Stravinsky カプリッチォ/バレエ「火の鳥」(1919年版)/
詩篇交響曲(エルネスト・アンセルメ/ロンドン・フィル他)


CENTURIONCLASSICS  IECC10006-9 10枚組1,990円のウチの一枚

Stravinsky

管弦楽とピアノのためのカプリッチォ

コンセール・ストララム/ストラヴィンスキー(p)(1930年)

バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
詩篇交響曲

エルネスト・アンセルメ/ロンドン・フィル/合唱団(1947年)

CENTURIONCLASSICS  IECC10006-9 10枚組1,990円のウチの一枚

 アンセルメはステレオ時代まで長命を保って多くの録音を残したが、モノラル時代から著名だったらしい。パブリック・ドメインとなってからは安価でCDを入手できるようになりました。Ravel /de Fallaとか「ペトルーシュカ」、Handel /Haydnなんてのもありましたね。「展覧会の絵」も良かった。意外と音質も良好であって、楽しめる演奏ばかり。「カプリッチォ」はEMIから出ているものと同じものでしょう。こちらSP復刻モロ、といった風情の音質だけれど。でも、妙にリアル。針音は消して、かなり曇った感じ。

 以前も感じたことだけれど、強面なヘルベールト・ケーゲル/レーゼル(p)に比べ、ずいぶんとノンビリ(と言っては失礼か)して、一方、前衛が前衛であった時代の不安を感じさせます。全然カッチリしていないし、バリバリとした推進力でもない。オケもピアノも手探りで、そろりそろりと様子を伺っているような、時に止まりそうになって、味わい深い演奏であります。ま、腕の立つ若手で激しく聴きたいような気もするが、好きですね、こんな感じ。終楽章「アレグロ・カプリッチーソ」はほとんど”ユーモラス”なノリに至っております。たしか初演の翌年の収録。

 「火の鳥」は、ワリと最近まで1919年組曲版(第2組曲との表記は妙)が録音での主流でした。LPでの収録時間とか楽器編成が問題だったのでしょう。既に収録は戦後に至っているが、このCDでは先の1930年録音とエエ勝負の音質也。ロンドン・フィルとは三大バレエを録音していたんですね。当時としては画期的であり、Stravinskyのスペシャリストとしての名声評価もあったのでしょう。サッパリとしたタメのない旋律の語り口、オケの色彩感も充分(かなり上手い)、どんよりとした音質から妖しい雰囲気が立ち込めます。

 「カスチェイ王の踊り」と「子守歌」に経過部はないのは、SP収録の都合だったと思うが、そういったパターンの録音は他にもあるんです。後のスイス・ロマンド管弦楽団(1955年録音/全曲版)との録音より、こちらのほうがアンサンブル的には優れているんじゃないか。陶酔的な「子守歌」を経、「終曲」の管楽器爆発にロンドン・フィルの実力を感じさせました。

 「詩編交響曲」は「声明」(しょうみょう)に聞こえるんです。専門の方にはバカにされるんだろうが、ようはするに坊(ぼん)さんの説教風ですよ。三大バレエからずっと隔たって、浪漫の欠片もない乾いた情感に充ちて、ワタシは大好きなんです。チェロとコントラバス、2台 のピアノと管楽器、混声合唱といった特異な編成だけれど、金管にはミスが目立ちます(当然作品に慣れていなかったんでしょう)。最近のカッチリとした演奏に比べると、第2楽章(詩編39番)はリズムよれよれ、それでも合唱は頑張っているし、妙に(やはり)”妖しい雰囲気”で一杯なんです。

 終楽章(詩編150番)に於ける金管は溌剌としており、キレもあります。リズム感もよろしく、荘厳なフィナーレに至って音質云々を忘れさせて下さいました。そういえば、アンセルメはこの作品の初演者だった(1930年ブリュッセル)とのこと。

(2010年6月11日)


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written by wabisuke hayashi