Dvora'k 交響曲第7番ニ短調
(サヴァリッシュ/フィラデルフィア管弦楽団)
Dvora'k
交響曲第7番ニ短調 作品70(1989年)
チェロ協奏曲ロ短調 作品104(1991年)
サヴァリッシュ/グートマン(vc)/フィラデルフィア管弦楽団)
EMI TOCE-4067 中古250円で購入
「サヴァリッシュ/フィラデルフィア管弦楽団/グートマン(vc)〜(1991年)グートマンのBach は優しい味わいがあって好き。期待したけど、なんかぱっとしなしい演奏に聞こえます。おとなしく、盛り上がらない。サヴァリッシュ率いるフィラデルフィア管も、オーマンディに比べて落ちる気がする。録音が悪いのか?(デジタル録音だけど)ま、250円だし、現役の録音を聴くのも悪くないでしょ。この曲、女流には鬼門か?一緒に入っている交響曲第7番は、これはオーケストラの充実が味わえる立派な演奏でした。」〜これは2003年に「チェロ協奏曲ロ短調」ばかり集中的に聴いたときの感想でした。
このように相対的に新しくて、メジャーな演奏家による録音でもこんな価格(@250)で手に入る、ということです。グートマンのチェロ協奏曲が気に食わなかったのだろうが、交響曲の方はちゃんと馴染んでおりません。この作品は数種(5種?)のCDが手許にあるはずだし、もう20年くらいのお付き合いになるのに真面目に聴いていないんですね。「ありがたみ」がなくなっている、謙虚さが失われつつある・・・深く反省。
いえね、先日ジョージ・セル/クリーヴランド管の演奏(1960年)に痺れました。第8/9番はこどもの時から大好き!でもさ、このニ短調交響曲の魅力も忘れちゃいけない。第8番ト長調第3楽章の哀愁の旋律は切々と胸に迫るが、こちら「スケルツォ」だってもっと劇的!悲劇!的感銘に溢れ一歩も引かない説得力有。嗚呼、こんな魅力的な作品に馴染んでいなかったなんて・・・罰当たりなワタシ。
「交響曲第7番は、これはオーケストラの充実が味わえる立派な演奏でした。」と昨年のワタシは素っ気ないことを書いておりますね。弦の輝くような艶、文句ない技巧の冴えに往年の味わいが偲ばれるが、全体として華やかながらオーマンディ時代のようなキンキラキンな雰囲気はないんです。もっとしっとり、オーソドックス、かつチカラ強い(たしかに独逸のテイスト〜重心が低い)迫力も厚みもメリハリもあって、アンサンブルは完璧〜しかも、冷たさとか素っ気なさとは無縁。
よくできたBrahms のような(どっしりとした)味わいがあって、しかも泣かせる旋律(ボヘミア地方の歌ですか?)が頻出します。第3楽章「スケルツォ」の”泣き”は抑制されるが、最終楽章の爆発はそうとうにアツくなってますよ。但し、安易なアッチェランドは存在しなくて、わずかなテンポの揺れは逆に効果的でした。仕上げがていねいで、永く聴き続けるに足る、名曲を名曲としてきちんと味わせてくださる、飽きの来ない演奏。
チェロ協奏曲にも再度言及しておくと、オーケストラはとても美しい。「サヴァリッシュ率いるフィラデルフィア管も、オーマンディに比べて落ちる気がする」〜というのは間違いで、昔のイメージを引きずっていたからだと思います。「録音が悪いのか?(デジタル録音だけど)」〜これは好みの問題です。ワタシは、もっと会場残響が豊かなものを望んでいるだけのこと。
但し、グートマンのチェロはやっぱりジミですね。そういえば彼女のBach もこんな感じで、ロストポーヴィチなんかを聴き慣れているワタシには「抑制が過ぎる」と思えてしまう。でも、いまならしっとり、囁くような鈍く輝く音色も味わい系として堪能できました。優しい歌があり、なによりオーケストラがピタリとソロに寄り添って、繊細でした。
演奏にランクを付けたり、点数やら☆を数えるのは座興の世界(ジョーダンに近い)だと思っているが、グートマンのチェロ協奏曲は「味わい系No.1」として推薦し(直し)ます。ここに修正。
(2004年11月20日)