Brahms 交響曲全集(トーマス・ザンデルリンク/フィルハーモニア管弦楽団)


Brahms

交響曲全集+悲劇的序曲 作品81

T.ザンデルリンク/フィルハーモニア管弦楽団

DARPRO RS953-0041  1996年録音。4枚組1,180円で購入。後、1,000円、更に800円も目撃。

 ことし(1998年)はいったい何枚のCDを買ったことでしょう。真剣に数えてませんが、ざっと250枚くらい?春に50枚ほど売り払ったから+-200枚くらいかな?1997年ラストに買ったCDは、博多の駅の本屋さんで大晦日に買ったワルター/ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番(もちろん海賊盤)でした。そして激動の1998年ラストは、12/18(金)に買ったこのCDか?

 女房のノートパソコンの調子が悪く、修理に持っていった(けっきょくダメで売り払ってしまった)ついでに、となりのレコード屋さんをちょっと覗いたらこんなCDが売ってました。噂には聴いていたんですけどね、当然レギュラー・プライスと想像していたら、ナント4枚で1,180円、税込みでも1枚あたり310円の超激安。ちょっと変わったジャケットになっていて、変形紙ケースに4枚入っているんです。

 トーマス・ザンデルリンクはクルトの息子ですが、ステファンのほうがNAXOSでけっこうCDが出ているのに対して、ほとんど知られていませんね。我が大阪シンフォニカーの音楽監督ですから、1999年はこのオーケストラを応援しよう、と決意した私は即レジに走りました。ワルツ堂さんもこんな珍しいCDをよく探して、品揃えしてくれたもんだと感心。

 イタリアのレーベルのようですが、ロンドンのフィルハーモニア管という一流のオーケストラとの競演で、しかも新しい録音。Brahms の交響曲全集は、これで何組目でしょうか。

・ スタインバーグ/ピッツバーグ響
・ スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリン
・ チェリビダッケ/RAIミラノ響
・ バルビローリ/ウィーン・フィル
・ マンデール/ブカレスト・ジョルジュ・エネスコ・フィル

(*1998年当時の在庫)

・・・・・・・・6組目か。バラの曲のCDもたくさんありますからね。(後、まだまだ増える) うん、いいかんじのコレクションだな、と自己満足。

 4曲とも好きですが、中学生の時に初めて聴いたベイヌム/コンセルトヘボウの第4番は、いまだに最高だと思っています。どんな演奏を聴いても、これに勝る集中力とオーケストラのコクのある響きにかなうものはないと確信。(いまでもカセットにとってある)

 わがトーマスの演奏は4曲とも同傾向ですが、テンポがかなりゆったりとしていること。フィルハーモニア管の爽やかな響きを生かして、重くならならない演奏。少々集中力が続かなかったり、流れが不自然な局面が一部見られることも特徴でしょう。やはりまだ若くて、練り上げられた音楽にはなっていない。

 第1番は、堂々とした遅いテンポで第1楽章が始まり、第2楽章はサラリと流した爽やかな響き。第3楽章も力まず、オーケストラの木管の透明な響きを生かしていますが、ラストで極端にテンポを落として名残惜しそうに最終楽章へ。最終楽章は響きが散漫になって、やや熱気が空回りな感じ。

 第2番は、やはりゆったりめの出だしから爽やかで、じょじょにエンジンがかかってくる様子が楽しい。この曲の、自然な暖かさを過不足なく表現するのは至難の業と思います。濃密さと力強さにちょっと欠けるかなぁ。とうとうとよく歌う演奏ではあります。最終楽章は、リズムの足取りがちょっと乱れがち。

 第3番も、スケールの大きさをねらった悠然とした足取りで始まりますが、音の密度がやや薄いよう。線は細いですけど、よく歌ってますね。2楽章はていねいに歌いすぎて、緊張感がちょっと持続しない。木管の透明な響きは秀逸です。有名な3楽章ポコ・アレグレットは、すっきりとした流れを作っていて繊細で美しいものですが、いかんせん1楽章からの印象がワン・パターン。最終楽章はかなり力が入ってようやく盛り上がります。この曲はまとめにくい。
 悲劇的序曲は、ちょっと緩いけど充実したオーケストラの響きが魅力的。

 第4番は、旋律を歌わせる呼吸が深くて上出来でしょう。管楽器の切々と歌う音色も美しい。第1楽章からテンションが相当高くて、第2楽章のちょっと途方に暮れたような旋律もトーマスの体質に合っているよう。ここではフィルハーモニア管の弦が頑張ってますね。第3楽章の躍動するリズムもこの全集中出色。最終楽章の壮大なパッサカーリアは、重くなりすぎず、ちょっとクールな味わいで聴かせます。4曲の中での白眉。

  録音がオフ・マイク気味なのも、全体として大人しい印象を強めているでしょうか。すべて40分を越えた演奏時間なので4枚組となりましたが、いったいこのCDはどういった所以なのか、はイタリア語ばかりなのでわかりません。

   なんか激安CDを買いまくった1998年の締めに相応しい一組でした。(でも、まだ数日あるから買うかも知れない)


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written by wabisuke hayashi