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音楽日誌

2003年9月徳島県祖谷渓かずら橋

●2007年9月某日

どんより小雨降る日曜の朝、昨夜も涼しくてこのまま素直に秋になって欲しいものです。明日より「クールビズ」終了、ネクタイ嫌いなのでウンザリです。今朝、郵便受けに入らない「冊子小包」(オークション落札CDですな)受け取りに尼崎北郵便局へ。意外と近くて、精力的に速歩で往復50分ほどか〜(スポーツクラブをサボっているし)エエ運動です。汗まみれ。ついでに落札された分も送付してきました。無事、全件連絡有。こういった諸事が、きちんとクリアされてこその日常生活の安堵也。

音楽に対する集中力は(ますます)弱まっていて、いくつか断片的に音として流しているが、ぼんやりしているだけ。昨日、酷評したDvora'kだってほんまは震えるほどの感動演奏!なのかも知れませんよ。音楽に対する真摯な姿勢を取り戻さなくっちゃ。

エコーインダストリー(DGの海賊盤) ECC-602  330円で購入Mozart 交響曲第34番ハ長調K.338(1968年)/第35番ニ長調 K.385「ハフナー」(1959年)/第36番ハ長調K.425「リンツ」(1966年)〜カール・ベーム/ベルリン・フィルハーモニー・・・これこそ、子供時代〜LP時代(全集を所有していた)自らのリファレンス(参照の基準)であって、堅苦しいほど細部のアンサンブルが神経質で遊びがなく、実直、しかもオーケストラはクールに洗練され優秀そのもの。ハ長調K.338交響曲に第3楽章「メヌエット」K.409が配されていて、本来、交響曲とは無関係らしい。終楽章は怒濤の迫力があって、演奏会アンコールにも使われるほど。しかし、「メヌエット」はノンビリとした舞曲であって(ワタシ好みの)「舞曲集」などに含まれるのが相応しい感じ〜ま、ベームは堂々と表現しておりますが。

このサイト中なんどか言及しているが、交響曲第35番ニ長調 K.385「ハフナー」こそワタシの原点(17cmLP)のひとつ。(1951年録音への言及だけれど)

細部まで神経質に描き込んで、几帳面かつ歯切れの良いアンサンブル。流したり、崩したり、遊んだり、揺れたり・・・そんなことは皆無の潔癖表現であって、その辺りが意外と日本女性に支持があるらしい・・・との情報もありました(世代不明ながら)
そのままの流れでステレオ再録音(かなり優秀)した感じです。歓びが吹き上がるような第1楽章を聴くと、少年時代の感激が蘇りました。ここでのメヌエットもまことに立派、終楽章にはきりりとした躍動感が(ちゃんと)有。「リンツ」は、最近古楽器系ばかり聴いていたせいか、やたらと立派な貫禄を誇って「ハ長調交響曲(第34/36/41番)って、やはりスケールの大きな調性なんだ」と(たっぷり)実感させて下さいました。第2楽章「アンダンテ」に於ける弦の端正な艶は出色です。

「屁をこいても一人」(偽山頭火)状態終日。昼からの二時間ドラマは(残念ながらワタシの好みではない)小林念侍主演なので興味なく、別チャンネルの「先端医療」の番組を見ておりました。昨夜もNHK「プロフェッショナル」も医療関係の名人に感銘ひとしお。ワタシ、住吉 美紀アナの大ファンですし。

いくつか聴いた音楽は明日の記事に譲るとして、夕食は久々「旨いモン喰いたいな」ということで、武庫之荘「田丸」。極薄味のおでんが相応しい季節が巡って参りました。ぬる燗を求めたが、それは叶わぬ夢、大汗かきながら熱燗を楽しみました。ここ、少々高いんですよね。でも、12月に訪問するであろう北海道の母親は連れて行きましょう。

一人で静かに飲みながら時代劇の本を読む・・・至福の時間でしょう。白石一郎「十時半睡事件帖〜犬を飼う武士」(講談社文庫)・・・舞台は博多なんですね。総目付・十時半睡は各短編の最後にしか登場しないんです。下級武士の「いかにも」的些細な事件のラストを締めくくって溜飲を下げます。ありきたりな綺麗事でも荒唐無稽でもない、上手く治めることもあれば、見捨てることもある。ラストは息子の弥七郎の女問題(これが読み手・場末のオトコとしては余所事として看過できぬ・・・説得力有)で、十時半睡は引退をするんです。泣けるなぁ。

で、ほんま苦しかった9月も終了。明るい光は広がるのでしょうか。


●2007年9月某日

朝晩はすっかり本格的秋になりつつあって、少々肌寒いくらい。本日の出勤も、久々余裕のお仕事整理とということで感謝しましょう。でも、ずっと土曜は出ているような気がする・・・?時津風部屋問題は深刻ですね。野球(プロも高校野球も)でもそうだけれど、閉じられた世界で常識的感覚が失われている〜新弟子検査は一人も来なかったらしいし、大相撲崩壊の危機と感じます。北の湖理事長は1953年生まれ(花のニッパチ組)であって団塊の世代でもないが、朝青龍問題でもまったく”説明不足”(と、いうか無策)であってトップに人を得ないとどーしょーもない。ミャンマーのジャーナリスト射殺も衝撃的・・・イラクでの橋田信介さんのことを思い出しました。日本は平和ボケしている(自分も含め)。

NAXOS 8.111260  @780Elgar 交響曲第2番 変ホ長調〜作曲者/ロンドン交響楽団(1927年)・・・結論的には予想外の音質の良さでありながら、全体の様子が掴めないのは、聴き手の集中力問題でしょう。第1番変イ長調が中古激安で入手しやすいのに対して、こちら第2番はエドワード・ダウンズ盤しか棚中に揃わない・・・巡り合わせかな?そのダウンズ盤には(音質良好でもあるし)震えるような感動があったが、期待の自演には未だ開眼できておりません。(次に収録されるチェロ協奏曲ホ短調〜ベアトリス・ハリスン(vc)に辿り着かず)でも、期待はたっぷり有。

”これを聴いてやろう!”という心構えの軸が定まっていない。

Holst 組曲「惑星」〜作曲者/ロンドン交響楽団(1926年)・・・これも以前「ぴん!」と来なくて再聴となります。時代の制約もあるだろうし、この録音の価値云々するつもりもないが、少々後に録音されるボウルト/BBC交響楽団(1945年)とは大違い。もともと作曲者の意図は、こんなさっぱりとした味付けだったのか。続く「2つの無言歌」作品22の第2曲「マーチング・ソング」は、なにやら楽しげ、親しげでした。

今朝もいつもよりかなり早く出勤〜切羽詰まった宿題締め切りとか、トラブルを抱えていたわけでもなく、懸案だった事項(資料作り含む)をじっくり消化、机の上下回りも久々に清掃、前任者の資料も「半年間で一度も使わなかった」確信の元、全部捨てました。いくつか他人様のトラブル処理、自分への問い合わせ等、いとも簡単に、粛々と遣り過ごして定時にて帰宅。女房からメールがあり、いったん帰宅するが義母が寝込んでしまってすぐ戻るとのこと。ズボンとカッターのみお願いしておきました。

昼休みにネットで検索していたら、偶然自分のサイト(の一部分)が出てきて、試しにリンク部分をクリックするとエラーになる・・・!?「brilliant-index.htm」へ飛ぶべきハイパー・リンクがなんと!「BRILLIANT-index.htm」表記になっているのだね。恥ずかしい。帰宅して「一斉置き換えソフト」にて修正しておきました。いったい何年サイト運営しているんだ?

通勤音楽は選定ミスか?Dvora'k レクイエム 作品89〜モルテン・トップ/アカデミスク管弦楽団/合唱団/パヴロフスキ(s)/ホフマン(a)/ポウルセン・クラフ(t)/ミリング(b)(1997年ライヴ)・・・清涼な雰囲気タップリなんだけど、オーケストラがあまりに控え目過ぎというか、個性が薄くて”ようワカラン!”状態・・・結局一枚目で止めちゃいました。悪くないんだけどなぁ、どうもピン!と来ない。(帰宅して再聴したが、やはり、これはいただけない・・・)

BRILLIANT 99715/6そういえばダブっていたMozart 後期交響曲集6枚(ヤープ・テル・リンデン)1,000円でとうとう売れました。(でも、たった今現在、落札者より未だ連絡なし/心配です)で、Mozart 交響曲第40番ト短調K.550/第41番ハ長調K.551「ジュピター」〜ヤープ・テル・リンデン/アムステルダム・モーツァルト・アカデミー(2002年)拝聴・・・痺れました。素朴で穏健派古楽器による、練り上げられた演奏であります。先鋭にヒステリックだったり、エキセントリックな表現皆無、親密だけれどノンビリし過ぎ?といった声さえあるかも知れない味わい深さ。痺れました。録音も極上。


●2007年9月某日

昨日家を出たのが朝6時30分、帰宅が夜11時。滞りなく夕方5時に東京での日程を(池袋)終了したが、頭痛が酷く「バッサニン・エース」(大洋薬品)購入。「きーん」と言った耳鳴りもここ数日悪化しております。神戸行きのフライトまで時間があったので、新宿中古屋「ディスク・ユニオン」へ行ってみるが、なんと「クラシック館」は休み〜いつもの新橋・キムラヤで輸入盤を覗くが成果なし。旧ディストリビューター分と類推されるNAXOS在庫(既に値上げが決まっている)2枚ほど購入しておきました。時間中途半端で、しかも購入した弁当不味く失敗でした。かなり激・ツカれ状態。女房は義母元気なく、更に実家に一泊とのこと。

オークションは、本日一区切りだけれど、かなり入札あって安堵。競合して値段の釣り上がりを期待しないから、とにかく最低価格で入札があればよろしいんです。久々の出勤は、さてどんな感じか。締め切りを遅らせていただいた諸作業急ぎこなすとして、月次の流れとして一段落な時期なので助かっている・・・はず。

数ヶ月前に聴いていたStravinsky 歌劇「ナイチンゲール(夜鶯)」〜作曲者/ワシントン・オペラ・ソサエティ(1960年)・・・数ヶ月前にロバート・クラフトで予習した作品であり、かなりハードで難解な印象だった記憶有。こんな状況故ゆっくり腰を落ち着けて聴いたワケでもないが、とても”わかりやすい”手応えはあって、これは慣れでしょうか。音質良好。次収録の初耳「マヴラ」迄到達せず。再聴必要です。

NAXOS 8.111247昨日購入したBach 「ゴールトベルク変奏曲」〜グレン・グールド(p)(1955年NAXOS/オーバート・ソーン復刻盤)拝聴。三萬円ほどの「全集」発売に動揺するが、14枚既に所有愛聴しているし・・・ま、とにかくこれなら(ダブっても)エエか、と。じつは十数年前にFICの駅売海賊盤(ANC-82)を所有していて、これだっておそらくは”LP板起こし”。さっそく聴き比べをしたが、(音質的に)甲乙付けがたいのでは?「NAXOS/オーバート・ソーン復刻盤」のほうが、グールド特有の「べたっとしたカルい音」(タッチの妙)が忠実に再生されるが、「FIC駅売海賊盤」だって音の鮮度、低音の充実に於いて負けておりません。

いずれ半世紀前の「歴史的録音」を堪能いたしました。千変万化する乾いた情感、明快なタッチ、ノリ、熱は、たった今抜群に新鮮!今回購入分にはBach パルティータト長調BWV829(1954年CBCスタジオ収録)も含まれ780円也。駅売海賊盤は1,000円(または666円?)だったはず。

それなりに職場を空けたし、かなりの混乱を予測して早目に出勤したが、まぁまぁのところでさしたる問題なし。明日は出勤(もともと当番)だし、早々に帰宅しました。女房未だ帰宅せず。ついに愛想尽かされたか。今朝、曜日感覚を失ってサイト定例更新忘れ〜帰宅後実施済み。オークションは本日締め切り分、全部落札されました。あとは滞りなく連絡があれば文句なし・・・(今まで未連絡経験4件ほど有)

昨日、朝日新聞の夕刊に「楽聖のすべて、CD87枚組記念コレクション!」28,140円(!)出ておりました。演奏者がシブくて「プロムシュタット」「リヒルテ」「ヘルマン・プレイ」〜って、コレ例の「Beethoven 87枚組」じゃん。儲けすぎ、シロウト騙しの悪徳商売か。しかも送料は930円。きっとそれなりに売れて、しばらくすると「聴かないし、場所塞ぎだから・・・」と中古処分(または売れ残って在庫処分)されることでしょう。ワタシ待つわ、いつまでも(あみん)。

(昨日新幹線中で読んだ本/音楽は持参しなかった)北尾トロ「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」(文春文庫)・・・題名からして秀逸!単なる野次馬、不謹慎!とお叱りの声も出そうだけれど、新聞記事になりそうもない、場末の(というか市井の)裁判を傍聴し、テレビドラマで見るのとは大違いの”おもしろさ”を発見する渾身のレポート!(「!」連続多過ぎ)緊張感のない被告人、裁判の延長を狙い、結果国選としての実入りを増加させようとする弁護士、傍聴人の多さにハッスルし雄弁なる説教を垂れる裁判官、たしかに存在する美人検察官(その理由分析も的確)、そしてお互いに情報交換し合う”裁判傍聴マニア”・・・これは日本の”裏”の縮図です。

松村秀樹「病院屋台」(小学館文庫)・・・桂三枝に抱腹絶倒の創作落語があったが、これは(意外と)シリアスなる「近未来小説」。ま、医者が増えすぎて免許制にしたら「仮免医者」が増えすぎて、屋台で営業することに・・・これに事件が絡んで謎解きもあるし、医療ミスの詳細描写もあってなかなか楽しめます。でも、日本の医療制度はかなりヤバいよね。

BMG/メロディア 74321 400642 2枚組700円ほど?オークション全部経費込でRachmaninov 交響曲第2番ホ短調(ボリショイ劇場管弦楽団1964年)/第3番ニ短調(ソヴィエット放送大交響楽団1962年)〜エフゲニ・スヴェトラーノフ・・・前者は残響あり過ぎで、響きに芯を欠きます。演奏そのものは、アクがあって洗練されずそれがエエ味出しております。ま、先日ザンデルリンクの凄い演奏に接しちゃっているので、評価は少々厳しくなりがち・・・豪放と洗練の微妙なバランスでは、やはり粗野が目立ちます。でも、濃〜い味はけっして場違いではない。かなり雑味のある濃密な甘さ。

第3番のオーケストラ(モスクワ放響のこと?)はもっと凄いですよ。剥き出しビロビロのホルンに痺れ、濃厚の徹底に於いてこちらが勝る!音質もこちらのほうがずっと良いですね。メリハリあって、まさに爆裂演奏です。ロシアだったらこうじゃなくっちゃ。「ヴォカリーズ」(ソヴィエット国立交響楽団1974年)も入っております。ま、この作品だったらストコフスキー(+アンナ・モッフォ)でっせ。この演奏も、もの哀しくもクサい旋律、後半の金管乱入最高。


●2007年9月某日

通夜終了。本日葬式、火葬へ。女房の実家までは一時間も掛からないし、ワタシは泊まらずに帰宅しております。流石に義母は憔悴しきっていたけれど、孫(ウチの息子含む)も集まって明るい雰囲気でした。世代順繰りだから仕方がない。今年、大阪に異動となって女房はお仕事辞め、(息子も大阪に就職して)結果、義父を数ヶ月面倒見ることができて良かった。これは巡り合わせでしょう。岡山にいたら、そうはいかない。

昼はそれなりに気温は上がったが、日が陰ると空気はすっかり秋。息子22歳、同世代の若者計3人とお話しするのは楽しかった。皆、亡くなる数日前に爺さんを見舞いに行っているんですよね。昨日は、祭場である団地の集会所まで運んだらしい。偉いね。こういった経験が青年を育てる。そういえば、その団地には(息子が生まれる前)20数年前に2年ほど住んでいたところだけれど、最寄りの駅に降り立っても右も左もわからない浦島太郎状態でした。ワタシは「嫁に出た次女のダンナ」だから、役割は少ないんです。

日常生活のリズムが崩れているせいか、音楽には集中できません。Mahler 交響曲第5番 嬰ハ短調〜ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック(1947年)・・・オーディオ映えする作品であり、そういった演奏/録音を好んで聴いていたせいか、残響少な目、色気のない音質がまず気になりました。オリジナル(CBS録音)ではない(HISTORY 205246-303)せいかとも思うが、LP時代にも似たような音質だった記憶有。演奏内容云々は別のことであって、これは機会を改めて再確認が必要です。

ANDROMEDA ANDROCD 5041 2枚組1,134円 2006年12月30日購入とあるMahler 「大地の歌」〜ブルーノ・ワルター/ウィーン・フィルハーモニー/パツァーク(t)/フェリア(a)(ANDROMEDA ANDROCD 5041)・・・

情報を信じるならば1952年5月18日ライヴ、著名なる英DECCA録音の翌日収録となります。オンマイクで平板だけれど、かなり鮮明なる録音です。音質故の錯覚か、馴染みの個性的声楽二人のテイストそのままに熱気が加わったようでもあり、一部の楽章は誤差とは言い難い収録時間の違いも存在します。但し、ごく一部針音らしきものもあり、一方で聴衆のざわめき拍手も有(これは人工的に付加可能だろうが)。

いずれ、久々に濃厚だけれど穏健派の浪漫を久々に堪能しました。

とは、2006年12月のコメントです。「著名なる英DECCA録音」は1952年5月15日だから、上記情報間違い。5月17日のライヴは既に出ていて、それと同じもの(情報間違い?)かも知れません(未確認)。但し、たしかに5月18日には同じプログラムの演奏会があったとのこと。スタジオ録音に負けぬ、もしかしたらそれを凌駕する熱気を感じます。こんな素敵なウィーン・フィルの瑞々しいアンサンブルは、滅多に聴けぬもの。「告別」は、たった今ワタシの「葬式モード」に相応しい。

お役目終了。女房は実家にもう一泊するとのこと。気丈に振る舞っていた義母も、出棺の時には泣き崩れました。初七日も無事に終え、お坊さんの味わい深いご法話もありがたくその後食事。義母はしっかり全部食べていたので、きっと大丈夫でしょう。とくに女房が(ワタシも)若い頃からお世話になった旧知の方と再会、息子も小さい頃可愛がってもらっていて、懐かしく成長を喜んでくださいました。

さて、日常モードにカム・バック!明日、朝一番で東京です。同行のお取引先ご担当から「よろしく」とのメールがケータイに転送されていました。


●2007年9月某日

義父が逝きました。

昼から女房は息子のところから帰ってきて(結局泊まった)、掃除とか洗濯などしていたら「危篤」との連絡有。女房は急ぎ病院へ、ワタシは職場へ〜数日空けるためのお仕事段取りです。(哀しきサラリーマン)あちこち溜まった伝票処理とか、メールの返事、マスターなど作っていたら、ケータイ・メールに「亡くなった」との一報。享年89歳。大往生なのでしょう。一人遅くまで休日の職場に残って最低限の処理をし、帰宅しました。

ワタシは郷里から離れて大学〜就職をしたから、親類縁者の葬式は経験がないんです。明日からよき人生勉強となるでしょう。10年以上前に購入した喪服は(一昨年の)ダイエットでなんとかハラ回りが入ります。但し、蒸し暑い中、それなり厚手の生地が気になります。

諸行無常。


●2007年9月某日

単身赴任の上司(既に孫有)は、東京から奥様を呼び寄せてゴルフ、倉敷、高松の旅を精力的に楽しんでいるはずだけれど、ワタシはマンションでゴロゴロしております。今月は二度も連休があって、ま、ありがたいことではあります。昨夜は涼しかったな。熟睡感はないけれど。オークションにもう少し入札ありました。

永井明「ぼくの更年期」(光文社知恵の森文庫)・・・1997年の執筆時点(この文庫は発行2001年)著者は50歳(団塊の世代ど真ん中)、ちょうど現在のワタシと同じ(つまり10歳上)であって、”症状”がほとんど同じであることに愕然とします。「ここ最近の気力の萎え方、体力の衰え具合はどうしたこと」「いつもからだけれど重くて、かったるい/もうひとつ元気が出ないなあ」〜十二指腸潰瘍やB型肝炎は幸いなことにないけれど。

「半分くらい白髪で禿げる兆候はない」のも似ていて、ワタシの場合白髪も少ない。ちょっとしたことで頭部に汗をかく・・・彼は前額の生え際、ワタシは首の後ろ。「いつも頭の中がはっきりしない、なにか、大脳皮質表面に薄紙を一枚かぶっているような、どよんとした」〜これは同感。ワタシの場合、頭痛も耳鳴りもあって、飲酒の量は減って、しかも連続して飲むことはない(若い頃から)。二日酔いは時にないでもないが、そんな症状になるまで量は”飲めない”、すっかり弱くなった、ということです。

老眼に(本格的に)気付いたのは2ヶ月程前でして、眼鏡を新調しました(老眼鏡に非ず/矯正が弱いやつ/美学?ですな)。ワタシの場合「見えない/読めない」より眼と頭痛が酷いことで自覚しました。「眼がしょぼしょぼしたり、目脂の回数が増えた」のは同様、眉毛の伸び方がじつに早くなった、という記述にドキリ。「口と口臭」・・・このことは早くから気にして、頻繁で入念なるブラッシング+半年に一回の歯石取りに勤しんでおります。著者は胃を摘出しているから、脂肪の吸収がよろしくないらしいが、ワタシは(かつて)”鋼鉄の胃袋”を誇ったくらいだから、油断するといくらでも内臓脂肪が付きます。(ここ一ヶ月ズボンがキツい自覚もある)それでも、以前ほどの食欲はない。煙草を吸ったことはないせいか、肺も心臓もOKだけれど、持久力はますます落ちている自覚有。いまのところ”おもらし”関係もセーフ。ウォシュレットは福音でした。これで寿命かなり伸びた自覚有。

肉体ともかく主眼は”精神”なんです。50歳になって、岡山から大阪(居住は尼崎)に転居して職住環境激変、一人息子も無事社会人となり、女房は両親(主に父親)の介護で再就職ままならず、という中で上記症状+お仕事大苦戦って、じつは更年期症状だったんですね。「根気がなくなった」「長い読書が出来ない」「書くことの集中力がなくなった」「(囲碁で)先の手を読む根気が出てこない」(ワタシの場合は”仕事”かな?)なのに「ひたすらぼーっとすること」は平気・・・以前は短気でそんなことは考えられなかった。「自分から外に能動的なアクションを起こすこともめっきり少なくなった」・・・男の更年期はむしろ引き気味になるのに対して、女のそれは攻撃性を強めるのだろうか、という記述にも妙に説得力がある。

睡眠が浅いのはいつも「日誌」に書いたとおり、ノーミソの働きが悪くなってお仕事チョンボばかり、というのはじつは以前からの症状が表に出ただけなのか。それから(元医者/医療ジャーナリストである)著者は「人間ドック」と「体力測定」をしっかり行って、それ相応に、想定の範囲内で”まぁまぁ悪くない”結果を得るんです。具体的な病気とは言えぬ「更年期障害」〜これって「老化」じゃないんですか?

永井さんは2004年に亡くなっているんですね。飲み過ぎかな?明らかにアルコール依存症ですもん。「人間ドック」しても5年しか保たんのだね。衝撃の一冊。

そういえば音楽への集中力も落ちているなぁ。TELDEC WPCS-21023Rachmaninov 交響曲第2番ホ短調〜クルト・ザンデルリンク/フィルハーモニア管弦楽団(1989年)・・・痺れました。泣けました。(涙もろくなるのも「更年期」か?)ゲルギエフ/キーロフ管弦楽団(1994年)は期待外れでオークションに出しちゃったんです。優雅ではない、美しくない・・・ザンデルリンクは、フィルハーモニア管弦楽団というすっきりクリアな響きを誇る優秀なオーケストラを率いて、ゆったりとした余裕のテンポ、清涼な響きと歌で魅了します。この作品の激甘旋律がおじさんには少々気恥ずかしいが、オーマンディにも、アニシモフにも、アシュケナージだって、スヴェトラーノフ・・・各々得難い感動をいただきました。

おそらくは”ヴェリ・ベスト”。痺れました。彼の”立派な”演奏には反発する場面が多かったけれど、これには保留条件一切なし。

昨夜、ドラマレジェンドスペシャル“HERO”〜しっかり(再放送)拝見。これを見ていなかったので、映画を見ても理解できないところがあったんです。(中井貴一へのお見舞い場面やら綾瀬はるかの登場)おそらくは間違いなく、映画作成を意図してその”プロローグ”を作成したもの。お見事でした。美しい海辺の風景は山口県のどこなんだろう?岡山時代、広島(ほとんど山口県境)〜新山口迄在来線にて(時間つぶしと特急料金節約)で数回瀬戸内海沿いを通過したことがあるけれど、ちょうどあんな素敵な牧歌的海岸風景が連続しておりました。(当時はノンビリしていたなぁ)キムタクと綾瀬はるかは”公務員”にもっとも縁遠い雰囲気であり、塩見三省、ベンガルと好対照となります。謎解きとして凝ったものではないが、シチュエーションが工夫されていて愉しめますね。

田中要次がなぜか登場して「ないよ!」の一言は衝撃的。松たか子の「くっさぁ」の意味も初めてわかりました。

10枚組(”CORPUS CHRISTI” DOCUMENTS 231061)これに含まれます/稀少音源に間違いないが・・・先々月(2007年7月)に聴いたMahler 交響曲第2番ハ短調「復活」〜ギュンター・ノイホルト/ブレーメン州立フィルハーモニック管弦楽団/ブレーメン劇場合唱団/北ドイツ放送合唱団/ガブリエーレ・マリア・ロンゲ(s)/デローレス・ツィーグラー(a)(録音年不明ライヴ)の件、第1楽章のみ再聴。収録なんと!CD一枚22分也。超・贅沢盤。なんせ新品@150ですからね(関係ないか)。

「良くできたモノラル録音」風より更に水準下がって、広がりも迫力もありません。噂によると”実力派”とのこと。最初っから最後迄「う〜む」状態でした。なんせ、「復活」は古今東西名盤名録音目白押しだからねぇ・・・終楽章の昂揚に、実力の片鱗を伺うことは可能でしょうか。
正確に言うと、奥行きは有〜但し、もの凄い遠くで鳴っている感じ。座席中程でこっそり録りました!みたいな、自然といえばまったく自然、作為がまったく感じられないサウンド。「こんな演奏会もありました」的雰囲気で、記録としてはともかく、商売として売る物ではないでしょ。「第1楽章終了後、休憩」というのが作曲者の指示らしいから、そういった意味では正しいのか。

なんとか、音質乗り越えて演奏の”質”を確認しようと思ったが、ダメでした。


●2007年9月某日

まだ寝苦しくて、酷い寝汗で深夜に目覚めてしまいました。ヒマなのでネットをつないでみたら、オークションに一件入札有・・・ 先日「まとめてなんぼ!(送料込)」でCD落札してみたら、Tchaikovsky 交響曲第6番 変ロ短調「悲愴」〜ジャン・マルティノン/ウィーン・フィル(1958年)が含まれていて、これは以前より駅売海賊盤にて愛聴していたもの・・・結果的に正規盤入手に至りました。で、ダブっても仕方がないので”ダメモト”で150円出品したんです。なんか嬉しいですね。金額の多寡でもなく、些細なことではあるが。

