Rimsky-Korsakov 交響組曲「シェヘラザード」
(エルネスト・アンセルメ/パリ音楽院管弦楽団)
Rimsky-Korsakov
交響組曲「シェヘラザード」
エルネスト・アンセルメ/パリ音楽院管弦楽団
IMG Artists(英DECCA原盤) 7243 5 75094 2 8 1954年録音 2枚組1,080円にて購入したウチの一枚
アンセルメは1950年代〜60年代英DECCAの稼ぎ頭だったので、膨大なる録音があります。しかも、ほとんど優秀録音。この作品は1960年手兵スイス・ロマンド管との再録音も存在しますね。(未聴)じつはパリ音楽院管との録音は、LP時代よりその存在を気に掛けていたもの。CDでもその存在は知っていたけれど、ようやく「Great Conductors Of The 20th Century」シリーズで、安価にて眼前に出現してくださいました。いやはや、音質は信じられないほど良好。1954年!う〜む。
ブーレーズ、セル、ライナーは正確さへの礼賛、ハイティンク、コリン・ディヴィス、クーベリックは自然体への憧れか、最近嗜好はますます偏りつつある今日この頃。一方でアンセルメの、かなり曖昧、ややいい加減?ヘロっとしたコシのないクール・サウンドにココロ奪われることも多いんです。「展覧会の絵」然り、「ローマの噴水」「ローマの松」然り、「牧神」「海」然り・・・。ああ「火の鳥」もありましたね。(それにしても駅売海賊盤ばかりだ・・・)
この「シェヘラザード」は、もうほとんど期待通り、予想通りの明るさ、上品さ、洗練を誇っていて、スイス・ロマンド管よりメカニック的にもしっかりしていることでしょう。(この曲の録音は聴いたことがないので想像の世界だけれど)「海とシンドバッドの船」では、旋律の節回し(うねり)を強調しない、「カランダール王子の物語」「若き王子と王女」では静かで華やかな語り口、そして「東方的な祭りと踊り、バグダッドの謝肉祭風の情景」では、あくまで抑制を失わず、色彩の鮮やかさで聴かせて下さる。
ヴァイオリンの細かくも不安げなるヴィヴラート、金管だって軽くてちょっと薄っぺらで明るいヴィヴラートを利かせて、これは個性的な魅力です。オーケストラの分厚い威力で聴かせる演奏も有、だろうけど、いかにもメルヘン!風も素敵です。弟子筋のデュトワ(1983年)の方向性に似るけど、あれはちょっと上手すぎ、というか、整いすぎだと思いませんか。面白みが足りない、味がない、と言っちゃ現役の大多数ファンに叱られるか。
パリ音楽院管とは、1958年の「展覧会の絵」も録音しているから、いつの日か聴いてみたいものです。
じつは続いて
Debussy
牧神の午後への前奏曲
アンセルメ/スイス・ロマンド管(1964年)
が収録されます。これ、先の「駅売海賊盤」と同じ音源かな、と思ったが、別録音(おそらく1957年)でしょうね。音質がかなり異なるのは、マスタリング(なんせ海賊盤だから)要因があり得るけれど、アンサンブルの密度とか、管楽器の微妙なる節回しも違います。
こちら(1964年)はアンサンブルに集中力があって、印象はもっと濃密でした。いずれ絶品。
(2004年6月18日)