Mozart クラリネット協奏曲/交響曲第39番
ウラッハ(cl)/カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー
Mozart
クラリネット協奏曲イ長調 K.622
交響曲第39番 変ホ長調 K.543
ウラッハ(cl)/カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー
素材発信 ザ・ダイソー CD-5 @100 1949年録音
アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク K.525
交響曲第33番 変ロ長調 K.319
カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー
素材発信 ザ・ダイソー CD-4 @100 1946年録音
100円のCDだし、音をいじっているとか、ピッチがどうの(少々低いらしい)、というご批判もあるようだけれど、いずれ歴史的録音には大なり小なり付き物のお話し。オリジナル(というか良質なる復刻ですか?)を聴いたことはないので、なんとも言い様はないが、ワタシは鑑賞に耐えうる水準と思いました。(第2楽章冒頭ソロの音の揺れには少々閉口するが)往年のウィーンの名手であるレオポルド・ウラッハ(1902-56)は、後年1954年ロジンスキーとの録音が有名です。このカラヤンとの録音は(サイトで検索する限り、時に)かなり批判されることもありますね。
ノンビリとしてふくよか、濡れたようなクラリネットの音色が素敵でした。Mozart 晩年の、達観したような作品だから「無為の為」みたいなものが必要なんでしょう。かと言って、なにもしなければほんまにツマらない。とあるサイトで「カラヤンと音楽性が違いすぎて、ウラッハはやる気をなくしている」旨の論評があったが、果たしてそうでしょうか。表現としては抑制され、むしろ軽快に、淡々と音楽を進めていくが、滲み出るほのかな色気は隠しきれない、といった風情。
耳をそばだて、息を潜めて聴くべき音楽〜このクラリネット協奏曲は静謐が必須条件です。弱音でも深々とした低音、そっと抜いたような高音の妙。
40歳代のカラヤンは、後年の粘着質な表現とは無縁で、細かいニュアンスに富んだバックはウラッハに相応しい。戦後の厳しい時期のウィーン・フィルではあるが、ふくよかな響きで(厚ぼったい、ということではないが)かなり雄弁に、息長く歌います。抑えるべきべきところは、ちゃんと後ろに回ります。カラヤンは合わせものは上手い。
春の訪れを待ちわびたような最終楽章のステップは、リキみなどどこにもない軽やかさ。声高に叫ぶこととは無縁の、むしろ想い出を小声で懐かしく語るような味わいでしょう。微笑みは絶やさないが、ちょっと甘く、切ない。そして、ちょっと立ち止まり振り返る・・・。
交響曲は、序奏に後年の大柄なスタイル(一般に立派すぎ)が伺えると思います。後年に至るとオーケストラの圧倒的技量をバックに好き放題〜ここでは立派なことに間違いはないが、粘着質ではないし、大編成ながら爽やかな推進力がありました。旋律の語り口は巧妙だけれど、ハナに付くほどのことはないし重量感の強調も強引さも控えめ、響きは豊かだけれど引き締まった若さはがあって、なによりオーケストラの柔らかな響きが美しい。
「アイネ・ク」は、最近見られなくなった大編成で豪勢な演奏でしょう。レガートで旋律の間を埋めてしまう「カラヤン節」は早くも出現していて、そのスケール感は驚くべきもの。第2楽章ロマンツェの優美で甘い味わい、メヌエットの大柄な重厚感、終楽章は低音を存分に効かせながらの、乙にすました表情〜カラヤンは「セレナード」ではなく、交響曲として稀代の名曲を料理しました。(後年ベルリン・フィルとの録音は、この方向性がいっそう深化)
交響曲第33番 変ロ長調〜これはずいぶんと音質が改善されておりますね。(あくまでこのダイソー盤でのことだけれど)基本、第39番の路線と変わらない、颯爽としたカッコ良い演奏から第1楽章は始まりました。でも、徐々に「カラヤン節」全開へ〜第2楽章アンダンテの優美で濃厚な表情はいかがでしょうか。メヌエットは大仰すぎ、終楽章はちょっとリキみ過ぎかな?(2004年8月13日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
|