DECCA UCCD-7021 オークションにてすべて経費込み込み@350ほどか/フィルアップはBorodin 交響曲第2番(未聴)久々の再聴だったが、燃えるようなド迫力演奏であって、一昨日のムラヴィンスキーに勝るとも劣らぬ深い感銘がありました。やや速めのテンポ、前のめりの激情であり、”優雅なるウィーン・フィル”のイメージではない。フランス音楽に於ける”粋なマルティノン”でもない、これほどウィーン・フィルを煽って熱血演奏を実現させた実力(出会いなのか、相性なのか)に驚愕するばかり。白眉は第3楽章の躍動する行進曲か。

後ろ向きに過去の名盤ばかり漁っていても仕方がないが、同時期英DECCA録音にて、第4番(ジョージ・セル/ロンドン交響楽団)、第5番(ヨーゼフ・クリップス/ウィーン・フィル/未入手/欲しい!)と単発の名盤が登場しておりました。時代だったんでしょうか。

Bruckner 交響曲第8番ハ短調〜フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(1944年10月17日ライヴ)・・・世評は知らぬが、フルトヴェングラーのBrucknerには聴く度に深い感動があります。魔法のように自在なるテンポの揺れ、間、テンポは速め、熱病に浮かされたように煽った表情付け・・・だから余計な味付け色付けがいや!というコメントを拝見したこともあります。「Brucknerではなく、FRTWA"NGLERである」というのは、まさにその通り。彼の演奏を聴き始めると、わずかな時間で「交響曲第8番ハ短調」であることをほとんど忘れます。個性的でわかりやすい!最後まで一気集中!オーケストラの厚み、録音だってけっこう聴きやすい・・・(おそらくはHISTORY盤20.3136-302が理想的な復刻ではないだろうが)

不思議なものですね。ここ数年、Brucknerを敬遠気味だった(Mahler ばかり聴いていた)のに、先月クルト・マズア全集を聴いて以来開眼!〜マズアが理想的、ということでもなく、ひとつの契機となったということですね。あれこれ聴いてみようと。

edel 0002322CCC/CD3 11枚組3,290円Bruckner 交響曲第2番ハ短調〜フランツ・コンヴィチュニー/ベルリン放送交響楽団(旧東1951年ライヴ)・・・2001年に発売されたボックス物(edel 0002322CCC)に含まれている一枚で、存在を失念していたもの。作品的にもジミで聴く機会は少ないが、印象一変!中低音に重心があって、高音はキンキンせず(月並みな表現で恐縮だけれど)”渋い”響きが全編を支配します。第2番ってこんなシミジミ素敵な作品だった?的感慨じわじわと広がって、金管の爆発も墨色の奥深さがあって、正統派の古武士のような貫禄有。第3楽章も颯爽としない〜ド・シロウトが想像するところの旧・東ドイツの匂いがぷんぷん漂うような、落ち着いた味わい。狭い経験ながら、この作品のヴェリ・ベストかも。録音だって悪くない。

午前中、女房は風邪に倒れた息子(もう社会人なのに)訪問するとのことで、スポーツクラブさぼり。懸案のサイト用原稿、一気に3本ほど執筆しました。凄い集中力也。こういうのは勢いですから。これにて本日の宿題は終わった・・・


●2007年9月某日

女房殿二日ぶりにご帰還・・・親父殿はかなり弱ってきているみたいです。ワリと良く眠れました。きょうも暑いかな?今週相継いで到着したCDを全部聴かぬまま、あちこち浮気しているのに、またオークション落札しちゃいました。在庫の新陳代謝(=オークション出品)をしなくちゃ。もとより廉価盤しか買わないし、出費は知れている(煙草も博打もいっさいやらないし)が、聴くべき音楽の”趨勢”やら”軸”がぶれるのはよろしくありませんから。(同じ話題繰り返しで恐縮だけれど)棚中から「こんなCD持っていたのか」と感慨深くネット検索すると、自らの言及が出現する〜という情けない経験は再三再四でした。

HISTORY 20.3295-HI昨日聴いた音楽の落ち穂拾い・・・Rachmaninov ピアノ協奏曲第2番ハ短調〜作曲者(p)/ストコフスキー/フィラデルフィア管弦楽団(1929年)・・・演奏時間約30分で、聴き慣れた他のものより4/5分は短い、かなりの快速ということです。太古録音ながらそれなり上質なる音質(ワタシの甘い評価で)、想像以上にさっぱりすっきりとして、技術的にはもちろんスムース、あまり濃厚纏綿とした方向に振っていないのが自作自演たる所以か。なんせ名だたる名曲故、古今東西の名演奏犇(ひし)めく中、これがヴェリ・ベストか?と問われると苦しいが、作品のあるべき姿(狙い)はこれか?と意外な味わいがありました。

今朝、Rachmaninov ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調〜ペーター・レーゼル(p)/ザンデルリンク/ベルリン交響楽団(1982年)・・・「パガニーニ変奏曲」では「もっと甘美でも良いのかな?」と不遜な感想だったが、こちらやや馴染みの薄い作品を明快クリアに、断固として細部迄がっちり生真面目に描き込んで快感でした。それこそ、雰囲気とか砂糖まぶしの味付けに逃げていない。

じわじわと再聴すすめているウィンナ・ワルツは、エドゥアルド・シュトラウス/フィルハーモニア・フンガリカの演奏にて「女王陛下のレースのハンカチ」序曲/ポルカ・マズルカ「楽しいキャンプ」/「千一夜物語」間奏曲/「パリのポルカ」/「仲良しワルツ」・・・「仲良しワルツ」はご存じ「こうもり」の素敵な聴きどころを集めてワルツに仕上げたもの・・・楽しさ凝縮濃縮版。エドゥアルド・シュトラウスの録音はステレオ/モノラルで相当量あるはずで、なんとか激安で復活してくださらぬか。そのローカルで洗練されない味わいが最高・・・でも、なかなか消化できないかな?そういえば、ロベルト・シュトルツの「大全集」が激安で出ています(←他社だともっと値段が下がる)よね。

さて、これから取引先へ午前中一杯勝負!逆に言うと、午前中のみで終えて、昼から自由だ、ということです。

午前中、想定の範囲内の大苦戦にて背中に悪い汗、たっぷり・・・なのは猛暑のせいもあるのでしょう。とにかくツラいお仕事は一段落。激しく疲れました。JR芦屋駅で女房と待ち合わせて「シャンティ」で昼食。カレー・バイキングで喰い過ぎました。贅沢なものです。


●2007年9月某日

本日臨時休業也。上手くすれば4連休だけれど、明日午前中取引先2連続商談入りました。どーも土曜商談が慣例化して、ま、ワタシも自宅から出掛けて午前中で決着付けて終わり〜ということで安易な日程選択しております。本日予想気温33度で、これが(予報によれば)ラスト残暑、とのこと。そうであることを祈りましょう。サイト定例更新済み。毎度のことながら、原稿在庫払底。この休み中に原稿執筆しないと。人間誰しも心身好不調の波があって、たかだかド・シロウトのサイト文書だけれど継続定例更新するのはけっこう大変!であり、毎日のケジメでもあります。

矢幡 洋「働こうとしない人たち〜拒絶性と自己愛性」(中公新書ラクレ)・・・う〜む、相変わらず読者レビューは辛辣ですな。内容的には所謂「自分探すな、仕事探せ」的人間を多く分析したものだけれど、こうした”切羽詰まった”(ある意味)もっとも”アップ・トゥ・デイト”な課題に、読者は即効力(ノウハウ本?として)を求めているのでしょうか。逆にいうと、ワタシにとって(無責任にも)”他人(ひと)ごと”、端から見ていてその分析を充分楽しんだ〜ここまで酷い事例ではないが、職場でも思い当たる節がある〜ということです。「君の未来には無限の可能性がある」という言葉は真実であり、また、その奥深い意味合いを含蓄を以て受け止めるべきでしょう。「可能性」を「自己愛」に(勝手に)置き換えて、「自分は他者とは違う存在」であるから、努力も行動もしないで座して待つ、というのは間違いなんです。

茂木健一郎「ひらめき脳」(新潮社新書)・・・おお!これは読者レビューでも好評ですね。ワタシは「アハ体験」に言及した前半が分かりにくかった。後半、コンピューターが人間の脳を越えられないのは、会話ができないからだ、という内容に納得。つまり、会話とは瞬時に於ける「ひらめき」(一発学習)の連続なんだ、ということ。逆に会話が弾まない人はマズいですか?これは「口が上手い」とかいう話しじゃないらしい。「学習とは本来自発的なもの」「脳の90%は眠っている、というのは俗説」〜なるほど売れっ子の分かりやすい話は興味津々です。

さて、充実した休みにしたいものですな。

やはり結論的に”無為無策”な一日に。猛暑故どこにも出掛ける意欲が起きず、ご近所スーパーに総菜を購入したのみ。ちょっとだけサイト用原稿執筆し、音楽を聴き、二時間ドラマの再放送は・・・あまり楽しめず。でも、「京都の芸者弁護士事件簿」に於ける涼風真世(芸者姿も艶やか)は素敵だと思いますよ。藤吉久美子の哀しげな表情も似合っている。

Shostakovich 交響曲第6番ロ短調/Glinka 「ルスラン」序曲/Mussorgsky「モスクワ川の夜明け」/LYADOV「バーバ・ヤーガ」/Glazunov「ライモンダ」第3幕間奏曲/Mozart 「フィガロ」序曲/Sibelius 「トゥオネラの白鳥」/Wagner「ローエングリン」第3幕前奏曲/「ヴァルキューレの騎行」〜エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(1965年ライヴ)・・・昔から著名な録音であって、この度オークション落札中に含まれていたもの。Shostakovichを苦手としていること、後半の小品集も含め、乾いた音質印象が先行して集中できません。期待が大きすぎたかな?これは環境を変えて再トライが必要です。

Tchaikovsky 交響曲第5番ホ短調(第3/4楽章)/交響曲第6番 変ロ短調「悲愴」〜エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(1960年)・・・これも超・有名なるウィーンでのDG録音也。LP時代からお気に入りでした。ぶり(ほど)の再聴となるが、筆舌に尽くしがたい感銘がありました。研ぎ澄まされた集中力とスケール、流麗颯爽カッコよく洗練され、リズムに切れ味があり、ダメ押しの大爆発が強靱なる金管/打楽器によって実現されます。”泥臭いロシア”ではない、”演奏芸術の最高峰としてのロシア”が有無を言わせぬ説得力を以て迫ります。ぐうの音も出ない。

じつはこれ(例の如しの)駅売海賊盤(エコー・インダストリー CC-1020@1,000)なんです。音質はやや肌理が粗いが、LP時代だって似たようだった記憶有。(LP板起こしか)それさえ演奏の質に似合っている感触がありました。

YedangClassics YCC-0035数年前に購入以来未開封だった一枚・・・Bruckner 交響曲第1番ハ短調〜ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/放送大交響楽団(モスクワ放響のことか/1983年ライヴ)・・・これは予想外の快演であって、未成熟なる構成、旋律と感じがちの初期作品に、断固たる個性を植え付けて説得力有。つまり、金管を剥き出しに爆発させて、他の作品ならともかく、メリハリと妙にアツい爆発が快い。ちょっとこの作品に開眼・・・先月聴いたクルト・マズアは少なくとも、この作品では印象薄い演奏であったはず。これだったら、ロジェストヴェンスキーの「全集」も聴くべきかも知れない・・・そんな感想を持ちました。


●2007年9月某日

昨夜は11時前に睡魔が襲って朝まで熟睡〜珍しいことです。本日の最高気温予想も34度であって、いつまで残暑は続くのか・・・もう秋季商戦は滅茶苦茶でしょう。体調良好。昨日到着したオークション落札CDはロシア物ばかりで、そのうちの2枚はスヴェトラーノフのRACHNANINOVの交響曲(全集)となります。第2番はボリショイ劇場管弦楽団(1964年)であって、手持ちソヴィエット国立交響楽団盤(1968年)とは別録音でした。

で、さっそく交響曲第1番ニ短調〜スヴェトラーノフ/ソヴィエット国立交響楽団(1966年)拝聴。作品の詳細なコメントには立派なサイトが存在します。泥臭い旋律、金管の咆哮は既に馴染みであって、但し、ワタシは演奏云々するほど作品を聴き込んでおりません。いつの間にか、数種のCDが揃ったし、機会を改めてじっくり再確認いたしましょう。楽しんで聴けました。迫力も厚みもありました。

mercury 434 305-2(数年前購入の)Tchaikovsky 交響曲第5番ホ短調〜アンタル・ドラティ/ロンドン交響楽団(1961年)・・・(p)1992U.S.A.製であって、驚異の優秀録音を誇った(はずの)MERCURY録音となります。「イタリア奇想曲」「1812年」はほんまに凄かった!(録音はもちろん、演奏も)が、この一枚の音質はオン・マイクで残響少な目、しかもヒスっぽく歪むこと有。しかも、ロンドン交響楽団のアンサンブルに(モントゥー時代、精緻で上品な水準を誇っていたはずなのに)集中力を欠くような・・・?

