Gershwin 「ラプソディ・イン・ブルー」「パリのアメリカ人」
(レナード・ペナリオ(p)/フェリックス・スラットキン/ハリウッド・ボウル交響楽団)


FIC  ANC-37
Gershwin

ラプソディ・イン・ブルー
交響詩「パリのアメリカ人」

Grofe

組曲「グランド・キャニオン」
「日の出」「赤い砂漠」「山道をゆく」「日没」「豪雨」

レナード・ペナリオ(p)/フェリックス・スラットキン/ハリウッド・ボウル交響楽団

FIC ANC-37 1956年録音  中古250円入手

 ヤフオクCD処分も断続的に10年目に入っております。最初はバラ売り入手したものが全集一気激安再発売されたから仕方がなく〜やがて在庫厳選目指して”総量規制”へ、そして本格的に”データ拝聴”を始めたら”在庫削減”へ。更には華麗なる加齢を重ねて”身辺整理”へと至っております。CD媒体としての寿命もぼちぼち先が見えて、やがてLPみたいになっちまうのか。一枚3,600円!だった時代は夢のように値下がりしております。せめて、聴き手の音楽に対する尊厳だけは失わぬよう自戒いたしましょう。

 これは1990年台前後、当時激安@1,000ほどで出現した罰当たり”駅売海賊盤”。未だ現役?BOOK・OFF@280コーナーでは見掛けますよ。このCD前回コメント更新が2003年=十数年前時点既に@250入手しているから、当時既に相場底値に至って現在ではヤフオクでも処分しようがありません。(昨日バルクセールに潜り込ませて送ったけど)現棚中在庫は60枚ほど残。こうして現役で聴けるのもちょいと感慨深いものでしょう。閑話休題(それはさておき)

 レナード・ペナリオ(Leonard Pennario, 1924-2008)は往年の亜米利加名ピアニスト、フェリックス・スラットキン(Felix Slatkin, 1915-1963)はレナード(Leonard Slatkin, 1944-)の親父さんです。ハリウッド・ボウル交響楽団はコロムビア交響楽団(ブルーノ・ワルターで有名)と同一団体らしい。写真を見ると顔や体つきがよう似ている。ステレオ初期1956年録音は廉価盤LP(セラフィム1000シリーズ)にて昔馴染み、たしか米Capital録音でしょう。久日の拝聴に音質再確認したら、その現役鮮度に仰け反りました。時代相応のヒスっぽい感じはちょっぴり、これはLP板起こし(?)の駅売海賊盤だからか、全体に編成は小さく感じます。NMLにて拝聴可能

 中学生の時に出会ったのがレナード・バーンスタイン(1958年/CBSコロムビアのLP)それは音楽室にありました。そのジャジャィな衝撃に爾来、Gershwinはお気に入り、十数年前に言及ある音源はすべて揃えて現在に至ります。BachMozartを別格にすれば「展覧会の絵」「春の祭典」辺りと並んで、いつも聴いている音楽の代表也。ペナリオは当時、30歳代前半の若手、上手いもんです。その豊満な明るさ、ノリの良さ。ここ最近の怜悧機械的切れ味たっぷりな超絶技巧とは風情が違って、厳密な専門筋だったら「何小節目で指が回っていない」とかご指摘されるのかも。アツいウイング感というかタメ、グルーヴィーな高揚最高。

 スラットキンのオケはもっと凄い。ブルーノ・ワルターでBeeやんとかBrahms弾いていたオケ?ほんまでっか。トランペットとかサキソフォーンとか、そのセクシーなインパクトはいかにも亜米利加西海岸、これが母国の音楽といった誇りを感じさせて、このサウンドでWagnerとかBruckner演っちゃいかんでしょう。変幻自在な「ラプソディ」にカットなし。(バーンスタインはカット有)これは天才のワザでもオケーストレーションはGrofeによるもの、「パリのアメリカ人」(1928年)はニューヨーク・フィル初演、こちらの作品完成度はもっと上かと。シンフォニック・ジャズって云うんでしょうか、ワタシの音楽嗜好を決定付けた作品であります。(バーンスタイン/1958年)十数年前のコメントにあるように

金管の合いの手がスウィングして、「味」がちゃうんですよ。この細部の「味」〜音のお尻が踊ってます
 当時最先端の大都会パリに行った、亜米利加のお上りさん、タクシーのクラクション、ご当人の心象風景、ぜんぶ音になっております。”お国もの”への盤石な自信を感じさせました。最高。

 組曲「グランド・キャニオン」を聴いて連想するは、日曜夜の「ディズニーランド」(Disneyland)」(ウォルト・ディズニー劇場1958-1972)「山道を行く」はグランド・キャニオン雄大な情景を連想させるゴージャスな金管にノンビリとしたロバの蹄のユーモラスな対比。これはアメリカ版「アルプス交響曲」〜ぐっと親しみやすい庶民の音楽でしょう。眼前に亜米利加の雄大な風景情景が広がります。これはベルリン・フィル辺りが演っちゃあかん音楽かと。この音源は現役みたい。一部の噂ではノイズを抑えて鮮度がちょいと落ちているらしい。

(2017年2月12日)

 ま、バカのなんとか、と呼ばれるのを覚悟でこの曲は好きだなぁ。CDが安かったら無条件で買っちゃう。

 ワタシのサイトも最新技術を導入して「サイト内検索」しちゃうと、けっこうありまっせ、Gershwin。NAXOSのヘイマン盤、プレヴィン/コステラネッツの名盤、シュテッキヒトのドイツ演奏、小澤/サンフランシスコの「アメリカ人」作曲家自身のピアノロール版ポール・ダニエルの「アメリカ人」・・・・どこかの「近況」で、ま、もっとも有名と思われるバーンスタイン盤(旧録音)に言及した記憶もある。

 じつはね、棚にはまだまだ眠ってますよ。プレヴィンは大好きだから、LSO盤も、ピッツバーグ響盤ももちろん揃えている。スタインバーグの「ラプソディ」(ヘスス・マリア・サンロマ)は手に入れる術を持たないが、「アメリカ人」は早くに買いました。たしかワールト/ハース盤は棚を探せばあるはずだし、ガーシュウィン自身の放送録音もHistoryレーベルで買いました。いや、もう散々〜キリがない。

 で、これですよ。いつものご近所BOOK・OFFで発見して色めき立ちましたね。ワタシ。これ、LP時代も愛聴しました。なんせタップリ収録のお徳用盤。演奏評価はどうだったかな?これね、音質最高(ちょっと言い過ぎか)なんです。250円。買わいでか!もってけ、さぁ・・・・という顔でワタシを待っていましたよ、このCD。よしよし、いま連れて帰るけんね。

 さあっ「ラプソディ」始まりました。冒頭のクラリネットの節回し、風合い、Brahms 辺りとは縁のない屈託なさ。金管の合いの手がスウィングして、「味」がちゃうんですよ。この細部の「味」〜音のお尻が踊ってます。これ全編そうですから、他の演奏と比べていただきたい。明るく、健康で若々しいセクシーさが溢れこぼれます。ジャズの音でしょ、コレ「未来はすべて明るく豊か」という希望に充ちた時代の音そのもの。

 レナード・ペナリオ(1924〜)さんね、この人、1950年〜60年くらいに掛けて大活躍したアメリカのピアニストで、音色が明るくて、よく鳴って、腕が良いこと。Rachmaninov 作品の録音(まさに本場ハリウッド映画だね)が知られているし、Prokofiev、Bartok'なんつう難しそうな作品もバリバリ弾いちゃう人。でもやっぱりGershwinが一番似合う。

 ちゃんと弾く、とか上手く弾く、といった問題じゃなくて、「ノリ」なんです。もちろんメチャ上手ですよ、でもね、そこだけが問題じゃない。この自由闊達なる「ラプソディ」に相応しいリズムの呼吸があるんです。これ、やっぱ「おクニもの」と呼んじゃマズいっすか?もちろん、カットもなくて全部弾いてます。ちょっとした旋律のタメ、走り、アク、クセ〜これ表面だけマネしてもこう楽しくはなりません。

 ま、機会があればぜひご試聴を。バーンスタイン、プレヴィン辺りとはちょっと方向性の違う「現場感覚」みたいのが感じ取れるはず。餅は餅屋。


 ハリウッド・ボウル交響楽団というのは実在のオケで、ストコフスキーとの録音も存在します。レナード・スラットキンの親父が指揮して、ゴキゲンです。ま、「ラプソディ」のバックも、超緻密な細工を誇る「アメリカ人」にせよ、効果抜群の「大峡谷」にせよ、オケが上手くてよく鳴らないと面白くない。当然、猛烈に上手い。

 この「上手い」という意味あいが、ベルリン・フィル辺りとまったく方向性が違うと思いますね。アメリカの音楽に相応しい体質みたいなものがあって、屈託なさ、ノビノビとした楽しさは「上手い」だけではどうしようもない。この響きでのBRUCKNKERは聴きたくない。じつはウィンナ・ワルツの録音も(フェリックス・スラットキン/ハリウッド・ボウル響で)ちゃんと存在するけど、なんとなく違和感あるもんですよ。

 なんか適度なラフさと、オーバーアクションが決まっているし、アンサンブルは緻密と評価しても間違いではないが、そういうものを求める音楽でもないでしょ。「アメリカ人」は、なんかザワザワして、うるさくて、そわそわするような、ウキウキするような音の連続でした。こんな美しさがあってもいい。

 「大峡谷」はあんまり真剣に聴くような音楽でもないが、大好き。あんまりムツかしいこと言うのは止めましょ。これは親密でとても美しい。どうしてもオケを豪快に鳴らして、スケールを一杯に広げたい音楽だけれど、けっこうツボを押さえて、繊細な雰囲気が出ている演奏だと思います。

 この弦はRachmaninov の世界だな。トロリと砂糖甘い。「豪雨」に於ける緊張した厳しい表情(ピアノがゴロゴロという雷鳴を表現か)も出色。LPでは実際の雷が入っていたような記憶もあったが・・・と思ったら、ちゃんと一撃ありました。金管の力量も本物でしょう。(2003年3月7日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi