カガン追悼演奏会(1992年)


J.S.Bach

4つのデュオ BWV802〜805
リヒテル(p)

無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009
第5番ハ短調 BWV1011

ナターリャ・グートマン(vc)

ピアノ協奏曲第3番ニ長調 BWV1054
第7番ト短調 BWV1058

リヒテル(p)/ニコラエフスキー/モスクワ・チャイコフスキー音楽院管弦楽団

1992年5月18日 チャイコフスキー音楽院大ホール・ライヴ(モスクワ放送協会)

 旧ソヴィエットのヴァイオリニスト、カガンの追悼演奏会。奥さんのグートマンと、協演の機会が多かったリヒテルのオール・バッハ・プログラム。60分テープ2本。音質良好。

 リヒテルの「デュオ」。いつもながらの力強い打鍵が素晴らしい。
 最初の一音から、遠くを見つめているような、深遠な響き。ホ短調の密やかな悲しみ。一転してヘ長調の力強い喜びの表現。ト長調の確実な歩み。イ短調の堂々たるスケール。名曲。

 グートマンのチェロは、晦渋にならず、なんとなく甘やかな雰囲気があっていい感じですね。無伴奏チェロ組曲はカザルス以来、なんとなく「眉間に皺」的演奏が評価されるように思うのです。本来が舞曲集でしょうから、もっと違う演奏があって良いと思います。
 「女性だから」という先入観だけではなく、「女性らしい」伸びやかで柔らかいチェロの音色が美しい。

 ピアノ協奏曲は、通常ヴァイオリンでも演奏される機会が多い曲で、カガンを追悼する意味を込めた選曲でしょう。(映画「ある愛の歌」も思い出します。ハ長調協奏曲の第3楽章)
 バッハのピアノ協奏曲は、初めて聴いた大昔から「いったいどうやって個性を主張するの?」といった印象があって、小細工は許されないし、普通に弾くしかない難曲。(別格はグールド)ピアニストの実力がモロに出てしまう。

 リヒテルは硬質で芯のある音色、淡々と、しっかりとした足取りで進めています。虚飾なく、何もしていてないようで、ああ、いい音楽だなぁ、と感じさせる深さ。とくに静かな楽章における、豊かな奥行きはなんというマジック。(ト短調協奏曲におけるアンダンテ)終楽章における胸を打つ切ない旋律。・・・・・いち早いブラヴォーのかけ声と盛大な拍手。

 ニコエフスキーのバックは、とくにどうといったアンサンブルでもありません。


 ワタシ、カセット・テープに余白ができると、かならず録音して埋めているんですよ。

ここでは、

Bach /クレンツ編曲「フーガの技法」(クレンツ/ローザンヌ室内管1993年)・・・・これは、6分ほど。弦だけだけど、ものすごくロマンティックでなんとも云えない味わい。

Mozart 幻想曲K594(自動オルガンのためのアダージョとアレグロの編曲)(ビビエナ五重奏団1993年)・・・・・・これはミュンヘン音楽コンクールのライヴかな?楽しい管楽アンサンブルです。

・・・・・の2曲が入っていました。いずれもライヴ。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi