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輝け!【♪ KechiKechi Classics ♪】2008年
勝手に各自アカデミー賞

年末も押し迫り、今年も恒例「勝手に各自アカデミー賞」募集の時期がやって参りました。年々、年を追う度に各界の音楽ファンのアツい思いが醒めていくように思えるのは、やはり世界的な金融危機〜不況のせいでしょうか。

●新譜CDに限らず(自宅棚中に10年眠っていた!BOOK・OFFで20年前のものを見かけた!でもOK)
●ジャンル問わず/ナマ演奏も、もちろん可
●音楽でなくても可。ちなみにワタシは風邪でダウン中、再放送で見た「結婚できない男」に抱腹絶倒しました。
●実力派お笑い芸人とか、長寿で矍鑠とした爺さんとか、ようがんばった娘とか、なんでもOK
●ご近所にオープンしたおいしいお店なんかも素敵

BBSでも、メールでも締め切りなしです。一年をしみじみ振り返りましょう。全員採用。申込者には、(先日演奏会のあった)アンサンブル・フリーの演奏会に無料ご招待!(って、最初から無料だけれど)

■2007年
■2006年
■2005年
■2004年
■2003年


■輝け!【♪ KechiKechi Classics ♪】2008年勝手に各自アカデミー賞! ヒロノミンV

遅まきながら明けましておめでとうございます(そして、ご無沙汰しております。。)
今頃になってスミマセン。
ようやく昨年の総括が出来ましたので、勝手にアカデミー賞にエントリーいたしますがよろしいでしょうか?

☆クラシックCD部門:ペトリ・サカリ指揮、アイスランド交響楽団のシベリウス交響曲全集(NAXOS)
⇒今まで聴いた、どのシベリウスとも違う演奏です。いうなれば極寒の厳しさの中に灼熱の熱さが同居した、とでも言いましょうか。とにかく1番から7番までハズレ無しの素晴らしい演奏。このアルバムを引っ提げての来日公演が中止になったことは非常に残念でした。日本語解説も秀逸。

☆コンサート部門:大阪フィルハーモニー交響楽団第419回定期演奏会(大植英次指揮)
⇒2月の大フィル415回定期と迷いましたが、新しい大フィルサウンドを堪能したと言う点でこちらを選出。あまりの名演奏に思わず携帯から速報エントリーしたのはこのコンサートだけ。
 前プロのRVW「タリスの主題による変奏曲」では、自分の大フィルに対する既成概念を完全に打ち破った、たいへん滋味溢れる味わい深い演奏。そして、エルガーのエニグマ変奏曲はお見事の一言。世界のどこに出しても全く遜色の無い完璧な演奏でした。あと何十年生きるか分かりませんが、たぶんこんなエニグマは二度と聴くことは無いだろうと思います。

☆主演男優・女優賞、助演男優賞など:大阪クラシック〜御堂筋にあふれる音楽〜
⇒特に最終公演怒涛の90分は圧巻の一言。これは一生の思い出になりました。大植監督だけでなく、大フィル楽員の皆様、ボランティアなどで活躍された方々すべてに主演賞を贈りたいです。ついでに(といっては失礼ですが)コープランド『リンカーンの肖像』のナレーションを担当した平松大阪市長に助演男優賞を、橋下府知事に悪役賞を贈りたいと思います(笑)

☆監督賞:広上淳一、児玉宏
 さんざん悩んだ挙句、2名を選出です。
 正式には「監督」ではありませんが、京響常任指揮者の広上淳一氏。4月定期でのハイドンは秀逸、9月のチャイコフスキー5番の澱みの無い流麗な音楽作りも強く印象に残りました。波乱の運命に立ち向かう生き方にも心打たれました。
 もう一人は大阪シンフォニカー音楽監督の児玉宏氏。9月に一度だけ拝聴しましたが、まだ歴史も浅くて若いこのオーケストラを、短期間にあれほどまでの水準に高めた手腕は、末恐ろしさすら感じます。

☆TV作品賞:NHK「オーケストラの森」
⇒第『5』日曜日のN響アワー枠を使って、日本各地のオーケストラを紹介するこの番組。視聴率ではイマイチ振るわないようですが、ブログ仲間さんの間では大変話題になりました。昨年放送分ということで大阪フィル(大植英次指揮)と、名古屋フィル(ティエリー・フィッシャー指揮)の2つの幻想交響曲を作品賞として選出します。

☆企画・運営賞:関西フィルハーモニー管弦楽団
⇒この楽団の明確なコンセプトと企画力、そして営業努力が、NHK「オーケストラの森」で広く知れ渡ることになりました。この楽団が始めた開演前の演奏者によるプレ・トークは、もはや関西では常識。他にも老舗の大フィルがなりふり構わず真似るほど、このオーケストラの企画力は優れています。関西、いや日本のオーケストラをどんどん面白くする存在です。

☆ポップスCD部門:柴田淳「ため息」
⇒彼女の透き通るような声、表現力に魅了されました。一時期は目ざましに使ってましたが、心地よくて二度寝しそうになりました。

☆ジャンル不明部門:栗コーダーカルテット「アンソロジー20songs In Early 10years」
⇒7月ごろに放送されたTV東京系「みゅーじん」で拝見して以来ファンです。辛いこと、嫌なことがあっても、このアルバムを聴くといい意味の脱力、前向きになれました。

☆審査員特別賞:佐川急便配達員のおばちゃん
⇒今年はHMVの箱を、何度運んでいただいたでしょうか。今では私の帰宅時間を把握しているかのような絶妙のタイミングで配達に来ます。私の電話の声を聴くや否やすぐに持って来てくれます。ここに日頃の感謝の意を込めて特別賞を贈ります。


■輝け!【♪ KechiKechi Classics ♪】2008年勝手に各自アカデミー賞募集 山本晴望 

ギリギリ滑り込みです。まだ間に合いますか?

今年は1月から仕事に追われ、3月頃までは一週間の平均睡眠30時間を切るという地獄を見ました。そんな中で、なんとか確保したオーケストラの練習参加と、時々聴く音楽が精神的に大きな救いとなったのは事実です。

●「コンサート」
チケットを買っても、急な仕事が入ったりして人に譲ることが多く今年はあまり行くことができませんでしたが。

・300人のオーケストラによる「音楽の広場」

ふだん一緒に演奏している音楽仲間を含め、静岡のプロ、アマのオーケストラ奏者を300人集めた一大イベント。
http://granship.jugem.jp/?eid=53#sequel
指揮は井上道義と本名徹二。

目玉は作曲者の望む配置と人数で演奏されるクセナキスの「ノモス・ガンマ」、でしたが何をやってるんだかよくわかりませんでした。演奏した仲間に聴いてもよくわからないうちに終わってしまったそうです。

それよりも300人のオーケストラによる「ボレロ」と「惑星」。これは凄かった。

●「ラ・フォルジュルネ2008」
今年も行ってきました。テーマはシューベルト。
聴いたのは小菅優のピアノとボルドー・アテキーヌ管。
今の不況のときこそ、このような催しは末永く続けて欲しいものです。

●「聴き比べコラム」
所属するアマオケサイトに連載中の聴き比べです。

ラフマニノフの2番とブラームスの4番が完結しないうちにベートーヴェンの7番を始めてしまいました。
そのうえホームページのリニューアルの際、コラムのデータが壊れてしまいました。ただいま修復中。

●「音盤購入」
忙しかったわりには、数えてみたら年間購入枚数が300枚を超えていました。大部分はLPです。

印象に残っているのは、山田一雄のマーラーの待望のCD化です。特に「復活」はヤマカズさんの絶好調な時を捉えた名演。

もうひとつは、ヤフオクで落とした「新日鉄コンサート放送50周年」CD2枚組。発売は平成16年。
60年から70年代にかけて絶頂期を迎えていた邦人演奏家たちの名演集。三善晃のチェロ協奏曲初演や斉藤秀雄の「シュピター」、田中希代子のショパン、大橋国一のヴェルディなど、お宝ザクザク。

LPでは、カミラ・ウィックスの弾くシベリウスのヴァイオリン協奏曲のCAPITOL盤。かつて東芝から出ていたGR盤のLPや、いくつかのCD復刻の音に不満を感じていたのですが、このLPの音は素晴らしいものでした。

●「書籍」
・ゆらこめ
昨年急逝された由良博英さんのクラシック音楽評論集。音楽への深い愛と感謝から生まれた稀有の書。


■さて恒例の勝手にアカデミー賞 金田(メールにていただきました)

●CD部門

大賞:マルティヌー 交響曲全集 ヴァーレク指揮プラハ交響楽団(スプラフォン)
なかなか人気のでないマルティヌーですが、これで認知度があがることを期待しています。

特別賞:ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ全集 パメラ・フランク(Vn)/クロード・フランク(Pf)
これは新譜ではないのですが、ようやく入手したもの。

そのほか感心したCD

ブリテン イルミナシオン ヒコックス他、ヴァージン
イゴール・ロヴチンスキーデビューレコーディング Ivory Classic 俊英登場!

●書籍部門

ボン書店の幻 内堀弘 ちくま文庫  白地社版を持っている人も、「文庫版のための少し長いあとがき」を読むために買う価値ありだと思います。なぞの出版人、鳥羽茂の生涯を追う著者の執念と愛情はすばらしい。

英語の冒険 メルヴィン・ブラッグ (三川基好訳) 講談社学術文庫 なるほどと感心することしきりの英語の歴史。

神風連とその時代 渡辺京二 洋泉社 モダンクラシックの一冊 体裁は新書でしょぼく値段は高いMCシリーズですが中身は充実しています。明治維新とは何だったのかを問い直す一冊です。

きのこ文学大全 飯沢耕太郎 平凡社新書 暮れも暮れ12月15日の出版です。すごいの一言、読むべし。

Two Caravans Marina Lewycka Penguin Books 著者二作目の小説です。前作の「ウクライナ語によるトラクター小史」も抱腹絶倒でしたが、ここではウクライナからイギリスへ出稼ぎにきた少女の恋もからんで、傑作です。


■2008年ピースうさぎ的勝手にアカデミー賞 ピースうさぎ 

では、早速参加です。
2008年勝手にアカデミー賞!!
今年印象に残ったコンサート、CDを中心に2008年を総括してみます。CDは買っても聴いていないものものあるので、そういうものは出来る限り避けました。
今年の共通するテーマは「凄まじい美しさ」。

●ディスク部門

・交響曲部門
マーラー:交響曲第10番 ハーディング指揮ウィーンフィル DG
この曲の凄さを示してくれた演奏。マーラー愛にも溢れ、今年のマーラーディスクではまずはこれ。

マーラー:交響曲第6番 ・ハイティンク指揮シカゴ響 CSORESOUND ・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管 RCA
第6番の新譜は多かった。すべて聴くわけにはいかなかったが、壮麗な建築物のようなハイティンク盤、ガラス細工のような精緻な透明感のあるジンマン盤、どちらも捨てがたい魅力がありました。

ブルックナー:交響曲第8番 テンシュテット指揮ロンドンフィル 1981ライヴ LPO
完全燃焼のブルックナー。こんなのブルックナーではないとの感想も見たが、私はこれほど音楽が燃焼する演奏には感服してしまった。やはりテンシュテットは凄かった。

カイルベルトの芸術より ベートーヴェン交響曲集 TELDEC
カラヤンと同年生まれのため、陰に隠れがちだったカイルベルトだったが、ここ数年再評価が著しい。私もワーグナーのリングを聴いて凄い指揮者だったと再認識してしまったクチ。
今回のシリーズは1枚1000円で聴けるありがたい企画。
カイルベルトのベートーヴェンは華はないが、堅実で何度聴いても飽きが来ない。食傷気味だったベートーヴェンを新鮮に聴けたシリーズだった。

・管弦楽部門
マタチッチ編曲ワーグナー:「神々の黄昏」組曲 マタチッチ指揮チェコフィル SUPRAPHON
なにげなく中古で買ったディスクだったが、聴いていてのけぞるほどの爆発的な演奏だった。こういう録音を聴けたのは素直に嬉しい。

・協奏曲部門
シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲 ハーン(ヴァオリン)サロネン指揮スウェーデン放送響
正直、シェーンベルクなんて楽しいもんか!と今まで思っていたのだけれど、これ聴いて「シェーンベルク、おもろい」そう感じてしまった。  明快さのみならず、愉悦まで感じさせるハーンの手腕に拍手。

・室内楽部門
日本の室内楽 タワーレコード
60年代70年代の日本の室内楽曲・演奏の質の高さを示してくれる好企画。売れるディスクではないかもしれないが、聴くとわかる。すごいよ。おすすめの1枚。

・器楽部門
メシアンへのオマージュ エマール(ピアノ) DG
 とにかく、限りなく美しいメシアン。メシアン入門としてもおすすめできるし、疲れた心にもやさしい1枚。

バッハ:ゴールトベルク変奏曲 イサカーゼ(ピアノ) OEHMS
 今年はゴールトベルクの新譜が多かった。本当は横山幸雄のも聴いてみたかったが、金銭的に無理。しかたなく可愛いお目目のイサカーゼのディスクを買っていたら大当たり。  ジャケ買いもあながち見当外れでもない。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ 豊田耕兒(ヴァイオリン) タワーレコード
70年代の演奏ながら高度な技巧と確かな解釈に驚いた1枚。何度聴き返しても深いバッハの世界だった。

・声楽部門
  林美智子 武満徹:SONGS ビクター
 純クラシック歌唱によるタケミツ・ソング。表現の彫りの深さが素晴らしく、気持ちを新たに聴くことが出来た。今年一押しのディスクである。  これで美人なんだから言うことなし!