続いて、「スラヴ行進曲」「エフゲニ・オネーギン〜ワルツ」「エフゲニ・オネーギン〜ポロネーズ」(ミネアポリス交響楽団1958年)が収録されるが、こぢんまりとして落ち着きのない解釈、オーケストラの音色にも魅力が足りません。”売り”であるはずの録音だって、これを聴く限り優秀とは思えません。マスタリングの問題なのか。

今朝、(オークションまとめて8枚!に含まれていた)Brahms 交響曲第3番ヘ長調/Haydn 交響曲第94番ト長調「驚愕」〜ハンス・クナッパーツブッシュ/ベルリン・フィル(1950年)・・・ま、ムリして狙って購入する嗜好ではないが、これもなにかの縁・・・と聴き出したら(それこそ)驚愕!テンポの味わい深い(が、もの凄い)遅さ、音質が良好なことと相まって、じわじわと細部迄味付けアクセント明快(もちろん濃いめ)で、作品に対する先入観一掃して下さいました。ベルリン・フィルが上手いですね。何事も機能的に〜現代へのアンチ・テーゼのような超・個性的な演奏であって、クナパーツブッシュの熱狂的ファンの気持ちが少々理解できました。

「驚愕」も同様だけれど、第1楽章はほんまに「びっくり!」しました。耳慣れたせいかもしれないが、Haydnのほうが”まとも”に立派な演奏に感じられる・・・のは錯覚でしょう。テンポの揺れは尋常ではない。(istituto discografico italiano IDIS 6362)

では、行って参ります。なんとかお仕事段取り付けて、明日、お休み(代休)取れますように。

いろいろとそれなり、思うようなお仕事こなして一日終了。で、明日おやすみ(なんとか)いただきました。女房は二日続けて病院泊まり。親父より、付きっきりの母親がまいってしまってアウトなんです。この猛暑は年寄りにはツラいだろうね。ワタシもけっこう疲れ放し状態・・・(短めの)通勤だってけっこう重苦しいな。

FIC ANC-37 中古 250円せめて軽快な音楽を!Gershwin ラプソディ・イン・ブルー/パリのアメリカ人/Grofe 組曲「グランド・キャニオン」〜レナード・ペナリオ(p)/フェリックス・スラットキン/ハリウッド・ボウル交響楽団(1957年頃)・・・おそらくはワルターやストラヴィンスキーの「コロムビア交響楽団」と似たようなメンバーなのでしょう。音楽には相応しい”色”というのがありまして、米西海岸の腕利き達は、素晴らしいノリとキレで聴かせて下さいます。先日聴いたMahler だって素敵だったけど、本領はこちらでしょう。この屈託のない明るさ、馬力、豊満、笑顔。

名手ペナリオの技量になんの疑念もなく、この演奏には慣習的なカットも存在しません。「音質最高(ちょっと言い過ぎか)」とはかつての感想だけれど、ピアノが不自然に広がりすぎたり、左右の定位がおかしかったりするけど、間違いなくエエ音で鳴っていると思います。「大峡谷」は、子供の頃楽しみにしていたテレビ番組「ディズニー・ランド」を懐かしく連想させました。

この間届いた(オークション入手)CD中に「Artist Portrait〜Nikolaus Harnoncourt」(WARNER 0927-49146-2)〜ま、こういった「部分寄せ集め」は好かんのだけれど、「一山いくら」で入札したら含まれていた2枚組也。数日前、Mozart 交響曲第41番ハ長調〜コンセルトヘボウ管弦楽団(1982年)の終楽章のド迫力に痛く感動したが、こちらヨーロッパ室内管楽団(1991年)による終楽章は、よりいっそうの激しさと勢いが徹底され、歴史と伝統が若い機能的なオーケストラにより、指揮者の意図が徹底されます。どちらを選ぶかは嗜好の問題でしょう。ワタシは前者の”アク”に軍配を上げたい感じ。ラストのティンパニ叩き付け!は同じです。

KAISERDISKS KC-0010/100円だったか。海賊盤収集もここまでくれば病膏肓に至るで、ついでに、というか勢い余ってMozart 交響曲第40番ト短調/第41番ハ長調〜カラヤン/ベルリン・フィル(1970年)にて比較。(但し、筋金入りの駅売海賊盤KAISERDISKS KC-0010にて/板起こしです)これが思いの外悪くない・・・厚みのあるオーケストラがたっぷり、颯爽と速めのテンポで鳴りきって、例の如しのレガート奏法にもそう違和感なし。但し、繰り返しがないのは残念です。それと両作品とも全曲を通すと、少々”お腹一杯”的+仕上げが雑?な印象がありました。


●2007年9月某日

いろいろあった昨日。まず若く、優秀、正確なる実務(几帳面なる型にはめる)を誇る取引先ご担当(=おおまかで、”ツボ”狙い〜だいたいあってりゃエエじゃん的ワタシとは先鋭に対立してしまう)異動となりました。たしかに、凡ミスをたくさんフォローしていただいていたので、これからは(経験半年、そろそろ初心者とは言い難い)ワタシが緊張して自らやっていかないと。未だ伺っていないが、他のご担当も数人異動みたいです。こうして、また人間関係の変化ができていくんだろうな。我が職場の大ヴェテランが更迭され、新人君に代わったのはわずか2ヶ月前でした。

おめでた故今月いっぱいで退職予定だった(引継途中、優秀なる)派遣さん、切迫流産で入院。哀しいできごとだけれど、職場実務をきちんと回していくべき緊張感があります。日常諸作業、かなり消化進んで7割りほど?当初予定分は本日完了させましょう。職場には「厚生企画」(かつての厚生旅行の予算大幅縮小させたもの/3人以上で9月中に自主開催必須)というのがあって、本来は一日休むべき行事だけれど、我ら4人「もうスケジュールがない!」ということで、急遽夜実行を思い立ちました。で、さっさとお仕事終了させて心斎橋へ。

プレジデント千房にて。シェフは若くて別嬪はんでした。ワイン(南アフリカ/チリ/メキシコ産)がんがん飲(や)っちゃいました。ダイエットは大ピンチ!です。

TELDEC WPCS-21027  オークションにて@350円ほど?全部込み。今朝、Handel 「水上の音楽」〜ニコラウス・アーノンクール/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(1978年)・・・これもLP時代「四季」と並んで話題になった先鋭的な演奏であって、ホルンのつぶしたような激しい音色が素敵でした。作品の魅力とあいまって、現在でも鮮度は全然落ちていないですね。この作品はディジタル時代でも現代楽器で録音される機会があって、普遍的な人気と価値があるのでしょう。たった今現在の耳で聴けば、エキセントリックとしてではなく、メリハリたっぷりの優秀なる演奏、そう感じました。

メールにて誤字を指摘いただきました。ありがたいことです。返答「”勢いを付けて書く”ことを旨としているので、誤字脱字主語述語へんなのがいっぱいあって、修正の毎日です」と(言い訳)。

昨夜は(やはり)飲み過ぎで、頭痛はあるし体調はよろしくないし、ということで早々に帰宅。お仕事はエア・ポケットに入っていて、明日上司との面接関係の書類を仕上げ、注文の数値評価して、週末(休日出勤!)の商談準備したら休みが取れるかも知れません。オークション落札分の残り、無事到着。「8枚分まとめていくら!」的出品で、いくつか内容わからぬままに落札したので、一枚ダブりました。でも、手持ちは駅売海賊盤でして、結果的に正規盤入手した、ということになってOK。

TELDEC WPCS-21007通勤音楽はMozart 交響曲第40番ト短調/第41番ハ長調〜ニコラウス・アルノンクール/コンセルトヘボウ管弦楽団(1983/82年)・・・第40番のほうは数年前入手済み(つまりダブり)でして、正直なところ”さっぱりわからん!”状態でした。フレージングに自然さを欠く、テンポ設定にムリがある、リズムにノリが足りない、なにより(せっかくの)オーケストラが美しく響かない・・・ところが(二日酔い寝不足+頭痛+猛暑+混雑通勤電車条件乗り越え)発見がいっぱい!ありました。世評を舐めてはいかんよ、ということか。

とにかく細部どの部分も、旋律も、パートも徹底的にコントロールされ、描き込まれ、強調され、デフォルメされ、かつて体験したことのない”サウンド”が浮かび上がります。ト短調交響曲は内声部で金管を強調させて、印象強烈。全体として(忙しなく)速めのテンポだけれど、とくに第3楽章「メヌエット」でも中間部との(優雅なる)対比は、ちょうど第39番変ホ長調のパターンと同じだと納得できました。終楽章の推進力には文句なし。

「ジュピター」も同様だけれど、最終楽章終盤に焦点を当てて、ティンパニ炸裂!はずっと抑制していたんですね。「天女が舞い降りる」メヌエットは、かなり鍛えた天女達が躍動しておりました。日常聴きとしてではなく、音楽はドラマだ!という明快な主張であって、現代演奏芸術の先駆けとなった録音でしょう。嗜好を越えて感服した一枚也。


●2007年9月某日

結局、昨日は無為無策引き隠り状態。地元の演奏会があったんだけれど、あまりの猛暑に外出する気が失せました。こんなことでは、来るべき将来の老後生活はどーなる?女房は早々に親父介護に出掛けた(これは母親慰労の意味が大きい)ので、”屁をこいても、ひとり”状態終日。本日より、またどんより(気持ち的に)重いお仕事再開です。

オークション落札分(半分)ナント福島より一日で届いて、日本の郵便は優秀ですね。ここ尼崎から北海道郡部の両親の元へ、一日で荷物が届いたことがありました。アーノンクール計7枚分。考えてみれば”現役演奏家”CD聴取率は30%にも満たない感じで、ワタシの感覚ズレてますか?懐古趣味か。早速、(懐かしい)TELDEC WPCS-21043 オークション計7枚2,000円入手の一枚Vivaldi 協奏曲集「四季」作品8の1〜4+5/6〜ニコラウス・アーノンクール/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス/アリス・アーノンクール(v)(1977年)・・・おお、もう30年前だよ。LP時代が懐かしい。

1970年頃といえば”「四季」ブーム”でして、イ・ムジチの1959年盤が永遠のベストセラーだったし、ほとんど有名どころは録音し、来日公演でも「四季」は欠かせぬ・・・状態だったものです。そこにやってきた、古楽器による先鋭的衝撃的破壊的「四季」こそ前衛。ま、やがてこの方向の演奏/録音は増えていったし、ワタシは作品的にも愉しめなくなりました・・・それ(FMで聴いた)以来の再聴。アリスのクールな音色のソロを先頭に先鋭的で集中力あるアンサンブル、耳目を驚かせる変化多彩なるテンポ設定(「冬」第2楽章のジョーダンとしか思えぬ快速!)とリズム。ノリ。イ・ムジチの「イタリアの陽光が・・・」的健康健全なる世界に馴染んだ耳には、たしかに衝撃だったのでしょう。

エウロパ・ガランテ、イル・ジャルディーノ・アルモニコ、やがてこの方向が日常となって、一巡してしまったような(むしろエウロパ・ガランテなど”穏健”にさえに聞こえる!)そんな感慨もあります。作品に深みがないのかな?Bach だったら、どんな演奏でも(聴き手の気持ち的に)鮮度を失わせない・・・そんなことを考えました。クラシック音楽にだって、スタイルの流行廃れがあります。アーノンクールも再録音しませんもんね。ああ、タヘツィのオルガンはとても効果的でした。

風樹 茂「ホームレス人生講座」(中公新書ラクレ)・・・2002年発行。対岸としてではなく、かなり(おそらくは)特異な実例を以て”ホームレスへの道”の実例を取材した一冊。経済的な問題前提に、核家族化、家制度(「縁」)の崩壊を要因として著者は分析しております。8人分ですべて解析されるわけではないだろうが、世代別の分析がわかりやすい。もちろん”ポスト団塊”であるワタシの世代も登場します。いかにも、的芸術家肌の人もいれば、モウレツ・サラリーマン(懐かしき高度成長時代)からの移行もあります。一様ではなく、そして自分にも無縁ではない。

ワタシの趣味である二時間ドラマ(の再放送)「十津川警部(33)〜東北新幹線”はやて”殺人事件」・・・渡瀬恒彦、伊東四郎という最強コンビはお気に入りだけれど、今回のマドンナは(懐かしい)大原麗子となります。ま、筋書き展開さておいて、どうも画像がおかしい。ときどき画面がちらついて、細部が曖昧に・・・眼鏡かな?となんども拭いてみるが、途中で気付きました。大原麗子のアップでソフト・フォーカスになるんです。ヴェテラン大女優への配慮なのでしょう。充分セクシーだけれど、団塊の世代であり既に還暦・・・ディジタル・ハイビジョンは女性のお肌の大敵です。


●2007年9月某日

既に9月下旬なのに、残暑厳しいですね。昨夜は女房と神戸・三宮へ出て外食(和食にて)〜神戸は和洋食中華焼鳥餃子珈琲なんでも旨いんです。先週に続いての贅沢だけれど、介護疲れしている女房への愚痴聴きと慰労でした。本日、もう一日休みが嬉しい。

Schubert 交響曲第8番ロ短調「未完成」〜アンドレ・クリュイタンス/ベルリン・フィル(1960年)・・・現在では第7番と呼称されるんでしょうか。美しい歌謡的な旋律を誇る名曲だけれど、演奏個性の楽しみ方が意外と難物な作品でもあります。おそらくはBeethoven の「運命」と抱き合わせるために録音されたものと類推するが、クール透明に整ったアンサンブルを清潔に歌わせて、希に見る見通しの良さ。カラヤンともベームともずいぶんと異なった、優しくも知的な世界でした。意外と知られていない録音か。ワタシもこのCD入手まで気付かなかったし。(EMI 7243 5 85213 2 9/2枚組1,390円)

CBS/SONY FDCA322  @250連続Schubert 交響曲第9番ハ長調〜ブルーノ・ワルター/コロムビア交響楽団(1959年)・・・LP時代愛聴し、なぜかCD時代に入って敬遠気味の作品也。これも最近は第8番なんでしょうか。先月(期待の)ブリュッヘン/18世紀管弦楽団(1992年)にぴん!と来なくて、再チャレンジ。サイト内検索によると1年前(2006年)に聴いていて曰く「エエ音してますよ。ゆったりした余裕に揺れるテンポ、ふっくら暖かい旋律表現、雄大なるスケール。この作品はベルリン・フィルとか、ウィーン・フィルで聴く機会が多かったせいか、ホルンとか木管とかやや魅力が足らんなぁ、と贅沢言いたくなる・・・」

