J.Strauss ウィンナ・ワルツ集
(カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー1946〜48年)
J.Strauss
皇帝円舞曲
美しき青きドナウ
芸術家の生活
喜歌劇「こうもり」序曲
ウィーンの森の物語
ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー
素材発信 ザ・ダイソー CD-2 @100 1946〜1948年録音
■100円ショップ・ダイソー「若き日のカラヤン」シリーズ
■Mozart クラリネット協奏曲/交響曲第39番(ウラッハ(cl)/カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー)
貧しき者は幸いなれ。
廉価盤の真価は経済的不如意でも、音楽を愛する気持ちさえあれば、しっかり感動できる、ということでしょう。ワタシはそんな原点を軽視し、忘れ、音源の洪水のうちに混迷を深めております。この”100円CD”(税込105円)は2001年に発売され、ものは試しと購入したまま棚中に眠っておりました。復刻そのものの問題(ピッチがおかしい?)とか、コンピレーションの安易さともかく、ひとつの衝撃でありました。再聴のきっかけは中川右介「カラヤンとフルトヴェングラー」(幻冬舎新書)であって、表題カラヤンもフルトヴェングラーも、そしてチェリビダッケだってとんでもない(人間的には)俗物であって、それと音楽の価値とは別物・・・カラヤンは団員の自発性を合理的に引き出すことが上手だった、ということが理解できたものです。
ワタシはウィンナ・ワルツが大好きでして、それもできるだけ”本場もんではない”ものばかり聴いてきたもの〜だけれど、最近、”本場もん、エエではないか!”と宗旨替えしております。人生、妥協の連続であります。このCDが現役であるかどうかは、最近ダイソーに通っていないので不明。
まず、選曲がよろしい。全44分、最近コラえ性がなくなってきたからこのくらいが適切です。戦後間もなく、カラヤンがまだ演奏会に復帰できない頃のEMI録音であって、記憶よりずっと音質は良好(マシ)。ウィーン・フィルは戦争の疲労より立ち直っていない頃だと思うが、美しくふっくらとしたサウンドで鳴っておりました。
カラヤンは後年の砂糖甘さはなくて、さっそうとして背筋が伸びたもの・・・とは7年前の自らのコメントだけれど、なるほど。40歳壮年の演奏でしょ。スタイリッシュなカッコよさは当時から変わらないが、若々しく引き締まって、そうだな、ムーティみたいな感じか。テンポもわざとらしく揺れたりせず、自然な息づかいとニュアンスに溢れるもの。カッコ良い「皇帝円舞曲」ではじまりました。クレメンス・クラウスよりちょっとだけ前の録音だけれど、こちらのほうがずっとモダーンな印象がありました。
やや速めのテンポ、流麗なる「美しく青きドナウ」。ちょっとだけポルタメントが時代を感じさせるが、スタイリッシュでカッコ良い。「芸術家の生活」は一番好きな作品だけれど、ここでは少々マッチョ過ぎ、元気良すぎ、もっとエエ加減少々ゆるゆるであって欲しかった・・・という勝手な感想を抱きました。
「こうもり」は上手いなぁ、この人はやっぱりオペラの人なんでしょう。このウキウキとした愉悦感、高まる期待。「ウィーンの森の物語」は、ややがちゃがちゃしている部分が散見されるのと、ラス前のツィター(オーバーに前面に出ていただきたい)省略が残念賞。でも、リズムとテンポのタメも決まっていて、ま、若い頃のワタシならともかく、少々クサい演奏もエエではないか・・・
歴史的録音は”別耳”で聴いております。ウィーン・フィルは華やかでエエ音で鳴っておりました。100円の価値侮るべからず。 (2008年10月17日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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