三善晃:レクイエム 外山雄三指揮日本フィル 日本プロ合唱連合 ビクター
 テンションの高さ、緊迫感、曲を表現しようという意気込みが非常に伝わってくる演奏。70年代の復刻ながらこのころの日本はやっぱり凄かったのだと実感した次第。

バッハ:ロ短調ミサ ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラ オランダ室内合唱団
オランダ室内合唱団が上手い。RIAS室内合唱団ほど機能的ではないが、柔らかさと温かさがあるいい合唱団である。ブリュッヘンの下、クリアなハーモニーを展開。ロ短調ミサのディスクの中でもお気に入りの1枚となった。

・ポップス部門
斉藤由貴 ヴィンテージ・ベスト
 ブログでは紹介し損ねてしまったが、これは良かった。  再録音、リミックス様々だけれど、斉藤の曲は名曲が多いのだと実感した。再録音の白い炎(スケバン刑事のエンディング)は深い音楽だと再認識。

●コンサート部門
イアン・ボストリッジ シューベルト:冬の旅
 今年最も感動したコンサート。歌曲と言う枠を超えて人間の表現領域の深さを感じた。ただただ、拍手し続けた最後だった。

ティエリー・フィッシャー指揮名古屋フィル 岡崎混声合唱団
ドビュッシー:夜想曲
名フィルの音じゃなかった。今までに出せなかった音楽があった。細かな作りこみと美しさに唖然としてしまった。

●番外編
・シューマン:交響曲第2番 集めています。
 50枚ほど集まりました。これはコレクター的な感覚。  ブログで感想を書くにはまとまらないし、ちゃんとHTMLでウェブサイトに書き残した方がいいかなと思っています。

・クラヲタに100の質問に答えました
 ブログで公開したんですが、かなり時間をかけて書いたので再度宣伝。  名刺代わりです。http://nagoyac


■ 2008年勝手に各自アカデミー賞 Britchov

第九が終わってからと思っていたのですが、書き始めてしまうと止まらないもので、前倒しで投稿してしまいます。加筆修正もOKということですし(どうやって修正するの?)。今年は旅行術に磨きがかかって遠征コンサートが加速した一年でした。10のキーワードで今年を読み解きたいと思います。

◎わかった!!
元々ピアノ曲に親しんでいないのですが、ハイドシェックによるベートーヴェン「6つのバガテル」をコンサートで聴いて、今まで理解不能だったこの曲を一発で理解(したつもり)。この曲はピアノの名手だったベートーヴェンが色々新しい楽器を試し弾きをするのに、性能チェックのために曲を書いたのだろうと考えたのです。会場でハ氏夫人にそれを話したら「私もそう思う。それが素晴らしい音楽になっているのだからビックリだわね」と同意してくれました。

◎初体験
こういう言い方は青臭くて嫌ですが「初生」をいつになく体験。シューベルト5番交響曲、スダーン/東響のシューベルト・ツィクルスで佳演に触れ大いに感激。後にライヴCDとして限定発売され、入手するために上京してその次の定期公演へ出向きました。シューマン2番交響曲はバーンスタインのPMFドキュメンタリー番組以来の愛好曲。飯森/山響がピリオド楽器を使って最上のバランスを実現。群響の音楽監督離任に大きな置き土産を残した高関健によるブリテン「戦争レクイエム」。モーツァルトのホルン協奏曲第2番はストランスキーが超ミニ室内オーケストラと共演、一般オーケストラよりも本来の姿のように感じる。市川でのショコラ・ヴィトオーゾ、それぞれのソリストが素晴らしかったが、世川望氏のホルンと琉球舞踊とのコラボに感動。ホルンの古典として長く演奏されるべき佳曲。新国立「アイーダ」は完売のところ友人の好意で手配いただいた。豪華絢爛な舞台、力強い声の競演。応援しているヴェルディ・バリトン堀内康雄さんのアモナズロが立派でした。

◎解禁
チャイコフスキーの5番。75年にムラヴィンスキーのコンサートで大感激して以来、他の演奏を聴けなくなってしまい、長らくこの曲のコンサートを避け続けてきました。1990年代にチェリビダッケのチケットを購入しましたがキャンセルとなり、解禁の機会を失いました。2002年に入院した際、病院の近所にあるホールでアシュケナージのコンサートがあったので外出許可をもらって鑑賞しましたがその出来に落胆してしまい、再度封印することになりました。近年、東響新潟定期の会員となり、昨年ショスタコーヴィチ「レニングラード」で凄演を聞かせたキタエンコによる演奏に期待を膨らませて漸く解禁することとなりました。力強い弦主体の演奏が一種の清涼感を伴なって心に響きました。第九は朝比奈さんが亡くなった翌日に若杉さんが代役として振った公演を最後に聴く気になれずにいました。今回、旅を兼ねて初めてのびわ湖ホールでボッセ指揮する同じ大フィルで解禁することになりました。

◎山響
昨年の仙台クラシックフェスで出会った地方オーケストラですが、音楽監督の飯森範親とともにファンサービスたっぷりのユニークな取組に好感を持っています。ステキな眺望つきのドライヴ、温泉、グルメなどとともに楽しめる場所であって、一粒で2度も3度もオイシイ山形行きです。宿泊も安い。ピリオド楽器を使ったモーツァルトやシューマン、濃厚なラフマニノフ(昨年のヴァンスカ&ロンドンPOより精密)、ボッセの特訓により正統派的語り口のハイドンなど、いずれも見事なものでした。職住近接、現代のオーケストラに珍しく監督の登場が多くてその色付けが明確なため、どこかひと昔前の欧州の地方オーケストラのような味わいが特徴です。飯森さんは今年聴いたコンサートで最多(5回)見参アーティスト。開演前のプレトーク、暗転中の中トーク、閉会後の後トークとしゃべりまくりの大サービス。

◎Mein Wien! Mein Wien!! Mein Wien!!!
今年は東京代々木での「ウィーン・オフ」で音楽始め。ウィンナホルンで「ドナウ」。ソロやりたくて吹いてるのに、オペレッタの伴奏で即席の編曲をして「後打ち」吹いてる自分にホルン吹きのDNAを感じる。ウィーン・リングアンサンブルは埼玉の住宅地へ、フォルクスオパー「ボッカチォ」(ヤフオク格安入手)は米沢演奏会の翌日に上野で、せんくらでは鮫島有美子のシュトルツを、ウィーン・クラシック・プレーヤーズは娘のプレゼントで、本家ウィーン・フィルはムーティとシューベルトで「素」のオーケストラを楽しみました。

◎カラオーケストラボックス
平素カラオーケストラ嫌いを公言しているのですが、ホルンを練習するのに活用してます。旅先でも練習が可能になりました。殆ど歌いませんが最近はシューベルトの歌曲やオペラアリアもちょっぴり入ってて、ボイスチェンジャーで女声のアリアを試したりします。旅先といえば、ホテルでパソコンをLANに繋いでネットを使用する技を今頃覚えました(汗。