聴き手がエエ加減なもんで、ゆったり休日の早朝では爽やかにこの作品/演奏を受け入れました。”ベルリン・フィルとか、ウィーン・フィルで”などという贅沢も言わず、世評でやや緩いと評されようとも52分間、ワルターの優しい歌を悠々と堪能いたしました。作品/演奏印象は聴き手の体調精神状況でかなり変わるから”断定”禁物と自戒しましょう。

昨夜、NHKスペシャル「にっぽん家族の肖像(3)“千住暮らし・たそがれて光の中”最期まで二人で・東京下町老夫婦」・・・凄いドキュメンタリーだけれど、これが日本の現状なのでしょう。幸せな老後とは?を真剣に考えさせられます。北海道の両親は幸いなことに(たった今現在)ぴんぴんしているが、女房の実家(大阪)では爺さんがかなり弱ってきて、婆さんに過大なる肉体的負担が掛かっているんです。リアルに経済的な問題もあるだろうし、コムスン事件で明らかになった「介護保険/事業」の悲惨な実態(介護される側も、する側も。もちろん金払っている側も)にも胸が痛みます。

Debussy「美しき夕暮れ」/KREIN「舞曲第4番」*/SAIN・SAENS「白鳥」/BENJAMIN「ジャマインカン・ルンバ」(以上1961年)/Handel ヴァイオリン・ソナタ ホ長調 作品1-15/Bach 「G線上のアリア」/Paganini 「カンタービレ ニ長調」/Gershwin「ブルースのテンポで」*(以上1966年)/Brahms 「ハンガリー舞曲第7番」/Gluck「メロディ」/de Falla「ホタ」/Sarasate「ロマンツァ・アンダルーサ」/SUK「愛の歌」(以上1967年)〜レオニード・コーガン(v)/ナオウム・ワルター(p)・・・所謂ヴァイオリン名曲集としては選曲が凝っていて、「*」はハイフェッツ編。悪くない音質だけれど、ほとんどモノラル収録のライヴとなります。どれも硬質で骨太、しかも清潔感を失わない明快なる演奏。ナオウム・ワルター(?NAOUM WALTER)のピアノが少々不思議でして、「白鳥」では2台ピアノからの編曲に留まらず、和声を大幅に変更しております。名手コーガンの伴奏という水準ではなく、対等に渡り合っておりました。(YedangClassics YCC-0076)

そういえば中学生時代の恩師が「なぜ”白鳥”がチェロなのか。ヴァイオリンじゃないのか」と苦言を呈していたことを思い出しました。コーガンの「白鳥」は高貴であり、重音も用いて超絶技巧作品に仕上げておりました。


●2007年9月某日

ウカツにもエアコン切らずに就寝してしまい、早朝肌寒くて目覚めました。昨夜、オークションにて計12枚ほどCD落札〜どーしても欲しい!というものでも、滅茶苦茶安い!というものでもなかったが、ま、出会いかな、と思ったので。金銭感覚的には一回飲んだくらいのものだし。さて、貴重な連休をどう過ごしましょうか。いつものスポーツクラブ、サイト更新用原稿執筆、美術館、演奏会・・・疲労感が残っておりますが。

SONY SMM5054072  5枚組3,760円にて購入Mahler 交響曲第1番ニ長調〜ブルーノ・ワルター/コロムビア交響楽団(1961年)・・・ズービン・メータ/ニューヨーク・フィルハーモニック(@1982/SONY)との比較で(久々棚中より)取り出したCDだけれど、胸がきゅっと痛むような青春の含羞漂う感触は小学生以来の感動に間違いなし。表現の瑞々しい陰影、揺れ、彫りの深さ、リズムと呼吸のしっかりとしたメリハリ、爆発、いずれ最高です。アンサンブルの乱れなど指摘することは可能だろうが、それになんの意味があるの?というくらい(録音含めて)”新鮮”でした。”至高の名盤唯一主義”ではないが、思わず唯一無二の存在と言いたくなる・・・

CDを新たに注文するにあたっての”言い訳”(自分なりの)はいくらでもあるものです。ワタシの廉価盤嗜好のルーツは1970年頃の「1,000円盤LP」(相場2,000円)にあって、当時の物価、しかもほんの子供にとって、どれだけ高価なものであったか・・・その”憧れ”だけが”三つ子の魂百まで”状態で現在に続いております。PHILIPSは「グロリア・シリーズ」で900円!どうしても入手できぬまま大人になってしまった音源有。Debussy 「夜想曲」「海」(1957年)〜エドゥアルド・ファン・ベイヌム/コンセルトヘボウ管弦楽団・・・PHILIPS 475 635-3/6枚組4,305円は少々贅沢(過ぎ)だったが、背に腹は代えられぬ(正しい日本語かな?)+「管弦楽のための映像」(1954年モノラル)も加え6枚目に収録されておりました。まさに熱望して爾来三十有余年経過。待望の入手。

ま、散々期待させておいて「思ったほどには・・・」的経験は数多いけれど、これは期待を凌駕する結果となりました。オーケストラの響きがマイルドで深い味わい、表現は中庸で気怠かったり、あまり頑迷に構成感を強調したものでもなく、端正でオーソドックス、バランス良く、しかも清潔なる色気に不足しない。彫りが深く、細部配慮の行き届いたアンサンブルがよく歌います。どの作品も余裕ですね。陶然としちゃいました。

いつものスポーツクラブへ。「ボディヒーリング」は、ヨガ、ピラティス、太極拳・・・云々と前述したが、更にストレッチ、バレエの要素を組み合わせたものらしい。動きはゆっくりだけれど、なんやら”ここ最近動かした記憶のない筋肉を使っている”という感触があって、驚くほど激しい発汗有。有酸素運動ではないかも知れないが、体調のバランスを整えるのに有効だという手応え、しっかりありました。もちろん事後の風呂の爽快なこと!週一回の贅沢であります。

BRILLIANT 99715/6オークション出品は一段落だけれど、相変わらずヤープ・テル・リンデン/アムステルダム・モーツァルト・アカデミーによるMozart 後期交響曲集6枚(手持ちダブり分也)が売れて下さいません。(ノートパソコン用メモリも売れず、これは断念)なぜかな?で、交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」(2002年)聴いてみました。

まったり柔らかく素朴なサウンドであって、リズムが先鋭ではなく牧歌的な味わい溢れます。旋律が中膨らみする”オランダ系”か。お気に入り作品故に、評価は厳しくなりがちの作品だけれど、包み込むような暖かさがあって(良い意味で)ノンビリとした穏健派古楽演奏であります。「天女が舞い降りる」第3楽章は親しげであり、思わぬ「間」も効果的でしょう。終楽章も急ぎ過ぎず、騒ぎ過ぎず、諄々とした歌に説得力有。繰り返し実行がワタシには嬉しい。


●2007年9月某日

ほんまは休みだった週末、しかも慣れぬ社用車で早朝より〜ま、結論的に今時のナビは優秀であって、予定通り問題なくお仕事こなして午前中で帰宅しました。やや肉体系労働だったこともあって汗まみれ、久々に運転したせいか疲労感もキツい・・・明日も仕事だと思うと、前の夜から精神(ココロ)が休まりません。道がわからない、駐車場が見つからない、接触事故を起こす、所定の時間に間に合わない・・・浅い眠りの中でそんな(いやな)夢を見ました。ようやく連休へ。

SONY SRCR1519  中古@250昨日、聴いた音楽・・・Ravel 「ボレロ」「ラ・ヴァルス」〜バーンスタイン/フランス国立管弦楽団(1975年)・・・当時、気力充実の57歳。アメリカ時代の粗削りは影を潜めたが、あくまで骨太であり”粋な風情”ではない。オーケストラの管楽器連中は”仏蘭西の香り”ぷんぷんとさせるが、これはバーンスタインなり立派で個性前面の演奏であって、悪くない。このCDは例の如しの妙竹林コンピレーションであって、Debussy 「牧神」「海」〜オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団(1959年)・・・これが不思議な演奏であって、カドの取れた印象薄いものなんです。するすると音楽は流れて〜オーケストラは上手いんですけどね。

Mozart ピアノ協奏曲第15番 変ロ長調/第20番ニ短調・・・カルメン・ピアッツィーニ(p)/ガントヴァルク/レニングラード・ソロイスツ(CASCADE am@do clasiccs 01022)・・・明朗で快活なる推進力、華やかに浮き立つような素敵な演奏です。変ホ長調K.450協奏曲の終楽章は、そんなスタイルが似合う”華やかに浮き立つような”旋律だと思います。ここ最近、クララ・ハスキル、エフゲニ・キーシン、イェネ・ヤンドー〜各々個性の違いを愉しめるようになってきました。いつまでも「ヴォルフガング無条件幸福」ではいかんからね。

久々に運転して感じたこと。技術的な不安はありませんでした。クルマがない、という前提の歩くのみの生活範囲、クルマがあるという社会的な広がりとは別もんだということに気付きました。月数万円の贅沢も有りかな?と(不遜にも)ちょっと思いました。自宅マンション前の道路を真っ直ぐしばらく進むと、先日のBOOK・OFFに辿り着くんです。途中HARD・OFFもありました。


●2007年9月某日

女房、昨夜急遽父親介護へ。じょじょに頻度が上がっております。な〜んもせんダンナは、せめてお仕事でそれなりに稼がないといけないね。朝晩はかなり秋の色が濃くなってきました。今年の夏は体力的にキツかったが、東京で本丸の連中と飲んだときに「夏ばてしました」って言っていたな。さて、今夜は社用車に荷物を積んで帰宅するんだけれど、運転数ヶ月ぶり、しかも大阪方面は十数年ぶりであって、少々不安です。地理感覚はナビがあるから大丈夫と思うんだけれど。ご近所に駐車場を探さないといけない。サイト定例更新済。更新用原稿ネタは尽きております。なんとかせんと。

Mozart ピアノ協奏曲第12番イ長調(1984年ライヴ)/第20番ニ短調/ロンド ニ長調 K.382(以上1990年ライヴ)〜エフゲニ・キーシン(p)/ウラディーミル・スピヴァコフ/モスクワ・ヴィルトゥオージ(BRILLIANT 8528/1)は強烈なテンション演奏であった・・・ことは、稀有なサイトネタにするつもりなので詳細言及後述、その関連で、Mozart ピアノ協奏曲第12番イ長調/第14番 変ホ長調/第21番ハ長調〜イェネ・ヤンドー(p)/リゲティ/コンチェルト・ハンガリクス(1989年)久々拝聴。

この全集は、ワタシのリファレンス(参照の基準)であって、特別に個性を発揮したものではないが、収録作品も含め価値あるものだと思います。キーシン盤激演!を聴いた直後の印象故か、物足りないくらい”フツウの大人しい”演奏であって、さらさらと耳を擽る超・穏健派であります。もとより「音色は地味〜派手さもないし、きらびやかな輝きでもないが〜無駄がない。淡々として、ヘンな思い入れもなく、クセを感じさせない」との感想、いっそう揺るぎなく、作品の味わいを素直に伝える静かな表現でした。(それにしても11枚6,299円!というのは時代を感じさせる・・・わずか数年前なのに)


●2007年9月某日

安倍ちゃんの唐突な辞任に話題騒然〜だけれど、呆れはしても驚きはなかったんじゃないか。ぼんぼん総理を養護するつもりはないけれど、きっと精神的な病じゃないか、と思います。”引き時”って大切ですね。自分は数多くの矛盾障害トラブル(半分は自責)抱え、本日どれだけクリアできるか勝負。昨日急にご無体な連絡もあって(建前は通っている)土曜早朝にお仕事(しかも慣れぬ土地でドライブ/休日出勤)入りました。ま、ひとつひとつクリアしていきましょう。

昨夜は(いつも通り)東京より遅く帰宅。読書が継続しているということは、未だ精神的テンションが維持できている、ということか。海老坂武「新・シングルライフ」(集英社新書)・・・2000年出版だからやや旧聞だけれど、状況は深化していると思います。氏はフランス文学者であって、社会学者ではない(分析に充分説得力があるにせよ)、実例と自らの体験を以て一様ではない「シングル」の意味合い、経緯、分類を試みて、増加の理由に説得力有。自分はたまたまシングルではないが、将来はそうなる可能性だってあるし、その事実に受け入れて人生を楽しむ術を学ぶべきでしょう。安易な「世間様」「常識」に囚われない姿勢に共感もあります。

著者の恋愛経験に於ける「結婚切り札」(口説き落とす最後の手管)論には、慄然とする説得力有。

斎藤茂太「快老生活の心得」(角川ONEテーマ21)・・・著者は2006年に90歳で亡くなっていて、これは2003年の著作だから、最晩年のもの。内容的には目新しいものではないが、自ら、そして父親(斎藤茂吉)、母親の闊達なる人生を実例に、ユーモアタップリに「快老生活」を語っていて、微笑ましい説得力抜群!でした。キレイごとの人生訓は大嫌いなので、「最悪の一冊」と評した(この姿勢が”独断”か?)書籍もあったが、この柔軟なるご老人には敬意惜しまず。

SONY 88697103112-11新幹線往復で聴いた音楽もタップリ〜だけれど、出勤時間が迫っております。Stravinsky 自演集より(11)「小品集」〜祝賀前奏曲〜ピエール・モントゥーの80歳の誕生日のために(1963年)/小管弦楽のための組曲第1/2番(1963年)/協奏曲変ホ長調「ダンバートン・オークス」(1964年)/ノルウェーの情緒〜4つのエピソード(1963年)/サーカス・ポルカ〜サーカスの小象のために(1963年)/協奏曲ニ長調(バーゼル協奏曲)(1963年)/15人の器楽奏者のための「8つのミニアチュア」(1962年)/管弦楽のための4つの練習曲(1962年)〜コロムビア交響楽団・・・作品的にほぼ馴染みのものだけれど、「バーゼル協奏曲」に於ける変拍子のおもしろさを初めて実感できました。あまり湿っぽくない、乾いた情感が漂うような旋律リズムはいずれも自分の嗜好にピタリ!でした。

