Dvora'k チェロ協奏曲ロ短調 作品104いまさら、ということでしょうが、たくさんCDを買っていることに価値はありません。どれだけ音楽を楽しむのか、ということが問題なのでしょう。人様のサイトを云々するつもりは毛頭ないが「ワタシはこういうCD(音源)を持っています」という一覧を掲載されている方がいらっしゃるでしょう。一歩進めて自分なりの「価値評価」をぜひ掲載していただきたいもの。 表題の「Dvora'k チェロ協奏曲ロ短調 作品104」ですが、2003年5月音楽日誌にて「クルマ(珍しく自家用車で行った)の中、Dvora'kのチェロ協奏曲〜フルニエ/セル/ベルリン・フィルをガンガン鳴らしたら、有無を言わせぬ感動の嵐が襲ってくる。 フルニエの完璧なる技巧〜それがあざとさを伴わず節度と気品漂う。そしてセル!コレ、史上最高の組み合わせじゃない?いかなる細部も忽せにしない、充実しきったオーケストラの名人芸と厳しい統率の止揚(アウフヘーベン)。これぞ真の美しさの意味か?」〜なんて、わかったふうなことを書いてしまって、それをキッカケに久々集中して在庫確認・演奏確認をしました。 正直、ボケが進んでいるとみるべきか、驚くほど大量にこの曲のCDが棚から出現!ほとんどその存在は忘却済み!もしかしたら、まだまだあるのかも!って、どうしてこんなことになってしまったんでしょう。ま、誰でも知っている作品だけれど、ワタシなりには
1) おそらくすべてのチェロ協奏曲中の最高峰であること 〜てな曲の感想かな?既に、このサイト開設初期には「カラヤン/ロストロポーヴィチ」の白熱の演奏を賞賛しておりました。そういえばカサドによる滋味溢れる演奏もあったな。ああ、トスカニーニ/エドモンド・クルツなんてのも掲載済み。(どれも書き直したい)以下、やや順不同ながら・・・反省も込めて。 CDレーベル・番号・価格は写真のところにマウスを持っていくと出てきます。(インターネット・エクスプローラー、またはそのエンジンを使っているブラウザのみ) (追加!) シュタルケル/ススキンド/フィルハーモニア管弦楽団(1956年)〜シュタルケルは持っていたよなぁ、と数日間悩んでいたらとうとう発見!後、数回録音しているが、コレちゃんとしたステレオ録音なんですよ。いやはや巧いね、このチェロ。けっこう楽々・すいすいと演奏したみたいで、難曲を難曲と感じさせない。こだわりなく、けっこう素直に表現したみたいで、聴いていて気持ちがよい。なんか「燃えるようなパッションを!」「一演入魂!」的入れ込みじゃなくて、「このくらいはいつでも弾けるけんね」みたいな味わい有。ススキンドのバックは出しゃばらず、不足せず状態で、オーケストラも上手い。録音も予想外に上々。
(追加!)ロストロポーヴィチ/小澤征爾/NHK交響楽団(1995年)〜これは「Classic Music Air Check Collection」にて。(以上2003年6月20日追加) カザルス/セル/チェコ・フィル(1937年)〜カザルス61歳の有名な録音だけれど、ワタシはFMエア・チェック・カセット→MDにしたもの。音質良好。そろそろCD買おうかな?雄弁な表現が貫禄充分、チェロ奏法にもまったく旧さを感じさせない。技術的にも完璧だけれど、この荘厳なる雰囲気はなに?セルのバックはこんな時代から完璧のアンサンブル。チェコ・フィルの響き(とくにホルン)がなんと懐かしい。正直、これほど感銘深い演奏とは!と再確認。
フォイアマン/バージン/ナショナル・オーケストラル・アソシエーション(1940年)〜これはカーネギーホールのライヴ。「チェロでツィゴイネルワイゼンを弾く」との謳い文句で有名なる往年の技巧派(1902-1942)です。アセテート盤からの復刻にしては意外と聴きやすい音質でした。これ、かなり「カッコ良い」演奏で、旋律の歌わせかたが、いかにも流線型です。ライヴならではの、前のめりのノリも有。現在では、逆にちょっと時代を感じさせるが表現かも知れないが、好きな人は好き!といったアツい演奏。無茶苦茶上手い!
トスカニーニ/NBC交響楽団/エドモンド・クルツ(vc)(1945年1月28日ライヴ)〜 トスカニーニの録音にありがちの、奥行きと潤いの少ない録音が損をしているのか。ソロの技巧は完璧、音色は明るくてよく歌います。バックはモウレツにテンション高いが、もう少しシミジミ、じっくり聴かせてよ、というように感じますね。ちょっと一本調子か。これはもっと良い録音条件とか、ナマで聴けば印象一変すると想像されます。
オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団/ピアティゴルスキー(vc) (1946年)〜ピアティゴルスキーの旧録音。音質かなり良好。ソロの音色美しく、やや演歌っぽい節回しも良い感じだけれど、細かいヴィヴラートを嫌う人もいるかも知れない。ま、何回も録音するくらいだから技巧的には文句なし。第2楽章の繊細なる表現が聴きもの。オーマンディの上手さ、オーケストラの美しい響きに惚れ惚れしますね。後年のサヴァリッシュ時代より、ずっと上だと思う。
ロストロポーヴィチ(vc) /ハイキン/モスクワ放送交響楽団(1950年表記。実際は1957年らしい)〜残念ながら第2楽章のみ収録。いったい何種の録音があるかワカラン彼だけれど、いや、まったく、なんつうかぐうの音も出ないほど凄い。あまりに評価の高いチェリストだし、「お下品」と嫌う人もいるでしょ?でも、ソロが最初の一音を発すると、もうぐぐっと引き込まれて、ひたすらその詠嘆に痺れてしまう。カラヤン盤を(この一文執筆時点で)再聴してないが、正直怖いくらい。ハイキンのバックも極上。ビロビロのホルンに泣けます。全曲欲しい!音質良好。(その後、全曲盤を入手) ミュンシュ/ボストン交響楽団/ピアティゴルスキー(vc) (1960年)〜ピアティゴルスキー16年後の録音。ミュンシュのかなりアツいバックも楽しめます。旧盤では「録音の関係か?」と思っていたけれど、チェロの音色が少々カルく、明るめか。テクニックはわずかに衰えていて、やや味わい系に移行している。これはこれで立派な、スケールの大きな(とくにミュンシュは)演奏だけれど、正直、延々と名録音を聴き続けるともっさり気味に聞こえなくもない。音質は悪くもないが、大音量で音が割れるのは気になる。 シェルヘン/スイス・イタリア語放送管弦楽団/フルニエ(vc) (1962年ライヴ)〜セルとの録音とほぼ同時期(2ヶ月早い4月)のライヴだから、フルニエはこの曲をひっさげてあちこち演奏して回っていたのだね。ソロの技巧は完璧、気品があって、凛として、そしてライヴならではの一層のアツさが上乗せされる魅力。オーケストラはベルリン・フィルのようにはいかないが、ずいぶんと好演してそれなりに美しい。シェルヘンの指揮ぶりは余裕と熱気が同居しているような、やや前のめりなノリもある立派なもの。テンポはやや早めか。音質良好。でも、きっとオリジナルはモノラルと思う。 セル/ベルリン・フィル/フルニエ(vc) (1962年)〜「(再掲)クルマ(珍しく自家用車で行った)の中、Dvora'kのチェロ協奏曲〜フルニエ/セル/ベルリン・フィルをガンガン鳴らしたら、有無を言わせぬ感動の嵐が襲ってくる。フルニエの完璧なる技巧〜それがあざとさを伴わず節度と気品漂う。そしてセル!コレ、史上最高の組み合わせじゃない?いかなる細部も忽せにしない、充実しきったオーケストラの名人芸と厳しい統率の止揚(アウフヘーベン)。これぞ真の美しさの意味か?」セルの恐るべき充実は、同時収録されるElgarでの、ウィーレンシュテイン/ベルリン・フィルとの比較で一目瞭然。オーケストラが上手いだけじゃダメだよ。 ペルレア/ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団/カサド(vc)〜1950年代の録音?LP時代からお気に入りでした。響か。音質は想像以上に良好で、オーケストラもけっしてB級的響きではない。アダージョの感銘深い節回しに存在感も大きなソロ。そしてオーケストラのホルンの深いこと。但し、威圧感やら熱狂は少なくて、誠実で懐が深い。そして終楽章はしっかり盛り上がります。これは技術的にしっかりしていて、指揮者も含めて、地味ながら名人達の演奏なんです。この2枚組、録音やら演奏にややバラつきがあるが魅力的なセット。ぜひ探してみて。 ススキンド/セントルイス交響楽団/ネルソヴァ(vc)〜2002年にBRILLIANTで激安(500円)で出たDvora'k協奏曲的作品全部収録2枚組と同一。収録・演奏家いずれも魅力的。(価格も)ススキンドのセントルイス響在任期間は1968〜75年だからその辺りの録音か。そのワリに音質はややスカみたいな感じ。ネルソヴァは1980年代にインバルと録音しているし、大昔1951年にはクリップスとの録音も有。大ヴェテラン女流であり、この曲のスペシャリストでもある。ここでは録音のせいかな?呼吸が浅く、スケール小さめ、やや神経質に思えました。 カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー/ロストロポーヴィチ(vc)〜(1968年DG録音)海賊盤ですんまへん。こどもの頃、新録音で出たLPを胸ハズませて買いに行ったものです。ベルリン・フィルの鳴り方がセルとは違うんだね。もっとまったり甘く、広い〜しかし緩んでませんよ。ああ、ロストロポーヴィチのチェロは色気と切なさがあるね。これでこの曲に出会い、脳髄を染められているから、やっぱりコレ。なんという細部のワザ、鼻歌みたいに抜いちゃうところもあるし、ど〜んと大見得も切っちゃうターボ加速もあるし、極限繊細抑制もちゃんと有。そうなればもうカラヤンはガマンできない〜負けてなるものかと。もう、とことんオーケストラを歌わせて、フルートの確かな存在感、オーボエの目眩のするような輝かしい天上への響き、奥行き深いホルンの木霊、さわさわと遼原に広がる涼風を思わせる弦の魅力。うむ、録音が良いんだね、コレ。中低音が充実していて、派手さはないけど、自然。こんなクサい演奏に負けてなるものか、と思ったが、やっぱり負けました。 サヴァリッシュ/フィラデルフィア管弦楽団/グートマン(vc)〜(1991年)グートマンのBach は優しい味わいがあって好き。期待したけど、なんかぱっとしなしい演奏に聞こえます。おとなしく、盛り上がらない。サヴァリッシュ率いるフィラデルフィア管も、オーマンディに比べて落ちる気がする。録音が悪いのか?(デジタル録音だけど)ま、250円だし、現役の録音を聴くのも悪くないでしょ。この曲、女流には鬼門か?一緒に入っている交響曲第7番は、これはオーケストラの充実が味わえる立派な演奏でした。*その後、大幅に評価を変えました。(2004年11月) チェリビダッケ/スウェーデン放送交響楽団/デュ・プレ(vc)〜(1967年ライヴ)女流には鬼門か?ということでエース・デュ・プレをリリーフに投入。バックはいつもながら入念なる仕上げだけれど、この曲特有の民族的な節回しへの共感はない。デュ・プレの入魂は並ではない燃え方で、これはライヴならではのド迫力。チェリビダッケとの違和感がある、と見るべきか、逆に抑制が利いて(というか、彼の個性前面で)バランスが取れた、と評価すべきか難しいところ。いずれ、いつもいつも聴くべき演奏じゃないな。もの凄い演奏に間違いがいないが、ちょっと騒ぎ過ぎだったんじゃないの? 堤 剛/コシュラー/チェコ・フィルハーモニー〜(1981年)「いつもいつも聴くべき演奏じゃない」〜ならこれで。どうだ!オーケストラがね、最高なの。ベルリン・フィルとはまったく違った意味で、ココロに染み入るような懐かしい響き、節回しが横溢で切なくなる。そう、やっぱり民族の歌なのね、これ。堤さんはナマで聴いていて、ほんとうに立派な演奏と思ったが、ここでも同じじゃない。巨大なるスケールじゃないが、誠実で、的確で、シミジミ・ジンワリ系演奏の極み。コツコツ真面目にここまでやってきました、これからもね、な〜んてイメージあります。全然、話題にならなかった録音だし、これからも派手な存在にはならないだろうけど、なんか自分の「隠しCD」としてコッソリ楽しみたいような、草の香りのする演奏。 カプラレク(vc)/トューリエ/ニュルンベルク・フィルハーモニー〜(録音年不明)無名激安CD探求はワタシの原点です。聴いたことのない演奏家は、まず聴かないとなんともわからないのは当たり前でしょ。オーケストラは誠実だけれど、響きが薄めであること。ソロは素直で、サッパリした演奏であること。技術的にはなんら問題なし。この名曲を汚すような演奏ではない。目隠しテストで掛けても良いよ!小中学生が500円でこの曲に出会っても、まっすぐに音楽人生を歩めるはず。廉価盤を侮るなかれ。
で、一応結論〜また変わるかも知れないが・・・・
第1位!) 堤 剛/コシュラー/チェコ・フィルハーモニー〜コッソリ深夜に聴いてね。ヘッドホンでも良いかも。
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