Brahms協奏曲全集(レヒナー(p)/ヴェルヘイ(v)/シュタルケル(vc))Brahms
ピアノ協奏曲第1番ニ短調 作品15
ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77
ヴァイオリンとチェロのための協奏曲イ短調 作品102 BRILLIANT 99274 録音年不明 3枚組1,500円で購入 曰く付きのCD。まず、レーベル名がどこにもない。ホント、どこをひっくり返してもないんです。でも、演奏家やCDの作り、番号がまずBRILLIANTにまちがいない。LP5枚分の分量が3枚のCDに凝縮され、しかも価格はいわゆる廉価盤一枚分。演奏家も充分に渋い。巨匠シュタルケルが参加しているところもなかなか。 で、このCD不良品で一度交換(一枚目にベタベタしたノリみたいのが付いていた)して、別なのに替えてもらったのに3枚目が再生できない。(タマにできても、雑音が凄い。こんな経験初めて。ちなみに一枚目の後半もサーチしにくい)岡山→大阪と出張したときに買ったCDで、もう返品しようか、と思っていた矢先、なんとディスクマンでは再生可能と判明。出張の移動時に聴いて堪能してしまいました。 で、更にオーケストラがベルリン交響楽団でしょう。旧東のベルリン響じゃないですよ。廉価盤に時々出現するややヘボいほうの団体。これがこのCDではわりと調子がいい。アムステルダム・フィルってのも滅多に聴けなくて貴重です。ソロが無名?まず演奏を聴いてからにして下さいよ、そんな話しは。 Karin Rechnerって、女性の名前でしょ?Brahmsのピアノ協で女性の録音は珍しいはず(バッカウアーのが有名か)で、別に女性差別をするつもりはないけれど、この2曲はいかにも大柄で重苦しくて、女性向けじゃないイメージはたしかにあると思います。(求む!反論。受けて立ちます。ワタシはすぐ座ってしまうが) それと、Brahmsは「ピアノ・オブリガート付きの交響曲」を意識していたはずだから、当然オーケストラが重要でしょう。ベルリン・フィルやウィーン・フィルの録音が多いのもそんな理由。ベルリン交響楽団ですからね、いままで聴いた数枚の出来から想像するとちょっとばかり不安だったのも事実なんです。それと、録音は明快であることに越したことはない。 ニ短調協奏曲の、あの怒濤のオーケストラ冒頭。(ここを聴けばだいたい全体の調子は理解できる)これがティンパニと弦の絡み合いが、いかにも濃くて予想外でした。厳密にいえば弦はやや薄く、金管のがんばりが絡むと少々響きに濁り有。でも、渋く艶消しな音色はBrahmsに相応しい。Brahmsのキモのひとつ、ホルンはやや気のない音色ながら、木管などは透明で良い音色で鳴っている。予想外の健闘。奥行きのある録音も出色。ピアノが少々近い感じは有。 レヒナーのピアノは、分厚いオーケストラをさらりとかわすように、可憐に華やかに〜派手ではない〜音色は暖かい。リキみがない。リリカルで激高しない。技術的な問題はまったくないが、空虚でメカニカルな印象は感じさせない。むしろ、静かで抜いたところの繊細さが際だちます。 一歩間違えれば、押しつけがましさ満杯になってしまうこの曲も、安らぎの味わい。(いうまでもなくアダージョ楽章)終楽章は「全速力で走る蒸気機関車」というようなイメージでしたが、ソロはむしろ軽やかで優しい。(嗚呼、女性に対する機械的な先入観か?再び求む!反論。受けて立ちます。ワタシはすぐ座ってしまうが) 変ロ長調協奏曲こそ、冒頭のホルン命。まぁまぁ。やがて、さわさわと静かに歌われる弦に乗って、南国への憧れが表現される喜び。オーケストラはニ短調協奏曲より、もっと快調でこれなら交響曲を録音してもおかしくない。奥行き、深さ、艶消し、重心の低さ、落ち着いた味わい。輝かしさ〜派手、という意味ではなくて〜にはやや力不足ではありますが。 ピアノは打鍵が強いところでも、色合いに潤いを失わない。この曲にはスケール感は重要でしょうが、不足はないもののそこは狙った演奏ではない。ニ短調協奏曲のときよりも、いっそう感興の高まりがあって、「華」(ハナ。イメージとして、女やもめにハナが咲く、といったところ。うぁっ、また叱られそう)を感じさせます。 アンダンテにおける、チェロのソロ〜弦、オーボエに引き継がれれ、絡み合う優しい旋律。オーケストラは地味ながらも雰囲気はあって、ピアノを引き立たせます。ピアノは、もってまわったような表現ではなくて、むしろストレートで淡々とした進め方。終楽章は、ラストに相応しいノリと熱さに満ちていて、ピアノもやや前のめりなのが微笑ましい。 ワルツ集はビレット盤(NAXOS)を所有しています。作品39-15 変イ長調が心に染みいる名曲中の名曲。歌詞が付けられて、ポピュラーにもなっていました。だれかの編曲で管弦楽版も聴いたことがある。小品集作品119は、老人でないと表現できないと思っていました。そうではないことを証明してくれる、これもどこか華やぎが感じられる演奏。 Borika Van Den Booren というヴァイオリニストも初耳。オーケストラはマルトゥレット率いる絶好調のベルリン交響楽団。ボリカって、やはり女性なんでしょうか。ちがうかな?録音の加減かも知れませんが、ヴァイオリンはやや線の細さを感じさます。オーケストラの響きに埋まってしまうソロ。技術的な問題はなくて、表現もていねいだけれど、押し出しと個性不足か。 BRILLIANTの名花ヴェルヘイと、名匠シュタルケルのダブル・コンチェルト。アルパード・ヨーもわりと知名度があって、たしかARTSレーベルにマーラーの第1交響曲の録音があったはず。このでのソロはさすがで、ヴィヴラート控え目なヴェルヘイの暖かい音色と、貫禄充分なシュタルケルは文句なし。アムステルダム・フィルは、少々腰が軽くてベルリン交響楽団ほどBrahmsには向いていません。 さすがにLP5枚分はツカれました。(2000年5月5日更新)
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