自己保守化への警鐘

2003年8月博多にて。銀行前の不思議なオブジェ

あまり実りの良くない秋。食欲の秋、読書の秋、音楽の秋がやって参りました。

新しい音楽、珍しい作曲家の作品、知名度は低いが往年の実力派の録音、新進気鋭の若手の演奏〜そういう音楽も楽しもうとココロしてきたつもりでした。若手の演奏については、昨今の不況でCDはなかなか出ないし、出たところで高すぎて買えない。10年ほど前まではFMエア・チェックを盛んにしてたので、けっこう聴いていたんです。(もちろん、有名どころ、評価の高い有名演奏もそれで)でも、いまじゃほんまに聴かなくなった。電話局のすぐ側で、電波状況が悪いということもある。

CDは、やや相場の上下波乱があるとはいっても(たった今現在は上がり気味)10年スパンで考えればモウレツに安くなりました。これがいけない。昨今の有名歴史的録音、1960〜70年代の有名録音のボックス化(代表例;カラヤン/ベルリン・フィルのBeethoven 交響曲全集とか)〜これが安く手に入ります。レパートリー的に、かなりの比率で「定番もの」になってしまう。

演奏家にしてもそうで、同じBartokの作品であっても、例えばカラヤン盤より、ロルフ・ラインハルト盤の価格が倍以上する、というのは少々ツラい。CDを購入するのには、もちろん経済的な限界はあります。(ワタシのように厳選廉価盤しか購入しなくても)もっと、大変なのは「聴くべき時間」であることは言うまでもありません。

で、もっともっと重要なのは「聴くべき精神・集中力」なんです。クラシックCDのオーダーの物量は知れているので、見かけたら買わざるを得ない。(安ければね)あとで後悔しますから。で、バリバリ聴いていくが、生来落ち着きのない次男坊故、集中力が続かない。飽き性で、移り気で、他の関連CDを探して摘み聴きしちゃう〜ますます消化は進まない。

自業自得だから、それはそれでしかたがない。問題は「新しい音楽、珍しい作曲家の作品」なんです。考えてみれば、Beethoven の交響曲を一曲一曲克服していった中学生時代、Mahler は社会人になってからか。BrucknerはCD時代になってから。その他、様々な美しい音楽と出会い、自分の血の中に溶けていった感動の連続〜これを失っちゃいけないでしょ。ワタシは新しい音楽にトライヤルしなくては。

例えば(あくまで例とお考え下さい)・・・既に手許に購入済みだけれど・・・克服すべきCDとして

Henri Dutilleux(アンリ・デュテイユー)
交響曲第二番、メタボール、時間の影〜グラーフ/ボルドー・アキティーヌ管弦楽団
(ARTE NOVA 74321 80786 2  590円)〜近代仏蘭西系音楽はまだまだ楽しめる作品はゴロゴロしている(はず)。

Antonio Rsetteli(1750-1792 アントニオ・ロゼッティ)
ホルン協奏曲集〜バボラーク(hr)/モーザス/バイエルン室内フィル
(ARTE NOVA 74321 72764 2  570円)〜Mozart 同世代北部ボヘミアの作曲家。たまたま、このCDが出てきたけど、ARTE NOVAにはこの類のCDは腐るほど有。Giovannni Mane Giornovichi(1735-1804)のヴァイオリン協奏曲集とかさ。

もう一方の「廉価盤の雄」NAXOSだって、意欲的な録音には(価格に厳しい流石のワタシでも)触手が伸びる。

Johan Stamitz(1717-1757)
交響曲集第一巻〜アームストロング/ニュージーランド室内管弦楽団
(NAXOS 8.553194 880円?)〜正直、J.C.Bach のシンフォニアより変化があって楽しいと思う。Bendaとか、Spohr、Krommerとか、ワタシ好み世代の作品がゴロゴロ購入済み(しかし、身に付いていない)でも、NAXOSの本領は英国音楽だと思うんです。

BYRD(NAXOS 8.550604)〜Bax 交響曲第1番(NAXOS 8.553525)に至るまでその数膨大。
「English String Minitures Vol.2」〜ロイド・ジョーンズ/イギリス北部フィル(NAXOS 8.55068)というのが、たまたま手許にあって、有名無名の作曲家作品目白押し。Geoffrey Bush(1920-1998)なんて知ってました?これに似たようなタイトルのCDはたくさん出ていて、できれば全部買いたいくらい。

それと北欧関係が充実してきて、困っちゃいますよね。いつまでも「Sibelius /Grieg」ではあきまへんな。
Hugo Alve'n (1872-1960)「Orchestral Works, Val.1」〜ウィレン/スコティッシュ・ナショナル(NAXOS 8.553962)〜この類のものはいくらでもあるし、やはり冷涼な響きは日本人好み方面か。
「Scandinavian String Music」〜シュトゥッド/ボーンマス・シンフォニエッタ(NAXOS 8.553106)、「Finnish Orchestral Favourites」〜プヌーラ/トゥルク・フィル(これは渋い演奏家!NAXOS 8.555773)〜なんていう、英国ものと似たようなシリーズも目白押し。

 ・・・と、いうような傾向のものをしっかり聴き込んでみたい〜嗚呼、人生は短いな。

(2003年9月1日)



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written by wabisuke hayashi