Beethoven ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」
(アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(p)/マリオ・ロッシ/イタリア放送ローマ交響楽団1960年ライヴ)


DOCUMENTS 223500 CD3 Beethoven

ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」

Respighi

交響詩「ローマの噴水」

アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(p)/マリオ・ロッシ/イタリア放送ローマ交響楽団

DOCUMENTS 223500 CD3 1960年4月28日ヴァチカン・ライヴ

 CETRA音源のHOMMAGEボックスはかなり以前に処分済み。それは主に音質問題でした。2005/6年に激安ボックスが2巻分計20枚出たので、ああこれで全部音源揃ったかな、と思ったら、そうでもないんですね。マッシモ・フレッチャとの「皇帝」も同じ1960年のライヴだけれど、マリオ・ロッシ盤とは別みたいですね。ワタシはてっきり同じものかと思っていました。

 Beeやん苦手ながら、先人が歴史の荒波乗り越え、評価を確立した名曲を聴き続けることに吝(やぶさ)かであはりません。じつはこの度、DG正規録音7枚組を入手したら(著名なる)カルロ・マリア・ジュリーニとの1979年ライヴが収録されました。それを聴く前に在庫分再確認しておこう、と再聴したもの。仰け反りましたね。凄い。強烈。流麗。スタイリッシュ。雄弁。音質云々〜などというご批判は、戯れ言の類。たいした音ではないが、そんなことはやがて忘れ去ります。

 頑迷強圧説教のような怒濤立派な冒頭〜これがご立派すぎて、ワタシには威圧なんです。ウィルヘルム・ケンプ盤辺りが、ワリとエエ感じで聴けました。あれはピアノ・ソロはもちろん、ベルリン・フィルがとても充実しておりました。

 ミケランジェリの路線は真逆であって、味わい系でも含羞抑制路線でもない、但し、もちろん”頑迷強圧説教”でもない。独逸じゃないんですな。もっとカッコ良くて、それは伊太利亜のスポーツ・カーのようにスタイリッシュ。スリムだけれど筋肉質、均整の取れた肉体が躍動します。速めのテンポで一気に駆け上がる、キラキラと華やかなるパッセージ表現の見事さ。いつもながら微妙なタメもあって、入念緻密なる味付け、陰影に揺れ動く天才的表現。時に鼻歌混じりに抜き、時に決然と、一気呵成に駆け抜けるワザ。ライヴながら完璧な、当時40歳脂の乗りきった技術の集中力。

 第2楽章「アダージョ」のソロは宝石が輝くようであります。タッチは(あくまで)骨太で強靱明快深淵。細部曖昧な雰囲気ではない〜そして決然と終楽章へ。子供の頃は好きな楽章だったが、中年期以降はやはり”頑迷強圧説教のような怒濤立派”に思えて苦手でした。ミケランジェリは華やかであり、颯爽と背筋を伸ばして気品があります。ドキドキするほどリズムノリノリでカッコ良い!

 ラスト、テンポをタメて”間”が・・・ここで遠雷が・・・ライヴならなではハプニングですな。よろしからぬライヴ録音だけれど、ドキュメンタリーとして凄い価値であります。

 併録が(演奏会当日の)「ローマの噴水」というのが(ありきたりじゃなくて)価値有。(「ローマの松」じゃ、ちょっと決まり過ぎ)初演当時、評論家の嘲笑を買ったとは!マリオ・ロッシ(1902〜1992年)は当時、このオケの(長い)常任だったんですね。静かに始まり、静かに終わって「皇帝」との対比を作っていると思います。ま、録音が効果的な方が聴き映えする作品に間違いないが、ミケランジェリの興奮醒めやらぬまま続けて聴くに値する立派な演奏です。音質はまぁまぁ、といったところ。

 第2部 「朝のトリトンの噴水」/第3部 「真昼のトレヴィの噴水」に於ける華々しい金管の活躍。正規録音が少ないオケで、なかなか評価されないが、第1部「夜明けのジュリアの谷の噴水」/第4部 「たそがれのメディチ荘の噴水」の繊細静謐な味わいも洗練されたアンサンブルであります。

(2008年4月18日)
   

HOMMAGE 7001855-HOM Bach

イタリア協奏曲 BWV971(1943年録音)

Beethoven

ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」(1960年録音)

フレッチャ/イタリア放送ローマ交響楽団

同上 第1楽章の一部(1942年録音)

アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

ミケランジェリ(p)

HOMMAGE 7001855-HOM  10枚組4,300円で購入したうちの一枚。CETRAの音源とのこと。すべてモノラル録音。(処分済)

 安かったので嬉しがってBOXで買い求めたら、CD約1.5枚分くらい同じ録音がダブッてしまいました。(ERMITGEの「知られざる録音集」、ガリエラとのグリーグの協奏曲)シュリンクした外箱からは内容詳細は見えない仕組み。「闇鍋状態」でも喜んで買うのは私くらいか・・・、と一瞬後悔しましたが、ま、いいじゃないですか。まだ、全部聴いていないのですが、この一枚は出色でした。
 少なくともこの一枚の音質水準は許容範囲。(私の許容範囲は広い)録音情報も、解説も、デザインもちゃんとしているのはありがたい。

 ミケランジェリは、ずいぶん旧い戦前の録音でもわりと新しい録音でも、演奏スタイルが変わらない人だと思うんですよね。明快で強烈な打鍵、太く濃い音色、一種クセのある粘りある旋律の歌。音が流れ出したら「あ、ミケランジェリ」と即理解できる個性。最近、こんなピアニストも少なくなってきました。

 「イタリア協奏曲」は、やや早めのテンポで躍動感に満ちた演奏。装飾音も多用され、強弱と音色、テンポの変化が多彩な楽しい演奏です。プレストにおける超高速の軽快な疾走は、スカッとした快感さえあります。

 「皇帝」も凄い。あまり好きな曲ではないのですが、もうこれで8種目のCD。(集めているわけじゃないですよ。自然と寄ってくる)猛烈なスピード感で、スポーツ・カーが全開で進んでいるよう。この曲はおしつけがましい旋律が嫌いなのですが、「いやだ」と思う暇も与えられず一気に怒涛の侵攻を許してしまう迫力。

 速いテンポで、テクニックがバリバリ。一つひとつの音が磨き上げられており、打ち上げ花火が夜空に満ちているようなピアノ。弾き流しているような部分は一瞬たりともなくて、入念に味付けされた旋律。効果的なテンポの揺れ。静かな部分でもピアノの輝く音色は変わらず、いっそう念入りに歌う。
 フレッチャのバックが、ミケランジェリの個性的なソロにピタリと付けていくのも聴きもの。ピアノに負けないテンションの高い演奏ぶり。興奮に頭が揺れます。ヤワな他の「皇帝」はもう聴けませんね。

 アンセルメとの「皇帝」の一部はERMITGEと同じ録音。音源が異なりますから、時間も音の状態も少々変わりますが、これも華やかな演奏に間違いありません。但し、音の状態はERMITGEのほうがよろしいようで。

 こういういかがわしい、旧い録音は好きですねぇ。ジュリーニとの正規録音の「皇帝」も一度聴いてみたいものです。

 つけ加えておきますが、録音はあまり期待しないでください。最新録音ばかり聴き慣れている人には、集中力が少々必要かと思います。

 


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written by wabisuke hayashi