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いま、買いにいきます


 音楽とは”出会い”だと思います。なんとなんの出会いか?が問題でして、自分の耳の成熟(加齢だけではないでしょ)、興味、話題、心身の調子、時間的余裕、そして経済的余裕・・・それと音楽(演奏会、演奏者、CD)との出会いなんでしょう、きっと。廉価盤しか買わない、というのはワタシの純粋の趣味であります。CDの価格が安いということを第1基準にすると、経済的な負担が少ないことはもちろん、いままでようワカラんかったり、興味がなかった作品、演奏家にじっくり向き合う機会が生まれる、ということを意味します。

 千度言うが「高い、安いは、ちゃんとその音楽を聴いて楽しめるか、どうか」で決まるんです。CDは基本、デフレ状態継続。ここ15年ほど毎月の出費はほとんど変わらないはずだけれど、購入枚数は増える一方なんです。職場至近でタワーレコード、中古屋の雄”Groovin'”、自宅近所には2軒のBOOK・OFF(更に近々一軒オープン!)、その気になればネット通販で海外からでも・・・状態だから、いやもう湯水の如く・・・みたい。贅沢というか、ムダというか・・・(趣味とは、基本道楽ですから)

 時間には限りもあるし、集中力もそう続くものじゃない。気持ち的に「ああ、もうこのCD聴かないな」と思うこともあるんです。収納場所問題もないではない。で、毎年100枚ほど処分するでしょうか。(処分して儲けるつもりなどさらさらなし)一番ご近所BOOK・OFFは、かなりの比率で”元ワタシ所有”CDでクラシック売り場を占有しております。熱心に聴いて下さるであろう音楽愛好家に、引き取られることを願いつつ。

 ダブり買いの(情けない)事件は、なんども書きました。処分したけど、やっぱり欲しい!という「出戻り買い」だってあります。

EMI CZS 7 62910 2 5枚組 4,000円ほど?■Beethoven 交響曲全集〜カール・シューリヒト/パリ音楽院管弦楽団
* 全集がCD化され即購入したが、音質が不満で一度手放したもの。1990年代の後半、同一作品はひとつあればいいや、とか、音質の悪いもの(歴史的録音)はもう必要なし、なんて思っていた時期があるんです。で、もう、ばんばん処分したもんです。でも、一年くらいで考え変わったし、値段も下がったので数年後再購入・・・コレ事始め。

■Beethoven 交響曲全集〜ヨーゼフ・クリップス/ロンドン交響楽団
* この件は、なんども書きました。情けない。計4回購入しております。

これは珍しい事象でして、フツウは再購入しませんよ。「おまえとは縁を切ったんだ。未練はないよ・・・」と。じつは今回購入したボックスは様子が少々違う・・・

CAPRICCIO 79043 15枚組 2,817円(税込送料込)■Mahler 交響曲全集〜エミール・タバコフ/ソフィア・フィルハーモニー

 記憶も薄いが@1996となっている(録音は1987-1991年頃)から、前回一度発売され即購入しております。デザインも変わらない、但し前回は壱万円弱したと思います。自らのサイト上の言及を検索すると「痛い目にあった」とのコメントがあるから、当時かなり失望したらしい。おそらくはテンシュテット全集(当時「大地の歌」含む12CD8,990円税抜)を購入して、「タバコフ全集は手許に置く理由なし!」との判断に至ったと想像されます。処分価格おそらく1,500円ほど。

 で、ことし2005年再発案内があって、15枚組2,817円(税込送料込。「大地の歌」含まず。第10番は「アダージョ」のみ)との記事有。BBS上では「予約しました」との声も〜そうなるとムズムズした思いが・・・もしかしたら、自分のMahler に対する感性も変わっているかもしれない。それにこの価格!現在だって「一枚2,817円」なんていう価格のCDは売ってますよ。その価格で「全集」が買える・・・

 数週間、悩みつつ結局注文しました。最終的な決断はHMVサイトのユーザーレビューでして、曰く「★ いまいち "マーラーコレクター以外は聴く価値なし。安物買い銭失いにならないように"」「★だめ! "演奏うんぬんを論議する以前の問題。メーカーは販売する資格もない"」と、モウレツ・クソミソ攻撃!・・・嗚呼、これは買うべきだ、買った結果がどうなるかは知らぬが、これはぜひとも再度聴いてあげないと、と。どうして、こんな断定的な言い方をするんだろう。「自分の求めているMahler 像は云々で、それとはこういった点でまったく嗜好が異なる」みたいなコメントができないのか。

 発売予定一ヶ月以上延着して、既に4曲聴いたけれど、オーケストラの技量予想通り(以前聴いているから当たり前か)、しかし、素朴不器用な味わいはけっして”聴くに耐えぬ”ものではない、いえむしろシミジミ味わい深い・・・いずれコメントをちゃんとしたいけど、これは「価格」と「自分の耳の成熟」(+「経済状況」)との出会いなんです。

 未聴CDが溜まっていきます。仮に”消化”したとしても、そんな聴き方は雑になりがち。あちこち興味のまま、関連CDを次々取り出す(つまり、全集ボックス一気聴き!みたいなことは出来ない質)から、あちこち虫食い的に”聴き残し”が出ちゃいます。「この道一筋」(ま、廉価盤一筋だけれど)的聴き方はできなくて、あちこち、ひろく、いろんな味わいの音楽・演奏を聴きたいんですよ。

 で、一昨日、昨年大々的に処分した某CD達に再会しました。計12枚、購入時はおそらくのべ合計壱万円ほど、いろいろ悩んで処分したときは1,200円ほど(BOOK・OFFにて。一ヶ月ほどで全部売れておりました。めでたい)で、その中古が2,800円で出現・・・現在の自分の耳なら、新しい感じ方が可能かも知れない。10分ほどそのボックスを眺めながら自重しました。

 次回訪問時、売れ残っていたら購入しよう。再びの出会いを大切にしましょう。既に売れてしまっていたら、少々苦い思いを胸に「嗚呼、縁がなかったんだな」と思うのみです。

 翌日、職場至近に中古屋「Groovin'」にて、買いました。Bruckner 交響曲全集〜ティントナー(NAXOS 11枚組 8.501104)(→現在は番号が変わっている)〜バカにして下され、嗤ってやって下され「出戻り買い」・・・でも、2,625円(税込)だったし、これは神(Kechi之神)の啓示なんです。「目覚めよ!」「再び立ち上がれ」と。(「音楽日誌」より引用)●追記 2009年1月、いろいろ逡巡した挙げ句、ゲオルグ・ティントナーの全集は(再度)オークションにて処分してしまいました。

 ムダ使いに間違いないが、自分の経済的許容範囲(のつもり)です。むしろハイティンク旧全集のほうが、臨時出費としては大きかったですね。

記憶が蘇って、更に「出戻り買い」発見!って、著名なるヨッフム/シュターツカペレ・ドレスデンのBruckner全集。現在所有しているのは輸入盤だけれど、国内盤ボックス全集が最初に出たときに購入していた(おそらく非常に高価だったはず)んですね、じつは。いまとなっては、いろいろと好みは変遷しているが、演奏が問題じゃなくて、収録でしたね。第5番だったか、CD一枚に収録仕切れず、余った楽章を次々と順送りに収録して、唖然。(あまりに乱暴な収録)

輸入盤のほうは、ちゃんと1曲一枚ずつに収録されております。それと音質問題も少々気になった・・・そんなことも思い出しました。

written by wabisuke hayashi