春〜廉価盤に思う


 中年太りの、良い年齢をしたおっさんなのに「2002年度は仕事の内容も変わりません。飽き性のワタシには少々ツマラない」なんて、罰当たりなことを先月に書いたら、ほんとうに罰が当たったみたい。同じ仕事チームのやつが「仕事を辞めることにした」とのこと。人生それぞれだから仕事を辞めることも悪くないし、ま、サラリーマンは即代わりが(おそらく東京から)やってくるとは言っても、当面の実務はすべてワタシにオンする可能性が高い。

 自分自身の中で「変化」を作り出したいもの〜なんて、エラそうに書いたけれど、ホンマに変化(これは相撲の変化ワザみたいなもの)しないと、日常生活が成り立たないかも知れません。幸い、体調はよろしいみたいなので、なんとかしましょう。音楽を聴く時間はゆっくりと欲しいところだけれど、仕事でそれなりに忙しい方が、渇望感があって集中力は付くもんなんです。


 わずか数年前まで「廉価盤」を探すのは、けっこう苦労したもんです。ワタシがこのサイトを開いた1998年段階では、少なくともそうでした。1,000円のCDが貴重で、1,200円〜1,500円でも廉価盤だったはず。PHILIPS DIGITAL CLASSICS グロシアCDシリーズ(紙パック仕様の国内盤)は1,700円+消費税でした。これ、いまとなっては貴重な音源目白押しだけれど、ずいぶんと高かったもの。それでも当時(1990年代前半)は廉価盤だったはず。

 ここ2年くらい、完全に価格感覚がマヒしました。ワタシが【♪ KechiKechi Classics ♪】で力説してきた「価格と演奏水準は反比例する」という「ピタゴラスの定理」(ウソ)は完全に証明され、「いや、価格と演奏水準の相関関係はカオスである」という新しい「カオス理論」(これもウソ)も大きな勢力を持つようになってきました。「有名で高いの買っておけば間違いなし」という誤謬に充ちた定説は、長引く不況の中で説得力を失いつつあります。(これホンマ)

 ま、昔から「音楽は長し、されど人生は短し」という先人の言い伝えもあります。(なかったかな?)勢いに乗じて安いCDをガバガバ買って、挙げ句まともに聴かないということも増えつつあります。せめてこのサイトに駄文を掲載することによって「廉価盤供養」にもなるのではないか、と自分を納得させている今日この頃でした。


 じつは、先日出張先の広島で思わぬ空き時間ができて、フラリと入ったタワーレコード。広島は我が街・岡山とは雲泥の差の都会であって、BOOK・OFFのクラシックCDの品揃えも信じられないくらい豊富(だった〜ほとんど数人で買い占めたので、いまはない)だし、タワーレコードの品揃えは(かつて居住していた)博多とほぼ同水準なんです。

 で、この間廉価盤愛好家筋で話題の、Beethoven 交響曲全集全5枚(ブロムシュテット)が1,390円で売ってました。「ぐはっ!」と咳き込んで買ってしまって感慨深い。なにが?だって、考え方の遅れている金持ち(音楽好き)父さんには「一枚1,390円」でも充分廉価盤ですよ。それが「全集で1,390円」。これはエラいことなんです。

 じつは、知識としてはこのCDの価格は知っていたし、もっと単価の安いCDは買ったこともあるし、インターネットで見ている限りは冷静だったんです。でも、眼前に登場されるとねぇ。LP時代の記憶では「Beethoven 交響曲全集」なんて、ひと財産。7〜8枚組くらいがフツウで、2万円くらいか。でかい布張りの豪華ボックス(+豪華金ぴか帯「不滅の名演!」なんて)入りでね。その記憶が脳味噌奥底に刷り込まれているものだから、CD全集で2,000円切ったら冷静ではいられませんでした。

 桜満開・花冷えのそぼ降る雨の中、ズッシリと重い出張カバンを一層重くしながら帰宅しました。(サイフは軽やかに)なんとなく、もったいなくてまだ聴けていません。(2002年4月1日)



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written by wabisuke hayashi