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(続)いま、買いにいきます〜悔い改めよ


 昨年2005年「いま、買いにいきます」という愚かな行状告白をいたしました。所謂(いわゆる)「出戻り買い」・・・いったん手放して、後悔して、再び購入する愚かしい行為。いくら安物ばかり買っているからといって、なんたる無駄遣いでしょうか。「バカがなぜバカかというと、経験から学ばない、ということであります」とはワタシ自身の迷言だけれど、これは自らを嘲笑った至言でしたね。

 QUADROMANIA4枚組は2006年初頭時点「1,000円処分」が相場だけれど、出始めは1,480円くらいだったんです。これでも充分安かった。VOX系の懐かしい音源満載ということで、けっこう沢山購入しました。でも、玉石混淆状態で少々(かなり)ガッカリしたものも有・・・例えば、フェルディナンド・グロスマンの「ヨハネ」「クリスマス・オラトリオ」(4枚組)でして、ワタシは株式(非)等価交換ならぬCD交換で人様にプレゼントいたしました。

 ところがそれを聴いた方は、学生時代硬派の合唱団をやっていた方で、”悪くないんじゃないの?”と。ん?やっちまったか。浅はかな判断だったのか。目は泳ぎ、胸の奥にざわつく後悔よ・・・で、悔い改めるべく最終的な”決断”に至るキッカケはMozartレクイエム K.626〜グロスマン/ウィーン少年合唱団/ウィーン・コンツェルトハウス管弦楽団(録音年不明)との出会いでして、これは音質やら演奏者の技量(時に少々音程が不安定)ともかく、シミジミ誠実で清涼な響きが胸を打ったものです。かつてないたしかな感動有。

 フェルディナンド・グロスマンのBach 「ヨハネ」(1950年)「マタイ」(1959年)「クリスマス・オラトリオ」(1959年)「ミサ曲ロ短調」(1958年)計10枚組の存在は(既に触れているが)認識しておりました。(タワーレコード岡山店でも一度目撃していた)Mozart レクイエムの思わぬ感動と、”学生時代硬派合唱団”の方のそれなり評価から、ワタシは動揺を深めていたんです。Bach の声楽作品は新旧様々取り揃えて日常楽しんでいるが、これだって(もう一度ちゃんと)聴いてみたい・・・

 いえいえ、いちど(4枚分)見捨てた不心得者故、そんなことは許されないか。やがて世間から忘れ去られ、ワタシも忘れた頃に中古で出会っても、きっと「10枚」に相応しい価格(つまりかなり高い)に間違いない・・・ところが!タワーレコードのサイトには、ここ一年ほどずっと広告掲載されっぱなしで、きっと売れないんでしょうね。(店頭では見掛けないが)

 ロザリン・テューレック(1914〜2003年)という女流ピアニストがいらっしゃいまして、ワタシは彼女のゴールトベルグ変奏曲(新旧録音とも)をとても気に入っております。平均律の全曲録音も存在するというのは、ネット上で拝見しておりました。でもさぁ、7,646円でしょ?4枚だから相場なんだろうけど、ワタシにはそんな贅沢できません。で、ある日、岡山の新星堂にてmembran盤を3,000円弱ほどで目撃・・・おおいにココロ動いたが、このレーベルの相場としては随分高いな、と。

 で、あつこちネット検索掛けるとタワーレコードには在庫があって、2,410円〜うん、これなら(未だ不満だけれど)検討対象だ、と。でも、送料サービスまでに金額が足りない・・・じゃ、件の「グロスマン」ボックスを一緒に・・・これは”自分への言い訳”です。良く、女性が「頑張った自分へのご褒美に」って、お買い物するじゃないの。(ワタシは、な〜んも頑張っていないが)他、(これも念願だった)マリア・ティーポのBach とか、ちゃんとした新しい録音のMozart 「ドン・ジョヴァンニ」(ベルトラン・ド・ビリー)とか・・・もうどうにも止まらない。

 約2週間掛かって(ようやく)到着しました。テューレックは期待通りのクールで素敵な演奏(期待以上の音質)だったのはもちろんであります。二日掛けて聴いたmembran 222381 @1,775。フェルディナンド・グロスマンのBach  「ヨハネ」(1950年)「マタイ」(1959年)「クリスマス・オラトリオ」(1959年)「ミサ曲ロ短調」(1958年)計10枚組Bach 「マタイ受難曲」BWV244(1959年)〜フェルディナンド・グロスマン/ウィーン室内管弦楽団/ウィーン・アカデミー室内合唱団/エーリヒ・マイクト(エヴァンゲリスト)、ハロルド・ブッシュバウム(イエス)、ローレンス・デュトワ(s)、マリア・ヌッスバウマー(a)、他・・・音質も思いの外聴きやすかったし、やや表情過多の合唱(自分の好みでは、よりスリムな精緻さ清潔さを求めたいが)であり、時代を感じさせるソロ(少々重すぎ、アツ過ぎ)ではあるけれど、怒濤の感動CD三枚分になんの障害も支障も問題もなし。

 「おお、頭は血潮にまみれ」〜誰でも知っている神聖なる旋律を聴いていると、無神論者であるワタシにさえ沸々と畏敬の念が沸き上がってくる。ワタシは「涙を流してうずくまった」のでした・・・かつて裏切り、見捨てた「ヨハネ」「クリスマス・オラトリオ」にも再挑戦しなければ。

 蛇足です。

 その後、HMVのサイトを眺めていたら、この「グロスマン10枚組」も「テューレック平均律」も数百円安く存在してました・・・う〜む、いいんじゃないの。安さにはこだわるけれど、”愛とはけっして後悔しないこと”。

(2006年1月29日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi