Mozart 交響曲第38/39番
(アレッサンドロ・アリゴーニ/トリノ・イタリア・フィル)


TIM  203309-205  10枚組2,360円で購入したウチの一枚

Mozart

交響曲第38番ニ長調 K.504 「プラハ」
交響曲第39番 変ホ長調 K.543

アレッサンドロ・アリゴーニ/トリノ・イタリア・フィル

TIM  203309-205  10枚組2,360円で購入したウチの一枚

 この価格でも充分に安いと思うが、2005年には紙パック・ボックス仕様で更に値下げされました。素晴らしいことです。聴くべき名曲は、知名度にこだわらず、入手しやすいものからしっかり聴く、これは音楽を楽しむ上での鉄則だと思います。かなり音質的に苦しく、指揮者の個性が前面に出たような”歴史的録音”は、できればこどもたちにはお勧めしたくない。この全集の評価については、別途コメントしたこともあります。「外伝」でも少々話題に。

 Mozart の交響曲全集は座右に置くべき、と思います。しかしねぇ、だからといってすべての演奏が全面賞賛!というワケじゃないですよ。音質が良心的だし、サウンドにも瑞々しさが感じられ、少々ユルいワン・パターンをゆったり楽しみましょう・・・ということです。それを前提にして、ちょっとだけコメント付けましょう。(別にこの演奏に全面賛同、ということじゃないですから)

 「プラハ」は大のお気に入り作品であります。ダルな感じの序奏から、霧が晴れるような軽快なアレグロに・・・これは小学生の時に初めて聴いた、シューリヒト/パリ・オペラ座管のイメージ刷り込みであり、現在までそれはワタシの前提となっております。アレッサンドロ・アリゴーニはダルな序奏に間違いないが、残念ながら霧は晴れず、どんより曇り空・・・的遅いテンポのアレグロへ。速い遅いの問題ではないが、躍動感というか、リズムのキレが甘い感じ。途中アンサンブルの乱れ、細かいパッセージのズレも散見されます。つまりは少々ユルい。ノリもよろしくない。第2楽章「アンダンテ」は御詠歌風か。

 しかし、基本表情が明るいこと、やや頼りなさげな木管がのびのび(ノーテンキ?に)歌ったりして、それなりに楽しめました。それが各楽章変化少なく、最後まで続くワケですな。繰り返しなし。ワタシは「繰り返しやって欲しい派」だけれど、ここではこれで充分なような気もしました。

 第39番 変ホ長調はそういえば最近ナマ演奏聴きましたね。その時、チューニングはクラリネットが最初の音を出していて、ああ、この作品にはオーボエがなかった・・・そんなことを思い出したものです。基本「プラハ」と同一方向の演奏(というか、全CD10枚すべて同様)だけれど、作品の個性故か、こちらのほうが美しいのではないか、と感じます。期待感高まる序奏〜そしてアレグロ・・・こちらにはしっとり豊かな勢いもありました。

 第2楽章あくまでテンポ遅く、粛々とした歩みであり(やはり御詠歌風)、クラリネットの絡み合いが楽しいメヌエットは(繰り返しがないので)2:42であっという間に終了してしまったのが残念。終楽章だってわずか4:23〜というのもテンポ問題ではなくて、繰り返しがないからさっぱりと終わってしまう、ということです。リズムにはいつものもたつき、アンサンブルの乱れ有。

 ・・・と、まぁ、こんなもんだけれど、それでも、こうして全集がいつも座右にあることを貴重な経験だと思うんです。10枚2,000円で釣りが来るのだから、四の五の言わず買いなはれ、まず。全部、聴きなはれ。(大西良慶風に)その音楽、演奏に敬意を表し、楽しみながら、コメントしていく・・・いろいろ比較して楽しむこと〜音楽を愛するものの基本姿勢だと思いますが。

written by wabisuke hayashi