Handel 合奏協奏曲 作品6-4/6/12
Haydn 交響曲第101番ニ長調「時計」(アンセンルメ)
Handel
合奏協奏曲 作品6-4/6/12
アンセルメ/デッカ・ストリング管弦楽団(1929年)
Haydn
交響曲第101番ニ長調「時計」
アンセンルメ/スイス・ロマンド管弦楽団(1948年)
CENTURIONCLASSICS(IECC10006-3) 10枚組1,990円のウチの一枚
このHandel はアンセルメの初録音だそうで、Haydn含め”ヲタク”な音源であります。つまり”10枚組1,990円”じゃないと、激安でなければ絶対に出会う可能性のない録音でした。ワタシはアンセルメを特別特異に贔屓にしているわけでもなし、ムリして大枚はたいて購入!オークション入札!みたいなことはあり得ないんです。でも、安かったら、こうして音にして楽しめる、ということです。新しい見聞が広がる、ということか。
バロック演奏はディジタル時代を境にガラリと様子が変わって、軽快溌剌リズムが躍動するものになってきました。フル・オーケストラの日常レパートリーからも少々疎遠になったような〜現代楽器古楽器に関わらず、小編成の専門団体でしか聴けなくなりつつあります。1960年代(もしくはそれ以前)には、カラヤン、マゼール、ミュンシュ、ホーレンシュタイン、シェルヘン、ライナー・・・(キリがない)など、意欲的なバロック音楽録音がたくさんありました。でも、このアンセルメの存在は知らなかったな。
Handel の合奏協奏曲集 作品6はワタシのお気に入り作品です。1929年の太古録音、針音も賑やかなSP復刻、しかもマニアには評判よろしくない”激安盤”、更にオーディオには疎いワタシの耳であることが前提だけれど、想像を超えた聴きやすい(ずいぶんとマシな)音質でした。オーディオ機器との相性もあるのかな。アンセルメは他に作品6-2/3/10の録音があるらしいが、ここでは短調ばかりの作品3曲を収録。
アンセルメのHandel とは少々イメージできない世界だけれど、ポルタメントも豊かな穏健派の世界であります。もちろんここ最近のリズムの切れ味とはほど遠い、のんびりまったり系演奏であり、テンポ・ルバートも絶滅してしまったスタイル。それでも戦前の巨匠たちの物々しい、異形なる巨魁な演奏とはまったくちがっていて、重くない。軽快とは言い難いが、腰がカルいのはあながち音質問題とばかりは言えないと思います。
合奏協奏曲 作品6を聴くための”ファースト・チョイス”とはなり得ないが、Handel 好きな人にそう違和感はないでしょう。時にこんなかそけき響きに耳を傾けるのも悪くないか。
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「時計」のほうはぐっと音の鮮度は上がるし、音楽の様子も明快に理解できます。つまり快速テンポによる、前のめりの颯爽・・・過ぎて、ややアンサンブルがラフになる第1楽章。「時計」の由来となった第2楽章「アンダンテ」はノンビリとリズムを刻み、途中の大爆発による強奏(これもアンサンブルは緻密と言えない)の対比は素晴らしいが、あくまで響き重くはなく、むしろ薄い・・・後半に至ってフルートの絡み(朗々と明るい)で冒頭のリズムが戻ってくるところのほうが、その個性に似合っていると思います。
第3楽章「メヌエット」は颯爽と晴れやか軽やかであり、終楽章は第1楽章同様の快速で、やや落ち着きのない味わいが個性的です。いずれ、夏の陽光のような、カルく、少々薄いような、楽しげな響きであります。独墺系ではない。 (2006年4月8日)
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