Brahms 交響曲第1番ハ短調 作品38
(セルジウ・チェリビダッケ/イタリア放送ミラノ交響楽団)
Brahms
交響曲第1番ハ短調 作品38
セルジウ・チェリビダッケ/イタリア放送ミラノ交響楽団
CETRA CDAR2009 1959年録音 購入価格記憶なし(おそらく10枚組5,000円弱か)
じつは・・・と、もったいぶるほどのことはないが、チェリの大ファンなんです。(晩年の演奏はFM放送で聴いた)本当は、メジャー・レーベルからの復刻CDも欲しいところ。でも、高いので、やや投げ売り気味の海賊盤(本場・由緒正しいMade In Italy)をそれなりに買っています。すみません。価格さえこなれれば、ちゃんとしたのも買うつもり。
Brahms の交響曲辺りって、日本じゃ一番人気なんだそうです。とくにこのBrahms 交響曲第1番はピカイチ。ワタシゃちょいと苦手で、けっこうCD持っているワリに聴く機会は少ないもの。(押しつけがましくて・・・)これも、メールのお便りにてBRA話しになったから、久々に取り出したものでした。CD3枚に全4曲揃い踏み。。
1992年に、ずいぶんと久々にベルリン・フィルに客演したチェリは「ベルリン・フィルはかつてのベルリン・フィルじゃない」と、その零落ぶりを嘆いたそう。でも、1950〜60年代の不遇時代には、こんなオーケストラを指揮していたんですねぇ。ベルリン・フィルとは比べものにならんと思うのです。イタリアの放送オーケストラは滅多に正規録音はみかけないし、チェリがどう料理してくれるか、これは楽しみ。
録音は少々厳しくて、しかも「No Noise System」がごていねいに脂気を搾り取ったような感じもある音。更にもったいなくも1曲46分のみの収録。でもねぇ、この演奏、たいへん立派です。カッコいい。このアンサンブルだったら一流オーケストラと思っても間違いはない。例の如しで、そうとう練習で絞ったんでしょうなぁ。
第1楽章から断固として叩きつけるような、テンション高い押し出し。Brahms の交響曲は一般に押しつけがましいが、こうなればトコトン押しつけがましく、迷いなく押し倒していただきたい。テンポは晩年のような微速前進、なんてことはなくて、颯爽としてむしろ速め。グイグイと推進力があって、細部まで意志の通った、というか、味付けが肌理細かいワザ。
曰くありげな「間」もあって、自然、素朴、などとはかなり縁遠い。情熱的で、朗々としたクサイ節回しはピタリと決まります。(繰り返しがないのが残念)第2楽章はあまりよろしくはない音質の中から、詠嘆のような旋律が聴こえました。この呼吸の深さ、入念さは後々の姿となんら変わらない。第3楽章も、あわてず騒がず、悠然としてスケールが大きい。
終楽章も変わるところがないが、オーケストラがお疲れ気味でしょうか。不安げな序奏から、ホルンが巨大な夕暮れような懐かしい旋律を吹くでしょ?音色がイマイチ、というか、期待ほどではない。有名な「第九」似旋律の歌い回しは絶妙で、ソロリソロリ(というか、もったいつけて)と始めて、一気にアッチェランドするところは本当に聴かせ上手。
ある意味、フルトヴェングラー(その恣意的なテンポの揺れ、入魂のサウンド)にも、カラヤン(颯爽としてスタイリッシュな味付け)にも似て、個性的で完成度の高い演奏でした。こんな楽しめるBrahms も珍しい。オーケストラの弱さはほとんど感じさせません。音質については、ま、1959年だし、海賊録音にしてはマシなほうと言っておきましょう。
CETRAの10枚組は、最近でもよく見かけます。(2001年4月7日)
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