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Dvora'k チェロ協奏曲ロ短調 作品104
(小澤/NHK交響楽団/ロストロポーヴィチ1995年ライヴ)


Dvora'k チェロ協奏曲ロ短調 作品104

小澤/NHK交響楽団/ロストロポーヴィチ(vc)1995年ライヴ)

(1995年1月23日サントリー・ホール・ライヴ)テレビ放送→ビデオへ

 先日、手持ちCDで「Dvora'k チェロ協奏曲ロ短調 作品104」を全部確認したものの追補です。じつはそれなりの量で、テレビ放映された演奏会ビデオがありまして、でも、映像方面はどうも得意じゃなくて、録ったものを見ることもほとんどありません。今回も、久々、この映像を確認しながら居眠りを・・・・失礼!

 これ「小澤32年ぶりにN響を指揮!」と話題になりました。インターネットを検索してみても、この情報はほとんど登場しなくて、ま、ワタシのサイトできちんと情報を残しておくことも大切かな、と思ったものです。1995年1月17日に発生した阪神大震災の被害者に捧げられたチャリティ・コンサート。当日は、Bach 「G線上のアリア」、Bartok'「管弦楽のための協奏曲」そして標記の曲が演奏されました。

 どんなことがあったのかは詳しく知らないが、「リハーサル・ボイコット事件」で両者の関係は断絶になったんですね。32年経てばオーケストラのメンバーも世代交代しているだろうし、氷解しても良い時期なんだろうけど、この後、このコンビ復活の話題はないはず。閑話休題。

 まず、震災で亡くなられた人々に対する黙祷の意味を込めて「G線上のアリア」を。弦楽フル・プルトによる濃厚かつ、細部に至るまで指示が行き通った演奏は感慨深いもの。挨拶もなく、当然拍手もなく小澤は下を向いたまま退場。

 Bartok'も神経質なくらい緻密で、細部を忽せにしない演奏。N響との相性良好〜ひじょうに綿密なアンサンブルが実現されていて、真面目な指揮者と真面目なオーケストラが組むとこんな成果になる、といった典型例のような演奏と感じました。(あくまで録音上の印象だけれど)N響の響きは乾き気味で、細部が粗い印象も持っていたワタシも、彼らの実力を再認識。

 あと、燃えるような情熱とか、血が滾るようなリズム感が欲しい、というのは個人の好みなので、いいでしょ?画像が伴うと、指揮者の意向がよくわかって興味深いもの。リハーサル風景もちょっと出てきます。でも、音楽に集中するなら画像はジャマかも知れない。

 *京都のH氏より投稿あり

小澤氏/N響のバルトーク、自分も当時ビデオに録りまして、今でも好きで良く見ます。

自分が見ていて猛烈に感動してしまうのは、チェロのトップの徳永さんの、普段は滅多に見られない嬉しそうな表情・・・。ご自身が誇りに思うオーケストラを小澤氏に深く知ってもらえるという喜びか、旧知の仲である小澤氏の凄さをオーケストラの面々に知ってもらえるという喜びか、そのどちらかなんだと勝手に想像しています。

小澤氏に投げかける視線、時折唇に浮かぶ微笑。本当に素敵です。
亡くなる直前の徳永氏は病気で痩せ細ってしまい、お顔を拝見するのも辛いほどだったのですが、徳永氏が元気で幸せそうに演奏するこの時の映像のおかげで、なぜか自分はホっとした気分になれます。

林さん、ぜひもう一度見てみて下さいよ!


 ロストロポーヴィチ登場。当時68歳で、ソロを取るにはギリギリの年齢かな?自分が思っているイメージからはかなり老けたし、太りすぎ(人のことは言えんが)感じも有。小澤のバックは、やはりかなり神経質に細部の指示を出していて、N響もほんとうに美しいと思いました。たいへん立派な演奏だけれど、わずかにリズムのタメに不足していて、軽く感じられるのはワタシの浅薄なる耳の実力故でしょう。

 ソロは文句なし。カラヤン盤で聴かれたような「技巧のキレ」は望むべくもないが、貫禄と豊かな歌心溢れて、胸を打ちます。往年の抜いたような鼻歌とか、あざといくらいの節回しはなくなったが、そのかわり誠実なる〜やはり、ここでも細部を曖昧にしない〜精一杯の演奏姿勢が画面から感じられます。

 たいへんな熱演!大喝采。舞台袖までカメラが入っていて、小澤が水を飲んだりする様子も出てきますね。アンコールはロストポーヴィチが被災者への思いを込めてBach 無伴奏チェロ組曲第2番〜「サラバンド」。これは音色は枯れているが、表現は劇的にロマンティックで思いっきりスケールがでかい。広大なる満員のサントリー・ホールに雄大なる音楽が広がりました。

 それに先立つスピーチで「拍手をしないで」との訴えに、黙祷で演奏会は終了しました。ああ、もうあれから8年経ったんだね。(2003年6月20日)


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written by wabisuke hayashi