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マズア13枚組ボックスについて


 ご常連「児島の体操服屋の若旦那」よりご投稿いただきました。賛否両論喧(かまびす)しいマズアの13枚組ボックス(CCC 0002452  7000円弱?)に付いてのコメントです。ワタシの意見については、表紙「サイト内検索」で「マズア」を検索してください。


 最近なんとかマズアを克服したく彼の13枚組BOXを聴いております。ニュー ヨークフィルの音楽監督まで上り詰めたように 人気がある一方 めちゃくちゃ悪く 言う人もいるように 評価が二分する人ですが 私なりに位置づけを明確にしたいと 思い 集中して聴いてみました。まだ未完成ですが 感想を書いてみました。

マーラー 交響曲第7番ホ短調
クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団

あっさりとした こだわりのない演奏。タメが無いので音が無造作に出てくるような 印象。第1楽章は今ひとつ乗りが悪い 第2楽章途中からリズムに柔軟性が出てく る。全体に明るい演奏なので第五楽章になっても違和感無し。オーケストラはまあ優秀だと思 う。曲がいいだけにそこそこ楽しませてもらいましたが 人に勧める言葉は思いつか ない。

×チャイコフスキー 交響曲第2番ハ短調
クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団

マーラーと同じような演奏。3回ほど聴きましたが曲自体がよくわからないので楽し めない。マズアはそつなくこなしていると思いますが。

グリーグ ピアノ協奏曲イ短調
アンネローゼ シュミット(ピアノ) クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァン トハウス管弦楽団

これはかなりいい演奏。シュミットのピアノが 堅い木のようで硬質だけれどうるさくな い渋い音色で最高。マズアも十全のサポート。意外な名演。

ショスタコーヴィッチ ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調
Gustav Schmahi(ヴァイオリン) クルト マズア指揮 ドレスデン フィルハーモニー管弦楽団

1970年頃の録音 初めて聴く曲。演奏時間37分の大曲だけれど ショスタコー ヴィッチをある程度聴いたことある人であれば聴きやすい曲。ヴァイオリニストに とっては かなりの難曲と思われる。

第一楽章は、のらりくらりとしたヴァイオリンに 薄いオーケストラが合いの手をいれる構成
第二楽章は、スケルツォ ここではソロ・オーケストラ共に切れ味が鋭いというわけではない ので 田舎踊りのようで それはそれで味わいがある。
第三楽章 パッサカリアというショスタコーヴィッチらしい楽章。ここが全曲の頂点 だと思われる。ヴァイオリンはがんばっているが ちっとも聴き映えしない。オイス トラフやコーガンだったらどんな演奏なんだろうと思ってしまう。おしつけがましく ないところは 好感もてるんだけれど。
第四楽章 舞曲調の短い終曲。

ほの暗い曲に オーケストラの落ち着いた音色が良く合っている。明るく神経質でないマズア の指揮も 必要以上に暗くならず曲の美しさをよく出していると思う。ヴァイオリン はやや細く オーケストラと同質の地味な音色。独奏者というよりコンマスの演奏という感じ で物足りない。

×プロコフィエフ 交響曲第1番ニ長調「古典交響曲」
クルト マズア指揮 ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団

これといった印象無し。悪くはないと思われるが。この曲で個性を出そうとするのは 困難なので こんなものか。

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番ロ短調
ペーター レーゼル(ピアノ) クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァントハウ ス管弦楽団

レーゼルのピアノが非常に安定している。細かいところまできちっと弾いている。大 人の演奏で 満足感高し。バックのオーケストラも同様。

シューマン ピアノ協奏曲イ短調
ペーター レーゼル(ピアノ) クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァントハウ ス管弦楽団

独奏者もオーケストラもこの曲にぴったり。安定した名演。はまりすぎて 意外性には乏しい が。

ショパン ピアノ協奏曲第一番ホ短調
ショパン ピアノ協奏曲第二番ヘ短調
アンネローゼ シュミット(ピアノ) クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァン トハウス管弦楽団

本当に久しぶりにショパンのピアノ協奏曲を聴きました。そんなわけでこの演奏の良 否の判断は出来ません。シュミット女史は、いつものように渋いピアノを聴かせま す。マズアの指揮もスケールが大きく 堪能しました。しいて言えばシューマンのよ うなショパンでしょうか。華やかではないが 落ち着いた好演奏。ピアノに比べてオ ケの音量がちょっと大きすぎるように思える オーケストラにピアノが埋もれがち。あまり好 きな曲ではないので△にしました。

ガーシュウィン ラプソディー イン ブルー
Siegfried Stockigt(ピアノ) クルト マズア指揮 ライプ ツィヒゲヴァントハウス管弦楽団

注目の演奏。ドイツ語の発音のように アクセントのきつい演奏。マズアも器用にこ なしているが もっとドイツドイツしたほうが とんでも盤になっておもしろかった かも。東独の国産品購入運動の一環の録音?

ガーシュウィン ピアノ協奏曲ヘ長調
Siegfried Stockigt(ピアノ) クルト マズア指揮 ライプ ツィヒゲヴァントハウス管弦楽団

真面目に聴くのは初めての曲。ラプソディー イン ブルーよりクラシック的なので  ほとんど違和感がない。鄙びた管楽器の音色も曲調に合っている。この演奏を聴い た限りでは、曲自体はラプソディー イン ブルーよりかなりつまらない。

ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲ニ長調
Siegfried Rapp(ピアノ) クルト マズア指揮 ドレスデンフィル ハーモニー管弦楽団

私はこの曲が大好きなので 誰の演奏でも満足です。東欧のピアニストの弾くド ビュッシーには、定評がありますが それと同じような味わいがあります ヤナー チェクのようなラヴェルと言ったらいいでしょうか。独奏者も指揮者も ドイツ風の 腰の重い演奏ではないので ラヴェルには向いていると思います。

シューマン チェロ協奏曲イ短調
Jurnjakob Timm(チェロ) クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァントハウス管 弦楽団

チェロはかなり軽い音色で良く歌う。本来はもっと暗くねちねちと演奏するものかも しれないが この明るくちょっと頼りない独奏は個人的に好きです。バックは巨匠の 貫禄。1983年の録音で この頃のマズアはとても充実していたのではないか。

×チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲
Jurnjakob Timm(チェロ) クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァントハウス管 弦楽団

この曲はあまり聴いたことがないのでよくわかりません。かなりの難曲のように思い ます。独奏者は弾くのが精一杯という状態で はらはらする演奏。聴くのがつらい。

ブラームス ピアノ協奏曲ロ長調
セシル ウーセ(ピアノ) クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァントハウス管 弦楽団

オーケストラが腰高なので あまりドイツっぽくありません。音色はドイツだけれどバラ ンスはドイツではない 妙な感覚です。ピアノは、フランス人のせいか 華やかで鋭 さもあります。でも基本的に暖かい音色なので ブラームスには合っています。名曲 だけに それなりに感動しましたが ブラームスのくせ(魅力)を洗い流したような 演奏ととるか 落ち着いた癒し系の演奏ととるかで評価が分かれると思います。私は もう少し味の濃い演奏の方がよかった。

ハイドン 交響曲第102番
クルト マズア指揮 ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団

あやつり人形のようにぎくしゃくしたところがありますが この曲では全く気になら ない。指揮者のストレートな表現が活きた説得力の強い名演。古典交響曲と同じアプ ローチながら 感銘に差が出るのは ユーモア(ハイドン)とアイロニー(プロコ フィエフ)の違いか?

モーツァルト ピアノ協奏曲第14番
アンネローゼ シュミット(ピアノ) クルト マズア指揮 ドレスデンフィルハー モニー管弦楽団

このコンビは、どこがどうということはないのにいいんです。聴いてくださいとしか 言えない。特にシュミットのピアノが良い。

ベートーヴェン ミサソレムニス
クルト マズア指揮 ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団 ライプツィヒ放送合唱 団他

合唱が素晴らしい マスとしての声量(音量)も音程も理想的。独唱陣も好調。最初 はそっけない演奏に思えるが 明るくこだわりのない演奏傾向の為で 爽やかで美し い演奏だと思います。フルトヴェングラーとかクレンペラーとは対極の演奏。

メンデルスゾーン 序曲集
クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団

ちょっとくすんだオーケストラの音色が曲にぴったり。有名なフィンガルの洞窟以外も楽しめ た。他の演奏を聴いたことがないので即断は出来ないが 本場物とはこういう演奏。

シューマン 歌劇「ゲノヴェーヴァ」全曲
クルト マズア指揮 ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団他

未聴。これから聴いてみます。(2003年9月19日)


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written by wabisuke hayashi