Prokofiev/Bartok ピアノ協奏曲第3番(ペナリオ(p)/ゴルシュマン/セントルイス交響楽団)


Prokofiev/Bartok ピアノ協奏曲第3番(ペナリオ) Prokofiev

ピアノ協奏曲第3番ハ長調 作品26
バレエ組曲「道化師」

Bartok 

ピアノ協奏曲第3番

ペナリオ(p)/ゴルシュマン/セントルイス交響楽団

EMI 7273 5 67312 2 6  1953年録音   500円で購入

 米Capital原盤。「音楽は虚心に〜」なんて大嘘で、ワタシは先入観バリバリでCDを購入し、演奏内容を事前に完全予測しつつ聴き始めます。初耳無名演奏家を聴くのが趣味でもあるし、予測がピタリと当たることも滅多にないのですが、このCDほどの「ビンゴ!」は久々。いやはや、もうたいへん。

 ペナリオとかゴルシュマン辺り、1950年代のアメリカで活躍した人々のCDなんて滅多に出ないでしょ?これ、東京に出張したときの池袋WAVEにて、売れ残り処分カゴからの掘り出し物です。似たようなの3枚買ったウチの一枚で、モノラル録音だし、誰も買いませんわな、こんなCD。日本じゃセントルイス響は、スラットキンから辺りしか評価されていないし。

 でも、1950年代というのはアメリカの黄金時代でして、豊かさと未来に対する揺るぎない確信みたいなものが感じられて、それは音楽も同じ。ゴルシュマン(1893-1972)はパリ生まれのロシア人で、アメリカで活躍した往年の名指揮者なんです。ペナリオは1924年生まれのアメリカのピアニストで、おそらくまだ存命。この二人、知名度はともかく録音も膨大です。

 Prokofievのハ長調協奏曲って、俗っぽくて嫌いです。わかりやすくて、いかにも腕利きのピアニストの見せ場ミエミエ!ってな曲でしょうか。アメリカン50'sコンビなら、爽快なノーテンキさが味わえるに違いない・・・と期待も高まりつつ流れ出した音楽こそ、おお、これじゃぁ、と感激しきり。

 オケのテンションの高さ、ピアノは曇りのない明朗なテクニックに乗って軽快に走ります。なんの逡巡もない、晦渋な哲学とも縁がない、とにかくバリバリ弾き進んでいくが、明るい音色に寸部の濁りもないんです。早めのテンポ、「陰影に乏しい」なんていう人もいるかも知れんが、そんなことを期待するほうがまちがっておる。

 あちこち甘い雰囲気もまき散らして、オケのテンションも高い。アンサンブルは優秀だけれど、「深い味わい」なんて寝言の世界ですよ。聴き手の精神状態にやや疲れがあれば、この演奏は元気良すぎて、うるさく感じるかも知れません。日本で言えば高度成長「モーレツ」時代ですから。体力の続く限りダンス・パーティーは続きます。若さです。素晴らしき青春時代。

 さて、Bartokはワタシの守備範囲でして、よく聴くんですよ。ピアノ協奏曲はやや難解かな?彼の「白鳥の歌」ですよね。(ナント、初演の指揮はピエール・デルヴォーなんですね。1948年〜なんだ、この録音の数年前じゃないの)ペナリオにかかると「この曲って、こんなに明るく、わかりやすい曲だったの?」状態。基本的に、さきのProkofievと同一方面演奏でした。

 でも、もともと苦渋のエッセンス含みの曲ですからね、ワタシにはいっそう楽しめました。曲本来が所有している「美しい旋律」を際だたせる演奏でもあります。美しいが、なんか「乾いた美しさ」っぽくて、この曲の印象を一変させております。(第2楽章のリリカルな味わいを堪能してください)正直、曲の格が違う(ん?音楽に貴賤なしだけれど〜)ということでしょうか、感動の度合いもいっそう高まってしまう。

 ペナリオはTchaikovskyを聴いたときには「粗っぽい」と思いましたが、曲との相性でしょうか、完成度は相当に高いと思います。ゴルシュマンも伴奏名人なんでしょう。

 「道化師」は初耳。「Full Dimentional Sound」とかいうシリーズで、録音が明快なんです。これほどの水準だと、モノラルでもほぼ問題なく楽しめます。多彩なオーケストレーション、頻繁に変化するリズム、夢見るようにハジける旋律、なかなかの名曲じゃないですか。アメリカじゃ、けっこうロシア音楽は人気なんですよね。

 日本じゃCDだってアバド盤くらいしかないでしょ。これは掘り出し物の一枚でした。(2002年9月6日) 


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written by wabisuke hayashi