この間の(大)トラブル決算3つほどクリア、新たにでかいのがひとつ発覚、それだって辛くも乗り切って一日終了。となりの若い者(優秀なる中途採用新人君)が、「たいしたものですね、そんな合間にレポートやら分析報告したりして・・・」って、そちらが本職ですから。ぼろぼろ継ぎ接ぎ仕事はアルバイトなんですよ、一生懸命こなしている(つもり)だけれど。 最近、時代劇が気に入っていて・・・というのは「おじさんの証拠である」というのは、秋本康「おじさん通信簿」(角川ONEテーマ21)に書いてありました。時代小説傑作選「大江戸猫三昧」(徳間文庫)〜猫好き、時代劇好きにはたまらぬ一冊。岡本綺堂、池波正太郎始め、一流どころが猫を縦横に活躍させて魅了させます。

Stravinsky 自演集より(12)「室内楽作品と歴史的録音VOL.1」〜ジャズ・バンドのための前奏曲(1965年)/12の楽器のためのコンチェルティーノ(1965年)/管楽八重奏曲(1961年)/11楽器のためのラグタイム(1962年)/タンゴ(1965年)/七重奏曲(1965年)/パストラール(1965年)/エボニー・コンチェルト(ベニー・グッドマン(cl)1965年)/管楽器のための交響曲(サンフォニー/北西ドイツ放送交響楽団1951年)・・・ラスト以外は、コロムビア・ジャズ・アンサンブルとか適当なネーミングの録音用メンバーとのもの。これも(11)同様の魅力だけれど、編成が小さい分いっそう精緻で細かいワザが透けて見えます。「エボニー・コンチェルト」辺りはずっとお気に入りで、「ジャズのイディオムが云々」と良く論評されるもの。ま、きっとそうなんだろうが、ワタシには素っ頓狂で自由で、その実よく計算されている不思議な世界に聞こえます。意外なことに、この一枚も作品的にはほぼ昔馴染み也。


●2007年9月某日

これから東京です。いつもは前泊なんだけど、昼までに東京着、あちこち視察なので荷物をホテルに預けなくちゃ。ちょっと時間がタイト。昨夜〜今朝の気温は本格的な秋を実感させるもので、心身共の”夏ばて”よ、さらば。

SONY 88697103112 CD10Stravinsky ピアノと管楽器のための協奏曲(アントルモン(p)1964年ニューヨーク)/ピアノと管弦楽のためのムーヴメンツ(ローゼン(p)1961年ハリウッド)/ピアノと管弦楽のための奇想曲(カプリッチョ)(クラフト/アントルモン(p)1966年ニューヨーク)/ヴァイオリン協奏曲二調(スターン(v)1960年ハリウッド)〜作曲者/コロムビア交響楽団・・・一部だけ聴いていて途中になっていました。先月も「ムーヴメンツ」はマルグリット・ウェーバー盤を聴いていて、その無感情・前衛的な作風に痺れていたもの。チャールズ・ローゼンもしっとりと美しく、ていねいに作品を解き明かしました。

ピアノと管楽器のための協奏曲は録音も少ないと思うが、Stravinsky好きのワタシとしてはワルター・オルベルツ盤にて旧来の馴染み也。当時、CBS専属の若手ピアニストであったフィリップ・アントルモンは(カプリッチョも同様)華やかな勢いに溢れて、強面演奏ではない魅力有。アイザック・スターンも余裕の貫禄ぶり・・・どうも毎日お仕事苦しんでいる生活故か、こういった辛口音楽が精神的にフィットする秋であります。

東京のホテルに入りました。千葉県方面の視察を終え、秋葉原で参加者と懇親・・・往年のアイドル話で盛り上がりました。でも、なんか疲れているなぁ、最近。新幹線中ではしっかり音楽聴きましたよ。Bach 「コーヒー・カンタータ」BWV.211/「農民カンタータ」BWV.212〜エディト・マティス(s)/テオ・アダム(bs)/ペーター・シュライアー(指揮とt)/ベルリン室内管弦楽団(1979/81年)・・・現在ではBRILLIANTで入手可能か、ワタシのはedel盤(0001512CCC)となります。いきいき溌剌とした演奏はお気に入りのセットだったが、聴いたのはずいぶんと久々でした。

往年の名手による名唱に間違いなし〜だけれど、妙に生真面目で堅苦しいか?ここ数年、古楽器の柔らかな響きばかり聴いていたせいなのか、馴染みの作品がしっくり肌に合わないのは、夏ばて余波の聴き手の責任なのでしょう。

Bach マタイ受難曲〜ミヒャエル・ノヴァーク(エヴァンゲリスト)/トーマス・モール(イエス)/サンドラ・ムーン(s)/クララ・オブレイン(ms)/ゲヴァントハウス合唱団/ゲヴァントハウス少年合唱団/カールスルーエ・バーデン州立歌劇場管弦楽団/ギュンター・ノイホイルト(1995年カールスルーエ劇場ライヴ)・・・「CORPUS CHRISTI」(DOCUMENTS10枚組)中の白眉ですね。いくら安いとはいえ、音質演奏ともちょっとね・・・的収録もありました。「復活」は期待外れだったが、こちら軽快なリズム、オーバーな表情付け皆無、虚飾ない表現、馴染みの詠嘆旋律が粛々と胸に染み込みます。特別に個性的なものではないが、日常時に応じて取り出すに相応しい味わいでした。

現代楽器、音質もさほどではない、歌い手も際立って個性を発揮するわけでもないが、長旅を退屈させない(大きな)価値有。


●2007年9月某日

昨夜、日曜は贅沢しちゃいました、たっぷり。午前中、結局「ボディ・ヒーリング」にてカラダをいじめ、昼からゆっくりしようと思ったら二時間ドラマの再放送がない!で、女房と相談して「HERO」劇場版に行ってみようか、と。ところが封切り映画など20年ほど行っていないワタシ、梅田では切符を買うべき長蛇の列に断念、難波に回って4時間後の席をようやく確保しました。パソコン屋(流行の周辺機器、中古相場を確認)、ちょっとエエ感じの飲み屋で時間をつぶして、ラーメン喰って(久々に旨い個性的な味であった)、やや前過ぎで首が苦しい席へ。

結論的にとても楽しんだ、ということを前提に、1) 仲間が妙に仲良すぎ、協力的ではないか 2) 釜山の場面はサービス程度であって、ほとんど筋に影響なし 3) 中井貴一と綾瀬はるかは前作スペシャルを見ていないので、面会場面の意味合いもわからない・・・。でも、筋書きやら展開は上手いもんですよ。ワタシは松たか子を見たかったのであって、たっぷり、心底堪能いたしました。

帰宅して連夜、黒澤明ドラマスペシャル「生きる」拝見。これは硬派な筋立てが、最近見掛けない水準となっておりました。北村一輝扮する遊び人との交流、深田恭子の可愛らしさ、公務員の徹底した縦割り、縄張り、事なかれ主義(デフォルメしてあるんだろうが)が表現され、これも絶妙な感じ。「天国と地獄」も含め原作映画を見ていないので、DVDを入手したくなりました。

オークションは、ご常連が(きっと気を遣って下さって)落札有、やはりヤープ・テル・リンデンのMozart 後期交響曲集が売れ残っております。本日、先週金曜日の宿題がごっそり残っており、明日は朝一番で東京となります。音楽はあまり聴けておりません。

お仕事大苦戦だなぁ、ま、ぎりぎり(いくつか間引いて)乗り切った?感じ。とうとう、明日からの東京出張向けの資料手付かず、状態。いくつかトラブル発生したが、それとなく、そこはかとなく(その実、あくせく、背中に冷や汗かきつつ)乗り切っております。丸二日間、出先なのは苦しいね、ちょっと。ま、出先から職場に居る人を自在に操って苦境を乗り切る・・・みたいなワザを使えるような水準(身分)じゃございません。夕方のアイスクリーム、ケーキの試食(好きでもないのに)が少々アンチ・ダイエット状態か。

Q DISC 97016 CD3Mozart フルート協奏曲 ニ長調K.314〜フーベルト・バルワーザー(fl)/メンゲルベルク/コンセルトヘボウ管弦楽団(1942年)・・・これは恐るべき明快で、良く鳴るフルートであって、朗々とした表情が生き生き、溌剌。メンゲルベルクのMozart なんて?みたいな印象あるけれど、歌劇「魔笛」序曲のノリの良さ、協奏曲伴奏に於けるヴァイオリンのポルタメントも妖しく、充実した、しっかりと手応えのある個性を堪能させて下さいました。音質は気になりませんね。

で、この「明快で、良く鳴るフルート」を聴いて、また記憶が蘇りました。似たような感触を味わったことがある・・・そうか、マルセル・モイーズ(fl)/ウジェーヌ・ビゴー/管弦楽団(1930年)を所有していたっけ(History Mozart DELUXE 40枚組/CD18)。さっそく箱中より取り出してみるが、こちらのほうが大柄でテンポの揺れも時代を少々感じさせます。つまり、バルワーザー/メンゲルベルク盤のほうがモダーン(?)な印象が強い。いずれ輝かしいソロの華やかさ、抜群の雄弁は時代を越えて説得力たっぷり、と感じました。


●2007年9月某日

昨夜、黒澤明ドラマスペシャル「天国と地獄」拝見。これは近年希に見る上質な仕上げであって、筋書き推移のていねいなこと、小樽方面を主舞台にした情景の美しいこと、所謂”端役”にまで一流どころを揃えている点で驚異的水準也。例えば、ラスト留置所面接場面での看守はヴェテラン・本田博太郎ですよ。ほぼ台詞なし。犯人の一人・篠井英介だって重要な役どころながら台詞はない。所謂「アニメ原作」連ドラは苦戦続きらしいが、先日の「ハゲタカ」然り、テレビマンの良識は未だ健在!と実感させて下さいました。

「天国」と「地獄」とは、犯人役の妻夫木聡がラストに告白(壮絶な演技!)するところから来ているんだろうが、主人公・佐藤浩市の、会社での主導権を握るべく一発勝負からの脱落、無一文どころか借金生活への転落、大手会社役員から靴職人へ(内心忸怩たる思いはあるだろうが、ラスト夫婦の情景は幸せそう)・・・という生き方のことを指しているのか。妻夫木聡が犯行に至る不条理さの説明に不足するように思えるが、だからこその不条理か。

Bruckner 交響曲第2番ハ短調〜クルト・マズア/ゲヴァントハウス管弦楽団(1978年)・・・ライプツィヒ・パウル・ゲルハルト教会録音。聴く機会の少ない作品だけれど、ワタシには馴染みであって、少々苦い思い有。ハンス・ザナテルリ/南ドイル・フィル(だったっけ?)のおそらくは匿名演奏家盤、アレクサンダー・ラハバリ盤、とくに後者の処分に後悔ありました。どれか全集を購入したときに処分したんでしょう。浅はかでした。65分に及ぶ大曲でして、これも威圧感の少ない、さらりとした印象の仕上げとなります。「威圧感の少ない、さらりした印象」を越え、美しい、と思える瞬間も数多く存在しました。「力感質感爆発力」不足故、ヴェリ・ベストとは言い切れないが、存在感薄き1970年代の全集録音・・・と看過できない個性はあると思います。

これにてようやく「全集」(いちおう)聴了。昨日の、ゲオルグ・ティントナーやら、シューリヒト(第7番/レジデンティ管弦楽団1964年)など浮気してきたが、これにて一区切り〜Stravinsky自演全集(残)に戻ったり、Brucknerだったらハイティンクの新録音(全集になっていない)の再聴を心掛けましょう。


●2007年9月某日

雨台風は北海道に至っているそうで、こちら西日本ではテレビで被害を知ってお見舞い申し上げるしかない。相変わらず湿度高く、昼間の気温も高いままだけれど、朝はさすがに気持ちよくなりつつある・・・が、睡眠不如意で早朝のデニーズに食事に行って参りました(若者が喧しい!のう/かつての自分もそうだったのか)。昨日、出先での商談〜昼から(正確には夕方)の会議まで時間があったので床屋、旨いアイスコーヒーの話題は昨日触れたが、馴染みの古本屋にも顔を出していてCD2枚購入・・・

1984年録音 DELOS D/CD3026/@500Bach /Handel 「アリア集」〜アーリーン・オジェー(s)/シュウォーツ/モストリー・モーツァルト管弦楽団(1984年録音 DELOS D/CD3026)@500也。彼女はアメリカの名ソプラノであって、残念ながら1993年に亡くなっております。収録は

Handel
1.Rejoice Greatly(Messiah)
2.Piangero(Giulio Cesare)
3.Care Selve(Atalanta)
4.The Prince,Unable to Conceal His Pain(Alexander's Feast)
5.Softry Sweet in Lydian Measures(Alexander's Feast)
6.Lascia ch'io pianga(Rinaldo)
7.Let the Bright Seraphim(Samaon)
8.He Shall Feed His Flock(Messiah)

Bach
9.Ricetti gramezza(Non sa che dolore)
10.Bist du bei mir(Klavierbuchlein fur Anna magdalena Bach )
11.Weichet nur,betrubte Schatten(Weichet nur,betrubte Schatten)
12.Sich uben im lieben(Weicht nur,betrubte Scatten)
13.Blute nur(St.Matthew Passion)
14.Ich will dir mein Herze schenken(St.Matthew Passion)

気高くも上品、暖かい彼女の声がたっぷり堪能できて、涙もんでした。まさに正統派。シュウォーツのバックが予想外にしっとり清楚なもので、現代楽器ながらチェンバロも床しく響きます。オジェーは、この辺りの作品のスペシャリストだったんだなぁ、一杯録音が残ってますね。

福沢安夫「ホームレス日記『人生すっとんとん』〜娘恋しやほうやれほ」(小学館文庫)・・・これは胸が痛むような一冊。彼が上野公園でホームレス生活をしていたのは1999年からほんの一年くらいだけれど、ホームレス同士の仁義とか生活の知恵、実態、ホームレスの側から見た”世間”など、興味深い(なかなか経験できない)事象の聞き書きです。彼の描くボールペン絵画が話題になって、テレビにも出たことがあるらしい。絵が売れてそれなりの収入もあったらしいし、やがてそこを抜け出し、すぐに入浴中の心筋梗塞で亡くなっている・・・”胸が痛む”のは、破滅型の彼の生き方であって1941年北関東の生まれ、高度成長の証券会社で働き、そこを辞めて優秀な営業マンとなり、ラストはホームレスに。

驚くのは「給料はありったけきれいに使ってしまう」「前借りする」。女性にはもてちゃう。CDの販売でも立派な成績を収めるが、ついにはバブルで大失敗、親戚に迷惑を掛け、家族とも別れてしまう・・・頭も良いし、画才もある。ホームレス同士の気遣いもたいしたものだし、彼は人の援助があってそこを抜け出したが、寿命が残っていなかった。ホームレスといっても一様じゃないんですね。

Bruckner 交響曲第6番イ長調〜クルト・マズア/ゲヴァントハウス管弦楽団(1978年)・・・賛否入り乱れる全集だけれど、これはライプツィヒ・パウル・ゲルハルト教会録音。この演奏も適度に、良い意味で軽量であって、鈍重なる威圧感のない、耳当たりの良い演奏でした。作品の個性と演奏スタイルとの相性があるのか、全53分、聴き通すのが苦ではありません。

Mozart のフルート協奏曲は2曲あって、ニ長調K.314はオーボエ協奏曲ハ長調の焼き直し・・・今朝、シュニーマン(ob)/レフ・マルキス/新シンフォニエッタ・アムステルダムの軽快な演奏を聴きながらそんなことを思い出しておりました。そういえば、VOX3枚組でMozart のフルート関係全部揃うCDをオークション処分してから「K.314」は手許になかったんじゃないか?と不安になりました。で、「サイト内検索」を掛けてみると出てきました。「Mozart Pemium Edition 40枚組」に含まれる、ザルツブルク・ソロイスツ/アリーフェ・ギュルゼン・タトゥ(fl)盤、そして、バルワーザー(fl)/メンゲルベルク/コンセルトヘボウ管弦楽団(1942年)盤。前者は録音も悪くないし、涼やかで良いフルートでした。後者は本日再聴ならず。

Bruckner 交響曲第8番ハ短調(1887年版)〜ゲオルグ・ティントナー/アイルランド・ナショナル交響楽団(1996年)・・・久々の集中であって、これもマズア全集の効果でしょうか、非常にユルいアンサンブル、鳴らないオーケストラ、疾走しないテンポ〜それでも得も言われぬ味わい系/癒し系の牧歌的演奏であって、耳慣れぬ珍しい版乗り越え、90分に及ぶ長丁場を楽しませて下さいます。切迫して爆発するばかりがBrucknerではない・・・と「断言」しちゃうとまたBBSで叱られちゃうかな?


●2007年9月某日

今朝、台風は関東方面を進んでいるようだけれど、たいへんな猛威ですね。ここ関西方面は良い天候です。一日違いの東京出張で助かりました。サイト(なんとか)定例更新。本日、取引先直行だったが、昨夜(歯医者予約の関係で)データ取り込み(ノートパソコン)途中になったのと、持参すべき資料を一件忘れたためいったん出勤します。約一時間ムダが出るが、音楽聴いて有効に活用しましょう。お仕事の上の不安は”全貌(大まかな全体方向)が見えない”こと、”ツボが見えない”(おそらくはほとんど同意)ことによる、”結果的連続ちょんぼ”なんです。手の抜き方に失敗したな。実務的なフォローは終了しているし、だいたい様子は見えてきたつもりなので、あとは取引先(若手優秀な)ご担当の感情問題のみ・・・性急に結論のみ求める気持ちは理解できます。

きっと大丈夫でしょう。

VOXBOX  CD6X-3605-3  6枚組2,990円で購入昨夜、Beethoven 交響曲第5番/第6番〜オットー・クレンペラー/ウィーン交響楽団(1951年)・・・音質あまりよろしくなく、オーケストラがガサツで〜そして無骨、しっかりとした構成を感じさせる立派な演奏。優雅でもない、流麗に走らない、盤石で腰の据わった表現だけれど、前時代的異形な重苦しさではなく、むしろ”クリア”とでも呼ぶべきわかりやすさがあると思います。アンサンブルは緻密とは言いかねるが、気になりません。気力充実の一枚也。

今朝、(クレーメルの続き)Sibelius 交響詩「エン・サガ」「タピオラ」「悲しきワルツ」〜ユッカ・ペッカ・サラステ/フィンランド放送交響楽団(1990年頃?)・・・最初の交響曲全集と同時期録音であり、市場では入手しにくい音源也。音質的にも表現的にもロジェストヴェンスキーの荒々しいオーケストラに続けるべきではない乱暴なるコンピレーション。線は細く神経質、繊細で冷涼な味わいがありました。音質も(ずっと)よろしい。

では行ってきます。

なんとか乗り切ったのか、結論的にいつもと変わらぬ一日なのか、それとも矛盾の爆発が先に延びただけなのか。とにかく一週間が終わりました。最近、毎金曜日は欠かさず、女房は父親の介護に出掛けるので外食〜というか、駅前の安直な安居酒屋で一杯。職場の同僚や上司と出先の会議で一緒だったが、自分一人だけ所用があって残ったので、駅側の古本屋でノーミソ酷使しない時代劇舞台の推理小説を一冊購入しつつ陶然としておりました。橋本治「乱世を生きる〜市場原理は嘘かもしれない」(集英社新書)・・・おそらくは現状の”選択肢”の幅を根元的に見直す、思考のパラダイムを根本から変革すべき一冊なのかも知れないが、現在の草臥れ果てた中年サラリーマンには読み通し、考え続けるのが少々ツラい一冊だったため。

もとより自宅最寄りの駅は”下町”こてこてであって、自分には似合っていると思うが、所詮根本的には異邦人(よそもの)。カウンター左隣の紫煙には(この際)ガマンするにせよ、胴間声まったり関西弁飛び交うのを愉しみつつ、左隣の同世代焼酎愛好者の落ち着きのない頻繁な動きが気になります。ま、喧しい酒場で悠然と文庫本読んでいるこちら短髪中年も充分怪しいが。(午前中の商談を無事終え、昼からの会議まで床屋に行きました)昼休み、神戸にしむら珈琲店のアイスコーヒーは、おそらくは数十年ぶりの感慨深い旨さでしたね。

BBSにて「anonymous」氏より「”独断”と批判される姿勢が”独断”である」との手厳しいご批判有。反省と自戒、タップリいたしましょう。人間、叱られているウチが華ですから。

本日、移動中に選んだ音楽はMahler 交響曲第10番 嬰ヘ長調(1971年)/第6番イ短調(1969年)/第9番ニ長調〜第1/2楽章(1969年)〜ベルナルト・ハイティンク/コンセルトヘボウ管弦楽団・・・クーベリックと並びワタシのリファレンスとしている全集より。1曲ずつ至高の名演奏厳選主義を取られている方には、おそらく選外となるべき運命の演奏かも知れません。つまり、旋律が雄弁に語らない。巨匠然たる風格に不足して、真っ当すぎる表現であること。しかし、オーケストラの豊かで余裕の響き自体が魅力であって、作品の素の姿がストレートに虚飾なく表出されて、好感が持てるんです。

まだ精神的には完調ではないので、音楽日誌執筆もこのくらいで精一杯。テレビもツマらんなぁ。


●2007年9月某日

昨日、またまたこの間と同様のトラブル発生、本日明日と対処一区切りさせて再出発となれるか山場です。そのフォロー作業続きます。おそらくは2ヶ月前に自覚せぬ”大きな穴”があって、細かい実務と大きな流れを作る仕事がバランスしておりません。つまり、未だお仕事の全貌が見えていない。大きなかみ合わせが狂っている感じ。でも、立ち止まれない。昨日の会議内容も濃かったし、これを職場内で報告具体化しなくっちゃ。

ああ、ことし始めに治療した左下奥歯の詰め物が取れてしまいました。どこかで治療しないと。なんか、お仕事の状態と似ている・・・

音楽を楽しむような心情ではないが、新幹線往復いくつか聴いた音楽の件。Sibelius ヴァイオリン協奏曲ニ短調〜ギドン・クレーメル/ロジェストヴェンスキー/ロンドン交響楽団(1977年)・・・RCAレーベルのCDだけれど、音源的にDENONと同じものでしょう。これが(スタイルとしてはクール端正なのに)異様に熱く、骨太で、これを説得力と捉えるのか、違和感とするのかは微妙なところ。音質の肌理が粗くて、乱暴な印象もあるのはロジェストヴェンスキーの荒々しい表現故か?ワタシの好みではありません。

Saint-Sae"ns 交響曲第3番ハ短調(1959年)/Ibert 「寄港地」(1956年)/D'indy 「フランスの山人の歌による交響曲」(1958年シュヴァイツァー(p))〜シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団・・・精神(ココロ)後ろ向きに萎えているワタシを鼓舞するようなアツい演奏でした。躍動し、熱狂し、筋肉隆々と汗飛び散って揺れ動く前のめりのテンポ。やや粗削りだけれど、粋な旋律を颯爽と語る優秀なオーケストラ・・・これは、もっと状況改善してから再聴しましょう。

都筑道夫「退職刑事」(徳間文庫)・・・これシリーズになっているんですね。出先で退屈を紛らわせるために購入した文庫本だけれど、「安楽椅子探偵もの」の典型で良くできております。余計なノーミソ使う余裕のない時にはピタリ也。高田明和「40歳からの『バカになれる脳』も鍛え方」(講談社+α新書)・・・前著がとても共感できたので期待したが、ワタシには(現状)まったく使えない”分析”本。残念。

秋本康「おじさん通信簿」(角川ONEテーマ21)・・・気軽に読める一冊。だからどうなんだ?といったカルいエッセイでした。

残暑微妙な職場に出掛けましょう。

ひとつ危機をクリア。明日、土下座的商談ひとつふたつ、これを乗り越えて山を越えられるかな?夕方、四苦八苦しつつなんとかお仕事切り上げ、予約した自宅側の歯医者へと向かうが、途中JRのダイヤ乱れまくりで焦りました。診療時間には間に合って、無事、左奥歯下の詰め物は復帰いたしました。良かったなぁ、これもお仕事状況を象徴しているのでしょうか。

移動中堪能した小説を失念しておりました。藤沢周平「霜の朝」(新潮文庫)・・・荒みきった心中奥底をジンワリ温めて下さるような、市井の人々に焦点を当てた時代小説の短編集です。この人の小説って、超越した偉人が出てこないんだな。そこが大好きです。

CONCERTHALLCHS CD0121Stravinsky バレエ音楽「春の祭典」〜ピエール・ブーレーズ/フランス国立放送管弦楽団(1963年)・・・幾度聴いて飽きぬ演奏。どんより曇った音質も苦になりません。作曲者のどことなく牧歌的な演奏を標準とするならば、都会的に洗練され、シャープな切れ味と爆発を旨とする素晴らしき世界だと思います。要らぬマネはするな!と、ばかりオーケストラをコントロールするブーレーズに、管楽器の名手達が”自分の色”を賢明に表出するスリリングな演奏!彼の数種の録音中、もっともアツいものを感じされる出来でしょう。続く、カンタータ「結婚」の無機的かつ粗野で原始的な旋律、リズムも大好きです。(両方ともLP時代からお気に入りでした。ィトナー">

更にStravinsky バレエ音楽「春の祭典」〜オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ドレスデン(1962年)・・・時代を感じさせぬ優秀録音。いやぁ、こりゃ笑っちゃいますな。オーケストラが滅茶苦茶巧い・・・”巧い”の意味合いが問題でして、冒頭のファゴットから瑞々しい表情をタップリ湛えて”朗々と歌う”わけです。以下、あらゆる木管、金管、弦、そして激しい打楽器群まで「美しい音楽とはこういうことなんだよ」とばかり、浪漫の陰影タップリに色付けされ、余裕であり、その甚だしい勘違いの徹底ぶりが強烈な印象を刻印します。1962年という時代で(だから?)こんな表現が可能だったという驚き。浪漫の風情をタップリと纏った「春の祭典」は如何?


