春・温泉・花見


 今年は転勤はなし、というか不況で経費節減、会社の重要幹部でもないんで、これからはそんなに異動はないのです。でも、2000年度グルグルといつも出張していた(というか、ついでに温泉に入ったり、鰹を食ったり)四国の営業担当から、ワタシの居住地岡山〜広島、山口、という山陽道の担当へと変更になりました。閑話休題。


 香港在住の金田さんがBBSに書き込みしていて、「わたしゃ、温泉を香港に密輸したい。それに花見と紅葉狩り。」〜これ、なんとなく心にしみいる言葉でしたね。ま、岡山の冬なんて、北海道に比べればヘみたいなものですが、寒いのは気分的にもよろしくないし、2月は思いっきり風邪など惹いてしまったので、春のポカポカした日差しがありがたい。体調良好。

 桜の季節は、いつもなんとなく忙しくて、ゆっくり花を愛でる機会は少なくなりました。海外に住まいする日本人には、もの凄い渇望感があるのかも知れません。四季の美しい変化は当たり前に思うが、日本特有の風情なんでしょう。温泉にしたって、日本人は老若男女・誰でも出湯が好きだけれど、行こうと思えば行けないことはない。ワタシは2000年度、(仕事のフリをしつつ)道後温泉には十数回入っている計算になります。これは究極の贅沢なんです。

 夏は一番好きな季節だけれど、中年にさしかかると猛暑がカラダにこたえる。やっぱり春がいい。(ワタシは花粉症もないし)秋は黄昏て、寂しすぎる。で、「春の音楽」を棚のCDから探してみましょう。珍しいのはないけれど。


Mozart 歌曲「春への憧れ」K596〜ほんの2分少々の短い曲だけれど、早春の浮き立つような、それでいてなぜか寂しげな味わいさえ感じます。白井光子さん/ヘル(p)の清楚極まりない演奏で。(CAPRICCIO 10 806/1)

 言うまでもないがこの旋律、ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調K595終楽章にほとんどそのまま使われています。煩悩をすべて超越したような、虚心な世界があって胸を打ちます。まるで「最後の春」を迎えた人が、目に映るものすべてが愛おしく感じるような、そんな哀しみもあります。演奏は誰のでもよろしいが、たまたまアンネローゼ・シュミット/マズア/ドレスデン・フィル(CCC 00010502CCC)を取り出しました。

Beethoven ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 作品24「春」〜この曲、強面のBeethoven の中では、出色の可憐な作品。Mozart に負けない天才のワザでしょう。ワタシはむかしからナタン・ミルシテイン(v)/フィルクシュニー(p)の、ややゆったりめの演奏が気に入っていて、現在はカセット〜MDで楽しんでいます。

Grieg  二つの哀しき旋律 作品34より「過ぎゆく春」〜グリーグ屈指の名旋律。味わいの深さは上記の曲に劣りません。先日見かけたHPでは「ワタシの葬式にはこれを」なんて掲載されておりました。はかなくも美しく過ぎゆく一瞬を、名残惜しそうに回想するような弦楽のみによる作品。ワタシのお気に入りはウェルドン/フィルハーモニア管(FIC ANC113〜海賊盤ですみません。EMI録音)。

 フツウ、Schumannの「春」とか、Vivaldiの「春」(これは少々食傷気味)、Stravinsky「春の祭典」辺りが続くが、まだそうとうに現世に執着が見え見えで、ワタシの思い描く「春」とは異なります。そこで・・・・

Milhaud(ミヨー)の交響曲第1番 作品43「春」。なんと3楽章計4分ほどの短い作品。まるで春の訪れを心待ちにしていた子供達が、無心に遊んでいるような、宝石のように輝かしい佳曲。リッケンバッハー/カペラ・クラコヴィエンシス(KOCH 3-1139-2)のCDしか持っていません。

(2001年3月30日)


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written by wabisuke hayashi