Mahler 交響曲第5番嬰ハ短調
(ヴァーツラフ・ノイマン/ゲヴァントハウス管弦楽団)


BRILLIANT 99549ー6
Mahler

交響曲第5番嬰ハ短調

ヴァーツラフ・ノイマン/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

BRILLIANT 99549ー6 1966年録音(BerlinClassics音源) 11枚組4,290円で購入したウチの一枚(7枚処分済)

 棚中在庫の精査目指して、テンシュテットやアブラヴァネル、インバル、デ・ワールト、バーンスタイン(旧)、駅売海賊盤によるショルティ(第3/9番を除く旧録音主体)、そしてBRLLIANTの寄せ集め全集は、ノイマン(ゲヴァントハウス)、ホーレンシュタイン(3曲計4枚)を除いてオークション処分いたしました。でも、2008年にはノイマン/チェコ・フィル、シノーポリ全集を贅沢入手し、2009年に至ってバーンスタイン(新)、ショルティの全集(新)を格安にて入手出来・・・なにが”棚中在庫の精査”だ?日々いろいろ、取っ替え引っ替え愉しんで聴いております。

 この一枚はジャケット・デザインがショボく、一聴地味な表現サウンドだけれど、一生もんとして座右に置くに相応しいと判断いたしました。ノイマンは1960年代、ゲヴァントハウスにてMahler を第5/6/7/9番を録音しており、第6番は入手拝聴する機会を得ません。第9番は既にこのサイト初期に更新済(再聴再コメント必要ですな)。

 技巧の冴えという点ではやや落ちるし、エグいデフォルメされた派手な表現とは無縁、全体として曇り空のようなサウンドであって、いかにも渋い。ホルンはペーター・ダムらしいですね。第3楽章にて凄い雄弁なるソロが堪能可能。第4楽章「アダージエット」は水墨画を眺めるような、深い味わい有・・・というのは、おそらくは5年ほど前の印象メモであります。しかし、久々の聴取印象は全然異なる〜もとより、エエ加減な性格+その時の心身共の調子に左右されるんです。”耳馴染み”ということもありますよ。今回は、ちょうどショルティ/シカゴ響の全集を聴き通した直後、ということもある。あれはあれで多くの発見がありました。

 技巧の冴えという点ではやや落ちる、というのはいったいどういうことか?おそらくはジョージ・ショルティ盤(1970年)の比較かな。(せっかく正規盤を購入したんだから再聴取コメントしなくちゃ)コンヴィチュニー時代じゃあるまいし、21世紀の耳で確認してもメカニック、アンサンブルの質に於いて”やや落ちる”なんて、とんでもない見事な演奏であります。曇り空のようなサウンドであって、いかにも渋い〜これも言い過ぎでしょう。自然な奥行きのある、マイルドなサウンドはけっして曇ってはいない・・・音質も良好。

 エグいデフォルメされた派手な表現とは無縁、というのはそのまま、そうなんだけど、けっこう感情の起伏揺れ動いてますよ。(最近聴いたばかりの)ショルティとの比較ならば、むしろあちらのほうが表現的にはクール、但し、オケが強靱メタリックでもの凄い音量迫力で鳴るから、といった印象の違いでしょうか。耳に突き刺さる刺激的なサウンドではないが、チェコ・フィルとの後年の録音(1977年)(ちょいとコメントが旧い)より溌剌とした、陰影豊かな表現になっていると感じます。どちらが良い、とは簡単に判断できないんだけれど。

 ゲヴァントハウスはエエ音で鳴っておりますね。クルト・マズアのファンには申し訳ないが、ここまでなんじゃないの?独逸伝統の音、みたいな印象は。最近の録音は全然聴いていないけれど。弦には艶消しの深みがあり、金管には木目の質感の深み+迫力、厚みがある・・・(ペーター・ダムだ、というのは、いったいどこの情報だったのか?)第1楽章冒頭のトランペットから、”木目の質感の深み+迫力、厚み”であって、件のシカゴ交響楽団とは景色が違うんです。強引ではないが、迫力充分、そして”感情の起伏揺れ動いて”、”溌剌とした、陰影豊かな表現”・・・曇り空のようなサウンドであって、いかにも渋いというのは、弦のサウンド印象かな?

 第2楽章「嵐のように荒々しく動きをもって。最大の激烈さを持って」・・・切迫感、切れ味、集中力に於いて一流の表現だけれど、急いて前のめりの落ちつかなさは存在しないんです。チェロによる第2主題の詠嘆もたっぷり美しい。第3楽章「スケルツォ」に於ける(まず、ホルンが雄弁だ!)軽快なるノリ、リズムの良さは楽しげであり、優雅であります。この楽章のアンサンブルは素晴らしい!

 第4楽章「アダージエット」は、”水墨画を眺めるような、深い味わい”・・・ふ〜ん、なるほど。地味な印象はこの辺りが主因だったのか。静謐であり、官能を煽らない。情感を込め過ぎない。弦は陰影もニュアンスも豊かだけれど、色彩的ではない。テンポあくまで中庸。終楽章冒頭のホルン、ファゴット、クラリネットの絡み合いは、特筆すべき豊かな味わい、ジミな音色を堪能すべきでしょう。牧歌的な幸福感に充ちたラストであります。

 威圧感とか、力みとか、無縁。曇り空ではなく、ちょっと涼やかな秋空のような大団円であります。

(2009年9月19日)

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written by wabisuke hayashi