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贅沢三昧

Beethoven 編


 Beethoven の交響曲、ヴァイオリン協奏曲はとくにお気に入りです。そうだなぁ、2曲の「ロマンス」も「エリーゼのために」も「春」もいい。とくに交響曲全集は、LP時代立派な布張りの箱入りで、仰々しいオビ(表面全体の1/3の場所を占有していた!)も付いていて、贅沢品でした。1970年頃、中学生だったワタシには、縁遠くも憧れの対象でしかありませんでした。

 大曲ばかりですので、ずいぶん長い時間をかけて、少しずつ好きになっていった記憶もあります。小学校6年生の年末に「運命」「合唱」を買いました。はじめて自分の小遣いで買った30cmLPで、これがBeeやんとの長いつきあいの始まり。オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団(SONY2枚組2,500円だった)の演奏で、(両親や兄が)いやになるほどガンガン毎日聴いておりました。すっかりハマッて、恍惚となっていた生意気なガキのワタシ。(いま、この演奏を聴くのは怖い感じ。きっと、ガッカリするんだろうなぁ)

 中学生になって、音楽室にあった第7番に痺れました。クリュイタンス/ベルリン・フィルの演奏。(当時は「7番だけで一枚!」が常識でした)これは「一流のオケの洗練された響きとはこうなのか」という驚き。なぜか第2楽章アレグレットがとても気に入っていて、そこばかり聴いていた記憶もあります。どうしても自分のLPが欲しくて、レコード屋さん(札幌の玉光堂ね)で、一番安かったコンヴィチュニー/ゲヴァントハウス管(1,200円)を購入。

 コンヴィチュニーの演奏は、クリュイタンスに比べるとずいぶん色気がないというか、真っ直ぐというか、地味というか、当時は「クリュイタンスの勝ち」と思っていましたね。でも、第8番がフィル・アップされていて、不思議な曲だなぁ、というのが正直な感想。(いまはもっとも気に入っている曲のひとつ)

 そのうち、キング・レコードから「世界の名曲1000シリーズ」というのが出て、「運命」「田園」というそうとうの詰め込みLPが1,000円で出てくれました。(スタインバーグ/ピッツバーグ響)オケの響きが金属的で明るく、やや荒々しくも馬力がある演奏で、「運命」の推進力は凄かったし(繰り返しが完璧なのも嬉しかった)「田園」はこれが初体験。(でも、どこかで聴いていたんでしょう、ほとんどの旋律はお馴染みでした)第1楽章が早過ぎるな、と思いましたが、第2楽章の小鳥が歌い交わす木管には心底感動したもの。

 これで、5〜9番を制覇!しかしながら、演奏家の好みは数10年後のいまとほとんど変わらず。というか、子供の頃に聴いたものが一生を左右するのでしょうか。その後、高校生になると「フォーク・ブーム」(若い人は知らないでしょ。我らの世代はほとんどギターを弾ける)〜ウェスト・コースト辺りの音楽に入れ込んで、しばらくBeeやんとはお別れ。大学入学までにLPはすべて売り払いました。

 学生時代は食うのに(または飲むのに)精一杯だったので、音楽はあまり聴いていません。アルバイトで待望のステレオ・コンポを買ってエア・チェック始めたのはこの頃。山下達郎、リー・リトナー、ドナルド・フェイゲン、ネイティヴ・サンなんかと並んで、シュミット・イッセルシュテットの「合唱」なんかもFMから録音しておりました。

 Beeやんへの回帰は、学生時代中古屋さんで買ったクレツキ/南西ドイツ放響の「英雄」(コンサート・ホール。ジャケットなし350円)との出会い。ところがこれ、どんな演奏だったかまったく記憶がない。

 やがて社会人となって、はじめてまともなボーナスが出た年末に「グールド・バッハの世界」の大物を購入してから、いっきにクラシック音楽の世界に再帰したワタシ。わりとすぐ結婚して、少々裕福な共働きだったので、子供時代所有していたLP、欲しくて欲しくて穴があくほど眺めていたカタログに掲載されていた憧れのLPを集めるようになりました。(ただし中古で格安に)

