NYO(ナショナル・ユース・オーケストラ・オブ・グレート・ブリテン)50周年


CarlTON 15656 92002* Elgar 威風堂々 作品39第4番ト長調
ジャックス指揮(1948年録音)

Rossini ソワレ・ミュージック(ブリテン編)
ススキンド指揮(1959年録音)

Debussy 交響的素描「海」
ブーレーズ指揮(1971年録音)

Holst 組曲「惑星」より「木星」
シーマン指揮(1977年録音)

Sibelius 交響詩「大洋の女神」作品73
エルダー指揮(1989年録音)

Gershwin パリのアメリカ人
ダニエル指揮(1996年)

以上 ナショナル・ユース・オーケストラ・オブ・グレート・ブリテン

CarlTON 15656 92002  $2.99。

 日本にもジュネス・ミュージカル管弦楽団があるように、イギリスにも若人のオーケストラがあるんですね。こうしてちゃんとCDにして売り出すのも立派な姿勢ですが、ブーレーズやススキンドのような一流の指揮者が振っているのにも注目。

 レジナルド・ジャックスというひとは聞いたことがありませんが、威風堂々はいかにもイギリスらしい曲で顔見せ。この辺りでは、まだ微笑ましい素人の演奏です。

 往年の巨匠ススキンドが、ブリテンの楽しい「ソワレ・ミュージック」を録音してくれていたのは嬉しい限り。この曲は、LP時代セラフィム1000シリーズでアーヴィング(だったかな?)の指揮で出ていて、お気に入りでした。ここでのNYOは、かなり技術的に練り上げられて立派な演奏ぶり。

 そして、このCDの目玉〜ブーレーズの登場。既に60年代にNPOと「海」を録音してしてましたが、こんなライヴ録音もあったとは驚き。この人は、アンサンブルを洗練させることにおいては超一流の腕前で、素人の演奏とは思えないかなりの仕上がりです。ライヴゆえ、緻密さは少々落ちるが、勢いと熱気は感じさせます。いつもながらの明快な指揮ぶりに、最後は珍しくアッチェランドもかかり、観衆の熱狂も凄い。

 「木星」もイギリスものの代表選手。「海」よりいっそう演奏は洗練され、この団体の成熟を感じさせます。録音のせいもあるのでしょうが、音に厚みが増しています。

 エルダーはウィッグルスワースと並んで、イギリスの期待の星。「大洋の女神」はシベリウスのなかではマイナーな曲で、ワタシは初耳でした。タピオラや後期の交響曲に通じるような幻想的な名曲と思います。
 演奏はみごとで、ここまでくると素人の演奏とはまったく気付かない。弦も管もニュアンス細かく、神経が行き届いたすばらしい出来。

 「パリのアメリカ人」もかなりノリノリの演奏ですが、若人ながらそこは紳士の国のオーケストラ、いまひとつ上品さが過ぎるというか、生真面目さも感じさせてしまう。(管楽器のスウィング感が足りない)技術的にはかなりのもんですよ。上手いもんです。

 全曲で74分、そうとうに楽しめます。音の状態は年代相応ですが、放送用録音からかなりよい状態のものが選ばれていて貴重。国内盤じゃ、まず発売されない一枚でしょう。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi