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贅沢三昧

Mahler 疾風編

 LP時代は既に過去の話題だけれど、クーベリック全集、駅売海賊盤CD在庫はもちろん、バブル時代エア・チェック音源もMDに保存して現役です。(DATの民生用としての需要は短かかったし、MDもまた風前の灯火状態か)21世紀に入ると騒然とした世情(国内外)であり、それは不況を前提として誰も経験したこともない”デフレ時代”の幕開けでもありました。ムリムリ探さなくても廉価盤CDがボロボロ発売されて、かねてからの出費を維持すれば、聴ききれないくらいの音源が手に入る・・・そんな時代となりました。

 ブロードバンド黎明期の2001年、ワタシは既にNET時代のCD購入、または「レコード屋さんの危機」という論文を発表しております。(この後、Yahoo!BBの登場があり、デジタル・デバイド問題の予言もしている)閑話休題(それはさておき)、その少々以前、2000年頃に話題のテンシュテット全集(ロンドン・フィル。「大地の歌」含む EMI 7243 5 72799 2 5 1978-1986年録音 テンシュテット・メモリアル・エディション)を入手しました。「12枚組 8,990円で購入」(税抜)との記録が残っているから、価格はかなりこなれておりますね。(現在なら、おそらく買わない価格水準だけれど)テンシュテット全集(ロンドン・フィル EMI 7243 5 72799 2 5)

 これは正直、個人的に”もっとも聴く機会の少ない”Mahler となっております。それは(例えば)音質やロンドン・フィル・サウンドへの嗜好問題もあるけれど、「テンシュテットの表現は明晰で神経質、そして切迫した悲劇みたいなものを感じさせます。ひとつひとつの旋律に魂を込め、一ヶ所たりとも流した表現など存在しない・・・」(「大地の歌」の感想)・・・感動はするけれど、聴くこと自体に胸が痛む・・・ということです。

 「ライヴはもっと凄い!」との情報もいただいたけれど、まずこの全集に真正面から対峙しなくては・・・と思いつつ、既に10年が経過〜情けない状態が続いております。聴いた回数の少ないこと、ココロへの彫琢影響の低さを考慮すれば、これは高い買い物であった、と言わざるを得ません。しかし、短気飽き性のワタシとしては珍しく処分する気も起こらず、再挑戦の日を待っている、ということでしょう。

 BRILLIANTという衝撃的廉価盤レーベルとの(個人的)出会いは1999年だったと思います。Mozart 40枚組ボックスなど、けっこう早期に購入してますね。(現在はスリム仕様となり、演奏家も一部変更となっております)様々な演奏家によるMahler 交響曲全集(「大地の歌」含まず。BRILLIANT 99549)は、2000年に「11枚組4,290円」にて購入しております。(もっと安い価格も目撃。スリム仕様で現役)

 おそらくはこの全集こそ、Mahler の交響曲を大衆的な存在、身近なものとして定着させた功労者でしょう。一方で「巨大で偉大なる作品群」としての畏敬の念は薄れたかもしませんね。もっと気軽にMahler を楽しもう、ということ自体は悪くないことだと思うのですが。

●交響曲第2番「復活」ハ短調(フォンク/ハーグ・レジデンティ管弦楽団)
●交響曲第7番ホ短調(マズア/ゲヴァントハウス管弦楽団)
●交響曲第8番(ヤルヴィ/エーテボリ響ほか)
●交響曲第4番(ヘンヒェン/オランダ・フィル)
●交響曲第9番ニ長調(ノイマン/ゲヴァントハウス管弦楽団(ライプツィヒ))* 同じ音源です

   けっこうサイト上でもコメントしている・・・ということは、よく聴いている、という証拠でもあります。あと第1番(シモノフ)、第3番(ホーレンシュタイン)、第5番(ノイマン/ゲヴァントハウス管)、第6番(ヘンヒェン)でしょ。ちゃんと再聴して全部コメントすべぇか?この全集でMahler に出会える若者は幸せである・・・と信じたい。(できれば第6番はノイマンかヘルビッヒ辺りの音源で・・・というのは高望みでした)

 Mahler の交響曲は(当然)単発でも購入しております。バブル時代はバブル人気があっただろうし、全集買ったからダブりは売った、ということか、中古では一杯出現するんです。ま、安かったら必ず買う、といったお気に入りの作品群であります。いくつか印象に残ったものは・・・

●交響曲第5番〜ルドルフ・シュウォーツ(シュヴァルツ)/ロンドン交響楽団*往年のEVEREST名録音
●交響曲第2番「復活」〜ホルヴァート/スロヴェニア・フィルハーモニー*ワケわからんコメント書いてますね
●交響曲第6番〜ホルヴァート/フィルハーモニア・スラヴォニカ
●交響曲第1番〜ナヌート/リュブリャナ交響楽団*表記そのまま
●交響曲第5番〜ナヌート/リュブリャナ放送交響楽団
●交響曲第4番〜リム/ヤナーチェク・フィル
みごとに知名度の低い演奏家ばかり・・・
●交響曲第3番〜レーグナー/ベルリン放送交響楽団
●交響曲第6番〜レーグナー/ベルリン放送交響楽団
*世評芳しくないようだけれど、ワタシはさっぱりした表現がとても気に入りました。
●交響曲第1番〜クレツキ/ウィーン・フィル*往年の名演奏
●交響曲第1番〜C.アドラー/ウィーン交響楽団(1952年)
●交響曲第9番〜シェルヘン/ウィーン交響楽団
●交響曲第4番〜メンゲルベルク/コンセルトヘボウ管弦楽団
*歴史的録音も楽しいものです。
●交響曲第5番〜マデルナ/イタリア放送ミラノ交響楽団
●交響曲第7番〜マデルナ/ウィーン交響楽団
●交響曲第3番〜マデルナ/イタリア放送ミラノ交響楽団
*これは珍しいライヴ音源ですね。オーケストラもアンサンブルもヘロヘロで楽しい演奏。

あまり系統的でもないし、全部サイトにコメントしているワケでもありません。ARTE・NOVAのリーパー盤とか、NAXOSのヴィト盤(第10番はフィーラー版でオルソン指揮)なんかも興味はあって、少し購入してます。マッケラス/ロイヤル・リヴァプール・フィルの第5番(1990年)も、よく聴いたりしますね。ザンデルリンクは第9/10番、第9番はBBCフィル(1982年ライヴ)もあって、「大地の歌」含め(とても、もの凄く)立派な演奏でした。

(2005年6月3日)


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written by wabisuke hayashi