Sibelius 交響曲第1番ホ短調 /第7番ニ長調
(カール・フォン・ガラグリ/ドレスデン・フィルハーモニー)


Berlin Classics BC 3033-2 Sibelius

交響曲第1番ホ短調 作品39((p)1971)
交響曲第7番ハ長調 作品105((p)1970)

カール・フォン・ガラグリ/ドレスデン・フィルハーモニー

Berlin Classics BC 3033-2 

 13年ぶりの再聴。Carl von Garaguly(1900ー1984洪牙利→瑞典)はストックホルム・フィルの首席を務めた(1942-1953年)往年の指揮者らしいけれど、現在では忘れられた存在でしょう。Sibeliusを得意としたとのこと、自分が知る限りではこの他にゲヴァントハウスとの第2番の録音が残っておりました。ドレスデン・フィルはクルト・マズア時代でしょうか。(1967ー1972年)久々の拝聴は音質まずまず、ドレスデン・フィルの硬質サウンドをちゃんと聴き取れるもの。

 交響曲第1番ホ短調は2管編成だけどスケール大きく、最近お目にかかれぬような情熱的に絶叫する力強い演奏でした。ちょいと聴き疲れするほど。第1楽章「Andante, ma non troppo - Allegro energico」は遠いティンパニのトレモロにのって寂しげなオーボエが歌う出足、ヴァイオリンが夜明けの一条の光を表現しております。決然とした推進力、どのパートも明晰に”硬い”音色は個性でしょう。こんな力強い勢いにはめったに出会えぬ非情なもの、渾身のティンパニ大活躍、オケのパワーは”北欧の旅情”とは無縁にドライなもの。(10:46)第2楽章「Andante (ma non troppo lento) - Un poco meno andante - Molto tranquillo」は一転、表情豊かに歌う緩徐楽章。起伏に富んで雄弁な演奏、たっぷりとした間も決まっておりました。金管が高らかに歌えば、弦も負けずに泣く、テンポ・アップして追い込んでいく盛り上がりを見せます。(8:56)

 第3楽章「Scherzo. Allegro - Trio. Lento (ma non troppo)は冒頭弦のピチカートに導かれ、ティパニが激しいリズムを刻む躍動のスケルツォ。やがてそのリズムは金管に木管に引き継がれ、このアツさ、ノリは賑々しい粗野な熱気に溢れて洗練されたサウンドに非ず。牧歌的なトリオ部分との対比も際立って、蒸気機関車のような推進力にラスト激しいアッチェレランドに追い込みました。(4:57)第4楽章「Finale(Quasi una Fantasia). Andante - Allegro molto - Andante assai - Allegro molto come prima - Andante (ma non troppo)冒頭悲劇的な弦の詠嘆主題はややヒステリックな音色、絡み合う木管も硬質なのはドレスデン・フィルのサウンドです。速めに前のめりのテンポは硬派な表現、第2主題の雄弁悠然とした風情との対比も明確でした。やがて第1主題の復活は推進力に溢れ、シンバル→ティンパニ連打も決まって、大見得風。今どき欧州でこんな泥臭い力感のあるサウンドは聴かれなくなったもの。(ラストのピチカートが消えている?編集ミスか)(12:28)

 交響曲第7番ハ長調は単一楽章の幻想曲風、お気に入りです。息も絶え絶え、荒涼とした雪の景色を彷彿とさせる名曲中の名曲、難解な作品と思うけれど日本では意外と演奏機会もあります。朗々と歌って軟弱なデリカシーに非ず、力感に溢れたパワフルな演奏でしょう。相変わらず泥臭いドレスデン・フィルのサウンドは、ごつごつとし厳しい自然風景を連想させました。(19:38)

(2020年11月28日)

 カール・フォン・ガラグリ(1900-1984)は日本では知名度低く、ほとんど話題になりません。ワタシは小学生の頃から(パンフレットにて)その存在を知っており、CD時代になって出現した音源を(期待を以て)いくつか入手したものです。(斉諧生さまの立派な情報有/深く感謝)このCDは1994年の発売となっているから、おそらくはその直後に購入していて、既に購入価格失念、記憶もなし。でも1.000円でお釣りが来たハズです。現在は入手可能なのか?第2番はこのサイト初期に言及済み。

 Sibelius はワタシにとって(安ければ)「無条件購入」方面のお気に入りであって、あらゆる音源を楽しまぬことはない。交響曲だったらできれば全曲欲しいところであって、隅から隅まで堪能するが、自分なりの感想コメントが悩ましいものです。ドレスデン・フィルは技術的に卓越して、流麗なるアンサンブルを誇る・・・ことは全然なくて、硬質硬派なる響き、不器用なイメージがあって、ここでもまさにその通りの仕上がり。録音はまずまずといったところ。先の第2番(ゲヴァントハウス)+「タピオラ」よりかなり良好でした。

 第1番ホ短調交響曲は、テンション高く、燃えるような勢いを感じさせて第1楽章を始めます。ドレスデン・フィルは管も弦もヒスっぽく絶叫して、しっとりとした感じはありません。洗練されない、剥き出しの粗野な硬質サウンド。”勢い”通り越して”焦り”に至って、息もつかせぬ緊張感有。旋律昂揚頂点でのシンバル一撃!も決まっております。しかし、そう美しくはない。

 第2楽章「アンダンテ」は相対的に柔和なる表情であって、牧歌的な雰囲気が楽しめます。但し、器用なる仕上げではなく、時に金管の絶叫やら弦の詠嘆やら、意味ありげな”間”の効果が楽しめました。後半はどんどん突っ走って、切迫感たっぷりに至って”シンバル一撃!”の山再来へ。第3楽章「スケルツォ」はまるでBrucknerのようであり、ここのリズムのノリと迫力(とくに金管とティンパニ)は賞賛されるべきでしょう。中間部の木管の素朴な力演もエエ感じ。やはり急いたアッチェランドでこの楽章を終了。

 終楽章は、ものものしい雰囲気に支配され、切迫した悲劇が強調され、疾走しております。響きの濁りはラストまで解決されない。しかし、これを荒涼とした大自然の景色として理解するかどうかは、聴き手の嗜好となります。作為ではないでしょう。ワタシはけっして悪い演奏ではないと思います。悲痛なる叫びで全曲は締めくくられました。

 交響曲第7番は単一楽章の「幻想曲」であり、ワタシはほんの子供頃からのお気に入り作品であります。正直コメント不能状態。北国出身のワタシとしては、息も絶え絶え進む、厳しい吹雪の景色が眼前に浮かびます。洗練とか、美しい幻想性を強調したヤワな演奏ではなく、もっと非情なる自然の厳しさを、ストレートに感じさせる冷え冷えとした粗削りサウンド。刻々と変化する悲痛なる表情。ここでも器用なアンサンブルではないが、第1番よりずっと作品に似合って、成功しております。

(2007年1月26日)

 


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written by wabisuke hayashi