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ある日、しっくり来る音楽


 いつもながらオツカレ気味の中年サラリーマンだけれど、音楽は欠かさず毎日聴いております。ほとんど無定見に、系統性とは無縁に、勝手気まま、ネットでたまたま話題に出た作品とか、手を伸ばしたら棚にたまたまあったCDとか・・・。

 で、ある日、Brahms ピアノ協奏曲第2番 変ホ長調〜ポリーニ(p)/アバド/ウィーン・フィル(1976年)を聴きました。10年以上前に買ったCDだけれど、これが記憶とはずいぶん方向が違う。よく整ったスリム系の演奏に間違いないが、もっと明るい演奏だったハズだけれど、これがどうもピン!とこない。

 スリムなのはOK、クール?いえいえ寒々しいくらいに整い過ぎか。正直、熱血系、燃えるような「入れ込み演奏」は、もうちょっと遠慮申し上げたくて、でも、こんなに美しいのに寂しい演奏って・・・どうも楽しめない心境が不思議。ワタシの好みもどんどん変わります。


 リューシンク Bach カンタータ全集「ちゃんとBach のカンタータ全集は聴きましたか?」というBBSの書き込みがあって、いやぁ、例のBRILLIANTのリューシンク/オランダ・バッハ・コレギウム(リューシンクじゃなくて、リューシンクと読むらしい)畢生の録音ですよ。当然、全部は聴くはずもなくて、それこそあちこちでカンタータが話題になる度、百科辞典的に「摘み聴き」しただけ〜お恥ずかしい。

 ネット上ではあちこち、それなりに話題になっていて「最初の録音を聴いたら、この先どうなるのか?と、思ったら尻上がりに好調に」という説有、一方で「最初の録音がもっともていねいな仕事であり、無理な録音スケジュールが祟って後半は雑なアンサンブルに」という、正反対のご意見もありました???

 で、早速確認。99363/1「BWV 80 われらが神は堅き砦 」「BWV 82 われは足れり 」「BWV 61 いざ来ませ、異邦人の救い主 」1999年4〜9月録音。有名な作品ばかりだけれど、これは後者だな、評価としては。よく練り上げられた表現、軽快なリズム、充実した合唱・独唱・・・これは数枚聴いていた中でも完成度の高い演奏と感じました。

 しかし、今日のワタシはBach をいまいち楽しめません。立派な作品、演奏とは重々承知の上だけれど、どうもこれもしっくり来ません。なんなのか?なにが不満なの?こんな時もあります。季節のせいか。


 休日は、CD棚をひっくり返すのが楽しみで、(買ったまま)忘れていたCDを「発見」します。本日の成果はSchumann チェロ協奏曲イ短調〜クリーゲル(vc)/コンスタンティン/アイルランド国立響(1994年)〜コレ、カーラー(v)とのBrahms ダブル・コンチェルトとのカップリングも優れていて、ソロは滅茶苦茶上手い!

 カリン・レヒナー更に、昨日のBrahms ピアノ協奏曲つながりで、カリン・レヒナー(p)/マルトゥレット/ベルリン響(旧西。録音年不明)で第1番ニ短調を。かなり以前に聴いたもので、記憶もまばら(どんなんだったっけ?)でした。Brahms って、けっこうバックが重要で、このオーケストラはかなりキビしいはず、正直。

 結論的に、以前自分がコメントしたとおりで、やさしく、リリカルでリキみのない味わい系演奏〜おそらく技術的にはまったく問題なし。バックもね。第2楽章の静謐さは絶妙でして、ココロが洗われるような思い。終楽章の流れの良さも特筆すべきでしょう。こんな気持ちの良い、素直な、そして味わいに不足しない演奏は滅多にないと思います。そういえばかなり以前にメールもいただいたっけ。

 続く、ワルツ集 作品39の柔らかな風情は、いっそうの相性を感じさせ、暖かい気持ちになりました。春まだ肌寒い好天のある日、自分にとって”しっくり来る音楽”を探して聴いておりました。(2004年4月24日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi