Rachmaninov パガニーニの主題による変奏曲 作品43
Tchaikovsky ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調(ペーター・レーゼル(p))
Rachmaninov
パガニーニの主題による変奏曲 作品43
クルト・ザンデルリンク/ベルリン交響楽団(1980年)
Tchaikovsky
ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調
クルト・マズア/ゲヴァントハウス管弦楽団(1981年)
ペーター・レーゼル(p)
edel 0002832CCC/CD8 10枚組1,962円にて購入
接した音楽にはできるだけ美点を見つけよう、というのが基本姿勢だけれど、時に保留条件も付けたくなります。有り難き激安「レーゼル・ボックス」中Rachmaninov ピアノ協奏曲第3番ニ短調はとても気持ちの良い演奏と感じました。さて、こちらの一枚はそう手放しで賞賛出来ない感慨・・・時にこんなことがあってもよろしいでしょう。
「パガニーニ変奏曲」は第2番ハ短調と並んで人気作品でしょう。このCDでは細かいインデックス分けがされていないのは残念。的確なる技術で明快に、華やかさを排して落ち着いた味わい〜という路線に変わりない。しかし、ワタシは「もっと甘美でも良いのかな?」と不遜なる感想を抱いたものです。オーケストラもピアノも生真面目几帳面で正確、表現に曖昧さは一切存在しません。重量感も推進力も充分。でも、華やかさと甘味が足りない・・・
ちょうどBeethoven やBrahms を聴いているかのような感慨がありました。これはあくまで聴き手の嗜好問題でしょう。こんな立派な演奏、どこに文句があるんだ?と高く評価される方がいても(全然)おかしくない。独墺系に背筋が伸びて厳格、楷書の歌に少々堅苦しさを感じました。嫌いな演奏ではありませんが。白眉であるべき「第18変奏曲」(甘美詠嘆の極み!を期待)も神妙じゃありませんか。
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問題はTchaikovskyでして、クルト・マズア/ゲヴァントハウス管弦楽団の、明らかにオーケストラの薄っぺらさに愕然。前曲ザンデルリンクのオーケストラに続けるから、いっそう際立ってその対比が気になります。パウル・ゲルハルト教会の収録でして、録音印象だけではないと思うんだけれど・・・どうして誰もその話題に言及しないのか。これは「マズアの13枚組ボックス」に収録され、児島の体操服屋の旦那(”若旦那”既に数年前卒業)の評価では「ピアノが非常に安定している。細かいところまできちっと弾いている。大人の演奏で満足感高し。バックのオーケストラも同様」と・・・なるほど。単独で聴けばそうなるのか。
「ピアノが非常に安定している。細かいところまできちっと弾いている。大人の演奏」という評価に異議なし。但し、この作品には古今東西老若男女星の数ほど名演奏が犇(ひし)めいております。ワタシには感興に乏しい、真面目一方の演奏に聞こえてしまいました。オーケストラも陰影が足りないような・・・これも”嗜好”なのでしょう。例えばホロヴィッツの情熱的に自在な演奏に疲れたとき、このような演奏を好ましく感じるのかも知れません。
ワタシの刷り込みは、こどもの頃(小学生)に聴いたリヒテル/ムラヴィンスキー盤(怒濤の情熱的打鍵!)であり、中学校の音楽室で聴いたクライバーンの夢と希望に溢れた演奏だったんです。レーゼル/マズア盤にそんな感慨は蘇りませんでした。残念。 (2007年10月26日)
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