日本語の誤用・慣用

1998年信楽の狸大群
1998年信楽の狸大群

なんか5月は東京出張3回もあったし、ずっと体調悪くて苦しみました。本来は一番過ごしやすい季節なのに、風邪は流行っているみたいで、お互い気を付けたいものです。挙げ句、ラストは季節外れの台風まで来ちゃうしね、異常気象か。最近、読書量が激減しているが、それでもオモロい本に出会うものです。

国広哲弥「日本語誤用・慣用小辞典」(講談社現代新書)〜ワタシ、某大学の文学部を出ているが、な〜んも勉強しなかったし、サイト上でも誤字脱字の嵐なのは周知の通り〜たまに自分で発見して肝を冷やすこと再三再四〜いまでもあるんだろうなぁ、いっぱい。恥ずかしい!教えてね、発見したら。

で、この本を読むと、ほとんどが納得できるが、自分でも「アヤしい」と思う表現に出会います。「汚名挽回」〜これって間違いなんですよね、「汚名返上」と「名誉挽回」が複合してできた誤用です。なるほど。「的を得た」は有名でしょ?これは「的を射た」と「当を得た」の混同。「印籠を渡す」〜水戸黄門が好きなんだね、これは「引導を渡す」(弔いをして、ちゃんとあの世に送ってあげること)が正しい。

言葉は生き物なので、誤って使われているうちに、正規表現として定着することはあって、そうだな、代表例は「全然」かな?かつては否定形が続いたんだけど、いまじゃ肯定でもおかしくないですよね。「ほとんどビョーキ」〜これも本来的な運用から見るとおかしいけど、使い方として広がりそうな気配がある。驚いたのは「耳ざわりが良い」〜これは誤りとは言えなくなっているんだって。驚き。

「耳障り」がもともとの意味だから、「耳あたりが良い」が正しい表現だと思うけれど、「肌触り」という表現があるでしょ?あれとの連想で「耳触りが良い」というのも有、らしい。でも、やっぱりおかしいな。「目障り」というけど、「目触り」とは言わないでしょ。ちなみに「気障(きざ)」というのは、気障り(これは死語かな?)から派生した言葉だそう。

ワタシが誤りを自覚しなかったのが「濡れ手に粟(あわ)」のアクセント。「あわ」のアクセントは「あ」が正しいそうです。たいてい「わ」を上げるでしょ?そうなると、「泡(あわ)」になってしまってバブル。そうか。正直「おざなり」と「なおざり」の区別は自信が持てません。「押しも押されぬ」〜これは「押しも押されもせぬ」が正しいが、もしかしたらずっと誤って使っていたかも。「気がおけない」「気がおける」の誤用について、説得する自信は正直ありません。

なにげなく聞いていて、「ああ、この表現なんかへんだ」というのってあるでしょ?まるっきり反対の意味で使っている人もいますよね。(例示では、辞去されるPTA会長が「ワタシは役不足ではありましたが・・・」と。これは「チカラ不足」ですよね)例えば、最近、若い女性が使う「ワタシって***な人でしょう」という表現。「人」という言葉には軽度の敬意が込められているそうで、自分で自分に敬意を表するような感覚は日本語には本来なかったんです。

そういう誤用・慣用の所為をわかりやすく明示してくださって、さらに「この言い方は定着するかも知れない」との丁寧なコメントもあります。三省堂の国語事典がもっとも意欲的に新しい言い回しを採用しているそうです。

で、問題。以下の言葉でなにがおかしいかわかります?

「ご近所の皆様、まいど、おさがわせしております。お馴染み、チリ紙交換車でございます」

(2003年6月1日)



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written by wabisuke hayashi