Sibelius 交響曲第1/2番(マルケヴィッチ/ペシュコ)ライヴSibelius
交響曲第1番ホ短調 作品39 イーゴリ・マルケヴィッチ/イタリア放送トリノ交響楽団(1980年トリノ・ライヴ) 悲しきワルツ カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー(1978年パリ・ライヴ)
交響曲第2番ニ長調 作品43 ゾルタン・ペシュコ/イタリア放送ローマ放送交響楽団(1980年ローマ・ライヴ) トゥオネラの白鳥 作品22の2 サミュエル・フリードマン/イタリア放送ミラノ交響楽団(1980年) ANF LIVE CLASSICS LBC145 (2枚組2,000円で購入・・・・高い!) LIVE CLASSICSは希に地方都市辺りに在庫出現するようですね。ワタシもまだいくつか欲しいのもが残っているので、ぜひ出会いたいもの。2003年末再聴。(第2番のみ)寒い時期にSibelius 〜これもオツなもの。有名なる第2番ニ長調交響曲〜ゾルタン・ペシュコの演奏にすっかり感心しましたね。この人はオペラ畑の現役で、CDも(インターネット検索すると)けっこう出ているみたい。 このレーベル購入は一種の博打でして、問題は音質です。どーしょーもない劣悪なもの、音源が表記通りではないもの、いろいろ有。ここでは最上級の瑞々しいライヴ音源でして、会場のざわざわした雰囲気含め、奥行き、会場の適度な残響(少な目だけれど)が気持ちよく楽しめます。で、本題は演奏でしょ! 細部迄緻密で神経質、荒涼として・・・という方向ではなくて、ややざっくりと大づかみに、骨太に仕上げたアンサンブル。考えすぎず、ノリと流れを大切にして、燃えるような情熱を感じさせます。でもね、爽やかな情感に不足しない。テンポは適正〜つまり速すぎず、遅すぎず、この哀愁漂う旋律をよ〜く歌って、嗚呼、久々にこの曲堪能しちゃった。 RAIのオーケストラってあまり評判ヨロシくないでしょ?正規録音も少なくて、正統派イタリア製海賊録音CDばかりいっぱい出ているし。正直、アンサンブル的にも”鳴りっぷり”にも問題あることも希ではない(いい加減な録音水準問題もあろうが)。ところがね、この演奏はなんでしょ。こんなにアツく、朗々と歌って、ペシュコとの相性も抜群。第1楽章冒頭から寥々(りょうりょう)たる空気充満し、第二楽章の寂寥感〜情熱的爆発(金管の叫び)もピタリ。 第3楽章はスケルツォ楽章なんだろうけど、ここからラストまでの推進力と文句ない高揚は、しばらく出会えなかったもの。オーケストラの響きは明るいが、Sibelius との違和感まったくなく、聴き手を存分に満足させて下さいましたね。聴衆とともにワタシも盛大なる拍手を!嗚呼、再年末に良いものを聴いちゃった。(なんども) ・・・と、思ったら名曲「フィンランディア」が残っていたじゃない。演奏会では先だったんだろうか、それとも、交響曲の盛り上がりを受けてアンコール的な位置づけか?この金管・弦の量感・充実感はいかがでしょうか。上記、交響曲とまったく同じ感動が存在します。切々たる節回しは”北欧風”ではないが、ゾクゾクするほど魅力的。 そして、一気の快速テンポ・アップ〜ノリノリ〜叫びだして踊りだしたいくらいのアツさ。そしてフィンランド第二の国歌(ここでは合唱は入らないけど)が切々と。
ふるさとの野に歌える 私の希望こそ 世界のすみまで同じ 平和への歌声
青き空の色深く 木立も草もひかる
で、ウルウルさせておいて、また、一気呵成のスピード・アップで聴き手を挑発します。ふむ、拍手から類推して交響曲のあとだろうな。 サミュエル・フリードマンの「トゥオネラの白鳥」はほどよいクールダウン。音質がやや平板でオン・マイクっぽいが、そう悪いものではありません。イングリッシュ・ホルンのモノローグは魅力的でした。嗚呼、今年も暮れていく。(2003年12月31日)以下は、以前の文書そのまま。
記念すべきワタシのANF購入第1号CD。カラヤン以外はイタリアの放送局のオーケストラで(たしか現在は合理化されてひとつのオーケストラになったはず)、なぜかローカルなオーケストラとの共演が多いマルケヴィッチと、ハンガリーの指揮者ペシュコなど、シベリウスにあまり関係なさそうな演奏家で固めた注目の一組。 シベリウスは大好きですが、演奏は難しいかも。指揮者もオーケストラも「選ぶ」というか、例えばフランスとかイタリアのシベリウスなんて珍しいので、逆に期待したCDでした。例の如しで、このシリーズは録音要注意、タマにどうしようもないのが紛れ込むから博打みたいなもんです。 交響曲第1番と「タピオラ」から。マルケヴィッチは1983年に亡くなっているから、最晩年の録音でしょう。これが録音最高。音質にも演奏にも切れ味があって、なかなかホットなんです。この人特有の、リズム感を叩きつけるように強調してくれるパターン。早めのテンポ、研ぎ澄まされたアンサンブルと緊張感。もの凄い推進力。 想像よりオーケストラの水準はずっと高くて、目隠しテストではまず当たらないでしょう。全体として元気良すぎ、北欧の味わいより燃えるような情熱を感じさせます。ライヴならではの味わい一杯で、興奮します。(とくにスケルツォ)「タピオラ」はシベリウス晩年の難曲。これも早めのテンポで、グイグイ引っ張っていくようなテンションの高さ。 ま、こりゃ「シベリウスじゃない」という人は多いでしょう。そういった意味では、カラヤンの「悲しきワルツ」も違和感では負けません。腰が重くて、異様に豪華でムーディ。厚化粧。弦も木管も文句なく美しいが、マルケヴィッチとの落差に愕然とします。音質やや落ち。
有名な交響曲第2番は、ゾルタン・ペシュコ(1937年ハンガリー生まれ)の指揮で。オーケストラはローマに変わりました。音質かなり良好。マルケヴィッチとはずいぶんと違う、しっとりと叙情的に歌う演奏なんです。ネームヴァリューは落ちるが、こちらのほうが好まれる方が多いかも。 ややゆったりめのテンポで、「間」の取り方も決まります。この録音だけでは判断できないが、ローマ響はトリノ響よりしっとりとした味わいがあって、こちらのほうが「らしい」雰囲気に仕上がりました。重量感があって、朗々と歌う演奏。技量的にもまったく問題はなくて、アンサンブルの水準も高い。 イタリアの団体とは思えない荒涼とした雰囲気もあって、懐の深い、相当に名演奏。後半に行くほどスケール感も増して盛り上がりました。ネーム・ヴァリューはないが、虚心になって聴けばこんな素敵な演奏との出会いが生まれるもの。 「フィンランディア」も同傾向の演奏で、金管の充実は意外なほど。後半はノリノリのスピードで決まっています。(盛大な拍手にも納得)フリードマンの「トゥオネラ」は、これでトリノ、ローマ、と併せてミラノの3つの放送オーケストラを揃えてくれる配慮でしょうか。けっして薄っぺらい演奏ではありません。音の状態もまぁまぁで、美しい演奏。イングリッシュ・ホルンには「泣き」が入ります。 選曲もなかなかだし、掘り出し物に間違いありません。@500で見つけたら、即買いです。(2001年3月20日)
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