Tchaikovsky ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
リヒテル(p)/ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー


Tchaikovsky ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23(リヒテル(p)/ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー) MUSIC & ARTS CD776 Schumann

ピアノと管弦楽のための序奏とアレグロ・アパショナート ト長調作品92
ブリテン/イギリス室内管弦楽団 (1965年オールドバラ・ライヴ)

Liszt

ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
アンチェル/チェコ・フィルハーモニー (1954年プラハ・ライヴ)

Tchaikovsky

ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー (1958年レニングラード)

以上 スヴャトスラフ・リヒテル(p)

MUSIC & ARTS CD776  中古で600円(だったかな?)

 ずいぶん長いお付き合いなんだけどねぇ・・・どちらかというとTchaikovskyは苦手でした。でも、最近いろいろ楽しめるようになってきたし、有名なるピアノ協奏曲第1番を続けて聴くことに(なぜか昔から)抵抗はない。↓ずいぶん以前の(なんやら訳ワカラン)文書にも書いてあるが、1958年のリヒテル盤は(ザンデルリンクとのRachmaninov 第2番と裏表で)一番最初に聴いたLPでした。(その前に中学の音楽室でカラヤン/ウィーン響盤を聴いていたはず)

 5年くらい経ちましたか?ワタシは主に音質問題故か、1958年盤を聴く機会は少なくなりました。いえいえ、それなりの音質のカラヤン盤(1962年)でも少々荷が重い感じ。もっとすっきり軽快で、明るく良く歌う演奏で聴きたいな、と。リヒテルの集中力って凄いですよね。鬼神の如きテクニックで、どんなフレーズにも魂がこもっている!・・・みたいな。今でも嫌いじゃないですよ。でも、聴き手(=ワタシ)のほうがおツカレぎみか。

 かなりの速いテンポではあるが、これがフツウですかね。カラヤン盤が遅過ぎるのか(ワイセンベルクとの競演でも遅かった)。やや、ぼんやりとした音質をガマンできれば、こちらのほうも悪くない・・・なんて言っちゃうとお仕舞いだけれど、この作品になにを求めるか、ですよ。腕が鳴るような強烈な推進力!が欲しかったらコレ、です。保証します。最終楽章など有無を言わせぬ圧倒的怒濤の迫力で、技術的乱れなど微塵も存在せず、猛スピードで強靱に弾き抜いてしまう・・・唖然。

 指揮者とピアニストの相乗効果で、やたらとテンション高い演奏に仕上がったんでしょうね。そういえば、こどもだったワタシは、もともと有名だったこの作品目当てでLPを買ってもらったはずだけれど、裏面の(初耳だった)Rachmaninov がすっかり気に入ったはず〜この好みはいまでも変わりませんよ。作品的に、また指揮者の味わいとしてもねっとり甘い雰囲気が(今聴いても)タップリでしたから。

 Schumannはとても雰囲気があって、美しい。リヒテルは硬質な響きに間違いはないが、ここでが”芯がある”と評したいところ。明快な歌心は、相性の良かったブリテンのオーケストラのチカラもあるのでしょう。ホルンの豪快な響きが魅力です。作品の魅力はピアノ協奏曲に負けません。アンチェルとのLisztは十八番(おはこ)だけれど、これにはコンドラシンとの良好な音質の録音が存在します。演奏技量表現的には一切文句はありません。(2004年11月13日)


 覚悟していたとはいえ、リヒテルがもうこの世にいないと思うと寂しいですね。

 リヒテルを初めて聴いたのはいつだったかな、と思い出してみると、カラヤン/VSOとのチャイコフスキーのピアノ協奏曲だったと思います。ぎりぎりいっぱいの遅いテンポで、なにやらピアノらしからぬ滋味深い音色に圧倒された思い出があります。

 中学校の音楽室にあったそのLPが気に入って、両親にたのんで同じのを買ってもらったはずが、なんか全く違う演奏でした。fontanaというレーベルで、たしか1,200円。おそらく、このムラヴィンスキーとの演奏だったはず。(演歌くらいしか縁のない母親が「安い方でいいか」と買ってきたと想像→素晴らしい。親の影響は偉大なり)

 音源はどうなっているんでしょうか、このCDは人工的にステレオ化されています。ま、もともとたいした音ではないですが、いっそう奥行きはなくなっています。

 ここではムラヴィンスキーの意向なのか、かなりの速いテンポで疾走する演奏。リヒテルの強靭なタッチ、腰を割って堂々としたピアノはいつも通りながら、カラヤン盤での悠々とした流れの中で、ただならぬ緊張感をたたえた演奏とは大きく異なります。

 ストレートで、怒涛のような迫力の推進力。きっと、こちらのほうが適正なテンポで、カラヤン盤が異常なのでしょうね。ピアノの音色は暖かく、オーケストラも抜群に上手い。(VSOの比ではない)これはこれでスケールの大きい、カラヤン盤に負けない充実した演奏。(悪いのは音のみ)

 シューマンは彼らしい気紛れで、懐かしい旋律に溢れた佳曲。(あまり録音は多くないはず)フランクル盤(VOX)も悪くないが、やはりリヒテル、硬質で芯のある音色がひと味違う。ブリテンのバックも立派ですが、音の状態はあまり良くなくて割れます。(でもステレオ)

 リストはリヒテル得意の曲で、コンドラシンとの極め付きの名演が有名。

 アンチェルとの共演ですが、たしか同時期で同じ顔合わせのチャイコフスキーが出ていました。(LPではコロムビア・ダイヤモンド1,000シリーズ。残念ながら未聴)たいした曲ではないと思っていますが、リヒテルの繊細かつ剛胆なピアノで聴くと、名曲に思えてくるのが不思議。強引でテクニックも壮絶、テンポの揺れの効果も凄い。チェコ・フィルの粗野な管楽器の迫力は、最近では聴けなくなったもの。

 但し、音の状態は一番落ちます。それは覚悟の上で。

 ところで、当時のチャイコフスキーのLP裏面に入っていたのが、ラフマニノフの協奏曲第2番(ザンデルリンク指揮)。ワタシはそちらのほうが気に入っていました。最近、その演奏もCDで手に入れたてホクホク。



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written by wabisuke hayashi