◎たまにはクラシックを離れて
お盆休みに越後の高田公園でオクトーバーフェストがあり、ビールを飲みながらドイツのビアムジークを生バンドとともに楽しみました。更に青春18きっぷで訪れた松江フォーゲルパークではアイルランド料理の夕べに参加し、ケルト・ミュージックをアイルランド人バンドで堪能しました。ティンホイッスルでセッション、遊び呆けて終電を逃し彼らに松江の宿まで車で送っていただきました(俺、やっちまったなぁ)。彼らのバンド名”One For the Road”は「家路につく前の最後の一杯」という意味だそうです。

◎シェリーBAR
ティオペペくらいしか知らないし、極たま〜にしか飲んでいなかったところ、名古屋で専門BARに入って驚く。フィノとオロロソという区別さえ知らずにいたくらい。銀座の専門店で良い気になって飲んで電車で寝過ごし、某駅にて20数年ぶりの駅泊(俺、やっちまったなぁ)。

◎優勝
いつものように書き込む内容は音楽か放浪か食い物道楽ばかりですが、今回は社内のゴルフコンペで生まれて初めて優勝しました。でもハンデ36だし、好きじゃないから全然嬉しくありません(俺、やっちまったなぁ)。それよりもドラコンをとれたことが嬉しいとか、そんなもんです。ニアピン含めて毎度技能賞はとれるんですけどね。同僚のホールインワン祝賀会では雪で記念コンペが中止となったため賞品はビンゴまわしとなり、何と「ベスグロ」が当たりました。賞品だけとはいえ、とれるはずもないベスグロをいただいてちょっぴり嬉しかったです。

◎な〜に〜?やっちまったなぁ!!!

漫才のクールポコがお気に入り。最近ちょっと見なくなったか。貴族のお漫才、髭男爵も面白いですね。飲み屋に行くとワインで「ルネッサーンス!!」と乾杯してるお調子者が多くてやかましい。

今年は4月から担当業務が異動になって苦しい一年でした。春から3ヶ月は成績が全国最下位だし(今現在は累計でも全国上位1/3に盛り返し)、部下の事務員がとんでもなく非常識で「とんちんかん」なため(林さんが岡山時代「バ○ス」と書いておられたのを見て「酷いこと言ってるな」と思っていたけれど世の中にはそういう人が存在することを認識)、正直なところメンヘルもので憔悴しきった時期もありました。でもこうして振り返れば楽しい一年だったじゃありませんか。私って遊びの天才なんだな、というのが結論。長岡生活も残り少ない筈。ここでしかできない経験を積んでいきたいと思います。

●岡山時代「バ○ス」 林 侘助。
力作感謝!今となっては岡山時代「バ○ス」も懐かしく(当人は時々会議で出会うと懐かしがって下さいます)大阪に転勤したら、もっと悪質な確信犯に苦労することに・・・よく遊び、よく働け。


■輝け!孫!!!!! 火星人 

孫!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ただ、残念なのは高速道路で2時間半かかること。取引先からでも1時間走らなければ会いにいけない。無条件にカワイいです!! 羽子板は本日強硬採決(年内決着)したのだけれど、雛人形の選定に苦労しましています・・・。
ベートーヴェンとハイドンのスコットランド(プラスその他の)民謡編曲集のはまっております。 ベートーヴェンのは、CASCADEの87枚組に全曲収録されとります。普段耳にする曲も何曲かありますね。 ハイドンのは、BRILLIの150枚組に含まれていて、CD17枚、Hob番号で300曲あまり、異稿を加えると400曲程度と思われる録音をしています。同一の演奏家でやっているからノーヘル賞ものです。

どなたかが採譜したメロディにピアノトリオの伴奏を付けただけと思われるから、大作曲家にとってはルーティンワーク以下だったかもしれないが、BGMで流しておくと、飽きがこないのですね。この時代1800年前後に、イギリス(ロンドン)で、この手のブームがあったらしい。ウェバーにも作品がありますから。

BrilliantのHaydn edistonは、既発売のものに加えてバリトントリオ(全曲)+アルファと民謡編曲集(推定全曲)が目玉だと思います。以前の書き込みに、交響曲全集を買った人は云々とありましたね。 交響曲、協奏曲、ピアノトリオ、ピアノソナタと小品はほぼ全集。

●おめでとうございます! 林 侘助。
どう?お仕事の方は。ぐっと減ってません? 相変わらず、マニアックな音源満載ですね。


■輝け!【♪ KechiKechi Classics ♪】2008年勝手に各自アカデミー賞募集開始 にこらす

今年聴かせていただいたものの中からピックアップしました。CDの新譜はありますが、新録音はひとつもない旧録音のオンパレードです。だって、林師匠の教えを守り、中古または格安盤のみを中心に手に入れていますから…。

●大賞
マーラー:交響曲第2番「復活」 山田一雄指揮京都市交響楽団
今年一番の収穫はコレ。ヤマカズせんせが指揮した演奏も自分の京都時代にいくつか聴いていますが、こんなに情熱的な個性的なマーラーは筆舌に尽くしがたし。
先週行った京都出町柳の 喫茶「柳月堂」。ここのレコード棚でこの音源のLPを偶然見つけビックリ…。

●生誕百年がらみ
・EMIカラヤン87枚組み
まだ10枚も聴いていないけれど、珠玉の名盤がこのお値段で…。20世紀のレコード全盛時代を飾った金字塔、一生もの。 (以前はアンチだったんだけどね) その後DGの38枚組みも購入決意!

・朝比奈隆/ベートーベン:交響曲第9番
氏のCDは高くてマーラー以外買ってません。
でも図書館で借りたCDはたくさん聴けました。その中でも、おやっさんの十八番(おはこ)とでもいべき第九を聴いたねぇ。これもいっぱい録音があるみたいで、5種類ぐらい聴いたかな。

・ヨゼフ・カイルベルト
廉価CDで再発されたようですね。ワタシのお気に入りはとにもかくにもベルリンpoを振ったブラームス第2番。ハンブルクの弱小オーケストラに在らずして、カラヤンの手足たる完璧なオーケストラを振ったこの曲はカイルベルト氏の最高傑作でしょう。

●マーラー
・交響曲第1番 アルバート・ヨー指揮アムステルダムpo
なんとも楽しく、面白い演奏だった。拾いもの。

・交響曲第2番 ギルバート・キャプラン指揮ウィーンpo
さすが噂の…。究極のシロウトによる演奏は半端じゃないものでした。

・交響曲第5番 ハロルド・ファーバーマン指揮ロンドンso
永い間探していた音源は東京の中古CD屋の山の中に…。期待をたがわぬ呼吸深き演奏やったです。

・交響曲第7番 クラウディオ・アバド指揮シカゴso
アバド氏の演奏に初めて触れることができた思い。

・交響曲第9番 キリル・コンドラシン指揮モスクワpo

ソ連の指揮者が、(後進国扱いの)極東の首都に来て、いまさら「気合が入る」というわけでもあるまいし…。今のサントリーホールじゃないよ、41年前の東京文化会館。でもなんでこんな燃えてる演奏なんだ?

・交響曲第9番 ロリン・マゼール指揮バイエルンrso (DVD)
廃盤になってて、やっと出会えた。コワオモテのマゼール氏はそのヴィジュアルよりも、目をつぶって音のみを静かに聴いたほうが…。

●マーラー以外CD
モーツアルト 交響曲第40番/41番 ヨーゼフ・クリップス指揮ACO
なんと味わい深いACOの音色。 コレがワタシの求めるモーツアルト!

●演奏会
オーケストラ・アンサンブル金沢演奏会
井上ミッチーの手塩にかけた小編成オーケストラはその名のとおりの素晴らしいアンサンブル! チャイコの弦楽セレナードに鳥肌が立ちました。

●ライブ
リタ・クーリッジ in 名古屋BlueNote 学生時代に聞いた歌声…、今もなんら変わることなく、「We're all alone」には痺れっぱなしだった。今もAORなんてジャンル、あるんだろか。

●番外編 ・西本智美指揮モンテカルロpo演奏会 この当地のクラシックコンサートで初めてスタンディング・オベイションを見ました。この方、演奏はどうでも良くて、という追っかけのオバサマがおられるようですね。行かにゃ良かったなぁ〜。

・iPod
ついに買ってしまった。買ってみたらなかなか気に入っています。でもiTunesには拒否反応。今はiTunesにはオサラバしてます。 自分のモデルは数ヶ月したらモデルチェンジしてしまいました。


■輝け!【♪ KechiKechi Classics ♪】2008年勝手に各自アカデミー賞募集開始 ヘムレン 

【完結感涙】大賞
 アレクサンドル・ラザレフ指揮読売日本交響楽団によるチャイコフスキー交響曲全集(EXTONレーベル)。  2006年に集中的に演奏されたラザレフ・読響のチャイコフスキーが、12月に第1番、夏の日の幻想が出て、全5枚が完結しました。私は2006年は仕事の関係でほとんど日本に居なかったために、演奏会はまったく聞けませんでしたが、CDをExtonさんが出してくれたのでそれを愛聴していました。しかし、なぜか2006年に演奏したはずの後期交響曲の代表作の一つ4番がリリースされずに気をもんでいました。そして2008年になってラザレフ来日の折に読響と4番だけが再演となり、直感的にこれは再録音だなと思いました。この演奏会は運良く聞きに行けましたが、心震える演奏でした。詳しくはお便りで投稿しましたのでそちらをご覧ください。

 ラザレフはボリショイ劇場時代にかなりの録音があります。ハチャトゥリアンやリムスキー・コルサコフ、チャイコフスキーの3大バレー曲集などは快演です。しかし後にロシアを離れてスコットランド国立管の音楽監督になり、ショスタコーヴィチの交響曲・全曲演奏をして大きな話題になりました。私はその5番の演奏会をロンドンで偶然に聴き、以来ラザレフ・ファンです。全曲演奏は残念ながら録音されなかったようで、例外的に11番のみがリリースされています。同曲は後に日本フィルと競演していますが、私はこれを東京で聞いています。

 今回のチャイコフスキーは、このところやや録音機会に恵まれていなかったラザレフ師にとって本当に貴重な全集となりました。それだけではなく、その音楽の質の高さは驚くべきものがあります。「ラザレフらしい」と言っていいかもしれませんが、聞こえないくらいのピアニッシモに凝集された音楽の魂と、それが開放されてのびのびと空間に飛び散る開放感、唄いたくなるくらいの強いリズムと色彩豊かなオーケストレーション。どれをとっても、これらの演奏が録音されたことの幸せをかみ締めています。

 ラザレフ師は今シーズンから日本フィルの音楽監督に就任、プロコフィエフの交響曲の全曲演奏を始めます。これも楽しみです。  素晴らしいラザレフの音楽を後世に残してくれた、Extonレーベルにも敬意と感謝の念でいっぱいです。3000円は高くない!引き続き個性的なラインナップをリリースしてください。プロコフィエフもぜひ録音してください。

【熱情溌剌】
 ことし聴いたコンサートの中では、ファビオ・ルイージに痺れました。指揮者の世界は1920年代生まれが幅を利かせていましたが、ファビオは1959年生まれ、流行言葉でいえばアラフィフ(?)ですぜ。

 今年はファビオを2回聴きました。最初はNHK交響楽団を振ったベートーベンの交響曲7番(7月18日、NHKホール)。以下、某所に書いたコンサート評です。

「1楽章の冒頭。大きく膨らむように、芳醇に広がる最初の主題。オーボエとバイオリンの掛け合いから、最初の主題に回帰すると、このあたりからはオーケストラはノリノリで、弾むようなリズムがうねりのようにずっと激しく、あるいは水面下に隠れるようにしながら引っ張っていく。胸が詰まるくらいのできばえでした。

 2楽章は打って変わって悲愴な主題が沈み行く夕日のようにたゆたゆと仄かに光る。ファビオはこのあたりで、完璧にオーケストラを、そして観客を指揮棒の先で掌握したといっていい。

 4楽章、チェロやコントラバス(正面からやや右の奥に配置されていた、対向配置)は、やや響きが悪いNHKホールの奥、3階席までもうねるような弓使いが弾性波のように伝わってきた。

 終演、会場は割れんばかりの、いや古いNHKホールが本当に割れるかと思ったくらいの拍手・歓声。ほぼ満席のNHKホールの大半の観客が、この交響曲を心から愉しんだことが明白だった。指揮者が舞台袖から登場するごとに高まる拍手。指揮者がオーケストラに腕を伸ばすと、さらに高まる拍手とウォーという歓声。こんな演奏会、そんなに見られるもんじゃありません。

 アンコールは同じベートーベンの交響曲8番の2楽章。ぼくにはアイ・シャル・リターンというメッセージに聞こえた。絶対に帰ってきてほしい。ファビオ・ファビュラス!」

そして、2度目はPMFオーケストラを振った幻想交響曲(8月1日、サントリーホール)。以下、またも当時の書き込みより引用。

幻想交響曲の演奏、良かったです。1楽章冒頭で弦楽の抑えめのアンサンブルにもうぼくはホロリとしてしまって、落涙寸前でした。それにしてもこんなにテンションの高い幻想ってあったかな。2楽章は円舞会の場面、優雅なワルツが耳に心地良い。4楽章、陰鬱なテーマからティンパニの連打、ファゴットの枯れた独奏から主題へ。もうこのあたりから若者たちが大半を占めるオーケストラは自由に弾け飛ぶ。原曲でもそうなのだとは思うが、何かシンコペーションがかかったり、あるいはリズムの気持ち、前に乗る(ジャズでは前乗りとか後乗りとかいう)みたいなリズムの捻りが効いてくる。

