Bach 〜Busoni編 ピアノ曲集(レーゼル)Bach (Busoni編)
シャコンヌ ニ短調 BWV1004 レーゼル(p) Deutsche Schllplatten 3 29 125 1986年録音 680円で購入 ストコフスキーの昔から、Bach の編曲ものには目がありません。Bach はどんな楽器・編曲で聴いてもちゃんとBach で、古楽器全盛の現代でもピアノによる演奏はフツウに行われています。充分魅力的。ブゾーニの編曲ものは、ミケランジェリの演奏で有名でしょうか。 旧東ドイツ時代は、このレーベルの録音を独占していた感のあるレーゼル。華やかではないが、着実で重心の低い演奏ぶりが素敵です。「シャコンヌ」始めとして、いくらでも劇的浪漫的に演奏できそうな曲が並びますが、リキまず着実な歩み。このほうがBach の魅力がジンワリと伝わってきました。 有名なヴァイオリン曲からの編曲である「シャコンヌ」。淡々として、なにも特別なことは起こらないかのように進んでいきます。この曲、紛れもなく後期浪漫派の濃厚な姿に変身していて、おそらくブゾーニはもっと粘着質、かつ大仰な表現を目指したのではないでしょうか。淡々として、やがて、この魅惑的な旋律は粛々と聴き手を巻き込み、知らず知らず大きな懐に包まれる思い〜といっても大音量で圧倒するスタイルではなく、端正な佇まいは崩さないレーゼル。 プレリュードとフーガ ニ長調以下はオルガン曲でしょうか。大胆で堂々たる大柄で、冒頭から深刻なプレリュード、静かなフーガが徐々に熱を帯びていくところが圧巻の感動。トッカータ ハ長調は、荒唐無稽で革新的な音型で始まり、高らかに叫ぶようなスケールの大きな音楽〜一転して暗く沈んだ暗鬱な旋律へ。それがまた大きな盛り上がり中で、ラスト、トッカータの軽快な世界へと帰結します。 レーゼルのピアノは原曲に相応しい、オルガンの味わいのある滋味深い音色。スケールも大きい。骨太でもある。「今ぞ喜べ〜」BWV734は、めまぐるしくも細かい音型が溌剌とした2分ほどの小曲。「来たれ、異教徒〜」BWV659は、ケンプの18番なのでお馴染みのシミジミとした名曲。「汝こそ我が喜びあり」BWV615は一転元気良く躍動感が溢れます。「目を覚ませ〜」BWV645は誰でも知っている、有名なカンタータからの敬虔な佳曲。 贅沢を言えば「主よ、人の望みの喜びよ」も収録して欲しかったところ。デジタル録音ながら、このレーベル特有の渋い音が生きていて、好感が持てました。(2001年5月4日)
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