マズア13枚組ボックスについてご常連「児島の体操服屋の若旦那」よりご投稿いただきました。賛否両論喧(かまびす)しいマズアの13枚組ボックス(CCC 0002452 7000円弱?)に付いてのコメントです。ワタシの意見については、表紙「サイト内検索」で「マズア」を検索してください。 最近なんとかマズアを克服したく彼の13枚組BOXを聴いております。ニュー ヨークフィルの音楽監督まで上り詰めたように 人気がある一方 めちゃくちゃ悪く 言う人もいるように 評価が二分する人ですが 私なりに位置づけを明確にしたいと 思い 集中して聴いてみました。まだ未完成ですが 感想を書いてみました。
△マーラー 交響曲第7番ホ短調 あっさりとした こだわりのない演奏。タメが無いので音が無造作に出てくるような 印象。第1楽章は今ひとつ乗りが悪い 第2楽章途中からリズムに柔軟性が出てく る。全体に明るい演奏なので第五楽章になっても違和感無し。オーケストラはまあ優秀だと思 う。曲がいいだけにそこそこ楽しませてもらいましたが 人に勧める言葉は思いつか ない。
×チャイコフスキー 交響曲第2番ハ短調 マーラーと同じような演奏。3回ほど聴きましたが曲自体がよくわからないので楽し めない。マズアはそつなくこなしていると思いますが。
◎グリーグ ピアノ協奏曲イ短調 これはかなりいい演奏。シュミットのピアノが 堅い木のようで硬質だけれどうるさくな い渋い音色で最高。マズアも十全のサポート。意外な名演。
△ショスタコーヴィッチ ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 1970年頃の録音 初めて聴く曲。演奏時間37分の大曲だけれど ショスタコー ヴィッチをある程度聴いたことある人であれば聴きやすい曲。ヴァイオリニストに とっては かなりの難曲と思われる。
第一楽章は、のらりくらりとしたヴァイオリンに 薄いオーケストラが合いの手をいれる構成 ほの暗い曲に オーケストラの落ち着いた音色が良く合っている。明るく神経質でないマズア の指揮も 必要以上に暗くならず曲の美しさをよく出していると思う。ヴァイオリン はやや細く オーケストラと同質の地味な音色。独奏者というよりコンマスの演奏という感じ で物足りない。
×プロコフィエフ 交響曲第1番ニ長調「古典交響曲」 これといった印象無し。悪くはないと思われるが。この曲で個性を出そうとするのは 困難なので こんなものか。
◎チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番ロ短調 レーゼルのピアノが非常に安定している。細かいところまできちっと弾いている。大 人の演奏で 満足感高し。バックのオーケストラも同様。
○シューマン ピアノ協奏曲イ短調 独奏者もオーケストラもこの曲にぴったり。安定した名演。はまりすぎて 意外性には乏しい が。
△ショパン ピアノ協奏曲第一番ホ短調 本当に久しぶりにショパンのピアノ協奏曲を聴きました。そんなわけでこの演奏の良 否の判断は出来ません。シュミット女史は、いつものように渋いピアノを聴かせま す。マズアの指揮もスケールが大きく 堪能しました。しいて言えばシューマンのよ うなショパンでしょうか。華やかではないが 落ち着いた好演奏。ピアノに比べてオ ケの音量がちょっと大きすぎるように思える オーケストラにピアノが埋もれがち。あまり好 きな曲ではないので△にしました。
△ガーシュウィン ラプソディー イン ブルー 注目の演奏。ドイツ語の発音のように アクセントのきつい演奏。マズアも器用にこ なしているが もっとドイツドイツしたほうが とんでも盤になっておもしろかった かも。東独の国産品購入運動の一環の録音?
△ガーシュウィン ピアノ協奏曲ヘ長調 真面目に聴くのは初めての曲。ラプソディー イン ブルーよりクラシック的なので ほとんど違和感がない。鄙びた管楽器の音色も曲調に合っている。この演奏を聴い た限りでは、曲自体はラプソディー イン ブルーよりかなりつまらない。
○ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲ニ長調 私はこの曲が大好きなので 誰の演奏でも満足です。東欧のピアニストの弾くド ビュッシーには、定評がありますが それと同じような味わいがあります ヤナー チェクのようなラヴェルと言ったらいいでしょうか。独奏者も指揮者も ドイツ風の 腰の重い演奏ではないので ラヴェルには向いていると思います。
○シューマン チェロ協奏曲イ短調 チェロはかなり軽い音色で良く歌う。本来はもっと暗くねちねちと演奏するものかも しれないが この明るくちょっと頼りない独奏は個人的に好きです。バックは巨匠の 貫禄。1983年の録音で この頃のマズアはとても充実していたのではないか。
×チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲 この曲はあまり聴いたことがないのでよくわかりません。かなりの難曲のように思い ます。独奏者は弾くのが精一杯という状態で はらはらする演奏。聴くのがつらい。
△ブラームス ピアノ協奏曲ロ長調 オーケストラが腰高なので あまりドイツっぽくありません。音色はドイツだけれどバラ ンスはドイツではない 妙な感覚です。ピアノは、フランス人のせいか 華やかで鋭 さもあります。でも基本的に暖かい音色なので ブラームスには合っています。名曲 だけに それなりに感動しましたが ブラームスのくせ(魅力)を洗い流したような 演奏ととるか 落ち着いた癒し系の演奏ととるかで評価が分かれると思います。私は もう少し味の濃い演奏の方がよかった。
○ハイドン 交響曲第102番 あやつり人形のようにぎくしゃくしたところがありますが この曲では全く気になら ない。指揮者のストレートな表現が活きた説得力の強い名演。古典交響曲と同じアプ ローチながら 感銘に差が出るのは ユーモア(ハイドン)とアイロニー(プロコ フィエフ)の違いか?
◎モーツァルト ピアノ協奏曲第14番 このコンビは、どこがどうということはないのにいいんです。聴いてくださいとしか 言えない。特にシュミットのピアノが良い。
○ベートーヴェン ミサソレムニス 合唱が素晴らしい マスとしての声量(音量)も音程も理想的。独唱陣も好調。最初 はそっけない演奏に思えるが 明るくこだわりのない演奏傾向の為で 爽やかで美し い演奏だと思います。フルトヴェングラーとかクレンペラーとは対極の演奏。
◎メンデルスゾーン 序曲集 ちょっとくすんだオーケストラの音色が曲にぴったり。有名なフィンガルの洞窟以外も楽しめ た。他の演奏を聴いたことがないので即断は出来ないが 本場物とはこういう演奏。
シューマン 歌劇「ゲノヴェーヴァ」全曲 未聴。これから聴いてみます。(2003年9月19日)
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