 5楽章(終章)は怒涛のようだ。冒頭の鐘をフィーチャーしたアンサンブルでは、指揮者は手で空を掴み、あるいはうめき声をあげながら指揮していた。若者のエネルギーを抑制するどころか、時に煽り高みに導いていくファビオ・ルイージ。そして異様に高いテンションのままフィナーレ。

 終演―こんな幻想交響曲、聴いたことがあるだろうか。嵐のような拍手と怒声とも聞こえる歓声。若者オーケストラの団員たちも、思わず足をふみならし、弓をならしていた。サントリーホールは共振体のように震えたのであった。

 このPMFを卒業した若者たちは世界各地のオーケストラや、あるいはソリストとして活躍するだろう。聴衆と音楽家が一体となった公演は、若い音楽家たちの将来にかけがえのない栄養となる。ファビオ・ルイージ恐るべし。2010年よりPMFの音楽監督に就任するという。

CD部門ね。

【異能多才】
音楽にはメロディとリズムがあるけれど、もうひとつ大切なのがテンポだ。このピアニストは独特のゆっくりしたテンポで演奏している。でも、何度も聞いていると、このゆっくりしたテンポは曲にぴったり合っているように聞こえてくる。たとえば1番の協奏曲の第一楽章中ほど、下降するスケール(音階)の部分など、音と音が微妙に重ならなずに響きあって、幽玄な音を鳴らす。このピアニストはきっとそういう音の響きを計算して、自分でベストと思ったテンポで演奏するのだろう。
 紹介が遅れましたが、年末に買ったベートーベンのピアノ協奏曲集(Oehms、2枚組み)。このレビューした盤以外に、協奏曲3、5番の入った2枚組みがあります。バックはユベール・スダーン指揮モーツアルテウム管、ソリストは、えーと、ヴァレリー・アファナシエフ。誰、それって?ぼくもそう思いました。
 こんな凄いピアニストがいて、それをまだ聴いたことがなかったなんて、ちょっと信じがたいです。煽るでもなく、滞るでもなく、ひたすら音の響きのみを計算しつくしたような演奏。枯淡というと枯れた印象が残るが、淡々として暖かい。一体何者でしょうか、アファナシエフ。  ちょっと調べてみると、詩作をしたり戯曲を書いたり、小説までもモノしていてる人らしい。底知れぬ、不思議なマルチタレントといっていい。  スダーンとの相性も抜群、一点の濁りもない。特に3番は出色の出来だ。3楽章など楽しくて楽しくて、もう仕方がないのだった。
 オーケストラはオランダ生まれのユベール・スダーン指揮によるザルツブルク・モーツアルテウム管。相性のよい指揮者とオーケストラです。また透明感の高いこのピアニストとオーケストラの相性も抜群です。好みにもよりますが、私は1番とか3番などがとてもよいと思いました。私の今年のベスト盤の一つです。
 アファナシエフはシューベルトのピアノソナタを録音しているそうで、これも至極評判がよろしいようです。こっちも聞いてみようかな。

【期待続編】
 ぼくはボルチモアに住んでいたことがあるから、ボルチモアシンフォニーにはちょいと思い入れがある。ぼくがいたころはジンマンが振っていた。その後、ジンマンはボルチモアを後にし、ぼくもボルチモアを離れた。その後、テミルカーノフを音楽監督にしたボルチモア・シンフォニーは、しかし、ほとんど録音もなく低迷の一途をたどった。
 そこに現れた新たな音楽監督がマリーン・オルソップだ。それで、このCD。オリソップ指揮ボルチモア交響楽団のドボルザーク・新世界(Naxos)。これが良い。
 それでこの演奏なのだけれど、素晴らしいという意外に形容詞が浮かばない。無理なく立体的で広がりある響きと、きめ細かいディテール、力強く粘りのあるリズム感。アメリカのオーケストラは金管が上手という印象があるが、BSOの金管はとりわけ迫力がある。2楽章後半、枯淡なラルゴにつづく懐かしくもせつない家路のテーマなど思わずウルっとする。3楽章の躍動感ある楽器の掛け合いも魅力的だ。4楽章の冒頭、トランペットの主題が、もうかっこいいこと。
 ボルチモア・シンフォニーのホームページによれば、ドボルザークの交響曲を9番に続いて2枚出すという。7、8番あたりだろうか。しばらくBSOから目が離せない。こんなCDが一枚1000円少々で手に入るのだからうれしくなってしまう。

【円熟老練】

スクロバチェフスキ指揮読売日本交響楽団、ブラームス交響曲1番他、2007年9月東京芸術劇場ライブ録音(Denon)。

若々しい逞しさと円熟味とが共存する演奏とでもいうのだろうか。指揮者スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ、83歳の演奏である。読売日本交響楽団(読響)は、2007年からスクロヴァチェフスキを常任指揮者に迎えたことを誇らしく思う。こんな素晴らしいコラボレーションがこれから数年は聴けるからだ。

スクロヴァチェフスキは、自ら管弦楽の作曲家でもあるから、オーケストラの響きを知り尽くしている。彼の音楽づくりはパートの音量と出の微妙なタイミングをコントロールすることによって、さまざまなディテールを浮き彫りにする。まるで、建築家が手すりの金具の形にこだわるのに似ている。そのようにして天塩にかけた細部の表現が、全体として一つの音楽的宇宙を作り出す、というような感じがする。

読響の演奏も特筆に値する。ティンパニの連打から始まる1楽章の深く暗いテーマは、時代の閉塞を思わせる。主題を引き継ぐオーボエがうら悲しく良い。4楽章の展開部に至る長いフルートも良いし、歓喜あふれる展開部のテーマは弦楽が朗々と歌い上げ、このあたりは熱くこみ上げるものがある。

2曲目のバッハの「トッカータとフーガ」(二短調)は、ストコフスキーの編曲版が有名だけれど、この盤ではスクロヴァチェフスキ自身の編曲したもの。作曲家であるスクロヴァチェフスキの真骨頂ともいうべき演奏。

CD聴いていても思わずブラボーって言っちゃうよ。

これは2007年9月の東京芸術劇場でのライブ録音だ。読響とのブラームスは、この1番に続いて2,3番がいずれもDenonからすでに発売されている。ちょっと高い(2940円)が、やはり1番でこれくらいノックアウトされると、続編にも手が伸びてしまいます。KechiKechi精神発揮して、せめて割引券やポイントでも使おう!ちなみに4番は2009年3月に東京芸術劇場他で予定されている。これはきっと録音されるだろう。行かなければ・・・。

今年の9月、スクロバチェフスキ指揮読売日本でシューマンの2番とツァラストラを聴きましたが(@東京芸術劇場)、ツァラストラがCDになるようです。来年2月18日発売予定、やったー!

当時の日記より。

マエストロ・スクロヴァチェフスキは1923年生まれっていうから、85歳?ところが最近、ますます斬新な音楽をやっています。最近出た、読響とのブラームスのCD(1番)を聴いて、ぼくはしびれてしまったのです。それで、今日のコンサート、当日券があることを確認していってきました。

シューマンは正直、眠かった。しかし、後半のツァラトゥストラは冒頭の宇宙的なファンファーレからして、もうぞくぞくするような宇宙の闇から聞こえてくるような響き。

スクロヴァチェフスキは自らも管弦楽の作曲家でもあるから、オーケストレーションの処理がとてもうまい。下手すると雑多に響き合う複雑な音の組み合わせをすっきりと秩序だてて聴かせてくれる。ちょうど建築家がいろいろの形の組み合わせを、美しいバランスの中でまとめて見せてくれるのと似ている。

【待望廉価】
 ジンマンはトンハレの音楽監督に納まって、意欲的にいろいろな音楽をやっているが、最近試聴したマーラーは凄い。6番など冒頭から低音(チェロ・コントラバス)と打楽器がずんずん・じんじんとなって、日本のジャズで最近はやりの「寺島ジャズ」の影響かよぉ、と一瞬思ったが、そんなわきゃないか。
 でもジンマン・トンハレはすぐに廉価ボックスがでるから買いませんでした。ボックス愉しみに待ってます!

書籍部門ね。

【天与ニ物】

星野道夫著「イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する」(新潮文庫)

 天は二物を与えず、ってあれは嘘なのかな。この本を書いているのは作家や記者でなくて、一人の写真家だ。それにしても、なんでこんなに文章が上手いのだろうか。
 星野道夫さん。アラスカを舞台に、限りなく美しい自然と動物を取り続けた写真家だ。ぼくが星野さんのことを知ったのネット仲間のSさんが星野さんの写真が好きだったからだろうと思う。

 この本は、星野さんが1990年にふとしたきっかけからアラスカに家を持つようになり、それからの3年間に書かれた文章を集めたものだ。この本は土地とか命とか、あるいは人の一生とか友人とか、そういったことが稠密に詰まっている。まあ、それはそれは、凄い本である。  ある日、星野さんは熊の踏み跡、つまりトレイルを追って森に入る。見失いながら追っていくと、森の中に黒い川が現れる。それは「産卵のために遡上するピンクサーモンの巨大な群れ」だった。そして、ふと目を上げると、「岩場の上でブラックベアの親子がじっとこちらを見ている」、それどころか上流にも下流にも、あちこちにクマがいたというのだ。

 そのページには、飛沫を上げる川の流れに半ば浸り、口にサケをくわえるクマの写真。撮影は命がけだ。  カリブー(北米のトナカイ)の肉を食べる話がでてくる。野生動物を食べるという、一つ間違えれば禁忌ともいえる話題を、星野さんはさらりと書く。「人はその土地に深く関わるほど、そこに生きる他者の生命を、自分自身の中にとりこみたくなるのだろう。そうすることで、よりその土地に属してゆくような気がするのだろう。」
 そうかもしれない。生命は土地によって育てられる。それを喰うことは、いわば土が支える生命の連鎖の中に身をおくことなのかもしれない。それをしないと土地に属することはできない。

 その星野道夫さんは、1996年にヒグマにやられて逝ってしまった。それは、この写真家の活動をとめてしまったという意味で、あまりにも不幸で残念なことだけれど、いっぽうで命の輪のなかに身をおいた彼にとってはある意味で自然な結末だったのかもしれない。  イニュイックとはエスキモーの言葉で「生命」という意味だそうだ。

(ネット仲間のS氏は最近病気療養していて、ふときつそうな文言があったのでこの本を贈りました。とても喜んでくれました。もともとS氏が好きな写真家の本だったから買ったわけで、この本の一番いい在り処に戻っていたような感じがした)


■輝け!【♪ KechiKechi Classics ♪】2008年BOOK OFFアカデミー賞 全亭 出武生

今年はNMLに加入したので新品のCDは一枚も購入せず。中古はBOOK OFF専門で、250円以下という自己規制撤廃にもかかわらず、購入枚数は激減しました。

[BOOK OFF アカデミー大賞]
Mozart /交響曲第35,36,38番/クレンペラー指揮N.P.O.(EMI 7243 5 67333 2 9) 250円
*大昔に友人から借りたセル盤を除いて、これまで満足できる「ハフナー」を聴いたことが無かった。

[BOOK OFF アカデミー参加賞]
Bruckner/交響曲第8,9番/ヨッフム指揮S.K.D.(EMI 7243 5 73827 2 4) 二枚組500円
*大胆にテンポを動かす演奏で、聴き応え十分。オーケストラの音色も最高。

Bruckner/交響曲第3,8番/セル指揮クリーヴランドO.(CBS/SONY CSCR8917-8) 二枚組1000円
*3番もなかなか良い曲だと見直しました。

Bruckner/交響曲第8番/スロバチェフスキ指揮S.R.S.O.(ARTE NOVA 74321 34016 2) 二枚組250円
*今年はなぜかブル8番が多かった。

Berlioz/幻想交響曲/ブーレーズ指揮L.S.O.(CBS/SONY FDCA 323) 500円
*ちょっと高かったが、庵主殿おすすめの一枚ゆえ購入。面白いです。ベートーベンの「運命」も遅いテンポで有名でしたね。

Elgar/交響曲第2番/バレンボイム指揮ロンドンP.O.(CBS/SONY SBK67176) 500円
*これもちょっと高かったが、庵主殿おすすめの一曲ゆえ購入。いい曲ですね。

Sibelius /交響曲第1,7番/マゼール指揮ピッツバーグS.O.(SONY SRCR 9132) 250円 *マゼールは部分的に拡大して聴かせるので、新しい発見があります。オーケストラも巧いです。 以上、ちょっと寂しいBOOK OFFアカデミー賞でした。


■輝け!【♪ KechiKechi Classics ♪】2008年勝手に各自アカデミー賞! mozart1889 

今年も押し詰まってまいりました。
さて、遅くなりました。今年も「各自アカデミー賞」、参加させていただきます。

今年もド素人大衆ミーハー廉価盤路線をひた走りました。CD激安時代の恩恵を肌で感じております。エエ時代になりました。学生時代から社会人なりたての頃はビンボーでした。あの頃のCDの高価なことを想うと、つくづく今は夢のような時代と思います。感謝深謝多謝。ホンマに有り難いことです。

