Rachmaninov ピアノ協奏曲第3番ニ短調 作品30
(ペーター・レーゼル(p)/ザンデルリンク/ベルリン交響楽団)


DEUTSCHE SHCALLPLATTEN TKCC-15155/オークションにて処分済edel 0002832CCC/CD7 10枚組1,962円にて再購入 Rachmaninov

ピアノ協奏曲第3番ニ短調 作品30(1978年録音)
ピアノ協奏曲第4番ト短調 作品40(1980年録音)

ペーター・レーゼル(p)/ザンデルリンク/ベルリン交響楽団

edel 0002832CCC/CD7 10枚組1,962円にて再購入

 素っ気ないコメントに加筆しなくては、考えているうちに数年経過。ペーター・レーゼルのボックス物が激安で再発されました(2007年)。単品のダブり数枚はなんとかオークション処分出来、再購入。但し、Weberのピアノ協奏曲集はBRILLIANTの3枚組(99935)だからダブり致し方ない。

 数年前のコメントにあるように、ワタシのお気に入りは甘美なる協奏曲第2番ハ短調であって、それが基本的刷り込み。で、かなり後年成人してから(数種)聴いた「第3番ニ短調」にはピン!とこない・・・これはきっと作品的に「甘美ではない」ということなのでしょう。ないものねだりをしても仕方がないか。

ピアノもオーケストラもまったく明快そのもの。ま、「明快」といっても「明るくて快い」ということではないけれど。
もうバリバリという感じ。唖然とするテクニックの切れ味。ハデではないが、底光りするような暗めの音色で曖昧さは一点もなし
 ・・・とは数年前の感想であって、これはきっと「甘美ではない」演奏指向なのでしょう。ワタシにはこの演奏がとてもしっくりくるんです。(”バリバリという感じ”ではないでしょ)それと、クルト・ザンデルリンクのオーケストラが、とても安定していてリズムがしっかりと刻まれて安易に流れない。ほの暗い。落ち着いて、深い。この度レーゼルの全集を聴いて(まだほんのちょろ聴きだけれど)「第2番」「パガニーニ変奏曲」には「もっと甘美でも良いのかな?」と不遜なる感想を抱いたものです。これは馴染みの作品故の”先入観”か。

 明快クリアに、断固として細部迄がっちり生真面目に描き込んで快感でした。それこそ、雰囲気とか砂糖まぶしの味付けに逃げていない・・・とは、協奏曲第1番 嬰ヘ短調を聴いたときの感想だけれど、これは第3番にもぴたり!当てはまって、しかも作品的にいっそう劇性があってスケール大きく、聴き応えがありました。第2楽章には感極まる・・・苦み走った大人の甘さが〜表面的に華やかなるテクニックを披瀝すべき”ヴィルトゥオーゾ”ではなく、もっと地味で地に足着いた演奏・・・終楽章だって安易には走らない〜これこそ神髄です。

 第3番単品購入時中古480円(オークション処分300円感謝)/音楽は価格で判断できぬのは前提ながら、(お得にも)第4番ト短調もこの一枚に収録されました。意外と馴染み少ない作品だけれど、演奏解釈の様子は上記第3番同様・・・鮮やかなる技巧(に間違いない)がキラキラと・・・輝かない。あくまでしっかりと明快に腰を落ち着けて、弾き流したところがない。いくらでも劇的に煽る表現が可能だろうし、事実、そんな勢いを感じることは可能だけれど、急いた落ち着きのなさ皆無でしょう。

 ペーター・レーゼルは良いピアニストですね。粋で軽快方面な作品とは相性悪いだろうが。第4番ト短調も美しい名曲だ!ということを教えて下さいました。音質は両曲ともアナログ最末期のしっとりとした自然なもの。

(2007年10月26日)

●ピアノ協奏曲第3番ニ短調 作品30(1978年録音)のみ収録(DEUTSCHE SHCALLPLATTEN TKCC-15155/オークションにて処分済)

 小学生の時にピアノ協奏曲第2番ハ短調と出会いました。リヒテル/ザンデルリンク/レニングラード・フィルのモノラル盤。LP表面のTchaikovskyが目的だったのに、すっかり裏面の甘い旋律にノックアウトされた記憶も鮮明です。爾来幾数十年幾山川越え、少年の瑞々しい感性を失った現在でもだ〜い好き!じゃ、第3番ニ短調は?

 正直言って、このレーゼル盤で初めて目覚めた感じ。どうしてかな?LP時代は持っていなかったようなような気もするし、(当時得意だった)FMエア・チェックでの記憶もなし。でも、曲を知っていたのは何故?CD時代になったらちゃんと買いましたよ。手持ち在庫は

FELISSIMO FMCD0006  第2楽章のみ
オルロヴェツキー(p)/ティトフ/サンクトペテルブルグ・ニューフィルハーモニー
PHILIPS(RCA録音) 456 748-2
クライバーン/コンドラシン/シンフォニー・オヴ・ジ・エアー(1958年カーネギー・ホール・ライヴ録音)
OLYNPIA OCD 191
リンパニー/コリンズ/ロンドン新交響楽団(1952年)
もちろん作曲者自身の録音もあります。
ラフマニノフ/オーマンディ/フィラデルフィア管(1939/40年)〜数種のCD手許に有

 (全曲では)クライバーンのが唯一ステレオ録音(あまり音質状態よろしくない)で、あとは少々古めかしい音質ばかり。どうもピンときませんでしたね。この作品、音質がものをいう性癖なのか?レーゼル盤はピアノもオーケストラもまったく明快そのもの。ま、「明快」といっても「明るくて快い」ということではないけれど。

 ワタシ、レーゼルはBach (Busoni編)の作品集 (+Stravinsky)くらいしか聴いたことがなくて、ジミでオーソドックスな先入観がありました。Brahms の全集(未聴)というのもありましたし。でもね、Rachmaninov は、もうバリバリという感じ。唖然とするテクニックの切れ味。ハデではないが、底光りするような暗めの音色で曖昧さは一点もなし、状態で魅力的。

 時に叩きつけたり、そっと抜いたり〜そう言う表現も有だけれど、とにかく全曲きっちり、濃厚な旋律を細部漏らさず表現していって、これはこれで新鮮なんです。生真面目だけれど、ツマらない演奏ではない。表面的な変化ワザではなく、正面から堂々とこの曲を調理。ザンデルリンクのバックは、まるで黒砂糖を煮詰めたような、ちょっと苦みも入ったコクがあって、その相性も抜群!というか、むしろ表現の主導権はこちらなのかな?

 録音が理想的な状態でしょう。ピアノのリリカルな音色と、バックの控え目だけれど奥行きをきちんと伝えて下さいました。(2003年9月19日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi