ボストン響との音源、フィドラーおじさんはまぎれもないマエストロであった…。

CD5:

ジュリーニ in アメリカ

格安BOXだけれど実に内容が濃い。ジュリーニ氏の全盛はこの時期であったことはまぎれもなく…。
どうどうとスケール大きく矍鑠(かくしゃく)たるブラームス&ベートーヴェンに脱帽した。

****
シメとしてアンドレ・クリュイタンス指揮ベルリンpoのいかにも巨匠的、壮大な第九を聴きながら、2012年単身赴任の行く先に思いを馳せます。
(鬼が笑ってもなんともない)


narkejpさんより

今年、聴いた音楽の中で、とくに印象に残ったものは、次のとおりでした。

(1) プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」シュロモ・ミンツ(Vn)、飯森範親指揮山形交響楽団、第213回定期演奏会(5月)
(2) モーツァルト「魔笛」ハイライト、飯森範親指揮山形交響楽団、モーツァルト定期(2月)
(3) 壺井一歩「弦楽四重奏曲第1番」、山形弦楽四重奏団第41回定期演奏会(10月)
(4) ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第10番」、山形弦楽四重奏団第38回定期演奏会(1月)
(5) フランク、ドビュッシー、ラヴェル「ヴァイオリン・ソナタ」(CD)、シュロモ・ミンツ(Vn)、ブロンフマン(Pf)
(6) ハイドン「交響曲第93〜98番」(CD)、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管

かつてのステレオ録音による名盤が続々と公共の財産になると同時に、クラシック音楽CDの退潮傾向が鮮明になった一年ではなかったかと思います。


■Britchov

いよいよ年の瀬となりましたので、今年のアカデミー賞を送信します。
以下本文

2011ワールド人間ばん馬チャンピオンシップ(世界大会). に出場

日本唯一のばんえい競馬のイベントとして競馬場にて人間がソリを引っ張る競技に参加。チームは帯広のゴキゲンな洋食店"Anna Anna"のマスターと常連で、ありがたくその一人としてお誘いいただきました。本番1週間前に某海岸にて練習のため合宿までしましたが、完走ならず残念。これはしんどい!死ぬかと思いました。ちょい悪親父(健康診断)にはムリっす。でも他の常連さんや上司も応援に駆けつけてくださり嬉しかったです。この店は私のホームキッチンで、同じビルの「らくれっと」(独逸ワイン大盛)や札幌「アルト」(訳あり商品格安提供)とともにグラス売りワインの楽しさを堪能しています。
震災復興の祈りをこめて「かちゃーしー」踊る

家族と夏休みのズレを利用して台湾〜沖縄を訪問。沖縄在住時代の旧友と飲んだ際に牧志公設市場周辺の商店街で、震災の復興を祈るかちゃーしーが毎日続けられているという話を聞き飛び入り参加。20分踊り続けて汗びっしょり。しかし沖縄名物=凍ったジョッキで飲む生ビールの味は格別。台湾はマイレージで沖縄に行くため立寄。震災で多額な義捐金をくださったことに敬意を表して訪問。台湾女性アーティストによるブラームスやショスタコのピアノトリオも堪能。今年の震災関連では募金収集で街頭に立ったり、チャリティバザーに参加などボランティア初体験。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-178650-storytopic-5.html ⇒参考記事

■こっそりぴあのでびゅー

続けて出させていただいてる札幌のチャリティコンサートの出演枠に空きが出たので代役に立候補。ホルンや歌では伴奏者を探す時間がなくて弾けないはずのピアノ。弾いたのはギター原曲、タルレガの「涙」。ゆっくりした音の少ない短い曲。座る位置確認で鍵盤に手を掛けたら音が出てビビりました。でも止まらずに弾きましたよ。デビュー楽器がスタインウェイとは(汗。この主催者=野谷恵さんのピアノを他に2回聴く機会がありました。重厚で楽器を鳴らしきるだけでなく繊細な表現を併せ持つ素晴しいピアニストです。自分の他の活動としては1月に府中ウィーンホールにてホルンや歌を披露。
http://homepage2.nifty.com/Ainoyume/page064.html ⇒代役だったので私の名前はありません

過去に聴いたコンサートのCD

近年殆どCDを購入していませんが、今年は過去に聴いたコンサートがいくつもCD化、或いは再発売されたため購入。ヴァント/NDRのブルックナー8番は同年チェリ/ミュンヘン・フィルの同曲競演で話題に。若杉/WDRのマーラー9番はシェフ退任を前の日本ツアーで、終演後に感極まった指揮者とコンマスの抱擁にもらい泣き。レーグナー/読響のヘートーヴェン7番は学生時代に聴きました。エリシュカ/札響はドヴォルザークの7番で、北海道に転入して初めて聴いたコンサート。チェコの伝統を札響に伝える絶滅危惧種指揮者。

音楽界の明るい未来を予見させる若手指揮者

クシシュトフ・ウルバンスキと下野竜也。どちらも自分の年間演奏会ベスト10に至らなかったのはPMFやPACといった教育オーケストラとの競演だったため。ウルバンスキは今春東響とのショスタコーヴィチ10番が評判に。PMFで当初予定の指揮者がキャンセルし、そこに白羽の矢が。同曲をメインとして熱狂の中に常に冷静な目を持ち合わせる稀有な表現に強い印象。下野竜也は3月の颯爽としたメンデルスゾーン「イタリア」でも好印象でしたが、11月の西宮でのブルックナーの8番では師匠の朝比奈もなしえなかったほどのアダージォのクライマックスにおける美しく、かつ宇宙の鳴動にも譬えられる大きなスケール感はこの指揮者の将来に大きな期待を持たせました。

震災翌月の感動的なオペラ、コンサート

震災直後の来日予定アーティストはキャンセルの連続でした。そんな中、新国立劇場で上演されたR.シュトラウス「ばらの騎士」は代役の指揮者マイヤーホーファや元帥夫人ベーンケ、キャンセルせず来演オックス男爵ハヴラタらによる熱演によってドイツで日常上演に匹敵する公演が実現。本番も良かったのですが、カーテンコールでの歓迎は非常時によく来てくれたという感謝の気持ち。また同月の札響定期では首席客演指揮者のエリシュカによるドヴォルザーク「スターバト・マーテル」。震災前から企画されたプログラムながら、追悼の気持ちが痛いほど伝わる名演。札幌声楽界のドン長内勲率いるコーラスの仕上がりが最高でした。

http://www2.ezbbs.net/32/klassik/ ⇒記事3873に演奏会ベスト10

今年は大震災大津波原発事故の影響で日本国民全体が色々な変化を経験しました。自分は新潟県で二度の震度6とプチ避難を経験しましたが、津波被害に比べれば小さな経験です。若者のボランティアや地域の絆の再認識など人々の心に変化が起こった一方、政治は変わらない。北海道での生活は平穏ですが、元々脆弱な経済基盤故ボディブローはじわじわ効いてくることでしょう。仕事の困難さも増してきています。それでもコンサートに旅行、日々の晩酌、毎月の帰省、そして北海道で生活できることに感謝します。などと書いていたら、年が押し迫ってから凍結路で転倒し左手を骨折してしまいました。皆さんもお気をつけください。一年ありがとうございました。新年もよろしくお願いいたします。

■ 林 侘助。

手抜きにて「近況」と兼ねてしまいました。震災、原発、健康問題、女房殿の姉の介護と逝去、苦しい一年でした。2012年は明るい一年でありますように。

(2012年1月1日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi