Sibelius 交響曲第2番ニ長調
(カール・フォン・ガラグリ/ゲヴァントハウス管弦楽団)


Berlin Classics 0030962BC Sibelius

交響曲第2番ニ長調 作品43

ゲヴァントハウス管弦楽団((p)1964)

交響詩「タピオラ」作品112

ベルリン放送交響楽団((p)1969)*LP時代はドレスデン・フィルとの表記有?

カール・フォン・ガラグリ指揮

Berlin Classics 0030962BC  1960年代の録音  790円で購入

 ずいぶんと久々なる再聴だけれど、ドレスデン・フィルとの第1/7番との比較では、ゲヴァントハウス管弦楽団のスムースな技術が快く感じました。ずいぶんとジミで、輝かしいサウンドとは言い難いオケだろうが、落ち着いた味わいは、北国のどんより曇った空を連想させて、ある意味この作品に似合っていると思います。作曲者自身はオーマンディの演奏を好んでいた、とのことだから、もっと管弦楽効果派手派手しく、鳴りきった雄弁なる演奏が本旨なのか?

 「細部まで配慮が行き届いた、呼吸の深い演奏」「アンサンブルも優秀、テンポはまったく適正で、早すぎず、遅すぎない。わざとらしいルバート、アッチェランドはほとんどない」とは、かつてのワタシのコメントだけれど、なるほどね。これはワタシの(中学生時代の)刷り込みであるカラヤン/フィルハーモニア管弦楽団との相違をイメージしていたのか。

 前半戦どんより、暗鬱なる雰囲気深まる中、第3楽章「ヴィヴァチシモ」突入すると、そのアンサンブルの集中力、勢いに驚かされます。所謂”独逸系”にがっちり構成されたものであり、たしかに飾りは少ないし、華やかでもない。これはゲヴァントハウスの地味な金管印象でしょうか。しかし、やがて壮大なる終楽章に向けて、スケールは充分に大きく、旋律の語り口が自然体でテンポの揺れも少ないが、これはこれで充分説得力もあります。適度な重量感と寂寥たる灰色の世界がひとつの個性となっております。録音はあまり良好とは言えず、ラスト金管の爆発で盛大に音が割れました。

 「タピオラ」はLP時代は「ドレスデン・フィル」との表記有、との情報もあって、これは自らの耳で判断するしかない。この作品はSibelius の創作最末期の幻想的作品であって、かなり難解か、と感じます。アンサンブルがそうラフなワケじゃないのに、粗削りのような演奏ですね。少なくとも神妙に磨き上げられた演奏ではない。オケの判断は難しくて、入念なる弦の表情付けと、金管がそう濁らない(かなり雄弁に爆発する/器用流麗なる技術ではない)ところをみると、ドレスデン・フィルではないような?でも、たまたま調子よかった、ということも考えられますから。

   粗野な切迫感があって、ムリに美しく仕上げようとしない方向も個性的であります。

(2007年1月26日)


 ガラグリはハンガリー出身でスウェーデン人とのこと。(1917年には若干17歳にてベルリン・フィルのヴァイオリニストの一員として入団。指揮者としては主にスカンジナビアで活躍した〜以上メール情報による)特定のレーベルに好みはないが、Berlin Classics、CCC辺りには食指が伸びることが多いのは事実なんです。ガラグリはLP時代から気になっていた(但し名前だけ。カタログに出ていた)記憶もあります。顔は知りません。

 「ゲヴァントハウスのSibelius 」なんて、違和感ありそうで楽しみじゃないですか。(ちなみに第1/7番はドレスデン・フィルとの録音〜これも期待でワクワクする)・・・・で、馴染みのシベ2から。

 この曲、稀代の名曲だし、歴代名うての名演奏も数多く存在します。爽やかに、スケール大きく、明快に演奏していただきたいもの。この演奏は、全体として細部まで配慮が行き届いた、呼吸の深い演奏でした。アンサンブルも優秀、テンポはまったく適正で、早すぎず、遅すぎない。わざとらしいルバート、アッチェランドはほとんどないが、じゅうぶんな説得力もあります。

 第1楽章冒頭の弦の囁きには、厳しい冬景色の中から一条の光が射して欲しいもの。第2楽章の暗いピツィカートから徐々にテンポを上げていくところは、寒さに耐えかねて家路を急ぐ歩調だけれど、あわてすぎると台無しになる。終楽章の木管には、息も絶え絶えの吹雪が見えて欲しい・・・と、勝手なことばかり言いましたが、どこもほぼ合格といっておきましょう。

 問題は、全体としてどんよりとした音質、ラストは音が割れてしまうことでしょうか。これ、もしかしたらオケの音色なのかも知れません。北海道出身のワタシとしては、寒さ厳しい冬でも太陽が真っ白い雪を輝かせるような、そんな味わいが欲しかったところ。第1楽章から、曇りがちで太陽が見えないし、空が低い。

 立派な演奏だけれど、陰鬱な味わいがあってジミっぽい。モントゥー/LSOは「緑豊かな演奏」だった記憶があるが、それとは対極に位置するような録音でした。やはりSibelius はオケを選ぶのかも知れません。


 「タピオラ」は録音も上々だし、ベルリン放響(旧東の団体でしょう)が粗野な響きで、かなり味わいが違います。少々難解で理解しづらいかも知れないが、これも名曲。カラヤン/ベルリン・フィルの相当にセクシーな演奏はわかりやすく、それはそれで聴きものですが、ガラグリは切迫感と狂気を感じさせて「難解な曲は難解のままで」といった味わい有。

 ティンパニも金管も迫力があって、上品ではありません。弦はじつに幻想的で繊細。新鮮な「タピオラ」で、いままでの印象一変の価値ある演奏。


聴き比べ
交響詩「タピオラ」作品112

マルケヴィッチ/イタリア放送トリノ交響楽団(LIVE CLASSICS LCB145 1980年トリノ・ライヴ)

 海賊音源にしては極めて優秀録音。早めのテンポで、切れ味は充分、繊細で美しい演奏だけれど、ガラグリの演奏とはまったく別の曲を聴くような味わいがあります。トリノのオケは想像以上にしっかりとしたアンサンブルだけれど、全体としてサッパリ風の熱血シベリウスかも。(2001年4月13日)


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written by wabisuke hayashi