 中古はボックスものが格安だったんですよね。(CDもそうか)LPを完全処分した今となっては記憶も薄いのですが、ベーム/ウィーン・フィル、フルトヴェングラー(PHILIPSから出た怪しいイタリア音源を主体としたもの)、レイボヴィッツの全集を所有していました。第1〜4番迄は、どこでどう目覚めたのか記憶がありません。たしか第1・2番はコンヴィチュニー/ゲヴァントハウス管、第3番はカイルベルト(これまた「田園」との超詰め込み1,000円盤)で、じっくり聴いたはず。第4番はずっとあとで、例のカルロス・クライバーのFM放送だったかもしれません。

 フルトヴェングラーはお気に入りでしたが、戦時中のベルリン・フィルとの「第9」があったでしょう?音質は劣悪なのに、ほんとうに打ちのめされた記憶があります。(これも、いま聴くとどうか、とても不安)一枚物でも、たくさん持っていたはず。クリュイタンスは5・6・9番、カイルベルトは3・6・7・8番、アンセルメは7・8・9番、あとパレーとかモントゥー、マルケヴィッチ、E.クライバー、トスカニーニとか・・・・・ん〜思い出せない。

 1992年にLPと別れを告げて、泣く泣くCDへ。第5番(もう「運命」とは言わなくなってしまった)は、カルロス・クライバー(海賊盤。クレイバーと表示)で、怒濤の感動体験。(意外ととメジャー好みでしょ)FMで聴いたハイティンク/LPOの第8番のリリカルな味わいに感心し・・・・なんて言い出すとキリがない。

 現在所有している全集(のみ)を虫干ししてみると(もちろんすべてCD)

ハジェット、グッドマン/ハノーヴァーバンド(NIMBUS)
シューリヒト/パリ音楽院管(フランスEMI)
ケーゲル/ドレスデン・フィル(レーザー・ライト)
クリュイタンス/ベルリン・フィル(ディスキー・コミュニケーション)
メニューイン/シンフォニア・ヴァルソヴィア(IMG)
ザンデルリンク/PO(ディスキー・コミュニケーション)
クレツキ/チェコ・フィルハーモニー(日本コロンビア)
シェルヘン/スイス・イタリア語放送管弦楽団(ルガノ。山野楽器ほか)
ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管(ARTE NOVA )

・・・・う〜ん、こりゃ手が着けられんな。どれもこれも安かったんですよ。一番高いのがクレツキの3,800円かな。じつは、ほかにも

カラヤン/PO(海賊盤。2・7番抜け)
カラヤン/ベルリン・フィル(最初の録音。海賊盤。2番抜け)

・・・・というのもある。加速度的に増えつつある、といった状態。フルトヴェングラーもなんやかんや、でほぼ全曲ある(はず)。一枚物はどれだけ存在するのか見当が付かない。だって、安いから。

 カラヤン/ベルリン・フィルの(ほぼ)全集は、2000年5月に購入したものだけど(KAISER DISK。勝手にLPからCD化風海賊盤)6枚1,000円ですよ。「アンチ・カラヤン」の頭目であるワタシでも「敵のことも知らないとな」なんて、言い訳しつつ買いました。正直な話し1,000円で(ほぼ)全集が売っていれば買います。無視できません。(で、「田園」を聴いて、なぜカラヤン嫌いになったかを明確に思い出しました。曖昧でムーディーに過ぎて、手慣れて上手すぎて。空虚)

 これ、じつは近所の中古屋さんで「なんでも6枚1,000円」セールで買い漁ってきたんですけど、枚数あわせで第3・8番(フレンチーク/ハンガリー・フィル)のも買ってきたんですよ。(レーザーライト。けっこうあちこちで見かける)これが御大カラヤンと対局にあって、鳴らないオケを叱咤激励した入魂の演奏。熱意というか、真摯さというか、素朴で無骨だが、胸を打つ演奏なんです。

 え〜、贅沢三昧、Beeやんの巻でした。朝比奈/北ドイツ放響の第6/2番も(買っただけなので)聴かなくちゃ。(2000年5月4日)



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written by wabisuke hayashi