100円ショップ・ダイソー「若き日のカラヤン」シリーズ


 全国に躍進する100円ショップ・ダイソーが、「若き日のカラヤン」シリーズをリリースしております。ワタシはメールで教えていただきました。「100円で何が商品化できるか」という執念を感じさせるもので、手持ちとのダブリも気にせずに売場に出ていたものはほぼ購入。以下、概要の報告です。

 すべて台湾での製造、もともとはEMI録音ですが、おそらく勝手にSPやLPから復刻していると想像されます。カラヤンが戦後、ナチとの関係を取りざたされて演奏活動が出来ないときに、レッグがウィーン・フィルと録音をさせていた一連のものです。各巻で曲のダブリもありますが、なにせ@100なので少々のことはガマンしましょう。音質もよろしいとは云えないが。

序曲集

J.Strauss
喜歌劇「ジプシー男爵」序曲
喜歌劇「こうもり」序曲

Mozart
歌劇「フィガロの結婚」序曲

Tchaikovsky
幻想序曲「ロメオとジュリエット」

素材発信 ザ・ダイソー CD-1 @100 1946〜1948年録音

 ほかの録音にも共通しますが、まさに「トスカラヤン」とはよく言ったもので、メリハリと歌心、勢いが素晴らしい。ヨハン・シュトラウスにはトスカニーニ以上に色気があり、若々しくも美しい演奏。「フィガロ」は快速、「ロメオ」はカラヤン得意の曲で雰囲気たっぷり。音質はまぁまぁ許せる程度。41分ほどの収録。

ワルツ集(J.Strauss)

皇帝円舞曲
美しき青きドナウ
芸術家の生活
喜歌劇「こうもり」序曲
ウィーンの森の物語

素材発信 ザ・ダイソー CD-2 @100 1946〜1948年録音

 早くも「こうもり」ダブリ。44分収録。100円とはいえ、ダブリ、収録時間の短さは残念。演奏そのものは、オーケストラの雰囲気があって悪くありません。カラヤンは後年の砂糖甘さはなくて、さっそうとして背筋が伸びたもの。少ないが選曲も良い。音質はガマンできる程度。

「アダージョ」

(曲目失念)

素材発信 ザ・ダイソー CD-3 @100 1946〜1948年録音

 「アダージョ・カラヤン」のパクリなんでしょうが、ほかのCDの部分部分の寄せ集めのようなので買ってません。商品開発者は「これが売れ筋」と踏んだのでしょうか、店頭陳列は圧倒的にこれでした。実際上、「若き日のカラヤン」シリーズのサンプラーか。

モーツァルト(1)

Mozart

アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク
交響曲第33番 変ロ長調 K319

素材発信 ザ・ダイソー CD-4 @100 1946〜1948年録音

 収録時間34分程度。「アイネ・ク」はともかくとして、交響曲第33番は珍しい録音。なかなか大柄な演奏です。

モーツァルト(2)

Mozart

クラリネット協奏曲イ長調 K622
交響曲第39番 変ホ長調 K543
ウラッハ(cl)

素材発信 ザ・ダイソー CD-5 @100 1946〜1948年録音

 有名な録音。ワタシは新星堂がかつて出したCDで既に所有していました。(それでもあえてダブリ買いした)ウラッハはロジンスキーとの録音が有名ですが、音質的に落ちるものの、この演奏も悪くありません。カラヤンのモーツァルトには、いつもかなりの違和感があるのですが、ここでは美しさが目立ちます。音質は年代相応だけれど、強奏部分で音が濁り気味で残念。

ベートーヴェン

Beethoven

交響曲第5番ハ短調 作品67
交響曲第8番ヘ長調 作品93

素材発信 ザ・ダイソー CD-6 @100 1946〜1948年録音

 これもトスカニーニばりの、勢いのある演奏。オーケストラは色気を感じさせて、テンション高く、そうとうな名演奏。演出上手だけれど、後年のように鼻に付かない。これはかなりのお勧め盤。音もワリと良好。

ブラームス

Brahms

交響曲第2番ニ長調 作品73

素材発信 ザ・ダイソー CD-7 @100 1946〜1948年録音

 1曲のみの収録はもったいないが、充分歌心に溢れて、後年のシンネリした雰囲気皆無の美しい演奏。音の状態も良好。

チャイコフスキー

Tchaikovsky

交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」

素材発信 ザ・ダイソー CD-8 @100 1946〜1948年録音

 (別項参照のこと) また苦手な「悲愴」が増えてしまった。

シューベルト

Schubert

交響曲第9番ハ長調 D944

素材発信 ザ・ダイソー CD-9 @100 1946〜1948年録音

 勢いもあるし、溌剌としているが、この曲特有のシミジミとした旋律の歌には欠けます。音質は苦しい。それにしても、トスカニーニのイメージは強い。

ヨハン・シュトラウスU・ヨーゼフ・シュトラウス

J.Strauss

美しき青きドナウ
ウィーン気質
芸術家の生活
天体の音楽
うわごと
喜歌劇「こうもり」序曲

素材発信 ザ・ダイソー CD-10 @100 1946〜1948年録音

 「こうもり」序曲3度目のおつとめ。「ドナウ」「芸術家」は2度目。こりゃ、ややダマシの世界ですね。ダブリと収録時間を調整すれば10枚も必要なし。

 あと、CD-11、CD-12で「ファミリー・コンサート」「皆で楽しむクラシック」というのもありましたが、買っておりません。音源の目の付けどころとしては悪くないと思うのですが、100円とはいえもうすこしていねいな仕事をして欲しいもの。おそらく、そうとうなロットで製造したと想像されるので、あわてなくても購入できるでしょう。と、同時に新しいシリーズが出る可能性は少ないはず。

 それにしてもCDの製造原価はいったい、いくらなのか不思議ですねぇ。ま、音源の著作権は別としても物流費込みで70円くらいで上がるのでしょうか。10枚買っても1,000円ですが、フツウの収録なら500円で収まるかも。(2001年2月11日追加)


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written by wabisuke hayashi