●2007年9月某日

(在東京ホテル)昨日、朝から体調悪く、挙句、お仕事ちょんぼ(連続)発覚して(これは大繁忙期にやったこと)お取引先ご担当に大叱責有、事実なので仕方がないし、当面のフォローと毎日の実務で信頼回復を(時間を掛けて)するしかない。一方で内部で重要な案件を任されたり、お取引の別部署からは親密な相談連絡があったり、でアン・バランス不均等状態〜すっかり意欲を失っております。

音楽を聴いても全然楽しくない。東京に到着しても、なんか美味いものでも・・・という意欲湧き上がらず。サイト更新だって、そんな気になれずぼんやりテレビを眺めているだけ。スポーツクラブへ行く意欲もちろんなし。この一ヶ月が正念場でしょうね。本日終日会議。来年へのネタであり、職場でのお手本を作るべき宿題なので、しっかり勉強してきましょう。ここを乗り切る!しかない。

重金敦之「池波正太郎劇場」(新潮新書)・・・そんな落ち込んだ精神で読んでも、清々しい気持ちになれる一冊。自らのエッセイによる子供の頃からの経験、やがて劇作家、小説家として成長していく過程、家族が色濃く反映している時代小説の登場人物。内容的には、ずっと楽しんできた彼の作品の追体験に過ぎないけど、ちょっと元気になる一冊。おおよそ彼の著作は読んだつもりが、「真田太平記」は未だだったな。


●2007年9月某日

ちょっと暑さ戻って、昨夜はエアコンで寝ました。それでも行ったり来たりで(間違いなく)秋になっていくのでしょう。本日、本来的なお仕事宿題一気にこなしつつ、昼過ぎには新幹線で東京へ。CD購入意欲急速に薄れていて、嗚呼欲しいなっ!というものもありません。そういえば、いつか残品処分発売を狙っていた「Beethoven 87枚組」、HMV通販では「現在入手困難」表示に至っていて、ベストセラー上位に一度も顔を出さなかったし、あまり入荷数もなかったのか。最近出物を探してレコード屋(死語)に通うこともなくなったので、店頭で現物見たことなし。

旧東ドイツの地味な実力派ピアニスト・ペーター・レーゼルのボックスは激安処分(売れなかったんだろうな、きっと)されていたので購入・到着したのが先月2007年8月だったか。ピアノ・ソロは13枚組2,000円弱に至っていて、主にBrahms 辺りが目当てだったが、苦手Beeやんだってこなりゃ聴いちゃう。Beethoven ピアノ・ソナタ第17番ニ短調「テンペスト」/18番 変ホ長調「狩り」(?となっております)〜1984年録音。この人の表現はいずれ”明快”、というか、明るく快いということではなく、明るくない、地味だけれど言語はっきりした印象があって、歩みは着実です。ばりばり弾く!といった方向ではなくて、技巧の冴えに問題はないが、きらきらとした華やかさはない。とても良い演奏だと思います。

さて、(最近数少ない)出張準備しなくちゃ。ホテルでの更新は可能だと思うが、新幹線移動中のCDと書籍選定しないと。


●2007年9月某日

さて、開き直って(戦うぞ!負けないぞ、ってな感じ)新しい一週間の開始。毎朝(エエ加減な)腹筋運動を少々していたけれど、昨日の”ボディ・ヒーリング”の影響であちこち(快い)痛みがあります。凄く効いてますね。昨夜、テレビにて映画「セルラー」〜キム・ベンシンガー主演。いかにも低予算だけど、筋書きがじつに巧くて、あちこちの複線の張り方もお見事。暴力も(アメリカにしては)控えめだし、セックスはないし、で、意外と健全な「ケータイ映画」なんですね。

音楽を聴く意欲大幅ダウンしております、C.P.E.Bach のシンフォニア集など聴いていて、けっして嫌いな音楽の類ではないし、ヘンヒェン/C.P.E.バッハ室内管弦楽団(1985年)の技量だって悪くはないけど、この辺りの音楽を続けるのは(変化に乏しくて)少々ツラいものです。オークションに出してしまいました。

今朝、Mozart ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453〜ワルター・クリーン(p)/スクロヴァチェフスキ/ミネソタ管弦楽団(1978年)+ピアノ協奏曲第20番ニ短調〜イングリット・ヘブラー(p)/メレス/ウィーン交響楽団(1958年)・・・ムリムリな演奏者組み合わせだけど、VOX音源の集大成の一枚也。いずれ音質水準(意外とマシ)も個性も異なるが、上品で緊張感もある良い演奏です。クリーンはLP時代からお気に入りでした。録音も期待通りの暖かいものでした。

なんかお仕事ボロボロ。やっとこさ取引先に許してもらっている、てな感じ。細かいミス多過ぎ。なんか基本的なところで”仕事のやり方”にズレがあるみたい。どこをどう反省すりゃエエのかい。ちょっぴり残業して、疲れ果てて帰宅〜でも朝よりマシかな?昨日からゴキブリ徘徊始まって退治は2匹〜原因はウチちゃいますよ、となりのベランダが芥溜め状態でおそらくはそちらが震源地でしょう。ああ、気分悪。

FIC ANC-190Haydn チェロ協奏曲ニ長調 作品100〜デュ・プレ(vc)/バルビローリ/ロンドン交響楽団(1967年)・・・これが凄い。先日のハ長調協奏曲のバックはバレンボイムだったが、とろりまったりとしたバックはソロにまで大きな影響を与えていて、悩ましいくらいセクシーで表情が濃い。あちら若者達のきりりとした、しかも雄弁な表現だったが、こちらはもっと悠然と懐が深く、纏綿と歌って甘美。エエですね。

これも駅売海賊盤(の中古@250)でして、フィル・アップはBoccherini チェロ協奏曲 変ロ長調(GRU"TZMACHER編)〜ジャクリーヌ・デュ・プレ(vc)/バレンボイム/イギリス室内管弦楽団(1967年)。先のHaydnのハ長調協奏曲との同時録音なのでしょう。バルビローリのバックが特異なる個性なのであって、颯爽溌剌とした味わいは悪くないと思います。これも浪漫方面の表現でしょう。この作品もずいぶんと久々に聴いたような気がする・・・中学生の時、ダニール・シャフラン(vc)/アルヴィド・ヤンソンス/レニングラード・フィルの17cmLP持っていたなぁ。CDでは見ない音源でした。


●2007年9月某日

やや眠りが浅いけれど寝坊し、気も進まずいつものスポーツクラブへ。(女房同行)ところが9月からメニュー変更済みであり、初心者用エアロビクスではなく”ボディ・ヒーリング”とやらでした。ヨガと太極拳とピラティスを組み合わせた40分!とのことだけれど、これが異様にキツい。そういえばかつて二度ほど(誤って/もしくは勢いで)”ビランクス・ヨーガ”とやらに参加したことがあるけれど、これもたいへん!でした。ま、カラダには良さそうだけれど、来週以降のメニューにも”初心者用”というのは見あたらないんです。どーすれば良いのか。

昼食は久々、来食藹藹のチャンポンを。おそらくは明日、ボロカスにお仕事で痛めつけられて、明後日は東京会議前泊だから、また五反田のスポーツクラブでしっかりカラダを鍛えて精神的ストレス解消しましょう。

RCA 82876-60395-2  9枚組(すべての経費込みオークションで)3,500円ほどかBruckner 交響曲第7番ホ長調(ハース版)〜クルト・マズア/ゲヴァントハウス管弦楽団(1974年ドレスデン・ルカ教会)・・・全体として流麗で涼やかな表現であり、線の細さ(薄味/弱さ)は”繊細”として感じられます。作品との相性か、録音条件の印象か、極めて優雅で美しく、全集中稀有の価値を持った演奏と評価できるでしょう。時にBrucknerに感じる”エラソー”な威圧皆無であって、万全・唯一無二の全集とは言い難いが、これであれば時に応じて棚中より取り出して愉しむに吝(やぶさ)かではない。とにかく、全64分聴き通すのに”苦痛”はありません。

(いつもながらのことだけれど)価格の安さに惹かれ購入した「CORPUS CHRISTI」(DOCUMENTS10枚組)は、かなりマニアックな音源(演奏者、作品とも)収録です。Claudio Monteverdi「MissaT in illo tempore」って「六声のミサ」ですか?無伴奏の合唱作品であって、ゴットフリート・プラインファルク/オーストリア放送合唱団の演奏。ややヴィヴラートが目立って、”現代(いま)風”透明軽快なるスタイルではないのかもしれないが、(次に収録されるPARESTRINA「ミサ・ブレヴィス」含め)作品を味わうには充分な存在でしょう。音質は少々落ちるとしても、敬虔なる気持ちは伝わりました。


●2007年9月某日

恥ずかしながら一日日付を勘違いしていて、定例金曜日のサイト更新も誤った日程を付けてしまいました。今朝、あわてて修正し、諸ファイルも更新。そういえば昨夜から急に涼しくなって、エアコンが要らなくなりました。お仕事苦戦中、といっても週明けやることは限られているし、実力以上のカッコ付けの必要もない。人生エエ時もあれば踊り場の時もある。とにかく週末休みをゆっくりしましょう。音楽にはほとんど集中できておりません。

吉田直哉「脳内イメージと映像」(文春新書)・・・これはNHKのドキュメンタリーで、数々の名作を作り上げた著者の画期的な一冊。映像と音楽の意味合いなど、深い含蓄に驚かされます。アフリカの悲惨な映像に付けられた武満徹の美しい「祈り」の音楽、それに対する吉田秀和の”筋違いな”批判。カラオーケストラの字幕と音楽を消しても、演歌の題名は即わかってしまう理由(底の浅い”あてぶり”だと)。アマゾン川が壮大に逆流する「ポロロッカ」はNHKドキュメンタリー史上最高の視聴率だったそう(ワタシも見ました)だけれど、泥水で真っ白に仕上げる現地主婦の洗濯ワザに質問が集中したこと。あまりに悲惨すぎて放映できなかった記録。日本の漢字に秘められた「脳内イメージ」の豊かな感性・・・1998年の著作だけれど、内容はまったく旧くなっていない。

harmoniamundiFRANCE KHM 100003 中古@250「ヨーロッパ音楽夢街道 ヴェネツィア」〜収録は

1. おお、私のかわいい人(ウィラールト)〜デイヴィッド・ダブラス/キングス・ノイズ
2. 「ヴェネツィアからパドヴァへの船旅」〜船主とニネッタ〜乗客に向かって水夫が〜ヴェネツィア人とドイツ人〜文無し兵士(バンキエリ) 〜クレマン・ジャヌカン・アンアンブル
3. 3つのヴァイオリンのためのソナタ第21番(ガブリエリ) 〜ハロウェイ/マンゼ(v)ほか
4. おお、恋の苦い甘さよ(シュッツ) 〜ヤーコブス/コンチェルト・ヴォカーレ
5. 3つのヴァイオリンのためのソナタop.8(マリーニ) 〜ハロウェイ/マンゼ(v)ほか
6. ニンフの嘆き(モンテヴェルディ)〜クリスティ/レザール・フロリサン
7. 歌劇「ウリッセの帰郷」〜シンフォニア〜これがウリッセの弓です〜輝いて下さい天よ(同) 〜 ヤーコブス/コンチェルト・ヴォカーレ
8. 「聖母マリアの夕べの祈り」〜12声のソナタ(カヴァルリ) 〜コンチェルト・パラティーノ
9. 歌劇「カリスト」〜陰なる木々よ〜さあ行け、行け、波と共に(同) 〜 ヤーコブス/コンチェルト・ヴォカーレ
10. 弦楽器と他の楽器のための5声のソナタ第11番〜アレグロ(ローゼンミュラー) 〜デイヴィッド・ダブラス/キングス・ノイズ
11. オラトリオ「キリストの足もとのマグダラのマリア」〜ここでさめざめと泣いた〜勝利に(カルダーラ) 〜ヤーコブス/バーゼル・スコラ・カントルム
12. 詩篇第17番〜ラルゴ・スタッカート(マルチェルロ)〜ネーメト/カペラ・サヴァリア
13. ソナタ イ長調RV.59(忠実な羊飼い)〜第2楽章(ヴィヴァルディ) 〜ポール・グッドウィン(ob)
14. スターバト・マーテル RV.621〜愛の泉なるみ母よ(同)
15. カンタータ「消え去ってくれるか、今はもう消え去ってくれるか」RV.684〜その恐ろしい場所なら、苦悶の住処よ(同) 〜ショル(ct)/アンサンブル415
16. 「四季」〜協奏曲ト短調「夏」RV.315〜アダージョ・モルト〜狩り(アレグロ)(同)〜シュレーダー(v)/コンチェルト・アムステルダム
優秀な古楽器によるオムニバスだけれど、初耳作品もたくさんあって、充分愉しめます。日本語解説/演奏者クレジット完備。ちょっと拾いものでした。

昨日出勤時、途中の駅で頭を抱えてベンチに座っている若い女性を見掛けました。体調悪かったのかな?我が家の最寄りの駅はに快速は止まらないし、乗り換えもないのに、ホームにしゃがんだまま乗り込まない人がいる(謎)・・・日常の些事に興味を持ち続けないと、どんどん精神的に退化していくような自覚があるんです。転居前から、転居後はいっそう(以前は結構好きだった)料理も(買い物も)しなくなり、風呂の残り湯を洗濯に使わなくなりました。油断すると本屋にも行かず、CDを探すのもネット上のみ、パソコンだって「ま、動いているからエエじゃん」とばかり、新たなハード、ソフトに興味を失いつつあります。

金属アレルギー故愛用している@105腕時計(オール・プラスチック)も電池切れ、電池を買いに行く意欲が起きない。挙げ句、久々に取り出したBrahms 交響曲第2番ニ長調〜ヘルベルト・ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団を聴いたら、第1楽章開始早々にデータ・エラーでアウト。きっと、(記憶はないけど)棚より落として中身が飛び出し、その時に傷が付いたんでしょう。ガッカリです。痛恨の思いで捨てるしかない。

で、代わりと言っちゃなんだけど、Brahms 交響曲第2/4番〜ギュンター・ヴァント/北ドイツ放送交響楽団(1983/85年)・・・こんな著名で定評ある演奏を聴いては【♪ KechiKechi Classics ♪】の名に恥じるが、ストレート系でありながら細部まで配慮が行き渡り、抑制の利いた表現が快い。アクとかクセを強調せず、最初から最後まで耳当たり良く、メリハリがあって、しかも安易な甘美に走らない。常に余裕で、喧しさ皆無。残響たっぷり豊かなハンブルク・ムジークハレに、涼やかなオーケストラが極上に響きます。ちょっと感動しちゃいました。

 

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi