Mussorgsky 組曲「展覧会の絵」/Stravinsky 組曲「ペトルーシュカ」/
Balakirev 東洋的幻想曲「イスラメイ」(アルフレッド・ブレンデル(p)1955年)
Mussorgsky
組曲「展覧会の絵」
Stravinsky
組曲「ペトルーシュカ」(三章)
Balakirev
東洋的幻想曲「イスラメイ」
アルフレッド・ブレンデル(p)(1955年)
BRILLIANT 93761 35枚組総経費込5,400円ほど
なるべく未知の新しい音楽、若い世代の演奏を聴かなくては、との自覚あるものの、出不精極まって滅多に演奏会には出掛けぬし、価格下落激しいCD入手だって、結局昔馴染みばかり聴いているんじゃないか、と反省いたします。アルフレッド・ブレンデルの旧VOX録音はLP時代からの愛聴盤であって、その後CD単発でいくつか拝聴(例えば「ピアノ・ソナタ集」そして「皇帝」)〜すべて処分済、こうして別途オトナ買いしちゃう・・・なんせ安いからね。「ハンガリー/スラヴ舞曲集」は35枚ボックスには含まれません。
ブレンデル24歳、彼の録音歴初期のモノラルとなります。「展覧会の絵」といえば、燃えるような硬質タッチのリヒテル1958年ライヴ。これを基準にしちゃうと新しい録音などウカツに聴けぬ・・・このブレンデル盤はリヒテルよりもっと前の録音、しかし意外と音質は悪くない(初耳音源だけれど、馴染みのいくつかの音楽はLP、そしてVOXCDより改善されている印象有)。なにより若々しい熱気、前向きの迫力、そしてテクニックのキレが素晴らしい。ブレンデルの技巧が安定していることは周知の事実ながら、それが前面に表出される記憶はあまりなかったと思うんです・・・1985年録音は未聴。
リヒテルの鬼神の如く〜的イメージではないが、熱気と前のめりの思い入れ充分なる迫力演奏。聴き手の血を滾(たぎ)らせる説得力有。「古城」は重苦しい静謐が支配するところだけれど、リズムが着実であって、しかし妙にアツい。各所の「プロムナード」は豊かに、晴れ晴れと鳴り響きます。「ビドロ」も颯爽とした速めのテンポが若々しい。「卵の殻をつけた雛の踊り」は溌剌として、走りすぎる感じもほほえましい。「サミュエル・ゴールデンベルク〜」だって重厚さより、熱気が優先します。「リモージュの市場」に於ける超絶技巧は賞賛されるべきでしょう。
つまり雄弁、貫禄、ものものしいテイストではない。「死せる言葉による死者への呼びかけ」にもリリカルな味わい有、「バーバ・ヤーガ」の叩き付けるタッチも粗野で微笑ましく、「キーウの大門」もカンロクより勢い優先・・・エエじゃないか、若くアツい演奏は。
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「ペトルーシュカ」ピアノ版は、ルービンシュタインのために編まれたものでしたっけ?壮絶華やかな技巧と演奏効果は、若きブレンデルの技量を証明します。ま、「展覧会の絵」と寸分違わぬ、ということですよ。若さと熱気、走り気味前のめりの魅力たっぷり。どきどきしちゃうほど。作品的に大好きですし。これを聴いているとノーミソ中に、大編成多彩なる管弦楽が木霊(こだま)するんです。
「イスラメイ」は楽しげ、ウキウキしちゃうようなリズム連続作品ですよ。これ、シロウト耳にもそうとうの難曲でっせ、いかにも民族的土俗的わかりやすい旋律ラッシュ!連続。これも名曲だなぁ。この一枚は若きブレンデルのテクニックを存分に堪能すべきものなんでしょう。最高。音質はほとんど旧さを気にさせぬ水準。 (2010年12月31日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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