第1位 ミチョランマ激増
今年はDGなどユニバーサル系メジャー・レーベルでも激安化が進みました。ほとんどの輸入盤箱物は1枚200円程度で購入できてしまいます。いやぁ、ここぞとばかりに買い込みました、昔のビンボーだった時代にCDが高くて買えなかった反動でしょうか、次々に買ってしまいました。結果、未聴の山、嗚呼ミチョランマ。反省しております。買った箱物の数は恥ずかしくて書けません(汗)。
こんなことではアカンなぁ。CDは大切に聴かにゃ。某オークションにしても、某輸入盤サイトにしても、クリック数回で落札・入手できてしまうことで、安易に購入してしまうのもイカンのです。来年からはじっくり腰を落ち着けて聴いていきたいと思います。
ミチョランマ(未聴の山・未聴峰未踏峰)は今年の流行語。これ、林さんがお使いになって以来(造語は別の方でしたでしょうか)、ネットのクラシック音楽界で流行しましたね。この言葉を各所で見つけては、「みんな同じなんだなぁ」と内心ホッとしてしまう、ワタクシは小心者であります。

第2位 ヘルベルト・フォン・カラヤン
生誕100周年。企画ものが沢山出ました。DGの交響曲38枚組にEMIのオーケストラ物・声楽オペラ物のBOXセット、どれも超廉価。少々のダブり買いなどなんのその。もう買いましたよぉ。そして聴きました(全部ではないですが)。で、思いました。やはりカラヤンはゴージャスです。巧いです。オーケストラも抜群です。いやホンマに聴かせ上手。オペラなんか感動的に巧いです。カラヤンの指揮で、ワタクシはヴェルディの面白さを知りました。EMI箱物の「アイーダ」に「ドン・カルロ」、「オテロ」は素晴らしかったですし、R・シュトラウスの管弦楽曲やオペラは、まるでカラヤンのために書いたのではないかと思うほどでありました。ワーグナーやドビュッシーのオペラも凄かったです。こんな指揮者、もう二度と出てこないでしょう。

第3位 浅田次郎
これまで『鉄道員(ぽっぽや)』しか読んでいなかったのです。ワタクシは健さんが好きで(特に任侠映画の)、映画から入りました。原作も良いなぁ・・・としか以前は思わなかったんですが、今年はブックオフで100円でナンボでも買えるので『蒼穹の昴』から読み始めたところ、これが面白かった!そして、『プリズン・ホテル』、『地下鉄に乗って』、『椿山課長の七日間』、『シェヘラザード』・・・・次々に読んでいきました。面白かったなぁ。久しぶりに熱中しました。
この十年、旬の作家なんでしょう。売れっ子なので作品も多いですね。これからも楽しめそうです。

以上、こんなことを書いていると、やはり今年もナンダカンダと云いつつも、エエ年であったように思います。


■ 林 侘助。2008年を振り返って

 まだら模様の中で、なんとか自分の節を貫いた、乗りきった、といった満足感がありました。あとは体力体調にさえ気を付ければ、なんとか引退まで・・・行ってくれぬか?甘いかな。

● ハード部門(物欲薄く、ブランドや高価格に興味はないのは前提)

1) チタン腕時計(マルマン)・・・金属アレルギーなので、ずっと腕時計はできなかったんです。最近はケータイで代用する人も多いようだけれど、ワタシは昔風人間なので(ケータイ嫌いだし)ようやくの入手に少々感慨深い。オークションで970円+送料100円+振り込み料108円也。

2) ミニノートAcer Aspire One AOA150-Bb 青【未開封新品】を(送料込)50,300円(出張用)ミニノート・パソコン買い換えました。工人舎のSA1F00Aを31,500円でオークション処分し、ミニノートAcer Aspire One AOA150-Bb 青【未開封新品】を(送料込)50,300円にて落札〜差額2万円の贅沢也。まさか落札できるとは思っていなくて、ダメモト入札の結末(上位二人キャンセルとなったみたい)でした。カッコよくて、速くて、ディスプレイ表示が美しい、キーボードタッチがスムース〜安いし、エエ時代になりました。/購入後一ヶ月で起動せず修理へ。無事返ってきて、日々、自分の手の小ささを感謝のサイズであります。

3) ORIONのDVDプレーヤー・・・CDプレーヤーを壊してしまったので、遊んでいた(購入既に7年ほど)DVDプレーヤーにて代用。使い勝手はあまりよろしくないが、思わぬ音質に驚いております。一年間しっかり働いて下さいました。感謝。

4) USBメモリ2gb(860円)常に携帯しております。お仕事、このサイト原稿、全部バックアップしております。いや、隔世の価格だ。

● グルメ部門(エセ・・・だけれど/B級かな?)

5) 金沢、富山、福井の”旨いモン”に感謝・・・なんだけど、正直なところ、あまりのハードなスケジュール(出張前後含め)、体調不良で2008年後半はちょっと苦戦しました。ま、基本、魚介類日本酒好きにとってはタマらぬ境遇であります。おでんは金沢が素晴らしい。大阪方面では、JR尼崎の「大黒」、自宅ご近所では「ひょうたん寿司」立花店。ことしもずいぶん呑み、喰い、浪費しました。満足。

● 生演奏部門(回数少ない。わずか5回)

6) 基本自分の出不精だけれど、演目が月並みだと出ていく意欲を失いがち。それに”マチネ”という限定を(勝手に)付けているし。
●待兼交響楽団第20回定期演奏会(いずみホール2008年2月24日)これはMahler 交響曲第9番ニ長調
●アンサンブル・フリー第10回演奏会(尼崎アルカイック・ホール2008年11月30日)これは「春の祭典」
自分の好みの作品をしっかりナマで、という醍醐味であります。

EMI 30枚組6,608円2008年4月購入● CD部門(今年もずいぶんと処分し、そしてそれ以上に購入しちゃった・・・収支とんとんかな?)

7) 「Elgar 30枚組ボックス」(EMI)こういう”括り”はよろしくなくて、内容詳細を触れるべきなんだろうが、「今月のヴェリ・ベスト」出現回数極めて多いですね。ちなみに、Elgarは他一杯購入していて(スラットキンやらアンドルー・デイヴィス)、交響曲/管弦楽のみならず声楽作品の感慨深さに気付いた一年でした。

8) 上記込みで「英国音楽」ますます・・・故・ヴァーノン・ハンドリーのVaughan Williams 交響曲全集と出会ったのも今年でした(2枚ほど再購入)。こういった地味渋系音楽が完全にツボであります。

9) Ravel これはDebussy/Ravel ボックス8枚組を(半分ほど再)購入したジャン・マルティノン/パリ管(Debussyはフランス国立管弦楽団)に代表させましょう。ほんまはブーレーズ新旧盤、スクロヴァチェスキ、マルティノンのシカゴ交響楽団、シャルル・ミュンシュ・・・ま、なんでも良かったんですよ。自分の嗜好の軸が定まった、といった感じ。

10) Stravinsky 自作自演22枚組(一部ロバート・クラフト含む)・・・これも代表表記でありまして、NAXOSのロバート・クラフト新録音にも感銘深く受けました。ほか新ウィーン楽派も聴く機会が多いもので、同じくロバート・クラフトのScho"nberg6枚分にも痺れまくり・・・珍しく未踏峰”ミチョランマ”にならなかったボックスであります。

2009年も元気で!よろしく。

(2009年1月15日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi